ロイ-RöE-が描く『ストロベリーナイト・サーガ』の世界

2019/05/24掲載
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 二階堂ふみ&亀梨和也のダブル主演によるフジテレビ系ドラマ『ストロベリーナイト・サーガ』のオープニングテーマとしてオンエアされているシンガー・ソングライター、ロイ-RöE-の新曲「VIOLATION*」が話題を呼んでいる。ドラマの世界観とリンクしたミステリアスで力強いこの曲について聞いた。
■ 2019年5月22日(水)発売
ロイ-RöE-「VIOLATION*」
――新曲がマネージャーさんから「二階堂ふみさんと亀梨和也さん主演作品のOPテーマに決まりました」と言われて嬉しくて叫んだそうですね。
 「あははは。はい」
――映画『ヒミズ』をきっかけに、二階堂ふみさんを好きだったからだと。
 「そうですね。『ヒミズ』が本当に大好きなんです。ああいう映画で初めて泣きました。あんまり難しい映画ってそこまでたくさん観ないんですよ。ふだんは単純なのが好き。だから『ヒミズ』が私にとって、初めての重たくて深い映画だったんです(笑)。もうとにかく感動して“こんな映画があるんだ”って泣きました。そこから主演の二階堂ふみさんと染谷将太さんの演技がすごく好きになって、出演映画もいっぱい観るようになって。だからまず、今回作品に一緒に関われたことが嬉しかったです」
――『ヒミズ』って、描かれている町全体が渇いた感じするじゃないですか。
 「渇いてますよね」
――ロイ-RöE-さんの地元・福岡と似てます?
 「あそこまでは乾いてないです(笑)。ちゃんと友達おったし(笑)。ちょっと時代が違いますね」
――なるほど。ああいう世界観って苦手な人は苦手でしょうけど、理解できる人は本当に感動して涙を流せる作品だと思います。
 「私は5回くらい泣きました。自分と通ずるところもあったので。孤独の種類が理解しやすかったというか。絵の具で顔を塗りたくっている、ああいう狂い方もよかったし、全部の表現が好みだったんです」
――「孤独の種類が理解できた」と言いましたけど、それはどういうところですか?
 「一人っ子やったから、そういうのを感じやすくて。〈VIOLATION*〉もそうなんですけど、悲しむのが恥だとずっと思ってきたんです。まさに『ヒミズ』は2人ともそういうタイプじゃないですか。涙があふれそうになるけど、それをこらえて親に暴力を振るわれようと必死で歯向かう。そういう感じがいいなと思ったし、どこか自分とリンクした感じもしました。『ストロベリーナイト・サーガ』の姫川(二階堂ふみ演じる姫川玲子)もまさにそれなんです。トラウマはあるけど、自分がそういうのに悲しんでいるのが恥ずかしくて制御している感じがあって。弱い部分はあっても、か弱い部分がないんです。そういう人が好きですね」
ロイ-RöE-
――『ヒミズ』の住田祐一も、『ストロベリーナイト・サーガ』の姫川玲子も人間の種類は似てますよね。
 「ちょっと面倒くさい感じのところとか似てますね。私の好きな人間のタイプ」
――「VIOLATION*」について、原作者の誉田哲也さんが「ちゃんと原作を読んで、玲子を解釈したうえで書いてくださっているのが嬉しい」とツイートされてましたね。
 「あの言葉は本当に嬉しかったです。私はぜんぜん幸せと思い続けてきた人生じゃなくて。むしろ闇から育っているから、闇を持つ人間の心がわかるんです。逆に、幸せのほうが理解できない感じはあるかも。描くものも明るくしようとしても暗くなる。でもべつに自分はそれを悲しいことだとちっとも思わんしっていうのはありますね」
――だからこそ、ダウンタウンの笑いにも惹かれるんですかね。
 「ああ、そうかもしれないですね」
――ダウンタウンはそういう悲しさをお笑いに転換したじゃないですか。
 「浜田(雅功)さんも自分と通ずる部分がある。若いころの浜田さんが大御所に食ってかかる感じも好きでした。ただ突っかかるわけじゃなくて、爪痕を残そうとするのが伝わってくるところに惹かれるんです」
――表面的な行動と心理が違うという意味では、「VIOLATION*」の歌詞とも通じる部分かもしれないですね。
 「たとえば“わたしは凍えている”という歌詞は、それだけで意味は成立するんですけど、そのあとに“なんとなく凍えているんだ”と続くんです。そういう、ちょっと強がる感じは姫川とも同じ。根本では思っているんですけど、“今はそう思ってない”みたいな。“悲しいことは何となくにしておこう”という姿勢が、この曲にはすごく出ています。“救われる傷あとは 汚したくなっちゃうよね”も、ものすごくひねくれてて。自分の中では悲しい出来事だったとしても、他人から見たら“そんなの大丈夫よ”と言われることってあると思うんです。でも私は、そんなことを言われたら、“もっと残酷な自分を見せてやろう”って思っちゃう」
――「それが汚したくなっちゃうよね」の歌詞に繋がるんですね。
 「“なってしまうよね”じゃなくて“なっちゃうよね”と少しほくそ笑む感じをすごく意識して書きました。かなり気に入っています」
――どういう状況で歌詞を考えるんですか?
 「本当に姫川になりきって書くんです。携帯の待ち受けも『ストロベリーナイト・サーガ』にして、作業台のところに原作本を置いて、とにかくずっと作品のことしか考えてなかった。曲を作るときは大体そんな感じなんです。曲のことしか考えられなくなって、周りから“やつれてるね”と言われるけど、寝れないから痩せるんです。そうやって自分を追い込んでいきます」
――ボロボロな状況に追いやって曲を作っていく。
 「そうやって苦しまなきゃ、作った甲斐がないんです」
――すごいですね。園子温監督の好きな言葉があって。制作発表で役者が「すごく楽しい現場でした」と言ってる映画はよくないと。「もうあの現場には行きたくないし、監督のことも撮影中は恨んでた」くらい苦しんで作った映画じゃないと感動はしない、みたいな。
 「園子温監督や中島哲也監督ってそういう感じですよね。やっぱりあの方々は怖いんですよ。私、他人から怖いと思われるのは勝利だなと思う。怖いってイコール尊敬やと思ってて。自分は敵わない、理解できないすごいものに“怖い”という感情が生まれる。だから自分も怖い人になりたいです」
――僕はロイ-RöE-さんの音楽にも怖さを感じますよ。
 「人見知りとか喋らなそうとか、めちゃくちゃ言われますけどね(笑)。スタッフの方からも“喋ったらいけない人なのかと思ってた”って言われましたし」
――(笑)。作品から怖さを感じるということは、確信を突いているからだと思うんですよね。
 「そうかもしれないです。音楽は無駄な言葉がいらないからいいですね。たとえば小説は読み終わるまで長いから伝わるのに時間がかかるけど、音楽は3分とか5分で伝えなきゃいけない。そこが好きで、だから私はこの道を選んだんです。何か作る仕事をしたいと思って生きてきて、イラストを描くのも好きだったので絵の仕事も興味があったけど、音楽でやっていこうと思いました。音楽ならミュージックビデオも作れるし、映像も自分の表現として作れるし。〈VIOLATION*〉のミュージックビデオもぜひ見てほしいです」
――より世界観を伝えられている作品になっているんですね。
 「今回はとくにそういう効果があると思います。衣装を作っていただいて、この曲の世界観がさらに表現できるようになったと思ったし、ミュージックビデオが出来上がって“またよくなった!”と思いました。ロサンゼルスで行なわれたダンス世界大会で二連覇を成し遂げた女性ダンス・チームFabulousSistersの一員で、13歳のTsukusiさんという方に出てもらったんですが、とにかくもう動きがすごくて! 指1本の動きまですごいんです。即興でいろいろ踊っていただいたんですけど。さらにこの曲がよくなった気がします。そういう嬉しい感情が詰まってるんです」
取材・文/真貝 聡
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