井上芳雄、デビュー20周年、スペシャルライヴを収めた豪華DVD + CD発売

井上芳雄   2022/02/19掲載
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 東京藝術大学在学中の2000年に『エリザベート』の皇太子ルドルフ役でデビュー以来、ミュージカルを中心にさまざまな舞台に出演。コンサートなど音楽活動への精力的な取り組みはもちろん、テレビや映画などでも活躍し、最近では司会業でも知られる井上芳雄。パーソナリティを務めるラジオ番組『井上芳雄 by MYSELF』(TBSラジオ)も好評で、放送が始まった2017年から番組をそのままステージに持ってくるスペシャルライヴを東京国際フォーラムにて開催。2020年にはその第3弾として、デビュー20周年を記念したアニヴァーサリー・ツアーを企画したが、コロナ禍で延期となる。そして1年後の2021年も、初日(4月24日)の千葉公演だけは開催できたものの、ふたたび緊急事態宣言によって残りの富山・大阪・福岡・東京の4都市7公演は中止となってしまった。
井上芳雄
 だが彼はあきらめなかった!本来はツアー最終日だった5月8日に国際フォーラム(ホールA)の会場をそのまま使用して無観客コンサートを開催。〈井上芳雄 by MYSELF SPECIAL “LIVE”20th Anniversary Festival! 〜裏切らない芳雄4時間フェス〜〉と題してライヴ配信を敢行したのだ。14時30分にスタートした生配信は、当初の東京公演に出演予定だったゲスト陣を迎えた多彩なプログラムやトークで盛り上がり、4時間の予定が大幅に伸びて5時間を超え、19時30分過ぎに幕を閉じた。公演はTwitterでも5万ツイート以上を記録して、「#裏切らない芳雄」はトレンド1位に。彼個人のみならず、演劇やミュージカルのファン全体を巻き込む大きな反響を呼んだ。
 そんな伝説の“裏切らない芳雄フェス”が今回、ふさわしいボリュームのDVD2枚+CD2枚(計4枚組)にスペシャルフォトブックを加えた豪華パッケージでついに発売される。その気になるその内容を紹介していこう。
 DISC1(DVD)は「“裏切らない芳雄フェス”@東京国際フォーラム ホールA 5/8/21」。こちらのディスクには2部構成で行なわれたコンサート本編が約140分に凝縮されて収録されている。
 第1部はデビュー20周年を振り返る意味で、これまでの出演作からここ10年の役どころを中心に次々と歌い継ぐ内容。『エリザベート』に出てくる黄泉の国の裁判官(※実際に舞台でこの役を演じた菅生隆之が声を担当)から「なぜ、お前はミュージカル界の“プリンス”と呼ばれているんだ?」と執拗に尋問を受け、それに応えるかたちで魅惑のミュージカル・ナンバーを披露していくという設定が楽しい。『モーツァルト!』の「奇跡の子」を皮切りに『ルドルフ ザ・ラスト・キス』の「わたしという人間」、『ダディ・ロング・レッグズ 〜足ながおじさんより〜』の「チャリティ」、『二都物語』の「この星空」と充実のラインナップが続くが、やはり黒いマントを身に纏い、2人のダンサー(※10周年コンサートにも出演した千田真司&五十嵐耕司)を従えて歌う“死”を擬人化したキャラクター、トート(※エリザベートを死へといざなう黄泉の帝王)のナンバー「最後のダンス」が圧巻。また、“妄想メドレー”として、出演していない『ロミオ&ジュリエット』と『ジャージー・ボーイズ』から名曲が歌われるのも聴きどころ。2017年以降、毎年のように挑戦している新作ミュージカルからは『グレート・ギャツビー』の「夜明けの約束」が、そして『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』のやさしいナンバー「ドリーム」にも心を掴まれる。
井上芳雄
井上芳雄
 第2部はTBSラジオ『井上芳雄 by MYSELF』の雰囲気そのままに、舞台上にラジオブースが設けられ、番組ディレクターの秋山瞬と音楽監督でピアノ演奏の大貫祐一郎も参加。ここからゲスト陣との華麗なるデュエットが繰り広げられる。
 最初のゲストは何度も共演している盟友・中川晃教で『モーツァルト!』屈指の名曲「僕こそ音楽」を一緒に。次に『井上芳雄 by MYSELF』のスペシャルライヴには欠かせないお馴染みの2人が登場。田代万里生は毎回男女のデュエットソングで女役を担当するのが恒例で、この日は『マリー・アントワネット』のマリー役に扮し、フェルゼン役の井上と「私たちは泣かない」をデュエットするのだが、このために特注で用意したという見事なロンググドレスも必見だ。一方『ライオンキング』のオリジナル・キャストで初代シンバ役の坂元健児は同作品から「ハクナ・マタタ」を歌うのが毎回のお約束。今回は中川と田代も加えた4人の豪華ヴァージョンで披露される。
 初登場の加藤和樹とは舞台では共演したことがない新鮮な顔合わせ。ロックものが得意という彼のリクエストで坂元と歌った『RENT』の「What You Own」をふたたびデュエットするのも面白い。そして同い年で仲の良いはいだしょうことは『エリザベート』から「夜のボート」と『塔の上のラプンツェル』の「輝く未来」を息もぴったりに歌い上げる。
 最後のゲストは正統派ミュージカル俳優の2人。海宝直人と歌った『ウィキッド』の深い友情ナンバー「あなたを忘れない」も感動的だが、島田歌穂とブロードウェイ往年の名作『アニーよ銃を取れ』から芝居仕立ての掛け合いの応酬「Anything you can do」が見事な日本語歌唱で披露されるのも必聴である。
 このほか、みんなで楽しく歌って踊る「ぼよよん行進曲」あり、井上のソロも3曲あり(※とくに『コーラスライン』の名曲「愛した日々に悔いない」がコロナ禍における演劇人すべての気持ちを代弁していて涙がこぼれる)と盛りだくさん。フィナーレは全員で『ルドルフ〜ザ・ラスト・キス〜』から「明日への階段」を歌って大団円を迎える。
 DISC2(DVD)は「井上芳雄by MYSELF SPECIAL “LIVE” 20th Anniversary Live Tour @森のホール 21 24/4/21 +“裏切らない芳雄フェス”トーク・セレクション」。こちらのディスクには、今回のデビュー20周年記念ツアーで唯一、有観客で開催が実現した「森のホール 21」千葉公演のハイライト映像を収録。ゲストは山崎育三郎を加えた3人組ユニット「StarS」のメンバーでもある、もうひとりのミュージカル界の“プリンス”浦井健治。井上は4月20日に同じ東京国際フォーラム ホールAで行なわれた〈浦井健治 20th Anniversary Concert 〜Piece〜〉の昼公演にゲストとして出演しており、何か因縁めいた“絆”を感じさせるのもこの2人の素敵なところだ。
井上芳雄
 くわえて本盤には、DISC1に入りきれなかった“裏切らない芳雄フェス”のトーク部分が約90分も収録されているのがファンには嬉しいところ。とくにゲストそれぞれが「愛してやまないもの」を写真で紹介するコーナーは見逃せない。
 DISC3(CD)とDISC4(CD)はさらにCDで“裏切らない芳雄フェス”を1部と2部に分けて収録。国際フォーラムでの模様をとらえたスペシャルフォトブック(DVDトールケースサイズ)もセットで、井上芳雄デビュー20周年を飾るにぴったりの“裏切らない”アイテムであるのは間違いない。
文/東端哲也
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