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intervieworange pekoeのギタリスト / 作曲家、藤本一馬が初のソロ・アルバム『SUN DANCE』を発表!

藤本一馬 / 2011/06/14掲載
orange pekoeのギタリスト / 作曲家、藤本一馬が初のソロ・アルバム『SUN DANCE』を発表!
orange pekoeのギタリスト / 作曲家、藤本一馬が初のソロ・アルバム『SUN DANCE』を発表!
 活動13年を迎えるorange pekoeのギタリスト / 作曲家、藤本一馬が初のソロ・アルバム『SUN DANCE』を発表した。ROVOなどで知られる岡部洋一のパーカッション、工藤精のダブル・ベースを加えたトリオ編成で奏でられるインストゥルメンタル8曲は、穏やかな祈りのような1曲目から、25分のトライアスロン的壮絶演奏のタイトル曲まで、すべてライヴ・セッション形式で録音されている。ギタリストとして己の限界まで弾きまくり、二人のプレイヤーとの対話を楽しんでいるのが、音からひしひしと伝わってくる。


――常に歌があるorange pekoeに対し、『SUN DANCE』は完全にギターが主役ですね。
 藤本一馬(以下同) 「ヴォーカルの音楽をずっとやってきて、6年くらい前からギターを弾きたいなと強く思いはじめて、09年のアルバム『CRYSTALISMO』が終わった後に、ギター作品を作ろうと決めたんです。ギターとベースとパーカッションだけ、オーバー・ダビングもなしにして、思いっきりギターを弾こうと。ちょっと前にトリオ編成でライヴをやったので、本当にその時の感じでレコーディングしたんです」
――タイトルの「SUN DANCE」はネイティヴ・アメリカンの成人の儀式のことですね。他にも「海への祈り」、「山の神様」など、自然を題材にした曲目が目立ちますが。
 「本で読んだインディアンの人達やアボリジニーの人達や日本のアイヌの人達など、いわゆるネイティヴ=先住民の人達の考え方に学ぶ事や感銘を受けることが多かったんです。僕自身、今の生活スタイルがけっしてイイとは思えない。周りを見渡しても、これがベストかと言えばそうは思えないし。かと言って、電気もガスもない生活に戻れるわけじゃない。どうやったらより良い生き方ができるのか。そう思った時に、ネイティヴの人達の考えや、目に見えないもの、人間の心の部分に惹かれて、それが曲の発想になっていたりする。レコーディングの時も二人に対しては“譜面を見て”と言うよりも、“ここはこんな感じの世界観で”と話す時間が長かった。それで二人とも、より一層イメージを膨らましてくれて」




――なるほど。言葉や譜面にならない何かが大事だった、と?
 「ええ。このアルバムを聴いた何人かから、震災以降に作ったのですかと言われました。まったくそんなことはなくて、曲は2年以上前に作ったんです。そう聞くと、自分がずっと疑問に思っていたりすることが今、新たに問われていたりするのかなと思います」
――ところで、震災の時はどうされていましたか?
 「葉山の家にいて、急に全部の電気が落ちたんです。津波が来るという噂ばかりが流れてきて、一日怯えてました。夜になって電気が復活して、母親から電話がかかってきて、状況を聞いて、テレビを点けると、ちょっと信じられないことが……。そして数日、何も手が付けられなかった。でも、僕がやれることは音楽だと思い直して、ナガシマ(トモコ)と二人で曲を作りました、たくさんの人が亡くなっていて、埋もれている。誰か一人でも慰めになってくれればと思い、二人で曲を作り、YouTubeにアップし、orange pekoeのホームページに掲載しました。聴いてくれた人が何か少しでも感じてくれたならという気持で、祈りの歌を作ったんです。震災後、たくさんの方が声を上げて何か活動を起こしている。それは本当に素晴らしいことだと思います。そんな中、僕自身は何か大きなことはできなくても、何が起ころうとも、僕はこの場所で音楽をやり続けている。そういう自分でいようと思いました」
――このアルバムはブラジル音楽やジャズを元にしているけれど、同時に、藤本さん自身が日本人としてのルーツを探しているんじゃないか、そんなことを感じました。
 「それはうれしいです。日本人であるということはこの作品を作ったことで、さらに強く意識することになりました。僕は日本人なのに日本の伝統音楽にはほとんど触れてこなかった。ブルースやアメリカのロックが好きだった父、ジャズが好きだった伯父に影響を受けて、僕自身はその後ブラジルの音楽が好きになり……。いろんなワールド・ミュージックを聴いてきたけど、日本の古来の音楽はほとんど聴いてこなかった。それが自分です。自分のルーツには嘘をつけないというけど、日本人として自分がどんな音楽を作れるのかなと考える時期なのかな。日本人であるということを模索しながら、自分の音楽、自分がこれからどうやって生きていくか、考えていきたいと思っています」


取材・文/サラーム海上(2011年5月)

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