【ザ・ビートルズ THE BEATLES】未発表音源満載! 『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』が登場

ザ・ビートルズ   2013/11/08掲載
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ザ・ビートルズ
“オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC
Vol.2”
 なにしろビートルズの公式未発表音源がひさびさにリリースされるのだ。ファンとしてはもちろん興奮しないわけがないのだが、それにしてもなぜこのタイミングで『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』は世に出ることになったのだろう。ここではまずその経緯を紐解きつつ、気になる作品の内容についても触れていきたい。
 イギリスの国営放送BBCラジオでかかったライヴ音源をもとに構成される“ライヴ・アット・ザ・BBC”シリーズは、1994年にその第1弾がリリースされている。ジョージ・マーティンとその息子のジャイルズ・マーティンの指揮によって制作されたこの『ライヴ・アット・ザ・BBC』は、ビートルズが最強のライヴ・バンドとして活躍していた1963年から1965年にかけての貴重な演奏を収めた音源として世界中に放たれ、当然のように大ヒットを記録した。
ザ・ビートルズ
“オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC”
 それから19年の月日を経てその第2弾がリリースされることになったのは、新たに質の高い音源が発掘されたことはもちろん、スタジオ技術の進化も大きな要因となっているようだ。じつはこの『Vol.2』のリリース企画自体はおよそ4年前から始まっていたらしいが、ビートルズ関連の作品を公式にリリースするとなれば、やはりそれなりの条件がでてくる。『vol.2』プロジェクト・マネージャーのガイ・ヘイデンいわく、ビートルズの作品をリリースできるのは「これまで存在していたものより良い音質の作品を出せる場合」、あるいは「新たな音源を出せる場合」に限定されているのだという。『Vol.2』はそのふたつの条件を満たしたことで、ようやくリリースされる運びとなったのだ。
 制作がロンドンのアビイ・ロード・スタジオで行なわれた理由については、わざわざここで説明する必要もないだろう。最近だと2009年のリマスター盤も記憶に新しいが、ビートルズの作品にかかわる作業は初期からこのスタジオで行なわれているのだ。作品をリリースするにはどれだけのクオリティが要求されるかを熟知したエンジニアらによって、まずは素材となるテープがデジタル化され、そこからノイズを検出して取り除き、パフォーマンスのみを取り出していく。そしてそのリマスタリングを聴き返しながら、作品に収録されるべき演奏と会話を選び、実際に放送されていたラジオ番組の雰囲気を再現するような曲順に構成していく。その一連の作業にスタッフとアビイ・ロードのエンジニアはおよそ8ヵ月間を費やした。
 では、そうした過程を経てついに完成した作品を見ていこう。1960年代、BBCラジオは世界各国の局に番組を供給していたため、音源のアーカイヴが英国内で放送されていたものだけでなく、海外向けの番組として放送されたものも存在する。その海外放送用の音源、いわゆる“トランスクリプション・ディスク”が、今回の『Vol.2』では重要な役割を果たしているようだ。
 全63トラックのうち、公式未発表音源は37トラック。そのなかでもやはり目玉となるのが、未発表曲となるふたつのカヴァーだろうか。ひとつはチャック・ベリーの「アイム・トーキング・アバウト・ユー」。そしてもうひとつが“アメリカ音楽の父”スティーヴン・フォスターが19世紀半ばに残したスタンダード・ナンバー「ビューティフル・ドリーマー」。もちろんおなじみの楽曲もBBCヴァージョンとしてたっぷりと収録されている。ドイツのハンブルクで演奏力を磨いてきた彼らが世界を変えるバンドへと成長を遂げていく。その当時の興奮を追体験できるという意味でも、やはりこのBBCセッションはたまらないのだ。
 ちなみにビートルズがBBCのラジオ番組に出演した回数はおよそ75回とされており、そのなかで彼らはのべ275曲分のパフォーマンスを行なってきたという。つまり、この『Vol.2』と新たにリマスタリングされた『Vol.1』に収録されているのは、これでもまだ一部にすぎないのだ。今回の収録が見送られた音源はかなりの数におよぶが、またテクノロジーが向上していけば、将来的にはそれらが我々のもとに届く日もくるのかもしれない。『オン・エア〜ライヴ・アット・ザ・BBC Vol.2』を聴くと、思わずそんな妄想まで掻き立てられてしまうのだ。
文 / 渡辺裕也
写真 (C)Apple Corps Ltd.
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