韓国インディ・ロック / ポップ・シーンの顔役、“チャン・ギハと顔たち”が日本デビュー!

チャン・ギハと顔たち   2010/11/16掲載
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 “チャン・ギハと顔たち”というユニークなバンド名を持つ彼らは、ジワリジワリと盛り上がりを見せつつあるソウルのインディ・ロック / ポップ・シーンを賑わす存在だ。メンバーは80年代に生まれた世代だが、その温かみのあるサウンドのインスピレーションの源となっているのがサヌリムなど70〜80年代に活躍した韓国ロック群。ある意味レア・グルーヴ的に自国のオールド・ロックに向き合いながら、それを現在のものとして聴かせるそのスタイルが話題を集め(ライヴ・パフォーマンス時の不思議な振り付けのインパクトも大きい)、韓国の音楽界では旋風を巻き起こしている模様。デビュー・アルバム『何事もなく暮らす』の日本盤リリースを前に初来日したチャン・ギハに話を訊いた。
――82年生まれということですが、子どもの頃はどういう音楽環境で育ったんですか?
チャン・ギハ(以下、同)「特別な音楽環境の中で育ったというわけではありません。周りの友達と同じようにテレビから流れてくる音楽を聴いたりしていました。特にテレビをたくさん観るタイプの子どもだったと思います。その当時の韓国のヒット曲を聴いたりもしましたし」
――音楽をやろうと強く思わせたミュージシャンは?
レッド・ホット・チリ・ペッパーズ『Blood Sugar Sex Magic』を聴いてミュージシャンに憧れました。それが大学3年生のときでした」
――そのバンドが02年に結成されたヌントゥゴコベイン?
「そういうことになるんですけど、もう少し詳しく説明すると、レッチリを聴いて最初にドラムを始めたんですよ。そのときは学校の友達と趣味のような形でやっていたんですけど、同じ学科にいた友達がヌントゥゴコベインを準備していたところで、ちょうどドラマーを探していたんですね。そのときに、ホンデ(弘大/弘益大学校の愛称)という芸術大学がある街でライヴがあるというんで参加することになったんです。ホンデの一帯にインディ・バンドがライヴを行なうようなライヴ・ハウスがたくさんあって、渋谷と同じような地名として使われているんですよ」
――ホンデはソウルの情報発信地ですよね。そういう場所から刺激を受けてきた?
「そうですね。ホンデの周辺というのはソウルの中でもすごくおもしろい街だと思います。ソウルには若い子たちが遊びにいく街がいくつもありますけど、ホンデは非常にアーティスティックな街だと思います。実際、お洒落なバーもあればライヴ・ハウスもあって、DJがプレイしているクラブもたくさんあります。なので、自分にとって慣れ親しんだ街だというイメージがありますね」
――“チャン・ギハと顔たち”というユニークなバンド名の由来は?
「外見を基準にメンバーを選んだので“顔たち”になった……と冗談を言っていたときもありましたが(笑)、ただ語感がよかったのでこのバンド名にしたんですよ。別に意味はありません」
――このバンドを結成するにあたって、チャンさんのなかではどんなバンドのイメージがあったんですか?
「特にありませんでした。最初のバンドにはドラムとして参加していて、メイン・ソングライターは別の人がやっていました。でも僕はその一方で、自分で曲を作っていて、それがどんどん増えていったんです。そうしているうちに、自分で作った曲を演奏して歌いたいという気持ちが強まってきて、このバンドを結成したんです」




――音を聴いてると、70〜80年代の韓国ロックの影響をすごく感じさせますが、それって82年生まれのチャンさんにとってはリアルタイムのものではなくて、もう少し上の世代の人たちが聴いていた音楽ですよね。


「幼いときはそういった70年代や80年代の韓国のロックに関心はなかったですし、存在も知りませんでした。でも、ヌントゥゴコベインの活動をはじめたとき、周りのメンバーがモデル・ケースとして考えていたバンドがサヌリムだったんです。それをきっかけに、サヌリムを中心に当時の韓国のロック・バンドをたくさん聴くようになって、どんどんハマっていったんです。そのほかにソンゴルメやシン・ジュンヒョン、ソン・チャンシクにも影響を受けましたね」
――もともとレッチリが好きだったチャンさんが韓国のロックに感じた魅力やおもしろさはどのあたりにあったんですか?
「レッチリを最初に聴いたときファンキーなドラマーになりたいと思ったんです。でも、ヌントゥゴコベインに合流したら、自分がやろうとしていたファンキーなサウンドとはちょっと違っていて。でも、自分がそれまで聴いたことがなかったような、おもしろい音楽をやっていたんですよね。サヌリムは西欧のロックを下敷きにしていたと思うんですけど、同じサイケデリックであっても、たとえばドアーズの影響を受けたであろう曲があったとして、決してその曲はドアーズそのまんまではないんですよね。どこか韓国的な要素があって、そういうところが歌詞やメロディ、コード進行にも染み出ていると思います。そのあたりの独特なニュアンスや雰囲気に、たぶん僕は惹かれたんでしょうね」
――Youtubeでライヴの映像を拝見すると、そのパフォーマンスに独特のユーモアを感じるんです。韓国の60〜70年代ロックをそのままやるのではなく、どこかそのモンドな魅力を抽出しているというか。
「音楽でもパフォーマンスでも、60〜70年代のロックをそのままやることはありません。僕らはただおもしろいライヴ・パフォーマンスをやりたいだけで、音楽を後押ししてくれるような“何らかの要素”がほしいんです」
――このバンドを通して、70年代〜80年代の韓国ロックの素晴らしさを広く伝えたいという思いがあるんですか?
「もちろんたくさんの人たちに聴いてほしいという思いは持っていますけど、自分たちが音楽をやる目的は少し違っています。やはり、僕たちだけにしか作れない音楽をたくさんの人達に知ってほしい。僕たちは自分たちの音楽を作るときに昔のものをリヴァイヴァルしようと思っているわけではないですし、自分たちがやってる音楽は間違いなく2000年代の音楽だと思っています」
――では、あなたが音楽を通して伝えたいこととは?
「真心ですね」
取材・文/大石 始(2010年8月)


【ライヴ情報】

<contrarede presents チャン・ギハと顔たち / ヒカシュー>

●日時:11月22日 (月)
●会場:渋谷 LUSH
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●出演:チャン・ギハと顔たち / ヒカシュー

<contrarede & WWW present ZAZEN BOYS / チャン・ギハと顔たち / トクマルシューゴ>
●日時:11月23日(火・祝)
●会場:渋谷 WWW
●時間:開場18:00 / 開演19:00
●出演:ZAZEN BOYS / チャン・ギハと顔たち / トクマルシューゴ
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