KKコンビ(久保田泰平+土屋恵介)presents <YG Family Concert in Japan>ライヴ・レポート

2012/02/03掲載
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 BIGBANG2NE1といったアーティストを擁する韓国の大手プロダクション、YG ENTERTAINMENT。その設立15周年を記念する<YG Family Concert>が先ごろ、ここ日本で行なわれました。日本公演は 2012年1月7日(土)、 8日(日)に京セラドーム大阪、1月21日(土)、22日(日)にさいたまスーパーアリーナで開催。日本と韓国をあわせ合計20万人を動員した、このビッグ・ショーの模様を、CDジャーナルでK-POPといえば、この人たち! 久保田泰平+土屋恵介によるライター・ユニット、KKコンビが「サケベー!」(by PSY)とばかり興奮気味に振り返ります。


久保田 「YGの所属アーティストが一堂に会した<YG Family Concert in Japan>が5年ぶりに日本で開催されました。というわけで、ここでは1月22日、さいたまスーパーアリーナで行なわれたショーの模様を振り返っていこうと思います」
土屋 「あらゆる意味で、すごいスケール感だったね。まずはセットがすごかった。知らない間に正面ステージに巨大な階段が出現したり、花道の途中に中規模のステージが作られていて、そこで円形ターンテーブルがリフトアップしたり、いろんな展開を見せられるようになってたり」
久保田 「映像も凝ってたよね。いちばん驚いたのはカメラワーク。フィルム・コンサートを観てるような感覚というか。単にリアルタイムのステージを映してるってだけじゃなくて、カメラ割とか、パンするタイミングとか、すごく凝っていて。それだけで映像作品として成立しちゃうぐらいのクオリティだったよね」
土屋 「あれは細かく計算されてるなと思った」
久保田 「編集なしでそのままパッケージとしてリリースできるレベル。すべての映像に意味があるんだよね。映像を単なる背景として使ってるんじゃなくて、それだけ観ても十分楽しめるものになってる。大バコっていうことを十分踏まえた演出だったよね」
土屋 「いわゆるVJ的な雰囲気重視の映像じゃなくて、ショーを効果的に盛り上げる手段として使ってるんだよね」
久保田 「肝心のショーの流れも見事だった」
BIGBANG
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2NE1
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土屋 「最初に勢いのある2NE1(トゥエニィワン)とBIGBANG(ビッグバン)が続けて出てきて一気に会場の雰囲気を盛り上げて」
久保田 「基本的には2NE1、BIGBANGを中心に回していくステージではあったんだけど、そこにSE7EN(セブン)や、YG設立初期から活動しているJINUSEAN(ジヌション)みたいな先輩アーティストが絶妙に絡んでくることでレーベルの歴史がさりげなく見えてくるっていう」
土屋 「Gummy(コミ)のような王道的なシンガーが入っているのもポイントだと思う。無理やり繋げると(笑)、Gummy は、2NE1のBOMの先輩みたいな人だったりするわけで、とにかく圧倒的な歌唱力のあるシンガーなんだよね。韓国内での評価も高いし」
久保田 「今回のショーは、BIGBANG、2NE1以降のファンにも、 ヒップホップと歌を主軸にするYGのレーベル・カラーが分かりやすく伝わる構成になっていたね」
土屋 「あと今回、改めて気づいたんだけど。YGファミリーは基本的に日本語が上手い」
久保田 「本当に流暢だよね。MCで言うことも、“アリガトウゴザイマス”“ウレシイデス”だけじゃなく、いちいち気が利いてるし」
土屋 「みんな相当、勉強してるんだと思う」
久保田 「“日本で人気が出たからショーケースをやりましょう”みたいな軽いノリじゃないんだよね。ちゃんとしたものを見せないと次はない”っていうレーベルの覚悟を感じるし、下手なもの見せたら韓国の音楽自体も信頼をなくすだろうっていう国をも背負ってた感じ」
土屋 「日本でコンサートをやることに向けての意識の高さを感じるよね」
久保田 「韓国音楽の威信をかけてる感じはある。だからこそ、あそこまで完成度の高いショーを見せられるんだろうね」
2NE1
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久保田 「じゃあ、出演アーティストそれぞれについて振り返っていきますか。まずは2NE1から」
土屋 「単独公演の時にも感じたんだけど、ライヴを盛り上げるということに関して、2NE1は本当に間違いないなって。YGファミリーの中では一番、キャリアが浅いグループなんだけど、会場の雰囲気を一気に持ってく力は凄い。昨年の単独ツアーでかなり力つけたんじゃないかな」
久保田 「韓国の女性グループの中で、4人って最少編成の部類に入ると思うんだけど、極めて少ない編成でアリーナをひとつにできるのは本当に実力がないとできないことだよ。今回も先頭打者ホームラン見せつけられた感じ。韓国音楽シーンにおけるリッキー・ヘンダーソン(※メジャー通算81本の先頭打者ホームラン記録を持つ)と呼びたい(笑)」
土屋 「メンバーそれぞれのカラーもハッキリしてるしね。カリスマ的なCLのパワーがあって、BOMの完全な歌と、MINZYの圧倒的なダンスと、場の雰囲気を盛り上げていくDARAっていう。YGの中では、お客さんといちばん距離感が近いアーティストだと思うし」
BIGBANG
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久保田 「次はBIGBANG行ってみますか」
土屋 「BIGBANGはある意味、今回が5人での復活ライヴになるわけで、彼らを“待ってた!”って感じが会場全体から物凄く伝わってきた。登場したときの歓声の大きさとか。でも、やっぱり5人揃うと絵になるね」
久保田 「格好いいよね。俺、改めてG-DRAGONになりたいと思った(笑)。T.O.Pでもいい。ダテ眼鏡買おうかと思ったもん(笑)」
土屋 「だははは」
久保田 「選曲でいえば、前半からかなり押してきたよね。キラー・チューンを惜しげもなく連発して」
土屋 「いきなり1曲目からギターぶっ壊してね。リッチ―・ブラックモアがアンコールでやることだよ」
久保田 「リッチー・ブラックモアはギタリストだから、さすがにアタマっから壊せない(笑)」
土屋 「まあ、そうだけど(笑)。でも、あの押せ押せ感は凄かったね」
久保田 「G-DRAGONも久々の日本でのライヴだということもあって、最初から汗ダクダクで明らかに気合入ってたよね」
土屋 「BIGBANGは、日本公演ということで、お馴染みの曲を違うアレンジで聴かせてくれたり。<HaruHaru -Japanese Version->のアコースティックなアレンジとか新鮮だったよね。BIGBANGの曲って、聴く人をひとつにまとめられるというか。ダンサブルな曲にも、しっかりメロディがあるじゃん。そこにT.O.Pの低音のラップが絡んできたり。一言でいえば守備範囲が広い」
久保田 「ラップをフィーチャーしたヴォーカル・グループは多いけど、BIGBANGは歌モノとヒップホップのバランスがほぼ五分で、楽曲中に占めるヒップホップ的要素が他の男性グループに比べて高いんだよね」
土屋 「ヒップホップと歌っていうYGのレーベル・カラ―を色濃く受け継いでるグループだよね。それでいて洒落てるっていう」
久保田 「圧倒的にスタイリッシュなんだよね」
土屋 「下手な奴がG-DRAGONの真似したって、単なる格好つけにしか見えないと思う。きちんと絵になるっていうのは、やっぱり天性のアーティスト性があってこそだと思うんだよね」
Gummy&小室哲哉
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久保田 「で、次はGummy」
土屋 「Gummy姉さんはさっき言ったように韓国を代表する女性シンガーなんだよね。それこそロックみたいな曲から、歌謡チックなこぶしを効かせるような歌まで幅広く歌いこなすことができる貴重な存在」
久保田 「今回は小室哲哉のピアノの演奏に乗せて、globeの<DEPARTURES>をカヴァーして会場を盛り上げてくれた」
土屋 「まさかのサプライズでTK登場!」
久保田 「本人もTKと共演できて感無量だったと思うけど、TKもグッときてたと思うんだよね。今、奥さんのKEIKOさんが闘病している中で、KEIKOイズムを感じさせてくれるような、あそこまで<DEPARTURES>をしっかり歌ってくれる人っていうのはなかなかいないからね」
土屋 「ピアノのすぐ横でGummyが歌ってたじゃない。あの感じも凄く良かったよね。TKの才能が見直されつつある風潮やKEIKOさんの闘病があって、全部含めた感動的なシーンが、YGのライヴの中で、Gummyという存在を通じて見れた気がする」
Gummy
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久保田 「Gummyといえば、電飾がたくさん付いた山車(だし)に乗りながら会場を移動しながら歌うっていう、あの演出も素晴らしかった」
土屋 「新しかったねえ。あそこまで派手なデコレーションを施した山車は初めて観た。あまりにも電飾の数が多くて、モッズのカスタム・スクーターかと思ったもん(笑)。山車のニュー・エラに突入した感があるよね」
久保田 「山車のニュー・エラ(笑)。でも、山車は大会場での演出に切っても切れないアイテムになってるから、今後、山車そのものに趣向を凝らすアーティストも増えてくるんじゃないかな。博多祇園山笠に倣って(笑)」
土屋 「そういう意味でも、Gummyの山車は新しかった。あれは細かいけれど重要なポイントだと思った。そしてGummy姉さんの次はSE7EN兄さんについて」
SE7EN
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久保田 「今回のイベントではSE7ENの格好よさを改めて痛感させられたね」
土屋 「エンタテイナーとしての完成度が尋常じゃなく高いなと」
久保田 「YGファミリーの中で一番スター度が高いかも」
土屋 「醸し出す雰囲気がスターなんだよね。今はグループものが全盛なんだけど、歌もダンスも一人で全部をこなせるって意味で、まさにコンプリート・ファイターなんだよね。エレクトロっぽい<BETTER TOGETHER>みたいな曲から、ポップな<SOMEBODY ELSE>みたいな曲まで、ヴァラエティ豊かな曲を歌いこなすことで、ヴォーカリストとしての幅広さも見せ付けて。デビュー曲(<ワジョ(Come Back To Me)>)を歌うときのローラーシューズでステージを滑る演出も良かった。BIGBANGのV.IがSE7ENのコスプレでステージで踊った後に本物がスーツでバシッと決めて花道をスーッと滑りながら現れるっていう」
久保田 「あれは今回のハイライトのひとつ。完璧だったよね」
土屋 「スターとしての輝きが違う。5年前にYGファミリー・コンサートが日本で開催された時はSE7ENが今のBIGBANGのポジションというか、イベントの中でのエースだったわけだし」
JINUSEAN
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久保田 「“セブンがエース”ってウルトラマン好きにはややこしい例えですが(笑)。でも、SE7ENはJINUSEANみたいなレーベルの古参アーティストと、下の世代とを繋げる重要な存在でもあるわけだからね」
土屋 「JINUSEANが今回のイベントに登場したことも凄く重要なことだよね。彼らは韓国のメジャーなヒップホップシーンのレジェンドみたいな存在で、JINUSEANなくして、今のYGはないわけだから」
久保田 「彼らがYGの骨格を作ってきたともいえるよね。輸入してきたヒップホップをいかにして韓国風に料理してきたかっていう。あくまでもYGのベースにはヒップホップがあるんだよね」
Tablo
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土屋 「そんなYGのヒップホップ・サイドに新たな彩を加えてくれそうなのが、Tablo(タブロ)。彼はヒップホップ・ユニット、Epik High(エピックハイ)の片割れで、いちばん最近、YGファミリーに入ったメンバー」
久保田 「Tabloはアルバムが良かっただけに、正直、言えばもっとライヴを観たかった」
土屋 「MCで“(YGの)切ない歌、担当です”って言ってたけど(笑)」
久保田 「それだけ聞くと、“泣き系”のシンガーみたいに思われそうだけど(笑)」
土屋 「本当はもっといろいろできるアーティストなんだよね。でも、今のタイミングでいちばん伝えるべき彼の持ち味を前面に押し出したのが今日のステージだったんだろうね」
久保田 「そして、話題のPSY(サイ)が登場」
土屋 「本人が登場する前にスクリーンの文字を使って会場を盛り上げていくっていう」
久保田 「“韓国では観客を熱狂させる歌手として有名ですが、なのですが(涙)、今日ここでは多少ぽっちゃりした初めましての人です(涙)”って(笑)。日本での捉えられ方をうまく活かした演出だったね」
土屋 「でも、1曲目の<RIGHT NOW>からガンガンに会場を盛り上げて。会場全体、“凄え!”って(笑)」
久保田 「PSYを待ってた人って非常に多かったと思う。グッズのボールペンも速攻でなくなってたし」
土屋 「まさかのソールド・アウト(笑)」
久保田 「PSYがやってることって、ヒップホップとユーモア・センスの融合というか、韓国のヒップホップで言えばDJ DOCとかがやってたスタイルだよね」
PSY
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土屋 「DJ DOCはDJ OZMAもカヴァーしてた」
久保田 「そう。だから日本の音楽ファンはDJ OZMAを通して、この世界観を実はすでに味わってるんだよね」
土屋 「でも、日本にはもう、ああいう感じのアーティストっていないよね。ぽっちゃりしたおじさんなのに、あんなに踊りまくって。しかもあの人、曲も全部自分で作ってるんだよね。それでいて歌えてラップもできるし」
久保田 「万能だよね」
土屋 「だからどんなにコミカルな演出で登場しても出オチにならない。しっかりした実力の裏付けがあるから」
久保田 「巻物に書いてあるカンペを読んでMCするってのも斬新だったね(笑)。“サケベー!”(笑)」
土屋 「カンペさえもエンタテイメントに繋げるっていう(笑)。芸が細かいよねえ」
久保田 「あとPSYの巨大な風船人形もインパクトあった」
土屋 「最初は服を着てたのに、暗転したらパンツ一枚になってて(笑)」
久保田 「PSYは素晴らしかったな。ある意味、今回のショウのMVPでしょう」
土屋 「アンコールでもレディー・ガガビヨンセのパロディをやって」
久保田 「レデ・ササとサヨンセね(笑)」
土屋 「飽くなきエンタテインメント精神(笑)。単独公演を観たいと思わせるステージだったよね」
久保田 「PSYのステージを観て、今の日本は、ぽっちゃりを上手く活かせてないと思った」
土屋 「そこは空席になってるよね。ある意味、大きなヒントが(笑)」




久保田 「アンコールで最後にYGファミリーがステージ上に集合したんだけど、全員が揃うと改めて本当にプロ集団っていう感じがしたな。可愛い子ちゃんとか、可愛い男の子的なキャラが見事にいないもんね」
土屋 「そうなんだよね。女性アーティストに限って言えば、“萌え”な感じがまったくない。とにかく格好いい。同性に憧れられる感じというか」
久保田 「2NE1のDARAとかルックスは可愛いのに、あえてアバンギャルドな髪型にしたり(笑)」
土屋 「媚びた感じがしない。一言でいえば硬派なレーベルなんだよ」
久保田 「そうそう。硬派」
土屋 「そういう人達がやるカラフルなエンタテインメントだから、またさらに面白いんだよ」
久保田 「他のプロダクションに比べて、タレントの数も少ないから少数精鋭ってイメージもある」
土屋 「今後の話で言えば、YGから女の子のグループがデビューするらしいから、そのプロジェクトがどういう感じになるのかも楽しみだよね」
久保田 「歌サイドになるのか、それともヒップホップ・サイドになるのか。BIGBANGの妹分が2NE1だから、今度は歌サイドのグループなのかな」
土屋 「もしかしたらPSYイズムを受け継いだコミカルなエンタテイメント・グループだったりして(笑)」
久保田 「ぽっちゃりしたメンバーが一人いるとか(笑)。それはそれで新しいけど(笑)」
土屋 「とにかく今回はYGというプロダクションのなんたるかが、全体を通して伝わってくるイベントだったね」
久保田 「できれば次は東京ドームで観たいな。YGだけに闘魂が込もったステージになると思う(笑)」
土屋 「これから3月のアルバム発表に向けてBIGBANGの活動が活発になっていったり、そういう意味でも、このイベントが年明けに行われたことで、YG勢の今後の活動にもより弾みがついたんじゃないかな」
対話:KKコンビ(久保田泰平+土屋恵介)
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