alan   2009/03/27掲載
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 3月に1stアルバム『Voice of EARTH』が発売されたalan。そんな彼女のヴォーカリストとしての奥深い魅力が詰まった新曲「久遠の河」が4月8日にリリース!

 この「久遠の河」は映画『レッドクリフ PartII −未来への最終決戦−』の主題歌にも起用。本作について話を訊いた。




「“平和、愛を歌っていきたい”、それが一番大事なことだから」


 幼少のころから伝統楽器、二胡を習得。中国最高のレベルを誇る中国人民解放軍藝術学院で声楽を学び、オペラ、クラシックの高度な知識を身につけながら、自らのルーツであるチベットの民族音楽(彼女の母親は、チベット民謡の歌い手だという)もしっかり根付いている。alanの持つ音楽の多様性は、3月にリリースされた1stフル・アルバム『Voice of EARTH』にもしっかり反映されている。
 「バラードが多いかもしれないけど、ワールド・ミュージックもあるし、すごくポップな曲もあって。作曲もやらせてもらったり(初回盤に収録された「Together」)、自分としてはとても満足していますね。“もっとこうしておけばよかった”ということも考えますが、デビューから1年半かけてやってきたことは出せたんじゃないかなって」

 ワールド・ワイドな広がりをたたえたサウンド・メイク、大陸的な叙情性をたっぷりと感じさせてくれるヴォーカル。その奥底に流れているのは“愛と平和”という普遍的なメッセージだ。
 「デビューする前、いまのスタッフ、ディレクターさんたちと一緒に“どんな曲をやっていけばいいか?”という話し合いをしたんです。そのとき私は“平和、愛を歌っていきたい”と言いました。なぜかというと、それが一番大事なことだから。そのメッセージは、これからもずっと伝えていきたいと思います」

 その切実な思いは、ニュー・シングル「久遠の河」にも繋がっている。映画『レッドクリフ PartII −未来への最終決戦−』の主題歌として制作されたこの曲は、タイトルどおり壮大なスケールを併せ持ったバラード・ナンバーに仕上がっている。
 「『PartI』に続いて、また主題歌を歌わせていただけることになって、とてもうれしいですね。この曲は前回(『レッドクリフ PartI』の主題歌「RED CLIFF 〜心・戦〜」)をさらに強く、深くしたような曲だと思います。テーマはやはり、愛、強い信念、それを貫く勇気。聴いてくれる人に、そのテーマがしっかり伝わるように歌いました」

 壮絶な戦いを繰り返しながら、現在に至る歴史を作り上げてきた“古(いにしえ)の人”に思いを寄せる――まさに永遠を感じさせるような時間の流れを描き出したこの曲は、彼女のヴォーカルの魅力を強く引きたたせている。映画の原作である『三国志』にも造詣が深い彼女は、歌詞の世界観についてもしっかりと理解、解釈しているようだ。
 「“古(いにしえ)の詩(うた)を語る/壁の跡に”という歌詞があるのですが、それはいまの私たちが、昔の人たちと話をするっていう感じなのかなって。昔の戦争はこういう感じ(と言いながら、弓を引くマネをする)だし、電話やメールではなくて“(伝書)鳩”ですけど、じつは受け継がれているものもあると思うんですよね」

 さらに彼女は“教えてください/なぜ命は争う”というフレーズについて、こんなふうに語る。
 「どうして人は戦争をするのか、自分でも考えたし、みなさんともいろいろ話をしました。そこにはやはり、家族に対する愛があると思うんですよね。もし戦いに行かなかったら、すぐにライバル(敵)が向かってくるかもしれない。自分の大切な家族を守ろうと思えば、戦うしかないっていう」


ジョン・ウー監督ともディスカッションを重ねた
レコーディング時のヴォーカルの表現方法




 また、レコーディングの際には、ジョン・ウー監督とヴォーカルの表現についてディスカッションを重ねたという。そのポイントは最後のフレーズ“たとえすべてが夢でも/遥かな道/生きてゆこう”だった。
 「私は最初、悲しく、寂しい感じで歌っていました。それはなぜかというと、映画のラストには登場人物が離れ離れになるシーンがあるから。でも、ジョン・ウー監督は“あのシーンは悲しくないんだよ”と言われました。またいつか会えるっていう気持ち、未来への希望もあるんだって。だから、少し明るい気持ちで歌ったんですよね。ジョン・ウーさんは音楽のこと、主題歌のことも全部ご自分でなさるし、すごい方です」

 カップリングには「久遠の河」の中国語ヴァージョン「赤壁 〜大江東去〜」を収録。こちらの歌詞は11世紀・宋代の大詩人、蘇軾の詩「赤壁賦」を再構築したもの。「赤壁賦」は広中国では広く知られている作品だが、この歌詞を歌いこなせるシンガーはやはり、alan以外に考えられない。彼女にしか表現できないという圧倒的なオリジナリティ、そして、地球規模と言っても過言ではないほどの普遍性。その二つをナチュラルに併せ持っていることが、おそらくは彼女のもっとも素晴らしい才能なのだろう。デビューから1年半。これまでのJ-POPシーンには存在しなかった個性を確立しつつあるalan。しかし、あまりにも豊かで奥深い音楽性に裏付けられた彼女のアーティストシップは、すでに新しいフィールドに向かって進みはじめている。
 「アルバムを聴いてくれた人から“アップ・テンポの曲を歌ってほしい”という感想をもらっていて。確かにいままでの曲はバラードが多いし、中国にいるときはクラシック・ミュージックの勉強をしていたので、テンポの速い曲はほとんど経験がないんですよね。でも、私自身もいろんな曲を歌っていきたいので、もっと幅を広げていきたいと思います。いまは勉強のためにJ-POPを聴いてることが多いですね」

 さらに「オリジナルの曲も書いていきたいし、できればダンスも見せていきたい」と言葉を続けるalan。最後に“中国人民解放軍で音楽を学び、日本のエンタテインメント・シーンで活動するという自らの人生について、どんなふうに感じているか”と聞いてみると――。
 「いま、こうやってアーティストとして活動しているのは、偶然の力も大きいと思うんです。自分が一所懸命に勉強してきた、という理由もあるけど、軍人の学校で音楽を学べたことも、エイベックスのオーディションを受けることができたのも、とてもラッキーなこと。『レッドクリフ』の主題歌を歌わせてもらったことも、そうですよね。でも、そういう大きなチャンスがある一方で、これからは大きな困難も待ってると思っていて。しっかり心の準備をして、壁を乗り越えていきたいですね」



取材・文/森 朋之(2008年3月)



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