名古屋発ニュー・エキサイト・オンナバンド、CHAIを直撃

CHAI   2015/12/18掲載
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11月には「Ki/oon Music」主催のライヴ・イベント〈/ SLASH /〉に出演、自分たちをほとんど知らないオーディエンスを前に、怒涛のライヴ・パフォーマンスを披露したのが、名古屋を拠点に活動するニュー(New)・エキサイト(Excite)・オンナバンド(Onnaband) -[NEO]、CHAI(チャイ)。ライヴ会場限定販売のパッケージ版&音楽配信サイト“OTOTOY”で発売中の最新EP『ほったらかシリーズ』を手に、一発屋ではなく、“無敵の世界3位”を目指すべく怒涛のスケジュールでライヴを行なってきた彼女たちに話を訊いた。
――〈/ SLASH /〉はいかがでした?
マナ(vo, key) 「会場がめっちゃ大きかった!」
カナ(vo, g) 「人がいっぱい」
ユナ(ds, cho) 「大きかった」
――初めて観る方が多かったと思うんですが。
カナ 「全員じゃない?」
マナ 「ほぼ全員だよね」
――Twitterでも反響がありましたね。
ユウキ(b, cho) 「意外と?」
マナ 「ねえ? 意外とありました」
カナ 「ブーイングが来ると思ってた」
マナ 「そうそう、なんか投げられると思ってた」
――そうなんですか?(笑)
マナ 「“お前らなんだよ”みたいな感じで、なんか投げられると思ったよねえ(笑)。“サビはどこだよ”って」
ユウキ 「“わかんねーよ”(笑)」
カナ 「“わかんねえ”ってね(笑)。意外とそんなことは無かったね(笑)」
© Photo by New Excite Oyaming
――まず、メンバーの皆さんの出会いはどんな感じだったんでしょうか。
マナ 「ここ(マナ・カナ・ユナ)が高校の軽音楽部で一緒で、ユウキは大学で。ナンパしました。かわいくて」
ユウキ 「絶対ウソ」
マナ 「や、ホントだって! ホント! 信じてよって感じ。ユナはもう専門学校行っとって、そんとき」
ユナ 「はい。音楽を専門的に学んでて。声をかけてもらって、再び(笑)」
マナ 「バンドやりたかったんです、ずっと。ドラムは絶対信用出来るからユナがよくて、ユウキとは音楽の趣味が合ったんですよ。今まで誰とも合わなくて、初めて」
――皆さん音楽の趣味は共通してる?
マナ 「いっしょですね」
カナ 「うん、だいたいいっしょ」
――今、名前を何か挙げるとしたら。
マナ 「Basement Jaxx(笑)」
――バンドじゃないんだ(笑)。
マナ 「んーバンドだとJamiroquaiとかー」
ユナ 「うん、Jamiroquai!」
ユウキ 「N.E.R.D
カナ 「Gorillaz
マナ 「Gorillaz大好き! Bruno Marsとか」
ユウキ 「でも私、(バンドを)やったことなかったんですけど」
マナ 「そう、初心者だったんですよ。なんにもやったことなくて」
――初めてのバンドなんですね。
ユウキ 「マナが“バンドやりたい”ってすごい熱く言ってたので、応援してたんですけど……」
――最初は他人事だった(笑)。
マナ 「めっちゃ他人事だったんですよー」
ユウキ 「そう! そしたら“ユウキもやる?”みたいな、軽く(笑)。“やるー”って、こうなりました」
――じゃあそこからベースを始めて。
ユウキ 「そうです。初めて持ちましたベース。重かったです(笑)」
カナ 「重かったねえ(笑)」
――活動が本格的にスタートしたのはいつぐらいでしょう。
ユウキ 「2012年の終わりとか? 3年ぐらいだよね」
マナ 「コピーは、やってないです。最初からオリジナルでした」
――ユウキさんはいきなりオリジナルを(笑)。
ユウキ 「そう! だからなにも分からず、なんとなく(笑)」
マナ 「曲作りは全部、メンバーみんなで一緒にやってます。でも、歌詞はユウキだったり、曲は私だったり、アレンジはカナとユナだったり、細かく詰めるところは、なんとなく分担してますね」
――今年リリースされたEP『ほったらかシリーズ』はOTOTOYから配信もされてますし、ある意味広く名刺代わりの作品となったと思うんですけど。制作の上で、これまでと違った点はありましたか?
マナ 「前より、リズムから考えたりすることが増えました。メロディじゃなくて」
ユナ 「ノリを重視?」
――グルーヴというか。
マナ 「まずはベースライン!とか。そこにいっちゃったね、いかんのだけど多分」
ユウキ 「いかん?」
マナ 「いや分かんないけど」
カナ 「いかんことない」
マナ 「そうかそうか(笑)」
※註: 名古屋では、「いかん」は「あまりよくない」という意味で日常的に使用されているとのこと。
――言葉の乗せ方とかもリズムが中心になってる感じがします。メンバーの密な関係性が反映されてるというか。普段の会話とか、やり取りの中で盛り上がったもの、生まれたものを膨らませていってるような。
マナ 「うんうん」
――それぞれのパートではどうです?
ユウキ 「私は音楽をいっぱい聴くようになりました。リズムとか、かっこいいものをいっぱいしたいと思って。反映されてるかは分かんないですけど(笑)。聴くようにはしてます」
――音楽的な引き出しは増えてきたかなあとか。
ユウキ 「ゼロから1ぐらいにはなりました(笑)」
一同 「もっともっと!」
カナ 「7ぐらいはあるよ!」
ユウキ 「7ぐらいだそうです(笑)」
――カナさんは?
カナ 「私はなんだろー? 昔からファンクは好きだから。なにかといったらギターを代えたことぐらい(笑)。テレキャスに飽きたから、今はセミアコを使っていて。もっとオヤジ臭くなろうと思ったぐらいですかね。前はもっとロック寄りだった気がするんです。EPのときはまだテレキャスなんですよ。だから今聴くとすごい嫌なんです」
――セミアコはしっくりきてる?
カナ 「んー……まだこないんですけど(笑)。それは多分弾き方とか、私が下手なだけなんですけど(笑)。私はいつも満足してないんです。EPについては、特にこれまでと変わったことはないですね。あんまり考えないから。もうちょっと考えた方がいいのかな?」
ユナ 「えーっ、いいんじゃない?」
ユウキ 「なに考えたらいいか分かんないもん」
カナ 「そうだよね、適当ですね」
――いいと思います(笑)。直感で曲に必要なもの、“あり”か“なし”かが分かるということだと思いますし。
カナ 「ありがとうございます」
ユウキ 「やったね」
カナ 「よっしゃ(笑)」
――ユナさんは?
ユナ 「今回のEPはいろんなジャンル、要素が含まれてると思うんですね。なので、曲毎にチューニングとか注意したり。あと今回初めてシンバルで使い分けを試してみたりしました。ジャジーな曲では、ちょっとダークなものを使ってみたり。〈二重センター〉とか“うおりゃー!”って曲は、最近の超ロックな音みたいなシンバルとか」
マナ 「そうなんだ(笑)」
カナ 「さりげなくやってたよねえ」
――かなり試行錯誤は重ねてらしたんですね。
ユナ 「はい、そうですね。多分、今出来る最大限のことは出来たかなと思いました」
――最後にマナさん。
マナ 「キーボードは弾きたくなくなりました(笑)」
――どうして?(笑)
マナ 「みんながかっこよすぎて。ついていけない」
ユナ 「えーっ? どういうこと?」
マナ 「例えばベースとか、自分の求めるものが他の楽器にありすぎて“こういう風にやって欲しい”とか、要望はめっちゃあるんだ。でも、その中で自分がどうしたらいいのか、なに弾いたらいいか分かんないんですよ」
――現段階で理想形の音楽はどんな?
マナ 「Basement Jaxx(笑)」
――ですか(笑)。
カナ 「いろいろやりたいよね」
ユナ 「ノリノリ!」
ユウキ 「ファンキー。いろいろ混ぜたい」
――CHAIとしてはなにかに凝り固まっているような部分が無いですよね。
マナ 「新しいのがいい、まとめたくないんですよね」
ユウキ 「絞れないよね」
カナ 「やりたい音楽はいっぱいある。やってて飽きるってやだよねー」
――楽しそうですよ、音源を聴いていても“バンドやりたかった”っていうのはすごく伝わってきます(笑)。
マナ 「あっはっは(笑)」
ユウキ 「まさに」
ユナ 「出ちゃってる」
――ちなみに、今回のEPの前にシングルも出されてるんですよね?
マナ 「そうです、でも売り切ったんで終わりです。EPとは方向性も全然違うので、もう忘れたい(笑)」
カナ 「もういいよね、コードも忘れた(笑)」
ユウキ 「忘れちゃったー(笑)」
――どんな感じだったんですか?
マナ 「なんかまだ“女の子”だった。かわいらしく作っとるつもりはなかったんですけど、あとから聴くと“うわ、女だなー”っていう感じ。なんだろね?」
ユウキ 「そうね、そん時はそんなつもりなかったもんね」
マナ 「Miss Liに寄せたかったところは、あった。彼女はすごいハスキーで、楽曲は基本、ンッター、ンッター、ンッターみたいな感じが多いんですけど、とにかく、かわいくてかっこよくて。……今でも好きなんですけど、音は“男”がいいんですよ。なんかガッツリした感じ。丸くしたくなくて、音を」
――ベースが前に出てくるような。
マナ 「ベースは絶対前がいい」
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© Photo by New Excite Oyaming
――主催イベント〈パペピプペッポ 〜どんと濃い、超常現象〜〉では、▲s(ピラミッドス)、銀幕一楼とTIMECAFEを迎えます。
マナ 「(2バンドを)観て、CHAIは変わりました」
ユウキ 「衝撃的でした」
マナ 「とことん“やってる”。中途半端じゃない。やりきってる、振り切ってる、楽しんでる……」
カナ 「どちらもすごいやりきってて。自分たちを振り返ってみて、これはいかんと思って。もっとやっていいんだって、個性をもっと出していいんだっていうのを、観てすっごく感じました」
――今までの自分たちには無かった?
カナ 「無かったですね」
マナ 「ホントに大好きなんです。いちファン。ストライクゾーンに入りました」
ユナ 「ただのファンだね」
――そこで実際に変えていったのはどんなところだったんですか?
マナ 「まず衣装」
ユウキ 「次の日に買いに行きました」
マナ 「もう、嫌で。“こんな私たち、恥ずかしい”とか思って。すぐ買いに行った。アーティストであることを感じたというか……」
ユナ 「そうだね」
――楽しませるということとか。
マナ 「そこも凄いんですよ、ホントに凄い。音楽で笑うってこんなに面白いんだ、“笑うんだ”って。笑わんと楽しくないと思って。クスッてなる瞬間がめっちゃ必要で、それを女でやったらすげーなって。そこからだいぶ変わりました。クサいことが笑えたりとか、ノリだけじゃないんだなって。(2バンドは)サイコーです」
――それからライヴでの反応は変わりましたか?
カナ 「変わったよね」
マナ 「変わったね」
ユナ 「“遊園地みたい”とかね、言われるようになったよね」
ユウキ 「“ディズニーランドみたい”とか」
マナ 「振り付けは前からやってたんですけど、“足らんな”と。もっともっとやんないと。前のファンはいなくなりました。全員きれいに」
ユナ 「ホントだね、ころっと変わった」
マナ 「ころっと変わりすぎちゃって、私たちが」
――新しいCHAIを観て、新しいお客さんが集まってきて。バンドの状況は良くなってきているということでしょうか。
ユウキ 「良くなってるかな」
カナ 「なってはきてるだろうね。前よりはね」
マナ 「やりたいことをやってます。めちゃくちゃ」
ユナ 「すごく楽しいから」
取材・文 / 星 隆行(2015年12月)
1st EP『ほったらかシリーズ』リリースツアー
CHAIのチャイコフスキップツアー 〜Меня зовут「ぴ」〜

パペピプペッポ〜どんと濃い、超常現象〜
chai-band.com/
2015年12月19日(土)
愛知 名古屋 新栄SiX-DOG
開場 18:00 / 開演 19:00
前売 3,000円 / 当日 3,500円(drink代別途)
※学割 前売 2,500円 / 3,000円(drink代別途)
※チケット販売アプリ「Peatix」 ptix.co/1l45dFx


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