自分で考えてやらないとしっくりこないんです――クルミクロニクルが語る17歳の想い

クルミクロニクル   2014/08/13掲載
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 関西在住の現役女子高校生シンガー、クルミクロニクルが『17』『Touch Me』という2枚のシングルを同時にリリースした。昨年春の活動開始当初から、極めて完成度の高いEDM / テクノ・ポップ・サウンドが評判となっていた彼女。今回のシングルも、彼女の等身大の姿を投影した『17』、ハードでフロア寄りの『Touch Me』、ともにファットなトラックと眩い美メロが際立つ傑作に仕上がっている。一方、本人のあどけないたたずまいやマイペースなライヴも魅力で、エッジの効いた楽曲とのギャップが多くの支持者を集める要因ともなっている。今年はTOKYO IDOL FESTIVAL(TIF)にも出演した彼女だが、現在大学受験を控え、活動をセーブしているとのこと。学業と歌手活動の両立や活動上のスタンスなど、悩みの尽きない17歳の彼女に、TIF出演前日の8月1日に話を聞いた。
『17』『Touch Me』
『17』 / 『Touch Me』
――クルミさんには去年の10月にもインタビューさせて頂きましたけど、あの頃は、ひたすら自分に自信がないって言ってましたよね。
「変わらないです、今も自信がないままなんです」
――でも、結果を残してるじゃないですか。今年4月のWOMBワンマンも満杯で。
 「満杯だったんですかね……。あれは関係者の方が多かったからかなと思ったんですけど」
――いや、それはないんじゃ……(笑)。
スタッフ 「それはないです(笑)」
 「WOMBさんでのライヴはレーザーとか映像がすごく迫力があったじゃないですか。だから、私のパフォーマンスは全然ダメだったけど、演出に助けられたんだと思います。自信、持てないですね」
――とにかく曲がいいから、曲を聴いてほしいって言ってましたよね。
 「実際、楽曲に対する評価が高いじゃないですか。楽曲派っていう言葉をよく聴くんですけど、私もその部類なのかなって。だから、なるべく曲の邪魔をしないように、変な個性を出さないように歌ってます」
――クルミさんって、“私を応援して!”とか、“私を見て!”みたいな自己顕示欲が本当にないですよね。
 「曲は売れてほしいんですけど、私を見てほしいとは思わないですね。もともと私がやりたかったことは、曲は出すけど顔は出さないっていうことで……」
――それってクルミさんの好きなさよならポニーテールじゃないですか(笑)。
 「そうなんですよ(笑)。そもそも私、ライヴよりレコーディングのほうが好きで。レコーディングってデモだけだと聴きとれなかった音が分かって楽しいんです。今、ここでこの楽器使ってたんだ、とか。それはやっぱり、USAGI DISCOさんの曲が本当にいいからで。そもそも私、EDMって知らな かったし好きじゃなかったんですよ。そんな私でもいいと思うくらいだから、よっぽど曲がいいんだと思うんです」
――パフォーマーである自分じゃなくて、あくまでも楽曲が主役っていう意識なんですよね。アイドルには少ないタイプですよね。
 「だって、実際、ライヴには来ないけどCDは通販やショップで買ったっていう人もいるわけじゃないですか。それで聴いて良かったっていう人は、あまりライヴを見に来ないでもいいと思っていて……」
――え!?
 「曲から入っていいと思ったなら、そのイメージのままでいてほしいんです。ライヴに来るとイメージが壊れちゃうかもしれないじゃないですか。だから、私のキャラが無駄に邪魔をして、イメージを崩さないようにしたいです。曲を聴いてもらえればそれでいいので」
――前に、曲が良かったら自分の声が入ってなくてもいいって言ってたじゃないですか。
 「はい」
――実際、ダンス・ミュージック色の濃いシングル『Touch Me』は声が素材のひとつになってますよね。表題曲はほとんど声が入ってなくてさすがにびっくりしましたけど(笑)。
 「私もびっくりしました(笑)。『Touch Me』は普通のアイドル・ユニットだったら歌えない曲ばかりだと思いますね。絶対ライヴで盛り下げちゃうというか。私もライヴでやっていて時々冷たい視線を感じます(笑)。『Touch Me』の曲はWOMBさんとかクラブでかかってほしいですね」
――一方で、『17』はクルミさんの等身大の姿が反映されていますが、歌詞も今の自分を重ねやすそうですよね?
 「そうですね。例えば、〈Seventeen〉の“未来なんて難しい / わからないから / もうちょっと悩んでいたいの”っていう歌詞とか、よく分かるなって。共感できるこのフレーズが散りばめられていて、USAGIさん乙女だなって思いました。USAGIさんとはそんなに話すこともないんですけど、 歌詞で私の心境に寄り添ってきてくれて、“なんで分かるんだろう?”ってびっくりします」
――音的にこの曲が好きっていうのはありますか?
 「ラップが入っているので〈CANDY TRIP〉が好きです。さよポニさんの曲にもラップが入っているし、前からずっとラップがやりたかったんです。それを知ってUSAGIさんがラップを入れてくれたので思いやりを感じましたね。あと、〈Rainbow〉も好きです。“突然の雨 / 奏でるミュージック”の“の”の部分はキーが急に高くなって歌いにくいんですけど、そこが逆に気に入ってます」
――ところで、今年はTOKYO IDOL FESTIVALに出演されますが、話がきた時はどう思いましたか?
 「もともと出たかったのもあるんですけど、去年、大森靖子さんが出るって聞いた時に、私も出たいって強く思ったんですよ。大森さんが好きだから、大森さんが立つステージに私も立ちたいなって」
――アイドルフェスということで言うと、クルミさんは自分が'アイドル'に括られることにはどう思ってますか?
 「うーん……。今って男性のファンの方が多いんですけど、アーティストさんに近づくためには女性のファンを増やさないとダメだって思います。男性のファンが多いのは嬉しいんですけど、それだとどうしてもアイドルっぽいなって思っちゃうので」
――あ、もっとアーティストに近づきたいと思ってるんですね。
 「はい。そうすれば、共演するアーティストさんも変わってくるじゃないですか。私、バンドさんも好きなんで」
――パスピエとか相対性理論とかback numberとか好きなんですよね。
 「はい。あと、チャットモンチーさんとかSHISHAMOさんとかindigo la Endさんとかミドリカワ書房さんとか空想委員会さんとか。いっぱいいますね」
――そういう、自分の好きな人たちと近いフィールドで活動したいと?
 「そうですね。そのためにはアーティストっぽいことをしなきゃいけないのかなって。どうしたらいいんですかね? どうしたら女性の方が来てくれますかね?」
――でも、モデルの日笠麗奈さんとかクルミさんのこと応援してるじゃないですか。クルミさんについて、この子を支えたい守りたいと思わせる不思議な魅力がある、ってブログに書かれていて、その通りだと思いましたよ。
 「え、そんなこと書いてくれていたんですね! いざお会いすると全然しゃべれなくって、そういう話はできないんですよ」
――緊張しちゃうんですか?
 「私、感情を表に出すのが苦手なんですよ。例えば誕生日を祝ってもらったらすごく嬉しいんですけど、その喜びをどう表現していいか分からなくて。 ライヴでも日常でもそう。友達によくリアクション薄いねって言われるんです。テンションの上げ下げがなくって、ずっとフラットなんですよ。街中で好きなモデルさんに会っても、“あ、いる、すごい”って言うだけで終わっちゃう。冷めてるっていうか」
――でも、ライヴでは結構感極まって泣いちゃいますよね?
 「感情を表現し切れなくなるとそうなるんです。本当は表現したいんですけど、どうしたらいいんですかね? リアクション薄いのも悩みなんですけど……」
――うーん……。
 「素って出していいんですかね? ライヴの時とか、嘘ついてるわけじゃないんですけど、ちょっと無理してる自分がいて。オーヴァーにアクションしてるとかじゃなくて、人前に立つからには何かしないとなって思って」
――それで、ライヴの時に今話題の'ジャンピング横移動'が出たわけですか。
 「あれは、ひとりだとステージががらんとしちゃうから何かしないとと思って、とりあえず動こうと思ったんですよ。何か盛り上げ方を変えなきゃって。最初は歩きながらやってたんですけど、跳んだほうがいいのなって思ってやりました」
――でも、パンチありましたよ。
 「他の皆さんもやってると思ったんですよ」
――やってないですよ(笑)。
 「私だけ?と思って。(ジャンピング横移動の)Tシャツまでできたし……」
――間があると持て余しちゃうんですね。
 「そうなんです。だから、与えられたMCの時間も何を話していいか分からなくて。家にいても学校にいても基本あまりしゃべらないし、どちらかといえば人の話を聞く側なんですよ。だから、自分がしゃべる側になると何を言っていいのか分からなくて」
――今、すごいしゃべってくれてますよ。
 「あ、ほんとですか。でもライヴだと……。どうしたらいいんですかね?」
――スタッフの方に相談したりしないんですか?
 「しないですね」
――しましょうよ、僕に相談されても(笑)。
 「自分で考えたいんですよ! 自分で考えてやらないとしっくりこないんです。それまでに時間がかかるんですけど、しょうがない。音楽を好きになる時もそうなんです。人から薦められて好きになったことってなくて、自分から好きにならないとダメなんです」
――主体性が強いんですね。自分のことは自分で決めたい。
 「決めたいですね。これを着てこういうこと言って、って言われるのは嫌ですね。だから、自分で決めてます」
――ちなみに受験が終わるまで活動をセーブされるそうですけど、学業との両立は大変じゃないですか?
 「はい。勉強したいという時もあれば、休んでいられないって思う時もあって、その気持ちが交互にくるんです。それに、受験に集中するために空白ができてしまったら、忘れられちゃうんじゃないかって。だって、次々に新しい人が出てくるし、追いつこうと思っていた人たちにも差をつけられちゃうじゃない ですか。それですごく焦っているんです。どうしたらいいんでしょうかね……?」
――待っていてくれる人はいると思いますよ。そういう人に何かメッセージはありますか?
 「私のことを応援していてよかったって思えるように頑張りたいです。新作が出るたびにおめでとうって言ってくれる人に、恩返ししたいというのもありますし。あと、受験が終わったらギターをやってみたくて。いつかギターの弾き語りをやってみたいです。音楽的にもEDMじゃなくて、普通の……っていったらおかしいですけど、さよポニさんみたいなポップスも歌ってみたいですね」
取材・文 / 土佐有明(2014年8月)
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クルミクロニクル
リリースパーティ “Seventeen Memories”
curumichronicle.tumblr.com

2014年8月16日(土)
東京 渋谷 WOMB
〒150-0044 東京都渋谷区円山町2-16 1F / 03-5459-0039
出演: クルミクロニクル / 南波 志帆 / AZUMA HITOMI
開場 15:30 / 開演 16:00
前売 3,500円 / 当日 4,000円 (税込 / 別途ドリンク代)


※お問い合わせ: PAV RECORDS
ticket@pav-studio.com


主催 / 制作: PAV RECORDS


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