来日目前! デジタル・クンビアのゴッド・ファザー、ディック・エル・デマシアードを直撃!

ディック・エル・デマシアド   2014/07/15掲載
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DICK EL DEMASIADO
“Celulitis Popular”
 オランダ人でありながら、コロンビア発祥のトロピカル音楽クンビアに魅せられ、電子音と融合させたディック・エル・デマシアード(DICK EL DEMASIADO)。デジタル・クンビアのゴッド・ファザーと謳われる彼の音楽の深層には、彼が幼少時から父の仕事の都合で世界の国々を渡ってきた体験や、アナーキーな思想が交差する。つまり、エキゾチック風味とは一線を画す、本気な出汁の味がする音を奏でているのだ。鋭利さと神々しさを放つ彼の新作、『セルリティス・ポプラール』(2012年にオランダのレーベルから200枚限定アナログ発売されたアルバムのCD化)や、8月の来日公演について、メールでインタビューした。
――アーティスト名にデマシアード(スペイン語で“過度の、過剰の”という意味)を付けたのはなぜですか?
 「私は、ラウラ・ラ・リンダ(美しいラウラ)、トーマス・トント(間抜けなトーマス)、もしくはシモン・サビオ(物知りシモン)みたいな、韻を踏んで歌ってるように聞こえる言葉が好きなんだよ。だから、ディックに続くような言葉を探していて、デマシアード(過剰なディック)を選んだ。この名前はとても都合がいい。私に出演依頼する人たちは、過度に演奏時間をかけることや、過度に約束の時間から遅れることや、過度に執拗なことについて、一切文句を言ったらダメだ。だって私はデマシアード(過剰)だって、最初から伝えてるわけだから!」
――あなたはパンクやアナーキー思想に関連した映像作家、造形美術家として1970年代から活動しています。インターネット社会を茶化すインスタレーションや、南米の先住民を捉えた映像作品は、新自由主義やグローバリズムへの反対を表明しているように見えました。あなたの音楽にも、そんな要素はありますか?
 「私の表現活動のすべてには、そのエッセンスがある。ただ、反対というよりも、理不尽な法律や独占に対する否定の姿勢といったほうがいいだろう。私はこの世にはびこる不公平を見るのが辛い。だから資本主義的なものに加担するのを避け、不可能へ立ち向かうことに挑戦している。それは私に充足感を与えるものでもあるんだ」
――そんなあなたとクンビアの出会いはどんなものだったのですか?
 「1960年代、私の一家はアルゼンチンのブエノスアイレスに住んでいた。当時現地の人々の多くはヨーロッパかぶれで、クンビアを田舎くさいと敬遠していたが、私は8歳のときから、その良さに気づいていた。それから30年後、私の原体験であるクンビアを革新的に追求する決意をした」
――ふだん家ではどんな音楽を聴きますか?
 「ここ10年くらい、ほとんど音楽を聴いていない。ただ、通りや、バス、宗教行列などで音を聞く。いわば、私は誰かが奏でた生活の音楽を追うマイクのような存在なんだ。8歳のころからイラク、ナイジェリア、テキサス、メキシコ、グアテマラ、エジプト、オランダ、そしてフランスの音楽をいっぺんに聴いてきた。10歳には、ナイジェリアのカリプソを歌ってたくらいだ。その後にジミ・ヘンドリックス、ダブまで追求した。今は時々イランかシリアの音楽を探すことがあるけど、私にとっての音楽とは、子どものときから濃縮されたもの。私のタンスの中身はいっぱいで、演奏するのにその引き出しから引っ張りだしてる状態だ。外からわざわざ吸収するものを探すのではなくね」
――最新作のタイトルを『セルリティス・ポプラール(スペイン語で『大衆のセルライト』の意味)』としたのはなぜですか?
 「セルライトとは、必要もないのにあるものだ。きっと、メキシコのタラウマラの先住民や、若いアフガニスタンの女性はセルライトを持ってないだろう。これは過多の集積であり、どうやって私たちが生きてきたのかが、目に見える形になっているものだ。ゆえに、大衆のセルライトとは、現代を反映するものと言える」
――本作は、前作『クンビア・ルナティカ/エクスペリメンターレ』よりもさらに鋭さを感じます。クンビアの枠を超え、儀式のような深い音にも聞こえます。
 「私のソロ・ライヴを再現するようなアルバムにしたかったんだ。だから各曲を即興のライヴ録音にした。アルバム制作を誘われてから1ヵ月くらいで素材を揃えたよ。私のかつての作品群は、歌詞に辛辣なユーモアがあるけれど、そのぶん曲は馴染みやすく、楽しいものだったんだ。新作はインストで、歌っていないが、音で辛辣さと粗野さを表した。それでも、自分自身を十分伝達できたことに、とても満足しているよ!」
――本作の「celulitis popular B06」という曲では、ロシアの民謡グループSpolochiと共演していますね。
 「アルゼンチンでデジタル・クンビアが流行っていた頃、私はそれを訝しげに思っていた。アルゼンチンでは私の音楽がよく流れるようになったが、それはただ踊りと酒を飲むためのBGMとしてしか捉えられていなかったんだ。まあ、そんなに悪くとることでもないんだけど、私はカテゴリーに当てはまらない現象を狙っていたから、そんな枠組みに入れられるのが耐えられなかった。だから、世界で最もトロピカルからほど遠い場所で曲を録音することにした。そして冬のロシアへ行ったんだ。零下26度で寒いうえに、地下核爆発実験を無数に繰り返したノヴァ・ゼンブラ諸島の海岸前で、旧ソ連の強制労働所跡地だったので、見るからに冷えきった場所だった。そこで、私のクンビアを演奏したいという地元のグループと出会い、一晩で曲を録音した」
――この新作の発売に合わせ、8月に3度目の来日をしますね。どんなことをしたいですか?
 「日本は本当にくつろげる場所なんだ。友人もたくさんできたし、私の音楽が世界の異なった文化を持つ場所でも通用するのか試す良い機会だから、気合いが入ってるよ。今度の来日では、活動の幅を広げるようなことがしたい。日本の現代アートを見たり、アーティストと交流したいね。日本映画の音楽を作るとか、私の表現を媒介に何かやれたらいいと思う。もしも日本で映画を制作できたら最高だなあ!」
――あなたにとって日本はどのように見えますか?
 「私にとって日本はとても奇妙な感じ。町は静かで、車も静かで、高速道路からはほとんど景色が見えないのに、行く場所へ行けば人々が微笑みとともに温かく出迎えてくれる。一般的に日本と他の国のライヴでの反応は違うね。特に、日本では演奏中ではなく終了後に、人々が歩み寄って感想を言いにくる。ただ、いつも思うけど大阪ではライヴの反応がダイレクトで、ラテンアメリカみたいだから目を見張るよ」
――大阪ではボアダムスEYヨ (アイ)と共演しますね。お互いにファンだそうですが、どんな演奏になりそうですか?
 「EYヨが行なっていることをとてもリスペクトしている。80年代にオランダでボアダムスを見たとき、すごく感銘を受けたんだ。Youtubeで彼の最近の活動を見たが、どれも必見に値するものだった。彼はまったく歳をとらないね。視野の広さを持ち、ラディカルな表現をやっている」
――今後のプランを教えてください。
 「2枚のアルバムを制作予定で、ひとつは甘く歌うバラード歌集。もうひとつは、そのバラード歌集のインスト版で、辛辣で並外れたものになる。インストのアルバム・タイトルは『催涙ガス』(英語でTeargas)にすると思う。そして活動を続けるよ。飛行機のように、機関車のように、馬のように、椅子のように、卵のように、トカゲのように……」
――日本のファンにメッセージをお願いします。
 「私は日本の人々と出会い、時を共有できるのが、とても幸せだ。毎朝、3回この言葉を唱えてほしい。“難しくすることは、簡単なことではない”」
メール取材・文 / 長屋美保(2014年6月)
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DICK EL DEMASIADO
Japan Tour 2014
utakata-records.com/dick-el-demasiado-2014/

2014年8月8日(金)
東京 下北沢 THREE
〒155-0032 東京都世田谷区代沢5-18-1 カラバッシュビル B1F / 03-5486-8804(16:00〜)
live: Dick El Demasiado / goat / 黒電話666
DJ: Shhhhh / L?K?O
food: チルポロリー(porolly)

開場 / 開演 24:00
前売 2,800円 / 当日 3,300円 (税込 / 別途ドリンク代)

ローソン(L: 71588) / e+
ご予約: utakata-records.com/dick-el-demasiado-tokyo2014-booking 8月8日(金)15:00まで


2014年8月9日(土)
“THISIS(NOT)MAGAZINE presents”
愛知 名古屋 新栄 Live & Lounge Vio

〒460-0007 愛知県名古屋市中区新栄2丁目1-9 flexビル B2 / 052-737-7739
live: Dick El Demasiado / MARK(from 東京) / CASIOトルコ温泉(from 大阪) / のうしんとう / 6EYES / PLUTATA(ex-jaaja) / Nicfit
※Diamond Terrifier(ZSのSam)は来日が中止となり、出演はなくなりました。ご了承ください。 
DJ: whatman(from odd eyes) / kimmorrison / Black Donuts

開場 / 開演 16:30
前売 2,800円 / 当日 3,300円(税込 / 別途ドリンク代)

企画: THISIS(NOT)MAGAZINE
※ご予約・お問い合わせ: tkbcdefアットgmail.com
www.thisisnotmagazine.com


2014年8月10日(日)
“Cumbia Garden 〜お盆直前!デジタルクンビアの巨匠 Dick El Demasiadoがやってくる!“Celulitis Popular”release Japan tour 福岡編〜”
福岡 天神 THE DARK ROOM

〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神3-4-15 天神バッカス館 802 / 092-725-2989
live: Dick El Demasiado / the Kulture Krub / Noncheleee / Little Masta
DJ: 赤道亭くん太郎 / asm5gd(Wanan) / HIGO(Pet Sounds) / Kousuke(BOMES INDEE) / 直線(九州ROCKERS)
food: はししっぴ亭
shop: natural mistake(item) / nuttsponchon

開場 / 開演 21:00 (終演 3:00)
前売 2,000円 / 当日 2,500円(税込)


2014年8月13日(水)
“深夜喫茶♪ロスアプソン?出張編!”
徳島 bar txalaparta(バル・チャラパルタ)

〒770-0915 徳島県徳島市富田町2-18 ナルトビルB1 / 088-652-8908
guest: Dick El Demasiado
DJ: サトウキヨシ / DOGOO / ヤマベケイジ(Los Apson?)
live: 華舞遊(阿波踊り)

開場 / 開演 22:00
2,500円(税込 / 1ドリンク付き)


2014年8月15日(金)
ワークショップ
宮城 仙台 緑水庵

〒770-0915 宮城県仙台市青葉区片平一丁目2-5 / 022-225-7211
開演 14:00
2,500円(税込 / 1ドリンク付き)

詳細: ひどいイベント

2014年8月16日(土)
“ひどいベント7 DICK EL DEMASIADOリリースツアー”
宮城 仙台 CLUB ADD

〒980-0822 宮城県仙台市青葉区立町14-3 パリスビル B1F / 022-263-1185
guest live: Dick El Demasiado
live / DJ: “Sex God Sex”by minoru sato-m/s / 菊地良博 / 佐藤貴宏 / mamafufu / 長崎由幹

開演 22:00
3,300円(税込)

※ご予約・お問い合わせ: hidoieventアットgmail.com

2014年8月18日(月)
“in the sun presents“raw tempo””
埼玉 秩父 ladderladder

〒368-0041埼玉県秩父市番場町17-11 MIYUKIビル1F / 0494-26-5008
live: Dick El Demasiado / doravideo(laser guitar) / in the sun and more?
DJ: EO(from Little Busters) / imai(from s-explode) ほか

DJ開演 18:00
前売 2,000円 / 当日 2,300円(税込)


2014年8月20日(水)
“MONOMOUSU”
石川 金沢 DEF

〒920-0981 石川県金沢市片町2-5-6 AYAビル 2F / 076-205-1165
live: Dick El Demasiado / Anadub
DJ: PPTV / DiY / KYOSHO / DANNYHAZE ほか

開場 21:00
2,000円(税込 / 別途ドリンク代)


2014年8月22日(金)
ワークショップ & DJイベント“ディックとCelulitis PopularのPVを作ろう!”
兵庫 神戸 旧グッゲンハイム邸

〒665-1872 兵庫県神戸市垂水区塩屋町3-5-17 / 078-220-3924
DJ: Dick El Demasiado / Oorutaichi / BACON
ワークショップ 開場 14:00 / 開演 14:30(終了 17:00予定)
DJ party with Dick El Demasiado! 開場 / 開演 19:00
ワークショップ 1,500円 / DJイベント 2,000円
※両方ご参加の場合は2,500円
※15名様限定
※「醜いもの」をテーマに撮影した15〜60秒の動画をご持参ください。(動画はMOV形式でUSBメモリに保存して下さい)

※詳細・ご予約: www.nedogu.com/blog/archives/9481

2014年8月23日(土)
“Dick El Demasiado Japan Tour 2014 in Osaka”
大阪 東心斎橋 CONPASS

〒542-0083 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-12-20 / 06-6243-1666
live: Dick El Demasiado / neco眠る/ DODDODO
guest DJ: EY∃(BOREDOMS)
DJ: MONGOOSE(NEWTONE RECORDS) / DJ LARD(EL TOPO)
food: Buttah

開場 18:00 / 開演 18:30
DJ party with Dick El Demasiado! 開場 / 開演 19:00
前売 3,000円 / 当日 3,500円(税込 / 別途ドリンク代)

ぴあ(P: 234-738) / ローソン(L: 59073) / e+

※総合お問い合わせ: utakata records
utakata-records.com
info@utakata-records.com

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