【EDITORS】レコーディングの頓挫、メンバーの交代を超えて完成させた充実のアルバム

エディターズ   2013/06/26掲載
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 エディターズがニュー・アルバム『ザ・ウェイト・オブ・ユア・ラヴ』を発表した。単純に前作から4年かかったことを考えても、今回はなかなか難産だったようだ。しかし、ギタリストの脱退という危機が逆にバンドの創作意欲を活性化するという展開を経て、ナッシュビル録音により完成させた最新作は、トム・スミスという稀代のヴォーカリストが持つ素晴らしい声質を存分に活かした充実の仕上がり。リリース前の来日となったホステス・クラブ・ウィークエンダーでも、新曲を多く披露しながら、圧巻のステージを見せてくれた。ぜひ単独再来日公演も実現してほしい。
 ドラムのエド・レイズと、新ギタリストのジャスティン・ロッカリーに話を聞いた。
――最新アルバムに収録された「Nothing」という曲には、重厚なストリングス・アレンジメントが施されていますね。これはどのようにしてできたのですか?
ジャスティン 「去年、何本かのフェスに出演した時点ではドラムやギターをフィーチャーしたバンド・アレンジになっていたんだ。で、それを持ってナッシュビルのスタジオに行ったんだけど、いざレコーディングをしてみたら、そういう楽器を全部とっぱらった方が響きが良いと感じられてね。ドラマティックなオーケストラ・アレンジは、クリント・マンセルがやってくれたよ」
――「Two Hearted Spider」も、ライヴで演奏していたヴァージョンとはかなり違うものになっていますが、あれこれアレンジを考えるのが好きなのでしょうか?
エド 「基本的にそういう作業を楽しんでいるけど、時にはとんでもなくフラストレーションになることもあるよ(苦笑)。この曲は、ジャスティンが加入する前からあった古いナンバーで、当初はガツンと直球でぶつかってくるようなフェス映えする曲だと考えてた。聴いてすぐにみんなが思い切りノレるようなね。だけど、そのまま録音したのでは曲に長い生命が宿らないと感じたんだ。何度聴いてもらっても、そのたびにエモーションが伝わるようなものに仕上げたかった。この曲にはそれだけの手間をかけて練り上げる価値があるからね。いろいろいじったけど、曲そのものの魂は失われてはいないと思う。僕が深くアレンジに関わったのは今回のレコードが初めてなんだけど、やってみたらじつにやりがいを感じたよ。自分が頭の中で描いていたイメージが形になっていく様子には、本当に興奮させられたね」
――そもそも本作は、前回と同じプロデューサーと作り始めたけれど、うまくいかなくていったん頓挫したんですよね。その後、前のギタリストだったクリスが脱退して、そこから逆に事態が好転したという印象を持っているのですが。
エド 「その通りだよ。前作のツアーが終わった頃には、もうトムは3〜4曲ほど書き上げていて、これはスムーズにいくぞと思ってたんだけど、実際にそれらをどう仕上げたらいいかっていうところで意見が分かれてしまった。何が不満なのか、うまくいかないのはどこが悪いのか誰にもわからない状況の中で、一度そこで作業をチャラにしたんだよ。それから、新しいメンバーが入り、場所も変えようとナッシュビルに行き、プロデューサーも変えて、何もかもゼロからやり直したんだ」
――そこで新たに加入したジャスティンは、どんな役割を果たしたのでしょうか?
エド 「彼はコラボレーションが得意な人間だから、おかげでバンド内の意思の疎通が遥かに良くなったと思う。それによってメンバー間のまとまりが強くなったこともありがたかった。ジャスティンと最初にとりかかった曲のひとつが〈Sugar〉なんだけど、いきなり彼の弾き始めた複雑なプレイにエキサイトしたよ。こちらから、ここが君のスペースだよと提示したら、それを最大限に活用してくれるんだ」
ジャスティン 「もともとメンバーとは知り合いだったし、クリスが抜けた後、すでに出演が決まっているフェスを何本かヘルプでってことで、とりあえず入ったんだけど、そのうち気がついたら、いつのまにかここまできてるって感じだった。だから、バンドに加入することに関してプレッシャーはなかったよ。今度のアルバムでは、アレンジに関して全員が重要な役割を持ってがっちり関わっている。今作に収録されたヴァージョン以前には、どんな形だったのかということも把握してるしね。ギターに関して、僕はクリスと同じようには弾かないから、その鳴りの違いは聴いてパッと分かると思う」
――よくトムは、いかに自分はR.E.M.が好きかというような話をしているし、今回アメリカで録音したことも、そうした指向性の反映だと思うのですが、完成した作品は非常にブリティッシュな響きを持ったものになっていると感じました。
ジャスティン 「その通りだね。たしかに今作はアメリカまで行って、アメリカ人のプロデューサーと一緒に録音したけど、あくまでも僕らの音はブリティッシュだ。どんなにR.E.M.が鳴らしているような音を出そうと思っても、やっぱり5人のイギリス人が出しているような音になってしまう。でも、それはいいことなんだと思うよ」
――では最後に、おふたりの最近のお気に入りを教えてください。
エド 「僕は、シガー・ロスの新しいシングル。タイトルをまだ覚えられていないんだけど、躍動感と美しさのバランスがスゴイと思う」
ジャスティン 「スティーヴ・ミラー・バンド『フライ・ライク・アン・イーグル』だね。じつは今度のレコードにとって重要な意味を持っているんだよ。ナッシュビルにいた時、車に乗っているとラジオでしょっちゅうかかっていたんだ」
取材・文 / 鈴木喜之(2013年5月)
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