HY(エイチワイ)   2010/01/26掲載
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HYヒストリー〜辿り着いた10年目、そしてさらなる成熟へ〜


 10周年という節目となる昨年9月に原点ともいえるストリート・ライヴを経て、新たな道を歩み始めた。バンドとしてのさらなる成熟への道。その未来に起こるストーリーをよりリアルに楽しむため、ここで過去の10年を振り返ってみよう。
“オーディエンスと一緒に楽しみたい”
明確なスタンスで初期の頃から驚異的な結果をもたらす


 HYのライヴを初めて体験したのは、2002年の夏。場所は新宿LOFTだった。まだ全員が10代。東京でのライヴはこのときが初めてだったらしく(しかもSUMMER SONICへの参加、テレビの音楽番組「MUSIC STATION」への出演も決まっていたこともあって)バンド・リーダーの新里英之がかなり緊張していたことを覚えている。「いろんな場所で演奏できるのは嬉しいけど、正直言って、何がなんだかわからない」と。しかし、そのステージはいま思い返しても、十分に魅力的だった。その時点でリリースしていた音源はアルバム『Departure』だけだったのだが、当時流行していたミクスチャー・ロックのスタイルをベースにしながら、すでにバンド固有のスタイルをしっかりと持っていたのだ。オーディエンスの感情を心地よく上げてくれるポジティヴな雰囲気、沖縄の自然のイメージさせる大らかなメロディ。そして何よりも、バンド全体からメンバー同士の強い絆が強く伝わってきたことが強く印象に残った。

 HYのブレイクは2003年にリリースされた『Street Story』で早くも実現する。「ホワイトビーチ」「Ocean」といった代表曲を含むこのアルバムによって彼らは、へヴィ・ロック、ヒップホップを基本とした初期のスタイルをしっかりと完成させたと言っていい。どんなに激しい楽曲であっても、決して攻撃的になりすぎず、“オーディエンスと一緒に楽しみたい”というスタンスを失わない彼らの楽曲はいわゆるJ-POPファンにもしっかりとアピール、何とチャートで4週連続1位を獲得するという驚異的な結果を残した。

 翌2004年には3枚目の作品『TRUNK』を発表。この作品から彼らは、少しずつ“歌”をより伝える方向へとシフトしていくことになる。前作の流れを汲むアップ・チューンは宮里悠平が初めて作詞を手掛けた「DADA」くらい。沖縄のゴミの問題に触れた「そこにあるべきではないもの」、仲宗根泉の作詞・作曲によるラブ・ソング「Song for…」など、まっすぐなメッセージをたたえた“歌モノ”が増えていることが、この作品の特徴といえるだろう。この年には初のホール・ツアーを敢行。HYの存在は完全に全国へと広がっていった。
音楽的な成熟ぶりを見せた4thアルバム『Confidence』以降


 全47都道府県をサーキットするツアーを成功させた2006年には、4thアルバム『Confidence』をリリース。このアルバムでHYは音楽的な成熟ぶりをしっかりと表現している。その要因は、ライヴを重ねたことによる、各メンバーのプレイヤビリティの向上。ソウル・ミュージック、ファンクのテイストを帯び始めた許田信介のベース・プレイ、さまざまな打楽器に触れることでリズムに対する解釈に深みを増した名嘉俊のドラム。さらに宮里が本格的に作曲に取り組み始めたり、仲宗根のバラード「NAO」にゴスペルのコーラス隊をフィーチャーするなど、それぞれの音楽表現がさらに追求されているのがわかる。またこの時期は、ライヴでの新たなトライも数多く見られた。まずは初のアリーナ・ライヴとなった、日本武道館公演、大阪城ホール公演の成功。さらに2007年にはカナダ〜アメリカでのツアー(トロント、ボストン、ニューヨークなど計8ヵ所)も行なっている。彼らの原点は沖縄・北谷カーニバルパークでのストリート・ライヴ。自分たちの音楽を直接届けたい、応援してくれるオーディエンスと一緒に成長していきたいという思いは、バンド結成以来、ずっと一貫している。

 2008年4月には、5枚目のアルバム『HeartY』を発表。前作『Confidence』から約2年。じっくりと時間をかけて制作されたこのアルバムからは、精神的にもたくましくなり、さまざまな視点を持った大人へと成長している5人の姿が伝わってくる。新しい世代に対する思いを込めた「この子達のために」、環境問題をテーマにした「青い地球」などが、その好例。また映画・ドラマ『赤い糸』の主題歌に起用されたバラード「366日」など、さらに広い層に訴える優れた楽曲が多いのも、このアルバムの魅力だ。そしてこの年、HYはついにアリーナ・ツアーを敢行。ライヴ・バンドとして、ひとつの頂点に達したと言っても過言ではないだろう。

 結成10周年を迎えたHY。待望のニュー・アルバム『Whistle』の発表、3月からは3度目の全都道府県ツアー(160本以上!)をスタートさせるなど、その勢いはさらに速度を増している。個人的にもっとも強く思うのは、メンバーの雰囲気――素朴で素直、だけど音楽に対する態度はひたすら真摯――がまったく変わらないということだ。5人が生み出す大らかで自由な空気、そこにある強い絆こそがHYの武器。それがある限り、彼らの音楽はどこまでも豊かに広がっていくことだろう。
文/森 朋之

★全都道府県161本LIVE HOUSE TOUR
<HY MACHIKANTY SO-TANDOH TOUR 2010〜2011>が3月よりスタート!

 2010年3月、HYにとって初めての沖縄ワンマン・ライヴを行なった宜野湾海浜公園からスタートするツアー<HY MACHIKANTY SO-TANDOH TOUR 2010〜2011>。

 全国161本の公演となるこのツアーのスケジュールがオフィシャル・サイト(http://www.hymode.net/)で発表されました。ぜひご注目を! そこで、メンバーからツアーの見どころや意気込みなどのコメントをいただきました。

<HY MACHIKANTY SO-TANDOH TOUR 2010〜2011>
新里英之
 ライヴ・ハウス・ツアーの見どころは、何よりもファンのみんなとの距離が近いところです。本当に最高ですね!より想いが凝縮されて伝わり、より絆も深まるのではないでしょうか。アットホーム感もあっていいですよね!そういうことが161本あるので本当に楽しみです。

名嘉俊
 どこの会場も近いと思うのですごく楽しみです。ファンのみんなと一緒に歌って踊って最高な毎日にしたいです。161本もあるので、毎回ファンのみんなからもらったパワーを次の会場へ繋げて、全国のファンのみんなとパワー交換していきたいです。

仲宗根泉
 お客さんとの一体感や、ライヴ・ハウスならではの温かくて近い感じが楽しみです。
私がどう変わっていくか注目!!(笑)

宮里悠平
 今回のツアーは久しぶりのライヴ・ハウス・ツアーなのでとても楽しみです。ホールとは違った空気感だったり音圧だったりファンのみんなとの距離だったりとライヴ・ハウスならではな感じが好きで楽しみです。新曲もしたりいろいろと考えているので、楽しみにしててほしいです。

許田信介
 久しぶりのライヴ・ハウス。ツアーなのでとっても熱いライヴにしたいです。

 その際汗の量が楽しみでそれを是非注目していただければと思います。僕ら十年やってこれたのも周りのスタッフやファンのみんなのお力添えがあっての僕らなので、感謝の気持ちを込め丁寧に一本一本ライヴを届けていきたいです。そしてまた新しいHYを感じてほしいです。初めて僕らを観てもらえる方にも一体感のあるHYらしいライヴをみせていければなと思います。

 いつまでも残る最高な思い出をみんなで楽しく作っていきましょう!
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