「少し自信を持てたからこそ思い切って歌えた」 熊木杏里が、友人を励ますために書いた楽曲「雨が空から離れたら」

熊木杏里   2009/04/07掲載
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 小田和正ゴスペラーズ一青窈レミオロメン平井堅……という錚々たるアーティストたちが起用されたJRA(日本中央競馬会)ブランドCMの主題歌で、2009年はシンガー・ソングライターの熊木杏里が選ばれている。CMでお馴染みの曲も収録されたシングル「雨が空から離れたら」が4月8日についにリリース! 深みのある言葉や繊細な歌唱によって、心の底からリスナーの感情を揺り動かすような楽曲に仕上がっている。またカップリングには春の季節にふさわしい2曲も収録。本作について、彼女に話を訊いた。



 2008年11月に発表したアルバム『ひとヒナタ』で、自分という内なる世界から、他人(ひと)と触れ合う外の世界へ飛び出した熊木杏里。このアルバムから新たにシングルとしてリリースされることになった「雨が空から離れたら」は、こんなきっかけから生まれた曲だ。
 「じつは“雨が空から離れたら”というフレーズは〈雨が空から降れば〉という曲の聴き間違いから生まれたんです。でも“雨が空から離れたら”でも自然なシチュエーションが浮かぶし、“離れる”っていう言葉に意志を感じるのがいいなと思って。そこから浮かんでくる景色をメッセージにしようと思って作りました」


 悩みの中にいる友達に檄を飛ばしたくて書いたというこの曲。いわゆる励ましソングが苦手だという彼女自身、励ますという行為の難しさは身に染みてわかっている。それでも歌いたいという強い気持ちが、憂いあるAメロからポップなサビへと飛翔するメロディを生んだ。
 「いつだって私を救うのもヘコますのも“人”なんですよね。だから“傷つけたくて 傷つける人なんて どこにもいない 進むためなんだから”っていう歌詞は、自分のプラカードにして持ち歩きたいくらい(笑)。こんな気持ちを思いきって歌えたのは、自分に少し自信を持てたからかも」


 そしてカップリングには春をテーマにした新曲を2曲収録。「花言葉」は女友達に贈る熊木流ラブ・ソングだ。
 「女の人には分かれ道があって、自分はまだ子供でいたいけど、友達は子供をあやす立場にいたりもする。その差や違いを感じて、私はその友達になにができるかなって考えたときに、とりあえず私は元気でいよう、彼女の希望になろうと思ったんです。だからこれはきっと自分が結婚していたら歌えなかった曲。27歳という絶妙な年頃の今だから生まれた歌だと思います」

 女友達の結婚や出産を祝福する「花言葉」、そして新たな季節を迎える人たちにエールを贈る「桜見る季節」。この2曲をプロデュースしたのは、初コラボとなる坂本昌之。彼が編曲を手掛けた徳永英明『VOCALIST』を聴き、歌の引き立つアレンジに惹かれた熊木杏里が自らアプローチした。
 「シンプルだけど熱を持った曲のイメージを坂本さんが汲んでくれて、淡〜く繊細なアレンジになりました。歌も明るく励まそうと思って頑張っちゃうと全然違う雰囲気になるから、気持ちをフラットにして歌ってみた。そうすると声にアンニュイな感じが出てきたから、やっぱり旅立ちってそういうものかしらと思ったり……」

 「花言葉」と「桜見る季節」は、いずれも祝いのシーンを描いているが、同時にぬぐいきれない寂しさも感じさせる。始まりと終わり、出逢いと別れ、希望と不安。それらはいつだって同時にやってくるものだからだ。
 「私の曲にいつも寂しさがあるのは、性格のせいかも(笑)。自分の気持ちをうまく言葉にできないタイプだから、目に見えない気持ちのほうがよく見えるというか、空気中にいっぱいの“好きって言えない気持ち”が飛び交ってるのがわかる。だから私は、それをぜんぶ歌で伝えようって思うんです」



取材・文/廿楽玲子(2009年3月)



“熊木杏里 SPRING TOUR 2009 〜花詞〜”

4月25日(土) 大阪 なんばHatch
開場18:00/開演18:30
前売3500円/当日4000円(ドリンク別)全席指定

4月29日(水・祝) 名古屋 ボトムライン
開場16:00/開演16:30
前売3500円(ドリンク別)全自由整理番号付

5月9日(土) 東京グローブ座
開場18:30/開演19:00
前売4500円/当日5000円 全席指定

5月10日(日) 東京グローブ座
開場16:30/開演17:00
前売4500円/当日5000円 全席指定

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