“CITY FORK”から“NEON ROCK”へ――LEO今井を突き動かす、刺激とその変化とは

LEO今井   2007/11/13掲載
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 ユニークさと端正さが共存した言葉が、艶やかな歌声によって生を受ける。ブレイクビーツを基本としたトラックが、さまざまな文化がクロスオーヴァーした“都会”を訪れたかのような楽しさを残して駆けていく。――インディーズで発表した作品で描かれた独特の世界観がすでに一部のリスナーの間で評判となっているLEO今井が、11月21日にシングル「Blue Technique」でメジャー・デビューする。


 CDから受ける印象から、鋭い目つきをして物腰の落ち着いた若者ではないかと身構えていたのだが、LEO今井は、良い意味でもっとフットワークの軽い、弾けたムードの男だった。それも、ポンポンと弾けて、予測不可能なムーヴを見せるトリックボールのよう。

 1981年生まれで、日本人の父とスウェーデン人の母を持つロンドン育ち。不自然さのない英語と、やけに端正な日本語を交えたユニークな歌詞と、ロックの現在形を現場で体感してきた重厚さとクールな質感を兼ね備えたサウンド。インディーズでのデビュー作『CITY FOLK』(2006年)、ミニ・アルバム『CITY FOLK 0.5』(2007年)で披露した高いポテンシャルと美学を、メジャー・デビュー・シングルとなった「Blue Technique」でも彼は貫いている。自分の中を流れる同時代感覚を、彼はこうたとえてみせた。

「僕と同じ世代では、ブロック・パーティーとかエディターズとかインターポールとか、そういう感じのアーティストには共感できる部分が結構ありますね。90年代にスマッシング・パンプキンズとかの熱いロックも聴いて、エイフェックス・ツインスクエアプッシャーみたいなテクノにも触発されて、UKの90年代後半を通ってきた人たち。そういう人たちがやるロックって、僕も含めて何かクールな感じになってると思うんですよ」


 音楽制作を始めたときは、歌詞はすべて英語。生後の数年と高校時代での日本生活を除いて、ロンドンで暮らしてきた彼にとって、日本語で歌うということはまったく念頭になかった。

 「『CITY FOLK』を作るときに、レーベルの人に“日本語でやってみたら?”と言われたからなんですよ。最初は<やだ>と思いました。自分の使っている日本語は不自然だからできないなと。でも、やり始めるうちに、短い言葉で複雑な内容や濃厚な表現が出来る、日本語の豊かさに気付いていった部分はあるかもしれません。やってみたら、やっぱり英語ではなかなか表わせないものも表わしちゃってたという発見。それは非常にいいことでしたね」


 さらに言えば、ロンドンで培った時代感覚の鋭さに、彼の中で封印されていたがゆえに熟成された日本語感覚の美しさが作用する、そのユニークなミクスチャーがLEO今井の大きな武器になっているのではないだろうか。

 「前作の『CITY FOLK』の“FOLK”は、もともとは“人”という意味で付けたんですけど、歌詞や世界観がよく日本のフォークにたとえられていた時期があったんですよ。たとえば、“はっぴいえんどに似てるね”とか。そういうことを言われて聴いてみて、なるほど確かに近いものがあるかもしれないと思ったりもしました」




 日本での音楽活動を決意した彼は、住み慣れたロンドンを離れ、今は東京で暮らしている。日本人であり、異邦人でもある彼の目に、東京は、どう映っているのだろう。

 「今でも夜の渋谷とかを歩いていると結構感動しますね。“すげーな東京は”って。確かにやばいんですよ。美しくもあるし、あざとくもあって。画期的にも見えるし、人ごみの中に入るとイライラもしますし。でも、その複雑すぎるところが超面白いと思います」


 そして、これからのLEO今井は『CITY FOLK』から、その刺激を経て“NEON ROCK”に進化するのだと彼は言った。セカンド・シングル「Metro」(2008年1月リリース予定/11月21日より着うた 先行配信開始)には、さらなる劇薬として向井秀徳ZAZEN BOYS)が参加している。その刺激が、彼をどんどん突き動かすことを期待する。

<取材/文 松永 良平(2007年10月収録)>

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