ピエール中野(凛として時雨)×南波一海 特別対談「インディーズ・アイドル音源、聴いてみた」VOL.2

凛として時雨   2013/12/06掲載
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Base Ball Bearの小出祐介さんを迎えて、インディーズ・アイドルの音源を聴きまくるというマニアックかつドープな内容で話題を集めた特別企画「インディーズ・アイドル音源、聴いてみた」が帰ってまいりました! 今回のゲストは凛として時雨のドラマー、ピエール中野さん。でんぱ組.inc「でんでんぱっしょん」のリミックスを手掛け、ももいろクローバーZの最新シングル「GOUNN」でドラムを叩き、そして、さくら学院のライヴでオープニングDJを務めるなど、アイドル界ともゆかりの深い中野さんに、南波一海さんオススメのインディーズ・アイドル音源を聴いてもらいました。
中野 「この企画、めちゃくちゃ楽しみだったんですよ!」
南波 「こちらこそ、よろしくお願いします。今日は中野さんに気に入ってもらえそうな音源をいっぱい持ってきましたんで(バッグからCDを取り出す)」
中野 「うわ、なんかすごそうなのが、いっぱいありますね」
小娘(シャオニャン) xiaoniang.net
「無敵のFIRE CATS / 恋人たちのゆうパック」
南波 「まずは小娘(シャオニャン)から行きましょう。北海道・千歳市のグループなんですけど通販でCDをまとめて買ったら、1枚1枚にメッセージが入ってたんですよ」
中野 「読んでいいですか? “一海さんへ CD買ってくれてありがとう”(笑)。一枚一枚手紙くれるなんて、丁寧でいいですね。文面は微妙にタメ口だけど(笑)」
南波 「ははは。このグループの何が凄いかって言うと、全曲何かしらのイメージソングなんですよ(笑)」
中野 「えっ!?」
南波 「“千歳飛行場80周年記念ソング”とか。一番好きなのが、〈恋人たちのゆうパック〉って曲で。千歳ヤマセミ郵便局っていう超局所的な郵便局のイメージソングなんですけど、めちゃくちゃ暗いんですよ(笑)」
中野 「暗い(笑)。キックの音がもうダークですね。そもそもイメージソングって、だいたい明るくてポップな曲調ですよね?」
南波 「聴いてると切ない気分になってくるんですよ(笑)。歌詞もすごくて。“歯を食いしばって耐えているんだよ”とか」
中野 「歌詞を読むと、どうやら遠距離恋愛をテーマにした曲みたいですね。“ふたりの間にゆうパック”ってサビの歌詞もすごい(笑)」
南波 「本人たちも歌詞にピンと来てないとのことでした(笑)。ちなみに通販で注文したら、ちゃんと、ゆうパックで届きましたよ!」
中野 「そこは、ちゃんと(笑)」
南波 「小娘は全曲ヤバいです。〈あなたにホーリンラブ〉とか。この曲は、ホーリンっていうホテルのイメージソングです」
中野 「五十嵐理容院のイメージソングが〈Fifty Storms!〉ってのもいいですね(笑)」
南波 「やばいですよね。タイトルセンスもいちいち最高」
スマイル学園 電音部 UNDER FACE underface.jp
南波 「めちゃくちゃレベルが高いぞってCDも持ってきました。スマイル学園のテクノポップ的なグループ、電音部UNDER FACEです。要するに、さくら学院のなになに部みたいな感じで。音もよく出来てるんですよ」
中野 「ジャケとかちゃんとしてますね」
南波 「なんですけど、これは2ndで、1stとジャケがそっくりで紛らわしいんですよ」
1stシングル「SKYTOWER」 / 2ndシングル「PERFECT LOLITA」
中野 「ホントだ(笑)」
南波 「じゃあ〈PERFECT LOLITA〉という曲を聴いてみましょう。超バキバキで凶暴なエレクトロなんですけど」
中野 「クオリティ高いですね」
南波 「スマイル学園はサブユニットが充実してますね。全部曲がすごく良くて」
中野 「何かのきっかけで、一気に広がりそうな感じがしますけど」
川口聖菜 ameblo.jp/qnles
「Up to you」
南波 「こないだ川崎駅の路上で歌ってた女の子なんですけど」
中野 「よく、そういう人を見つけますね(笑)」
南波 「路上で歌ってるとは思えないような音の作りをしてて。大阪にDEBUT PROJECT(デビュープロジェクト)っていう、デビューを目指してるいろんな歌手が所属してるプロジェクトがあって、定期的にライヴをやってるんですけど。とりあえず曲を聴いてみましょう」
中野 「バキバキのエレクトロじゃないですか!」
南波 「この音なのに路上で歌ってるんですよ(笑)。道端にスピーカー置いてiPodから音出してライヴやってて」
中野 「この企画の第1回目で、クルミクロニクルの存在を知ったんですけど、今、それに近い衝撃を受けてますよ(笑)」
南波 「これきっかけでクルミちゃんを買ったんですよね。ありがとうございます(笑)。でも、この曲を普通に路上でやられたらびっくりしますよね」
中野 「普通にクラブでライヴやってそうなサウンドですよね。でも今のインディ・アイドルの音源って本当にクオリティが高いんですね」
南波 「でも、この時点では、まだ一般流通してる音源はかけてないんですよ」
中野 「これ、流通してないんですか?」
南波 「基本的にはライヴ会場に行かないと買えないです。こんなに音がちゃんとしてるのに(笑)」
プランタン label.kasumin.me/printemps
南波 「プランタンっていう愛知県・春日井市のグループなんですけど。1枚目はこれだったんですよ(写真左)。この状態で売ってました」
中野 「……これは凄いですね」
南波 「で、2枚目(写真右)になって、ちょっとグレードアップして」
「プランタンのぷらぷらプラクティス海賊版」「プランタンのぷらぷらプラクティス海賊版 LESSON2」
中野 「これ、グレードアップしてます(笑)?」
南波 「曲が本当に変わってるんですよ。“何コレ!?”っていう」
中野 「歌のメロディと演奏が完全にシンクロしてますね(笑)」
南波 「なぞってるだけっていう(笑)」
中野 「ヤバいですね。開いちゃいけないウェブサイトを開いちゃったときみたいなドキドキ感がある(笑)」
南波 「僕が最近、一番ハマってるグループです」
中野 「グループなんですか?」
南波 「2人組だったんですけど、1人辞めちゃったんですよ。謎のダンサーが後ろで踊ってるんですけど、それも含めて、めちゃくちゃ面白いんです。ちなみに1枚目のCDはエアーで録ってて」
中野 「ラインじゃないんですか?」
南波 「たぶんラインで録るっていうことを知らなかったと思うんです。カラオケボックスで録ってるみたいな音質だったから“これはアヴァンギャルド!”って『BUBKA』で紹介したら“この作品からライン録音をしてみました”って手紙付きで運営の方が2枚目のCDを送ってきてくれて(笑)」
中野 「ははははは!」
南波 「運営の方が曲を書いてるんですけど、その人はパンク、ニューウェイヴ、テクノみたいな流れで音楽を聴いてきて、全然アイドルのこととか知らないらしいんですよ。で、わからないままに作ったらこうなりましたと」
中野 「ライヴは何度か観てるんですか?」
南波 「いや1回だけです。三重に行ったときに、スカスカな曲でラップみたいなのやってたから気になって。で、CDを買ったら、それを超える衝撃でした」
PEACH SUGAR SNOW www.km-music.jp
「じゅもん」
南波 「ちゃんとしたのを聴きましょうか(笑)。PEACH SUGAR SNOW。山梨のグループです」
中野 「この子たちは幾つですか?」
南波 「小学4年、5年、6年生です。すごく面白いのが、彼女たちウィスパー・ヴォイスで歌うグループなんですよ」
中野 「へえ。ウィスパー・ヴォイスのアイドルって意外といそうで、いないですね」
南波 「曲もすごくちゃんとしてるんです」


中野 「いい曲じゃないですか! ジャケのビジュアルと曲が合ってない気はしますけど(笑)。もうちょっと涼しげなイメージのほうがいいかもしれませんね。このジャケ、完全に夏じゃないですか(笑)。元気いっぱいで。このCDは普通に流通してるんですか?」
南波 「今のところタワーレコードだけかな。1stシングルがCD-Rでリリースされて、このヴォーカルが話題になったんです。こんな歌い方する子たちいないって」
中野 「曲も声もいいし、人気が出そうな感じありますね」
南波 「アレンジも凝ってますよね。彼女たちはスクールの生徒なんですけど、曲は全部先生が書いてるんです。先生は小林清美さんっていうんですけど、シンガー・ソングライターとして10代でデビューして、アルバムを何枚か出していて。スクールの発表がてらCD-Rを作ったら目利きの方が見つけて、今みたいな状況になったっていう」
TEAM MII(3776) m3776.com
「みんなの富士宮やきそば」
南波 「彼女たちは最近、3776(みななろ)っていう名前で活動してます。静岡県・富士宮市のグループなんですけど、ギターの感じがいいんですよね」
南波 「オープニングのベースから音楽知ってる人が作ってる感じがします」
中野 「音色もいいですね。ラップもいいじゃないですか。(ジャケを見て)人数多いんですね」
南波 「現時点で3人になってます(※取材時)」
中野 「えー!」
南波 「この曲だけじゃなくて全部いいんですよ。同じCDに入ってる〈ゆうれい商店街〉って曲も最高で」
中野 「めちゃくちゃお洒落じゃないですか! 音がカッコいい、こういうアイドルがもっと出てきてもいいと思うんですけど」
南波 「そうですね。アイドルっていう部分で注目される部分もあるけど、逆にアイドルだからって理由で聴かれないことも多いから。こういうCDを聴くと素晴らしい作家さんがいっぱいいるんだなと思います」
中野 「ほんとそうですよね」
南波 「彼女たちのCDは3枚とも最高ですよ。ダビーな曲があったり、それぞれ曲調も全然違くて」
中野 「この作家さんは自分でバンドとかもやってるんですか?」
南波 「それは聞いてないな。インタビューしたいですね」
中野 「クリエイターとしての才能をすごく感じますね」
ちょび。 tyb48.com
「キミの瞳にジャーマンスープレックスホールド」
中野 「(ジャケを見て)パッと見、フツーに彼氏いそうな感じしますね」
南波 「ギャル感がすごい(笑)」
中野 「でも、ギャル感があるアイドルが一生懸命やってる姿っていいっスよね」
南波 「そう。泣けるんですよね。これはダウナー系なんですけど」
中野 「ダウナー系だ(笑)。重たいですね」
南波 「いきなりイントロがダブステップ(笑)」
中野 「怖い……(笑)」
南波 「急にサビから始まるっていう」
中野 「歌詞カードに“ジャーマン×20”って書いてありますね」
南波 「ライヴでは生声で、ずっと“ジャーマン”って言ってて。すげー異様ですよ(笑)。最初に観たとき爆笑しました。しかもほとんど踊らないんですよ」
中野 「え! このサウンドなのに踊らないんですか?」
南波 「ずっとこんな感じです(棒立ち)」
中野 「こんなにジャケがハッチャケてるのに(笑)! でも、歌詞カードのクレジット見るとダンス・プロデューサーが付いてますよ。どういうことですか(笑)?」
南波 「たぶん、これから覚えるんじゃないですかね(笑)。彼女たち、以前はTYB48っていう、いかにもAKB48フォロワーっぽい名前でやってたんですけど、ちょび。と改名して、音楽性も一気に変えて」
中野 「でも、ダブステップなんですけど、“なんか違う”感がありますね(笑)」
南波 「“これじゃない”感が(笑)。歌詞も、ジャーマンだからドイツ、ビール、ソーセージみたいな話をして、“ダメだよ!私たち未成年ていう設定じゃん!”とか言ってて(笑)。ライヴは最高におもしろかったですね」
中野 「どこのグループですか?」
南波 「二人とも愛知出身で、東京のグループです。秋葉原でライヴやってて」
中野 「裏ジャケに書いてある言葉もシュールですね。“今日の夕御飯は鹿にしよう!”って(笑)。意味がわからない」
南波 「すべり芸なんですかね、きっと」
中野 「すべりも何も……どうしたらいいんだろう。受け身が取りづらい(笑)。“月末アイドル”って名乗ってますけど、なんで月末なんですか?」
南波 「ライヴを月に1度しかやらないからです」
中野 「わかりやすい(笑)」
平塚ご当地アイドル 7☆(ナナホシ)マーメイド 7hoshi-mermaid.jimdo.com
『失恋パールロード』
南波 「この子たちは平塚のアイドルで、ライヴをまだやったことがないんです(※取材時)」
中野 「ていうか南波さん、このCDどうやって見つけたんですか(笑)」
南波 「不思議ですよねえ」
中野 「それ僕のセリフですよ(笑)」
南波 「なんで知ったんだろう。これはアイドルファンの方のツイートかな。Twitterで情報を得ることがすごく多いです。で、問い合わせてCDを通販で買って」
中野 「“ファーストシングルだけど13トラック入れちゃいました”って書いてありますけど、もうこれアルバムですよね」
南波 「カラオケとかリミックスとかインタールード以外にオリジナルが5曲入ってるからミニ・アルバムですよね」
南波 「まだ、ライヴを観たことがないからパフォーマンスはわからないですけど、アルバムはすごく良かったですね。こういうCDを聴くと、“これぐらいの曲って、みんな簡単に書けるの?”って思っちゃいます」
中野 「たしかに。音を聴くと初期のPerfumeみたいですね」
南波 「ああ、そうですね」
中野 「かなり近い。この楽曲のクオリティだと、かなりしっかり活動していきそうな気がしますよね。曲も歌詞もすごくいいです」
いずこねこ www.izukoneko.com
南波 「中野さん、いずこねこってご存知ですか?」
中野 「名前は聞いたことあります」
南波 「女の子一人のユニットなんですけど、リズムに対して、かなりおもしろいアプローチをしてるんですよ」
『ROOM EP』
南波 「変拍子の曲が結構多くて。いろんなリズムパターンでチャレンジングなことをやっていて」
中野 「(〈END〉を聴いて)“にゃんにゃん”ってコーラスが入ってますけど、ファンの人たちは、やっぱりコーラスに合わせて“にゃんにゃん”って言ってるんですか?」
南波 「はい。逆に言わないとリズムに乗るのが難しいと思います。こうやってガイド的に“にゃんにゃん”ってコーラスを曲に入れてくれてるから、それを覚えれば、複雑なリズムでもすごく乗りやすいという」
中野 「へえ。曲もいいですけど、声もいいですね。ちょっと大人っぽい感じの、しっとりした歌い方で」
南波 「サクライケンタさんという方が曲を作ってるんですけど、サクライさんは職業作曲家で、仮歌を歌える女の子を探していたら、たまたま彼女をライヴハウスで見つけて。それで彼女はずっとサクライさんの曲で仮歌を歌ってたんです」
中野 「そうなんですね」
南波 「彼女は、“自分が仮歌を歌ってるアイドルさんってどんな人なんだろう?”って見に行ったら、自分もアイドルを好きになっちゃって。私も歌ってみたいんですってサクライさんにお願いして、活動がスタートしたんです。そしたら、すごい人気者になっちゃったっていう」
中野 「この人は普通に売れそうですね。本当に曲がカッコイイ。誰かに聴かせたくなる」
南波 「いずこねこは3776と並んで、今日、中野さんに聴いてもらいたかった音源のひとつです」
中野 「めちゃめちゃいいですね! たぶん視聴したら買いますよ、これ」
せのしすたぁ senosister.com
南波 「これもめちゃくちゃよくできてるアルバムです。とりあえず1曲目を聴いてみましょうか」
『I'm sick !!!』
中野 「パンクな歌詞ですね」
南波 「Negicco〈アイドルばかり聴かないで〉を受けて作った曲です」
中野 「アンサーですか?」
南波 「そうですね。たぶんもっとも早いアンサーです。作家の森永康之さんは、これぐらいのBPM120から130ぐらいのディスコっぽい曲を作るのが上手な人で」
中野 「このテンポ乗りやすいですもんね」
南波 「でも、最近のアイドルソングの流行りからすると、ちょっと遅いんですよ」
中野 「最近、速くなってるんですか?」
南波 「BPM160とかが多いです」
中野 「彼女たちはどういうグループなんですか?」
南波 「アミ〜ガスっていう福井県坂井市の〈アル・プラザアミ〉っていうショッピングセンター発のグループがいて、彼女たちはその別ユニットです。アミ〜ガスは、そういう成り立ちでグループが出来たから、いろいろ活動に制限もあって。せのしすたぁはショッピングセンターとは関係がないし、2人組だから人数的にも動きやすいんだと思うんです。そしたら、アミ〜ガスより先に、せのしすたぁのアルバムが出ました。明らかにこっちのほうが気合が入ってるんじゃないかっていう(笑)」
GAL♥DOLL shibuya-gals.com
『GAL♥DOLL THE BEST』
南波 「GAL♥DOLL超好きなんです。このベスト盤は、今年のベストアルバムのひとつじゃないかってぐらい好きで」
中野 「あ、そんなに」
南波 「基本パラパラなんですけど」
中野 「アイドルとは、また違うんですか?」
南波 「いやアイドルですよ。ギャルっぽいカッコしてるけど。この1曲目とか普通に泣けるんですよ。夏が始まるって曲なんですけど」


南波 「基本的にギャルっぽい人が真面目に何かをやってるのを見ると感動しちゃうんですよ」
中野 「切ないですね。ライヴのラストでやられたら感動するかも」
南波 「キターってなります。でもオリジナルメンバーが全員辞めちゃったんですけど。寂しいですね」
POP'N KISS pp-x.syncl.jp
南波 「〈鳩、低空飛行〉は歌詞がいいんですよ」
『※会場売りCD-R(無題)』
中野 「これは……どういうことですか(笑)」
南波 「はははは」
中野 「ハトをディスってるのか応援してるのか」
南波 「応援してるんです!」
中野 「そうなんですね」
南波 「アイドルって、やっぱり似たようなグループとか似たような曲が多いんですよ。で、他とは違うことをやりたいっていうのを前向きにやった結果がこの曲で」
中野 「確かに……聴いたことないですね(笑)」
南波 「耳に残るし。でも、年頃の女の子たちだから最初は、この曲を歌うの嫌がってたらしいんです。恥ずかしいって」
中野 「年頃の女の子じゃなくても、この曲はちょっと躊躇しますよね(笑)」
南波 「でも、自分も含め、いろんな人がこの曲を絶賛したら本人たちも自信をつけて、今ではすごく楽しそうに歌ってるんです」
中野 「いいですね(笑)。話のベクトルが違っちゃうかもしれないけど、Perfumeのあ〜ちゃんが最初テクノポップとかよくわからなかったのが、やり続けているうちに好きになっちゃった感じですかね。彼女たちも最初は“鳩でいいのだろうか?”って思ってたんでしょうね」
南波 「今では、ファンの人も“ポッポー”ってコールを入れるようになって(笑)」
中野 「ていうことは、Negiccoでいうところのネギみたいに、いまやPOP‘N KISSといえば鳩みたいな感じになってるんですか?」
南波 「なってますね。ライヴの最後にこの曲を歌って締めるみたいな」
中野 「代表曲になったんですね。グッズも鳩のマークとか使われてるんですか?」
南波 「いや、そこは普通ですね」
中野 「せっかくだったら、鳩のグッズとか作ったらいいのに」
南波 「彼女たちは他の曲もちょっと変わってて、昭和歌謡テイストがあって、おもしろいです」
ランドセルズ www.randoseruz.com
南波 「ランドセルを背負える子じゃないと所属できないグループです」
中野 「さくら学院の小学生版みたいな?」
南波 「そうですね。この曲も面白いですよ」
「ハーモニー」
南波 「ポイントはリコーダーとピアニカです」
中野 「本人たちが演奏してるんですか。斬新ですね」
南波 「間奏で楽器演奏が出てくるんですけど、スティーヴ・ライヒみたいなんですよ(笑)。すごくミニマルで」
中野 「〈ハーモニー〉って言ってるぐらいだし、ハーモニーがめちゃくちゃきれいですね。もっと子供っぽい感じなのかと思ったら意外と声とかしっかりしてて」
南波 「ライヴが少ないんですよね」
(間奏)
南波 「キタ!」
中野 「あ、ライヒ(笑)。やばい! ありますね、ライヒでこういうの。でも、いい曲ですね。こういう作品って、割合としてどれくらいあるんですか?」
南波 「数えたことないですけど、おおっって思うのは20枚に1枚ぐらいですかね。紹介していないCDが部屋にめちゃくちゃあります」
中野 「やっぱりそうなんですね。ご飯屋さんとかそうですけど、いろいろ行った中で、やっと旨い店に出会えたみたいな」
南波 「そうそう。あと、いっぱい聴きまくってると、“これはここが面白いのではないか?”みたいなニッチな聴き方ができるようになってきて」
中野 「聴き方のパターンが増えるわけですね。一聴すると単に歌が下手なだけだけど、“もしかしたら、これって魅力なんじゃないか?”とか」
南波 「そういう意味では、今までいろんな音楽を聴いてきて、よかったなって思いますね」
中野 「音源を聴いて、ライヴだとどうなんだろうって考える楽しみもありますしね」
南波 「といった感じで、一気に聴いてもらったわけですが」
中野 「どれも濃かったです(笑)。それにしても南波さんは本当にすごいCDをいっぱい持ってますね」
南波 「まあ、地獄みたいですけどね」
中野 「はははは」
南波 「ほんとツラいのも多いんですよ(笑)」
中野 「逆に南波さんに聴いてほしいって持ってくる人とかいるんじゃないですか?」
南波 「いや、みなさん僕がこういう仕事をしていることとか知らないと思いますよ。勝手にこっちが取り上げて紹介させてもらうことのほうが圧倒的に多いですね」
中野 「へー」
南波 「冒頭でお見せした手紙にも“一海さん”って書いてあったじゃないですか。当然知らないわけですよ」
中野 「完全にタメ口でしたからね(笑)」
南波 「でも、そのくらいの距離のほうがいいなって思ってます」
中野 「どれも良かったですよ。でも、南波さんがハマってるのはプランタンなんですね(笑)」
南波 「はははは。全部好きなんですけど、プランタンは自分的にはかなりグッと来てるっていう。でもレイヤーがいっぱいあって。いずこねこを聴くときと、プランタンを聴くときって、やっぱり違うじゃないですか。自分でも聴くモードが毎回変わってる感じがします。アイドルっていろいろジャンルがありますよねとか言うけど、性別と年齢で区切ってるぐらいのもんじゃないですか。そもそも音楽性で区切るようなモノでもないから、そりゃいろんなジャンルがあるだろうって話ですよね」
ももいろクローバーZ 「GOUNN」
南波 「最後に中野さんの近況もお聞きしたいと思うんですが、一番大きなトピックは、やっぱり、ももいろクローバーZの〈GOUNN〉にドラムで参加されてることですよね。中野さん以外もすごい面子が集ってますけど、あれってどうやって集まったんですか?」
中野 「アレンジャーの木村篤史さんが決めたみたいですね。一度、バンド系の人とやってみたいって気持ちがあったみたいで。木村さんが想像してた最強のメンバーだったと思うんです。選んでいただいて、すごく光栄ですね」
南波 「実際、みなさんとは?」
中野 「お会いできてないんですよ。レコーディングは別で」
南波 「じゃあ歌入れも」
中野 「別です。だから本人たちとは会えてないですね。ももクロとはニアミスが多くて。以前もCDショップ大賞に一緒に出たんですけど特に絡みはなくて。僕、サイドでワーって盛り上がってたんで、メンバーと目は合ってたんですけど」
南波 「はははは。ファンじゃん!みたいな(笑)」
中野 「『ミュージックステーション』でも一緒でしたし、“この人、見たことある”ぐらいの感じだと思うんですよ。でも残念ながら挨拶はできてないっていう。今回レコーディングの話が来て、“ついに対面か?”と思ったんですけど(笑)」
でんぱ組.inc 「でんでんぱっしょん」
初回限定 最上もが盤
南波 「これからあるんじゃないですか? でも、でんぱ組.inc〈でんでんぱっしょん〉のリミックス(ピエール中野が叩いてみた Remix)もそうですけど、今後、制作側で関わっていくことが増えていきそうですよね」
中野 「たしかに“ドラムお願いできるんですか?”とか聞かれることは増えてますね」
南波 「ご本人的には?」
中野 「全然、いつでもオファーくださいって感じです」
南波 「この話を載せたらめちゃくちゃオファー来ますよ(笑)」
マネージャーN氏 「大丈夫ですよ」
中野 「全然叩きます!」
南波 「以前、アップアップガールズ(仮)ともそんな話があったみたいですけど」
中野 「〈推し事祭〉ですね。トーク中に中野さんへの質問というコーナーがあって、そのときに“うちの曲叩いてください”って言われたんで、“ぜひ”って答えたら、すかさず“いつにします?”って聞かれて(笑)」
南波 「グイグイ来る子たちですからね(笑)」
中野 「(アップアップガールズ(仮)に楽曲を提供している)PandaBoYくんが“でんぱのリミックスすごいよかったです!”って言ってくれて。PandaBoYくんと何か一緒にできたらおもしろいですよね」
南波 「それは聴いてみたいですね」
編集担当 「そもそも一番最初のアイドル仕事って何になるんですか?」
中野 「Perfumeがらみで『Quick Japan』にコメントを出したのがたぶん一番最初だったと思うんですけど」
南波 「最初にハマったアイドルがPerfumeだったんですよね」
中野 「はい。握手会にはじめて行ったのがPerfumeだったんですけど、それまではそういう世界があることも知らなくて。今でこそ、握手のためにCDを複数買いすることって知られてますけど、当時はそれが衝撃的で」
南波 「最初はそう思いますよね」
中野 「“2周目? 同じCDでしょ? それってありなんだ!”と思って。この文化は相当面白いと思ってPerfumeにハマったんです。Perfumeは音も人柄も素晴らしかったし、現場の人も優しいし。それがきっかけになってPerfume以外のアイドルにも興味を持つようになって、いろいろオファーが来るようになったんです」
南波 「そして今では音源制作にも関わるようになって」
中野 「そうなんです。これからもいろいろやれたら楽しいですよね。今DJで曲をかけながら電子ドラムを横に置いて、勝手に叩いたりとかやってるんで、そういうのでもいいですし」
南波 「たとえばランドセルズにドラムで参加するとか(笑)」
中野 「それはヤバイ(笑)!」
南波 「ピアニカを吹く小学生と一緒に、ピエール中野がドラムを叩きまくってるっていう(笑)」
中野 「何よりもまず絵的にヤバいでしょ(笑)」
取材・文 / 南波一海(2013年11月)
撮影 / SUSIE
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