眉村ちあき 弾き語りトラックメイカーアイドル あらゆる面で成長した渾身の新作

眉村ちあき   2020/01/09掲載
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 “弾き語りトラックメイカーアイドル”眉村ちあきが、2019年5月の『めじゃめじゃもんじゃ』以来8ヵ月ぶりのアルバム『劇団オギャリズム』を発表した。
 ミディアム・テンポの「DEKI☆NAI」で始まる冒頭から新鮮だ。「顔面ファラウェイ」ではライヴハウスの外にみずからの音楽を届ける意志を表明し、「壁みてる」「おばあちゃんがサイドスロー」ではファンキーに自由に跳ね回り、「チャーリー」は歌詞を書き換えた2ヴァージョンを収録、「ぬ」ではすべての楽器をみずから演奏したり、「夏のラーメンワルツ」「緑のハイヒール」などでは“抜き”の技を見せる。曲調、トラック、メロディ、歌詞、歌唱と、あらゆる面での成長を証明する作品といえる。
 23歳になってちょっと大人っぽくなった彼女。アルバムのことから、この1年での変化、ファンへの思い、代表曲とされる「大丈夫」をめぐる葛藤などに話題は及んだ。
眉村ちあき
『劇団オギャリズム』
初回限定盤[CD+DVD] TFCC-86697
通常盤 TFCC-86698
――テンポがゆっくりめの曲が増えて、心なしか大人っぽくなった印象を受けました。
 「もともとゆっくりめの曲が好きなんですよ。だから好きなのをただ作ったって感じだけど、大人になったのはなったと思います。この1年間で」
――ご自分ではどういうところで大人になったと感じますか?
 「えっと、気配りをするとか、あと共演者さんと仲良くするとか」
――前は仲良くしていなかったんですか?
 「できなかった。しゃべれなくて。いまはちゃんと笑ってしゃべります。あと、この発言をしたらこの人が傷つくからやめよう、とか一回考えて発言するようになったりしました。曲の作り方も、ライヴハウスに来てる、顔が見えるファンだけじゃなくて、YouTubeの画面の向こうの人のことを想像して作ってみよう、とか。大きくなりました、見てるところが」
――テンポの速い曲は顔が見えるファンへのサービスという面があった?
 「ライヴで盛り上がりたいからとか、楽しくやりたいからって作ってました。今回は、ライヴでももちろんいいけど、音源だけでも、わたしが踊ってたりするのが見えなくてもちゃんと気持ちよくなれる曲が作りたいなって思うようになりました」
――そういう作品にするために気を遣ったところというと、テンポ以外にはどんなことがありますか?
 「歌詞です。前の前のアルバム(『ぎっしり歯ぐき』)とかは自分でも意味わからない歌詞がけっこう入ってるけど、今回はちゃんと、ここで言ったことをここで回収するとか、計算して書いたのもすごいあるし、意味わからないと見せかけて、全部ちゃんと意味がある歌詞にしました」
――意味がわからないようで意味がある、というと「おばあちゃんがサイドスロー」あたり?
 「これはラジオ番組(文化放送『レコメン!』2019年5月13日放送)で、ラジオネーム“おばあちゃんがサイドスロー”さんからの質問です、って言われて“誰?”って思って“その曲作るね!”って言って作ったんです。意味は、ごみ箱の中でおばあちゃんがサイドスローしてるってことなんですけど(笑)、映画『IT/イット』(90年)みたいな。下水道からピエロが覗いてるやつ。あれをイメージしました」
――ほかにはそんなに意味のわからない歌詞は……「ぬ」はわかりませんでしたけど(笑)。
 「〈ぬ〉は聴いてる人に“いまの数分間、何してたんだろ?”って思わせたい曲です。“なんだったの? いまの時間”ってなったら成功。“ぬ”としか言ってないけど、歌詞カードに“ぬ”が一個もないのがポイントです」
――楽器は全部自分で演奏したんですよね? 笛とかハーモニカとかでんでん太鼓とか。
 「やりました。解禁までずっと“眉村ちあきがすべての楽器を生演奏!”っていう感じで打ち出して、(いざ聴いたら)膝から崩れ落ちる感じにしたかったんです」
――“これかよ!”って(笑)。「アハハハハ」は森ビルのことを歌っていますね。
 「これは森ビルのCMソングなんです。ラジオの(J-WAVE『TOKYO PASSPORT』9月24日放送)。でも森ビルのことを知らなすぎて。木がいっぱい生えてるビルかと思ってました。“みんなーーー森ビルに向かって、競争よーーー!”って言って、“アハハハハ アハハハハ アハハハハ”って動物たちが森に行くんですよ」
――(笑)。「チャーリー」は2ヴァージョン入っていますね。ボーナストラック扱いの“レコーディング前日までこれになる予定だったVersion”で歌った内容を、8曲目の最終ヴァージョンでは説明した上で別のストーリーを語るという、あまり耳にしたことのないパターン。どうしてこういうふうにしたんですか?
 「元のヴァージョンをある合唱曲のコンペに出したんですよ。でも落ちたから、アルバムに入れたくないなと思って。だって落ちたし。そしたらスタッフさんがみんな“入れたほうがいい”“いい曲だから大丈夫だよ”って言ってくれて、“ありがとう”ってなったけど、モヤっとした状態でレコーディングを迎えたくないなと思って、前日に“そうだ、いまから変えよう!”と思ってドフーって変えました」
――最終ヴァージョンは、元のヴァージョンの“実はお互いが羨ましかったって大人になって わかり合う”“1番と2番で 性格の違う 学生”を見守っているようなイメージを抱いたんですが……。
 「全然違くて(笑)、元のヴァージョンは1番と2番で学生たちが葛藤してるんですけど、最終ヴァージョンは“前日に変えたよ”みたいなことを歌って、自分のファンの子供たちに向けて、大きくなってこの歌詞の意味がわかるようになったら……って歌ってます。いっぱい来るんですよ、ライヴに」
――文字どおりの意味なんですね。勝手に深読みしちゃいました。
 「深読みしてもらったほうがいいです。いろんな解釈があったほうがうれしい」
――大人っぽくなったと感じたことにはこの曲も関係しているんです。自分よりも幼くて弱くて小さいものへの視線が出てきたのかなって。
 「わたしは大人っぽくなりたいです。いつも。本当は。でも“小学生みたい”って吉田豪に言われるし、みんなに子供って言われる。ジャケット写真も大人を目指したんですよ。おでこ見せたことないから、見せたらみんなびっくりするんじゃないかな、とか。あと大人な歌詞も書いてみたり、ちょっと挑戦しました。フフ」
――「チャーリー」には両ヴァージョンとも “大人になったら”というくだりがありますしね。「タイムスリッパー」「あたかもガガ」「緑のハイヒール」あたりも大人っぽいと思いました。曲調もしっとりしているし、ラブソングだし。
 「大人といえば大人かも。わたし、前にあるアーティストさんのファンの人に“あなたの歌詞よりこの人のほうが深いから”みたいなコメントされたことがあって。でもその歌手の人は31歳とか32歳とかで、そもそも歳がこんなに違うじゃん! って思って、わたしはそのとき22歳だったんですけど、22歳のわたしだからこそ書ける歌詞が絶対あるもん! って思って。30歳ぐらいの大人加減ではないけど、23歳なりの大人です、これは」
――同世代くらいの女の子にはわかってもらえそうな感じというか。
 「わかると思う。〈緑のハイヒール〉とか、とくにわかってくれると思う」
――これはすごくすてきな歌だと思いました。
 「ありがとうございます。これ、すごい頭使いました、書くとき」
――わかります。“緑のハイヒール 履く理由は 目にいいから”で始まって、なんで?と思ったら“涙を隠そうと下を向くたび 目が良くなるでしょう”と続いて納得するし、その向こうに主人公の人柄や生活が透けて見えてくる。
 「うれしい! 涙を隠すついでに目を良くするために履いてるけど、泣かなくていいようになったからもう履かない、ちゃんと最初に言ったことを最後に回収してるんです。計算し尽くされた歌詞です」
――すばらしい! ストーリーのある歌詞について、以前はクリトリック・リスに学んだって言っていましたが……。
 「いまも学ぶときもあるし、ほかの人からも学んだりします。でもこれは、なんとなく回収できる歌詞を作ってみようと思って、誰に影響されたとかじゃなくって、思いつきでやってみました。わたし、28歳ぐらいにも見えるし15歳ぐらいにも見えるって言われるんですよ。そんな感じかもって思いました。〈スクワットブンブン〉とか」
――僕は眉村さんを見ていて28歳とも15歳とも思いませんけど、言われてみると「スクワットブンブン」はひとつの曲に15歳と28歳が両方入っている感じがしますね。
 「そうなんです。せつない曲なんですよ」
――年ごろの女の子感と、スクワットでぶっ飛ばす元気さと。
 「そう、年ごろの女の子感。だから自分のことが不思議になりました」
――「あたかもガガ」もすてきな歌です。
 「ありがとうございます。最後、ダークな音を使って“パリーン”っていう音とか混ぜてるんです。歌詞は前向きな女の子の歌だけど、アウトロでダークになって、果たして本当にそう(前向き)なのか? っていうのを表現しました。音で歌ったじゃないけど、音で歌詞の続きを表現した感じです」
――「スーパードッグ・レオン」は亡くなったワンちゃんへの手向(たむ)けの歌ですよね。
 「たむけん?」
――違います(笑)。レオンに贈った歌ですよね。
 「たむらけんじさんかと思った(笑)。そうなんですけど、あえてハッピーな歌にすることで、泣きながら踊れるというか、笑いながら泣けるみたいな。そういう曲がすごい好きだから、わたし」
――ラジオ(TOKYO FM『SCHOOL OF LOCK!』2019年12月6日放送)で、クリトリック・リスの「おかんのカレーライス」に感動した話をしていましたね。
 「わたしもお母さんのカレーライス大好きだから泣いちゃって。〈おかんのカレーライス〉を聴いて3日後ぐらいに作りました」
――「夏のラーメンワルツ」は3にかけているんですか? ラーメンが3分でできるから3拍子、とか。
 「……ハハハッ!」
――またもや深読み失敗(笑)。
 「すごい! でもそうやっていろいろ解釈してもらえたらめっちゃうれしいです」
――インタビューで自分の解釈をあてるってよくやるんですけど、だいたい外れます。
 「じゃあ一回ぐらい“はい、そうです”って言いますね」
――ありがとうございます。お気遣いなく(笑)。
 「ワルツを作りたいって思ったのと、ミーンミーンの音を使いたいって思った時期が重なったので一気にまとめちゃいました。歌詞は情景を説明するだけで幸せな感じを表現したいなって思って、ふたりでラーメンにお湯を注いで手をつないで待って、硬麺が好きだからいつもは早めに開けるけど、もうちょっと手をつないでいたいから今日はやわらか麺にしよう、って。そこから広がってこうなりました」
――やさしい情景です。このアルバムでまだライヴで披露してないのは3曲ですか?
 「そうです。〈ぬ〉と〈チャーリー〉と〈タイムスリッパー〉」
――眉村さんは新曲ができるとすぐライヴでお披露目しますよね。
 「やめたいんですよ、それ。ちゃんとミュージック・ビデオ作ってから解禁したいのに、待てない……」
――(笑)。「タイムスリッパー」もすてきな歌だと思います。
 「この歌詞はすっごい悩みました。大人の人が学生のころを思い出して、タイムスリップして過去に戻るんですけど、先生のことが好きなんですよ。先生のことが好きな自分が好きっていう。わたしも高校生のとき先生のこと好きだったから。誰かのことを好きになってないとやることなさすぎて、なんで生きてんだっけ、みたいな。生きてる理由とか学校に行く理由を見つけられなくて。本当は好きじゃないんですよ」
眉村ちあき
――好きになることにして、この歌みたいなイメージを頭のなかで作っていたんですね。
 「そう。自分のなかでふくらませた妄想です。この子(歌の主人公)も先生のことを好きじゃないけど好きだって自分に思い込ませて、人生をちょっとでも楽しくしようとしてるんですよ。で、"あんなこともあったな"ってアラサーぐらいの女の人が思い出してる感じ。本当は、おじいちゃんが若いころ妻と一緒に過ごした日々を思い出す曲にしようと思ってたんですけど、わたし結婚したことないし、歳もとってないから、ウソすぎになっちゃうと思ってやめました」
――眉村さんの曲って、前作に入っていた「おじさん」なんかもそうですけど、自分が経験したことを歌っているわけではないのに自分のことみたいに聞こえることがあって、そこがすばらしいと思います。
 「普通に自分のことを歌ってる曲もめちゃくちゃあるから、あたかもそう見えるんじゃないかと思います」
――「DEKI☆NAI」や「壁みてる」は比較的、自分のことを歌っている系ですよね。
 「はい。想像するのが得意なんです。この設定で、この子はこういう気持ちで……とか。そしたら(主人公が)自分みたいになっていきます」
――そこで性別を入れ替えたり世代を変えたりすると、いろんな立場の歌になるみたいな。
 「でも男の子のこととかは想像しづらいから、男勝りな女の子のモードに入るとか」
――「私についてこいよ」がそれですね。これと「顔面ファラウェイ」はお客さんに向けて歌っている感じです。
 「まっすぐ。〈顔面ファラウェイ〉はライヴで、わたしよくお客さんに“バカだねー”とか言うんですよ。いい意味で。どうして一人ひとり抱きしめられないんだろう、と思って。一気に抱きしめられる曲がほしいと思って作りました」
――それで思い出したんですが、僕は前作の「Queeeeeeeeeen」という曲がすごく印象に残ったんです。その前から眉村さんの歌う姿にフレディ・マーキュリーに通じるものを感じることがあったので、勝手に“つながった!”って(笑)。のどちんこが見えそうなぐらいガバーッと口を開けて歌う感じが。
 「ガバーッて開いてますか? ……開いてるわ(笑)。写真見ると“なんだこれ!”ってなります」
――“お客さん一人ひとりを抱きしめたい”っていう感覚は、フレディも持っていたんじゃないかなって思うんです。勝手に感じていただけですが。
 「持ってたって言ってました」
――どこかで発言を読んだんですか?
 「いま見えました」
――フレディとつながったんですね。「顔面ファラウェイ」の話に戻すと、まっすぐなファンへのラブソングである一方で、最初にも話していましたが、“まず1000万回再生の曲を作るんならもっと視野を広げなきゃ ライヴに来てくれる人以外にも届くように”と、その向こうも見ようとしていますよね。
 「ライヴ受けはするけど、音源受けは負けるんですよ、ライヴに。ライヴのほうがいいのは当たり前なのか、生だし。でも、なんだろう。ライヴに来る人って普通じゃないですよね。頭がちょっとおかしい人とか」
――すごく好きな人ですね(笑)。
 「普通は学校に行って部活して帰るじゃないですか。ライヴに寄って帰らないじゃないですか。そういう人たちにも聴いてもらえる曲がほしいって思いました。かつ、会場のみんなも抱きしめられる曲。だからとにかくキャッチーにしました。歌詞もまっすぐ、シャレずに、わかりやすく作った」
――どの曲にも“こういう人に聴いてほしい”というイメージがあるそうですが。
 「わりとでも女の子ばっかりかもしれない。同世代とか。なんでおじさんのファンばっかりなんだろう……女の子にばっかり歌ってるのに」
――おじさんといえば、10月のマキタスポーツさんのイベント(〈マキタスポーツのオトネタ大賞2019〉2019年10月18日、新宿ロフト)でライヴを拝見したんです。
 「あー、マイクスタンドに歯ぐきぶつけて出血したとき」
――そう。あのとき「大丈夫」を歌う前に、“この曲は嫌いだった。ほめられるのは『ゴッドタン』のおかげとしか思えなかった、でもマキタさんのラジオでかけてくれたのがうれしくて、作ったのはわたしだったって気づいて好きになれた……”というMCをしたじゃないですか(https://www.tapiocahiroshi.com/post/2019-10-28-makitasports-mayumura-chiaki)。あれでフロアの空気がガラッと変わったのが強烈でした。
 「変えにいきました。“あ、これいま言ったら空気変わるな”って思いついて。でもまさか歯ぐきから……いろいろ考えてからライヴをするじゃないですか。“ここでMCしよう”とか“ここのつなぎはこうしよう”とか。それなのに歯ぐきから血が出て台なしになって、せっかく固めてきたのにがっかりだよ! って思って泣いちゃいました」
――災難でしたね。
 「マキタスポーツさんに“自分でやったんだろ”って言われました(笑)」
――「大丈夫」ばかりほめられることに抵抗があったんですね。
 「ありました。だって、わたしのライヴっぽくない曲だし。またアコギ女子? みたいな感じじゃないですか。よく“アコギ女子ですね”とか言われて、だからエレキにしたんですけど、そういう感覚で“あー、〈大丈夫〉の子ですね”って言われたら、“それだけじゃないのに!”って思う気持ちが強くて。歌いたくない! ってなってました」
――マキタさんのラジオでかかったときにどうしてうれしいって思えたんですか?
 「ほめてくれたんですよ。忘れちゃったけど。それで自信になりました。そのひとことだけじゃなくて、きっかけはほかにもいっぱいあったんですけど、結局わたしが作った曲じゃん! って思って。わたしの一部なんだから、ちゃんとこの曲に向き合って歌おう、って思ったんです」
――えらい。
 「かわいい自分の子供なのにいじめてたみたいな気持ちになって、ごめん、って思って。Wiennersさんに相談したんですよ、悩んでたとき。そしたら“俺たちの〈蒼天ディライト〉もそんな感じだったよ。いまはちゃんとできるけど。そういうことあるよね。でも絶対に歌って損はしないよ”みたいに言ってくれて。それからとりあえず歌うようにはしてきて、いまは心から歌えるようになりました」
――それも大人になったことの一環かもしれませんね。
 「ちょっとだけ進めた気がする」
――昨日ライヴがあったじゃないですか(〈エアトリ presents 毎日がクリスマス 2019〉/2019年12月15日、横浜赤レンガ倉庫)。
 「キマグレンさんが主催のやつですよね。入りのときエレベーターの中で“キマさんかグレンさんか、どっちだろうね”ってマネージャーさんと話してたんですよ。そしたら通路の曲がったところにグレンさんがいたらしくて“グレンですよ”って言われて“わ――――――!”ってなって、“すみません! すみません!”って(笑)。そしたら笑ってくれて、やさしかった」
――僕は行けなかったんですが、見に行った友人から眉村さんが“今日のライヴを伝説にする”と言っていたと聞きました。「私についてこいよ」の“一度しかない 今日のこのいただいてる時間内で 私の全てを出す 今日が一番のライブ”というくだりは、そのことを思い出させます。
 「そういう気持ちにどんどん、どんどんなっていきます。前からあったけど、めちゃくちゃ強くなってます、いま」
――ライヴがないと調子悪くなっちゃうんですよね。
 「情緒が保てなくなっちゃうんです。ライヴっていうか、ファンに会えないと“生きてる意味ない!”って。ファンに会えれば、たぶんオフ会とかでも保てます」
――それだけファンの方たちが大切なんですね。
 「友達以上の感覚で接してます。認めてくれるから、わたしのこと。何をしても肯定してくれて、安心できるし。あと、とにかく一緒にいて楽しいです。“鬼ごっこしたい人ー!”って言ったら、したくない人もいるけどしたい人もいるから、したい人と遊ぶんですけど、遊ばない人もわたしが遊んでるのをニコニコ見ててくれて、すごいお互い幸せになります」
――眉村さんってある意味、インタビュアー泣かせのアーティストかもしれないなと思うことがあります。というのも、大事な話はわりとライヴのときにしちゃうから。
 「アハ、そうかもしれない」
――我々のような仕事でご一緒する人間よりも、ファンの方たちのほうがずっと眉村さんに近い存在なんだなって。
 「ファンの人たちがいちばん身近だと思います。何でも言える感じです。猫かぶらなくていいし、ヤなときは“ヤだー!”って泣いたりしても受け入れてくれるし。でもインタビュアーさんに八つ当たりしたら困られちゃうじゃないですか」
――僕は全然かまいませんけど(笑)、ビジネスの場ですもんね。ライヴももちろんお仕事でもあるけど……。
 「遊んでる感じです。でもインタビューのとき遊んだら何も書けないじゃないですか」
――書けますよ、何か。
 「わたしが急に“タッチ!”ってやったら鬼ごっこできますか?」
――できます! やりましょうか。
 「キャハハ!」
――ただ、ハンカチ落としはやったことがないのでわからないんですけど。
 「えー! 輪になって内側を向いて座って、ひとりがそのまわりをぐるぐる回って、誰かの背中の後ろにポトッてハンカチを落として、一周回ってタッチするんですよ。落とされた人は後ろを振り向いちゃいけないから手で探って、拾って追っかけるんです」
――今度やるとき混ぜてください! 話がそれちゃいましたが、メジャー・デビューから8ヵ月で何か変わりましたか?
 「最初の話と似てますけど、ツイッターとかに書く内容を気をつけるようになったり、発言にも気をつけるようになりました。だってわたしが生放送で“ちんこ”って言ったら終わりじゃないですか。スタッフ全員が悲しむし、いままで頑張って積み上げてきたものが全部なくなるから。わたしの発言で壊れちゃうものがあるんだ、って思ったら……キャハハハ、でも言ってみたいけど。生放送で」
――そこは我慢してください(笑)。
 「70歳ぐらいになったら言います。もう退職しますって前日とかに。最後に“眉村ちあき さよならスペシャル”の生放送を組んでもらって、ずっと“ちんこ、ちんこ”って(笑)。それやろう、絶対。そのために70歳まで売れなきゃ。あ、でもミュージシャンって引退するより亡くなったほうが伝説に残るから、亡くなる前夜スペシャルみたいのやって、次の日から死んだことにしてのうのうと生きたいです」
――生放送で“ちんこ”って言いまくって、“眉村ちあきは死にました”(笑)。
 「やりたーい! 誰もやらないでほしいです。この記事読んで70歳ぐらいの俳優さんとかが真似したらどうしよう。“やめろよ”って書いといてください」
――わかりました。これは眉村ちあきのアイディアだから真似しちゃダメです! そろそろ時間ですが、最後がちんこの話で終わっちゃったらアレなので、いまの気分で答えていただければいいんですが、2020年の眉村ちあきはどんなことをやっていきたいですか?
 「えっと、パッとした目標は1万人規模に突出したいです。2000〜3000人の規模でずっとやってたら利益的にむずいって聞いたから。2020年は動員1万人いきます!」
――パッとした目標は動員1万人として、パッとしないほうの目標は?
 「男の人とデュエットしたいです。(明石家)さんまさんとか」
――どうしてさんまさん? 歌がヘタだから?
 「ヘタそうだから(笑)」
――鋭い。いまはわかりませんけど、昔は本当にヘタでした。
 「最高ですね。歌がヘタな人と絶対コラボしたい」
――僕も見てみたいです。
 「さんまさんにデモ送りつけようかな。“あなたとわたしの曲です”って書いて。送ったら教えますね」
取材・文/高岡洋詞
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