【南 里沙 Minami Risa】クロマチック・ハーモニカの世界を伝えたい――楽器の可能性を詰め込んだ2ndアルバム

南里沙   2015/09/08掲載
はてなブックマークに追加
 デビューから2年、オーケストラとの共演やジャンル不問のコラボレーションなどで活躍し、自身のコンサートを開けばチケットが即完売という人気クロマチック・ハーモニカ奏者の南 里沙が、オリジナル・アルバムとしては第2作となる『El Mundo -エル・ムンド-』をリリース。ハーモニカの可能性を追求し、群を抜く表現力で奏でる音楽はハーモニカのイメージを一新する。
――最新作にはピアソラの「リベルタンゴ」、キャロル・キングの「君の友だち」、ショパンの「夜想曲第20番」といったさまざまなジャンルの名曲からオリジナル曲まで、多彩な曲が収められていますが、どのようなアルバムにしようと考えていたのですか?
 「クロマチック・ハーモニカと出会ってから7年くらいになりますが、この楽器の魅力はクラシックもジャズもポップスも童謡も演歌も演奏できる幅の広さにあると感じています。でも、皆さんがハーモニカからイメージするのは、どうしても〈夕焼け小焼け〉や〈荒城の月〉だと思うんですよ。なので、こんな曲も演奏できるという、ハーモニカの可能性を広げていけるアルバムが作れたらいいなと思っていて、1stアルバムの『Mint Tea』のときからジャンルの境界線をもたずに、いろいろな曲を1枚のアルバムに収録するようにしてきました。アルバム・タイトルはスペイン語で“世界”という意味です。クロマチック・ハーモニカの世界を皆さんにお伝えしたいという気持ちを込めました」
――チック・コリアの「スペイン」は技巧的なメロディを正確に演奏し、なおかつ一つひとつのフレーズにハーモニカならではのニュアンスを加えているのがすばらしいですね。
 「ドイツの世界大会ではギターの渡辺具義さんとデュオで演奏した思い入れのある曲です。ライヴでもよく演奏するので、南 里沙のファンの方なら“あっ! 里沙ちゃんの曲”と思っていただけるのではないでしょうか。この曲を演奏するときはいつも情熱的な部分と切ない部分をどういうふうに吹き分けるかということを考えています」
――「スペイン」は典型ですが、アルバムにはハーモニカの技法が盛りだくさんで、ハーモニカが色彩感豊かな楽器であることを伝えています。
 「一般的に弦楽器は音程で、管楽器は音量でビブラートをかけますが、ハーモニカの場合はどちらもできてしまうので、両方が融合したすごく特徴的なビブラートになっていると思います。舌の動かし方だけで音程を半音近く下げることもできるし、サックス奏者の方がわざと息漏れを入れるようなサブトーンも表現できます。吸音もハーモニカの特徴ですね。ほかに吸って音が鳴る楽器は和楽器の笙が思い浮かぶくらいですから、吸音はほかの楽器には真似のできない音なのかなと思います」
――PVも制作された「諸刃の剣」は田中公平さんが作・編曲した書き下ろし作品ですが、どのような依頼をしたのですか?
 「ハーモニカの新しい世界を開いていただきたいということを、まずお伝えしました。若い世代の人たちにかっこいいと思ってもらえるような1曲を書いていただきたかったんです。真ん中にソロの部分があるんですけれども、“そこはお任せします”と言っていただいて、ドキドキしながらもハーモニカだからこそできるフレーズを入れました。ハーモニカがオーケストラと演奏できる曲というのはまだまだ少ないので、このような聴いている人に伝えやすいメロディを作曲していただけたことは本当に嬉しく思っています」
――スケールの大きな曲調のなかでハーモニカが高らかに鳴り響いていますね。
 「私、もともとオーボエをやっていて、いつの日かオーケストラをバックにソリストとして演奏したいという夢をもっていました。楽器はクロマチック・ハーモニカに替わりましたが、オーケストラと演奏するときはいつも、ハーモニカをおもちゃではなく楽器として認めてもらえる喜びを感じながら演奏しています」
――オーボエをやっていたことがハーモニカを演奏するうえでプラスになっていることはありますか?
 「たくさんあります。たとえばオーボエのときはビブラートの理想の形というものをずっと考えていたんですが、それがハーモニカに当てはまるんです。またオーボエもハーモニカもリード楽器で、ハーモニカを吹いていると、リードに直接触れていなくても、リードの振動が感じ取れます。その振動を響かせるという意識は、オーボエ奏者だったからこそ得られたのかもしれません」
――ハーモニカ奏者になったきっかけは?
 「オーボエをやっていたとき、リードは自分で削らなくてはいけないので、インターネットでプロの方が削ったリードの画像とかを調べていたんですよ。それでいろいろとリードで検索していたらハーモニカのリードという項目が出てきて、ハーモニカもリードなんだって知ったんです。それで興味をもって吹くようになりました。最初はオーボエもハーモニカも演奏していこうと思っていましたが、どちらも片手間にできるような楽器じゃありません。若い私が吹くことでハーモニカをやってみたいと思う人が増えたらいいなという思いで、いまはクロマチック・ハーモニカ一本で活動しています」
――ホーナー社のハーモニカを使っているそうですが、価格はおいくらなんですか?
 「55,000円です。意外と安いでしょ(笑)? 4オクターブの、私が使っているのと同じような型のハーモニカであれば2万円台後半くらいからあります」
――プロが使っているのと同じものをその価格で買える楽器ってそうないですよね?
 「はい。オーボエを吹いていた身からするとすごく安いんですよ。始めやすい楽器なので、多くの人に演奏を楽しんでもらいたいですね」
取材・文 / 浅羽 晃(2015年8月)
クリックすると大きな画像が表示されます
南 里沙
『El Mundo』発売記念コンサート

southrachel.p1.weblife.me

■ 2015年10月13日(火)
東京 渋谷 JZ Brat Sound of Tokyo
1st 開演 19:30
2nd 開演 21:00
前売 3,500円 / 当日 4,000円

※ご予約・お問い合わせ: JZ Brat Sound of Tokyo 03-5728-0168




■ 2015年10月24日(土)
兵庫 宝塚ベガ・ホール
開演 18:00
前売 3,500円 / 当日 4,000円

※ご予約・お問い合わせ: 南里沙コンサート事務局 090-6053-0362



※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 不安や焦りや苦しみをポジティヴに変換していく 杏沙子、初のシングルを発表[インタビュー] 赤頬思春期 アコースティックでファッショナブル 噂の2人組が日本デビュー
[インタビュー] 聴く人を架空のリゾートにご案内――Pictured Resortの新作が誘う日常からのエスケープ[インタビュー] THA BLUE HERB、全30曲入り2枚組の大作でたどり着いた孤高の境地
[インタビュー] Moonの待望の新作『Tenderly』は、スタンダードからグリーン・デイまで歌うカヴァー集[インタビュー] 小坂忠、再発された70年代のアルバム『CHEW KOSAKA SINGS』と『モーニング』を語る
[インタビュー] Suchmos、WONKなどのコーラスを手がけてきた大坂朋子がSolmana名義でデビュー[インタビュー] 話題の公演“100チェロ”を東京で行なうジョヴァンニ・ソッリマが代表作を語る
[インタビュー] 山中千尋、ブルーノートとペトルチアーニへの思いを胸に、新作でジャズのキラキラした魅力を伝える[インタビュー] ハロプロ スッペシャ〜ル特別版 卒業直前! 宮崎由加(Juice=Juice)ロング・インタビュー
[インタビュー] “シティ”から“タウン”へ “けもの”のユニークな創作のひみつ[インタビュー] 音楽史上初めて登場した“ミニマル・ネイティヴ”のヴァイオリニスト、マリ・サムエルセンのDG専属契約第1弾ソロ・アルバム『マリ』
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
新譜情報
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015