「“夢みたい”と思っていたところから、今は“夢を見せたい”と思っています」──ねごと会心のニュー・アルバム『5』完成!

ねごと   2013/02/06掲載
はてなブックマークに追加
「“夢みたい”と思っていたところから、今は“夢を見せたい”と思っています」──ねごと会心のニュー・アルバム『5』完成!
 ソフトなイメージもありながら、芯のあるサウンドを聴かせ、独自のスタンスで活動を続けるガールズ・ロック・バンド、ねごとが1stアルバム『ex Negoto』から約1年半ぶりとなるニュー・アルバム『5』を完成させた。前作から今作に至るまでには、ライヴ活動での壁、バンドとしての迷いがあったという。新作は4人が結束を固め、そうした困難を乗り越え作り上げた作品だ。現状を突破していく強い思いが込められた歌詞とメロディ、振り幅の広がったサウンド。はっきり言って2ndアルバムにしてこの成長ぶりは驚きである。キラリと強い輝きを放つアルバム『5』に込めた思いを蒼山幸子(vo、key)と、沙田瑞紀(g)に聞いていこう。




――まずは、去年の活動を振り返って、バンドとしてどんな変化がありましたか。
蒼山幸子(以下、蒼山) 「去年1年はすごく激動で、ライヴを大事にやってきたんですけど、そのライヴでいちばん悩んだんです。見せ方とか自信が持てない時期があって大変でした」
沙田瑞紀(以下、沙田) 「前に出るにもMCするにも、自分の中で壁を作っていた時期があったんです。それをどう壊そうかって。ライヴの空間や、もっと演奏を楽しまなきゃって、バンドの中で話し合いがどんどん増えていったんです」
――もともとそうした部分があったんですか? 急に迷いが出てたんですか?
蒼山 「今思えば、どこかでずっと悩んでいたと思うんです。そのときは、“なんで毎回頑張ってるのにいいライヴができないんだろう?”と思ったけど。原因は4人でひとつになれていなかったから。ねごとってケンカはしないんですけど、それって悪い意味でいえば相手に踏み込まないところがあって。でも、4人でひとつなんだという意識が強ければ、お互いのプレイに関して自分の意見も言えるし。そこが強くなきゃ、いいライヴはできないよねっていう結論になって」
――演奏に関して、相手の意見を聞けるようになったと。
蒼山 「それぞれプライドもあったけど、“バンドのために”という意識に向かうことができたんです。悩んでいたのは、“変わらなきゃ”って気持ちがすごく強かったからで、そこからいろんなことに向き合えたと思います」

「Lightdentity」

「nameless」

――そういう経験を経て、シングル3枚、アルバムと、4ヵ月連続リリースに挑戦したのもチャレンジですね。
蒼山 「実は、去年中にアルバムを出したかったんですけど、自信が持てなくて白紙になったんです。でも曲を作っていく中で、 4ヵ月連続リリース第2弾の〈nameless〉という曲ができて。その前の〈Lightdentity〉という曲は、悩んでることをそのまま書くのがひとつのチャレンジだったけど、 〈nameless〉はそのときの変わりたい気持ちが音にも歌詞にも表れていて。さらには、ねごとの存在を多くの人にどうしても気づいてほしいっていう強い気持ちも曲に出ているんです」
沙田 「2ndアルバムを良い状態で出したかったから、そのためには今まで通りじゃダメだなって」
――勝負に出たと。アルバム『5』は、全体を通じて突き抜けたい気持ちが詰まっているように感じます。アルバム自体は、どのような作品にしたいと思いましたか?
蒼山 「『5』というタイトル通り、ねごとって、もはやメンバー4人だけじゃなく+1で成り立っていると思うんです。1は聴いてくれる人や支えてくれる人。1 st アルバムの『ex Negoto』は初期衝動や4人でやってて楽しいという気持ちからできた曲が多かったんです。でも今回のアルバムに入ってる楽曲は、聴いてくれてる人がいるからこそできたと思っていて。リスナーと私たちを繋ぐアルバムになればいいなという思いがありました」
沙田 「今まで曲を作るときは、“聴いてください”っていう気持ちが強かったけど、今回は“聴いてくれるみんなと一緒に作ろう”という気持ちになれたんです。ライヴの空気はメンバーだけじゃ作れないし、その感覚がちゃんと音源に込められたのは今回が初めてでしたね」
――曲のクレジットが、個人名じゃなく、ねごとになったのも、そうした姿勢の表れですよね。
沙田 「そうです。4人で一体になって全力で次に向かいたいという思いがこもってます。そうすることで、いろんな作り方に挑戦できたし、4人でひとつの楽曲に対していろんな話し合いをしながら完成まで辿り着けたので」
――より音楽性の振り幅も広がりましたが、個人的にポイントになった曲を挙げてもらえますか。
蒼山 「1曲目の〈greatwall〉は、シングル3部作の2作目で、瑞紀がデモを作ってて、ちょうど、“ねごと”というクレジットにしようと話した直後にできた曲なんです。歌詞やメロディにみんなのアイディアが入ってて、初めてそれをきちんとまとめられた曲。メッセージにも、リスナーと私たちの壁を壊したいという意味を込めてるんです」

「たしかなうた」

――この曲は音数も少なくタイトで疾走感がありますね。
沙田 「〈greatwall〉は、4人で鳴らさないと意味がない曲で、音も引き算で考えたので無駄がないんです。あと、私のなかではシングル3部作の第3弾でもある〈たしかなうた〉が、みんなに届けたいという気持ちをいちばん多く持って作った曲です。この曲は1年半前に、幸子がメロディと歌詞を弾き語りで持ってきたんです。でも、ねごとの曲作りは、オケを最初に作ってメロディを乗せるというスタイルだったので、作り方がまったく逆だったんです。でも、曲に強いものがあるから、いつか形にしたいと寝かせておいて。今回、4ヵ月連続リリースが決定する中で、この曲を改めてやってみたいという気持ちが強くなって。4人の意地が、それぞれの演奏や音で見えるものになりました」
――「たしかなうた」はグランジ感のある曲ですが、そんなエピソードがあったんですね。
蒼山 「1年半前にあったものだけど、今、形にすることで、私たちの歌になったなって。それだけで曲の強さが増したと思う。不思議なんですけど、“やっとここまで来れたね”って去年1年を振り返るような歌詞が入ってたりして。今の私たちにしか出せない曲になったと思います」

「Re:myend!」

――なるほど。ニューウェイヴ感のある「Re:myend!」、ノイジーなロックンロール・テイストの「メイドミー…」、ピアノの音色とスピード感と高揚感のあるメロディがマッチした「そして、夜明け」など、どの曲もですが、率直に言って、歌詞も音の世界観も成長ぶりがハンパないです。
沙田 「ありがとうございます(笑)。今回、レコーディングの仕方も変わったところがあるんです。今までは4人で一発録りをしていたけど、その経験も重ねてこれたので、今回はひとりひとり録る形に挑戦したんです。そうすると、自分のプレイにもより向き合えるんですね。これまでは4人のグルーヴを形にしてたけど、今は全員やりたい形が見えているから、そこを目指してレコーディングしたんです。気を抜いちゃダメだと思ったし、どれだけ練習したかが音に出るし、それぞれがプレイヤーとしてのこだわりを持ってレコーディングに臨めたんじゃないかと思います」
――かなりストイックなレコーディングだったと。
蒼山 「今までにない緊張感が漂ってましたね。ただ、レコーディングのときまでにやることを細かく話し合っていたぶん、楽しくもあったんです。自分が思ってるものを表現すればいいって。自信にも繋がりましたね」
――ギター、キーボードにしても楽器の音色が、曲ごとに違うし、曲の中でも変わっていきますよね。
沙田 「やっぱり意味のある音を出したいと思って、フレーズに合った音を選んでいきました」
――ヴォーカル面での変化はありましたか?
蒼山 「自分がこういう表現をしたいっていうところまで、かなり事前に歌い込んでからレコーディングに挑んだところは今までとは違いますね」
――歌詞の書き方も変わりましたよね。
蒼山 「〈nameless〉辺りから、意識して一人称を使わなくなったんです。元からガールズ・バンドだとか、男女とか考えてなかったけど、でも女の子が“僕”とか“君”って一人称を使うと、決してそうじゃなくても、恋愛の曲に聴こえてしまうようなところがあって。より自由に聴いてほしいという気持ちもあって、あえて一人称をなくしてみたりしたんです」
――歌詞の世界でも、“近未来” “抜けたい” “光”とか、葛藤もありつつ前に向かっていく気持ちがすごく出ています。
蒼山 「今回、クレジットが“ねごと”で、他のメンバーが作詞してる曲もあるんです。〈潜在証明〉と〈メイドミー〉は、初めて(澤村)小夜子が中心になってメロディと歌詞を書いた曲。〈そして、夜明け〉は、瑞紀がメロディで(藤咲)佑が歌詞を書いています。最後の〈flower〉は、瑞紀が歌詞を書いていて。1 stでは私が全曲の歌詞を書いていたので、みんなの歌詞がすごく新鮮でした。ねごとの世界観を意識しているので、書いていることがすごく近くて、私たちおんなじキモチなんだなって分かって、すごくリアルだなと思いました」
――あえて揃えたんじゃなく、自然と同じ方向を向けていたと。ラストの「flower」は、オルタナ・フレイバーもありつつフランク・ザッパまで行っちゃってるようなサウンドが面白いです。
沙田 「私のザッパ好きが唸ってますね(笑)。ねごとはもともとこういう曲が好きで、これは初期の曲なんです。この曲は、この先もずっと変わらない持ち味を持ち続けるよって思いから最後に持ってきたんです。間奏をわざと長くしたのは、面白いことをしたかったから。奇抜なことがやりたいんじゃなく、面白い曲を作りたい。それが、ねごとらしさかなと思います」
――歌詞には、変わらないでほしいことへの思いが描かれてますが、「flower」は同時に人の心を指してるのかなと思いました。
沙田 「そうですね。曲の中では、人の目の中に映ってる花を想像していて。その人にしかない個性を花として見てるんです。あと、『5』という大きい花を咲かせたいっていう思いもあとから生まれたんです。〈nameless〉で種を投げて、〈greatwall〉で緑を増やして、〈たしかなうた〉で花を咲かせて、華々しく『5』を飾ろうって。そこから派生して、花や緑のイメージがアーティスト写真やMVとか、いろんなところに詰まっているんです」
蒼山 「5月からのツアーも〈GREEN and motion〉っていうタイトルなんですよ。やっぱり『5』ってタイトルにしたからには、ライヴで直接みなさんに届けて、一緒にその空間を作って、初めてアルバムが完成すると思っているので。 この1年、苦しかったときも信じてやってきたことが、やっと芽を出してきたなと思ってるし、全国ツアーはワクワクしてます。こういう気持ちになれてるのが嬉しいですね」
――それだけ充実した作品が作れたわけですね。では、話題を変えて、最近どんな音楽を聴いてますか。
沙田 「リンドストロームの新譜をよく聴いてます。最近はダンス・ミュージックに興味が向いています」
――おー、そうなんですね。アルバム収録曲でいえば、「トレモロ」はダンス・ミュージック的でもありますね。
沙田 「あ、意識してなかったけど、確かに。今はノリを大事にしたいなと思うんです。ライヴでもどうやったらノッてもらえるか、私たちが煽るだけじゃダメだなって。リズム感を提示すれば自然とノッてくれるのかなって」
――ノリ強化を目指してる?
沙田 「曲のコピーはしてるよね?」
蒼山 「うん。新曲制作を年始にやったとき、1日1曲コピーしようって、レッチリ、マルーン5、Scoobie Doの〈真夜中のダンスホール〉をコピーしたり」
――なんと(笑)。
沙田 「もともとコピーが好きで音楽を始めたので。自分たちの曲を作るのはもちろん、初心に返って他のアーティストさんの曲をコピーするのもいいですね」
――蒼山さんはどんな音楽を聴いてます?
蒼山 「私は最近ミュージカルにハマっちゃって(笑)」
――ミュージカルは意外ですね。
蒼山 「『オペラ座の怪人』とか『レ・ミゼラブル』のロンドン公演の映像を観てます。演技力はもちろん、生の歌の力が凄いなって。年末に、たまたま『オペラ座の怪人』のロンドン25周年の最後のシーンだけ観たら、それだけで感動して涙が出ちゃったんです。演じてる人の発してる力が凄いから、元気になりたいときにエナジーを浴びるみたいに観てますね。パワーをもらえる気がして。あと、本だと、フォーク・シンガーの友部正人さんが詩集をたくさん出していて、それを読んでます」
――さて、ツアーの先に目指してることって見えてたりしますか?
蒼山 「今年はもっとスピードアップしたい気持ちがあって。このリリースもその表れないんです。ねごとを知らない人に知ってもらう年にしたいし、ライヴ、イベントとか勝負できるとこにちゃんと出ていきたいなと思います」
沙田 「3月で大学を卒業するので、やっとバンドに専念できるんですよ。迷いなく進めると思うし、アルバム『5』が今のねごとのトップギアになので、そのトップギアを飛び越して、追突寸前まで行きたいです(笑)。どこに突入するか分からないけど(笑)」
――宇宙まで行っちゃいましょう(笑)。あと『5』は、イメージの世界ですけど、夢から抜けた感じがするんですよね。
蒼山 「夢見心地なところは、ねごとの良さだと思ってるんですね。ちょっと宙に浮いてる世界観みたいなものは大事にしていきたいけど、今回のアルバムは、今出したいものがすごく書かれてて、だから現実的な歌詞やメロディが書かれているんです。曲の世界観はその時々で変わっていくと思うんですけど、表現者としての意識はすごく高くなってると思います。“夢みたい”と思っていたところから、今は“夢を見せたい”と思っています」
取材・文/土屋恵介(2013年1月)
【ツアー情報】
〈お口ポカーン!! 卒業旅行は全国ツアー 〜GREEN and motion〜〉

2月15日(金)千葉LOOK ●出演:ねごと / SAKANAMON
2月16日(土)水戸ライトハウス ●出演:ねごと / SAKANAMON
2月17日(日)栃木HEAVEN'S ROCK Utsunomiya VJ-02 ●出演:ねごと / SAKANAMON
2月23日(土)神戸 太陽と虎 ●出演:ねごと / メレンゲ
2月24日(日)京都 磔磔 ●出演:ねごと / メレンゲ
2月28日(木)静岡 Live House 浜松窓枠 ●出演:ねごと / キュウソネコカミ
3月2日(土)岡山IMAGE ●出演:ねごと / 四星球
3月3日(日)島根 出雲APOLLO ●出演:ねごと / 四星球
3月9日(土)鹿児島 SR-HALL ●出演:ねごと / and more
3月10日(日)熊本 Django ●出演:ねごと / and more
3月23日(土)高知X-pt. ●出演:ねごと / and more
3月24日(日)香川 高松DIME ●出演:ねごと / and more
3月30日(土)宮城 仙台MA.CA.NA ●出演:ねごと / and more
3月31日(日)新潟GOLDEN PIGS RED STAGE ●出演:ねごと / and more
4月6日(土)岩手 盛岡Club Change WAVE ●出演:ねごと / and more
4月7日(日)福島 郡山CLUB #9 ●出演:ねごと / and more
4月13日(土)福岡BEAT STATION ●出演:ねごと / and more
4月14日(日)広島CLUB QUATTRO ●出演:ねごと / and more
4月19日(金)富山県 SOUL POWER ●出演:ねごと / and more
4月20日(土)石川 金沢vanvan V4 ●出演:ねごと / and more
4月21日(日)長野LIVEHOUSE J ●出演:ねごと / and more
4月29日(祝・月)北海道 札幌PENNYLANE 24 ●出演:ねごと / and more
5月18日(土)沖縄 桜坂セントラル ●出演:ねごと / and more

〈お口ポカーン!! 東名阪ワンマンツアー 〜spark of FLOWER〜〉

5月4日(土・祝)大阪 なんばHatch
5月6日(月・祝)愛知 名古屋CLUB DIAMOND HALL
5月11日(土)東京 Zepp Tokyo
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 架空の映画のサウンドトラックというコンセプト・アルバムを発表したKaede[インタビュー] 大井 健 コロナ被害からの再起 / みずからの新たな挑戦から生まれたクラシック・アルバム
[インタビュー] マチュー・ボガート  パリからロンドンに拠点を移し、“新しい絵の具”を使って作られた英詞アルバム[インタビュー] 人気女性ピアノYouTuberが“天空”にまつわる楽曲を弾いた煌めきの新作 朝香智子
[インタビュー] デビュー35周年の豪華シングル 西方裕之[インタビュー] パット・メセニー 新作はクラシック! 室内楽作曲家デビューを果たした『Road to the Sun』
[インタビュー] 小松亮太 アストル・ピアソラ生誕100周年を記念して「バンドネオン協奏曲」のライヴ録音をリリース[インタビュー] 次世代アーティストの発掘・育成・普及  Eggsプロジェクト
[インタビュー] 「勇敢」「希望」「仲間」をテーマに選曲した清塚ならではのディズニー・アルバム[インタビュー] 大人気ピアノYouTuberが“ノリノリ”と“癒し”の2枚のアルバムでデビュー ヒビキpiano
[特集] 2週連続企画 ジョン・レノン『ジョンの魂』 50周年を記念したアルティメット・コレクションの見どころ聴きどころ[特集] 2週連続企画 ジョン・レノン『ジョンの魂』 ビートルズ解散後に発表された初のソロ・アルバムを徹底解説
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015