日本のパンク・シーンに登場してから35年! 今も走り続けるNICKEYがベスト盤とミニ・アルバムを発表

ニッキー・アンド・ザ・ウォリアーズ   2019/11/20掲載
はてなブックマークに追加
 ニッキー&ザ・ウォーリアーズの紅一点シンガーとして、日本のパンク・シーンに彗星のごとく登場してから35周年を迎えたことを記念して、ニッキーが2枚組のオールタイム・ベスト『あたしのとりこ〜ALL TIME BEST 1985-2013〜』をリリース。パンク・シーンに衝撃を与えたウォーリアーズ時代はもちろん、ソロ時代も網羅した全40曲は、パンク・ロックからフレンチ・ポップスまで、パンク・クイーンの一言には収まりきらない音楽に取り組んできた彼女の活動を改めてアピールするという意味でも聴きごたえ満点だ。ベスト盤と同時にニッキー&ザ・ウォーリアーズの最新作『ワン・フロム・ザ・ハート』もリリースしたニッキーとともに35年の活動を振り返る。
――35周年おめでとうございます。35年間、活動を続けてきたことについて、どんな感慨がありますか?
 「ひとつのイメージに囚われたくないという思いがずっとあったんです。だから、始まりはパンク・バンドでしたけど、その後、フレンチ・ポップスっぽいものをやったり、アコースティックをやったり、歌謡曲というか、縁があって後藤次利さんに曲を書いてもらったりといろいろな時代がありましたね。でも、私はいろいろな表現をしたいという気持ちで、この35年間やってきたんです」
――今回のベスト盤を聴けば、おっしゃるようにニッキーさんがいろいろな表現に挑戦してきたことがわかるのですが、ニッキーさんみずから選曲しているということもあって、そこには一本芯が通っているように感じられます。
 「それはやっぱり私が歌っているので。結局、何を歌っても私なんですよ(笑)」
――いただいた資料に「もし歌うことを選んでいなかったら、別の表現者になっていたかもね??」というニッキーさんのコメントがありましたが、歌うことを選んだそもそものきっかけは?
 「中学、高校時代、いろいろなライヴハウスに出入りして、いろいろな音楽を聴いていたんですけど、自分が歌うことは正直、全然考えてなくて。だから、成り行きでこうなってしまったというか、そういう船に乗せられてしまったというか。もともと、(前身の)ロード・ウォーリアーズのメンバーと知り合いで、遊びに行った時に歌えよっていう感じで、最初は半ば無理やりやらされて(笑)。でも、それがどんどん楽しくなって、欲も出てきて、35年続いちゃったんです」
NICKEY
撮影 加藤正憲
――ライヴハウスに遊びに行っていたということは、音楽そのものはお好きだったわけですよね?
 「はい。もともと、ベイ・シティ・ローラーズとか、ABBAとか、メロディアスでポップなものが好きでした。日本のバンドだと、ロッカーズとか、ルースターズとか、シーナ&ザ・ロケッツとか、めんたいロックが好きでした。正直、最初、パンクはそこまで興味はなかったんです(笑)。もちろん聴いてはいましたけど、その中ではブロンディがいちばん好きでしたね。やっぱりポップなものが好きなんですよ」
――その当時、ロード・ウォーリアーズのメンバーは、ポップなパンク・ロックをやりたいと考えていたんですか?
 「たぶん、違うと思います。私が入る前は、メタルっぽい曲もあって、当時はドラムのKeigoがヴォーカルを取っていたんですけど、向いていないからって男性のヴォーカルを探していたんです。そこにたまたま遊びにいった私が歌ったら、いいじゃんいいじゃんってそのままライヴをやることになって。中にはイヤだってメンバーもいたみたいだけど、バーンとグラビアに載っちゃって。それでバンドのイメージが決まって、そのまま入ることになったんです。だから、そこからですよね。ポップな方向性に変わっていったのは」
NICKEY
撮影 加藤正憲
――その頃、ラフィンノーズをはじめ、ハードコア・シーンからポップなパンク・ロックをやり始めるバンドが現れてきましたが、その中でもニッキー&ザ・ウォーリアーズは女性ヴォーカルということで、さらに目立つ存在でした。当時、自分たちはパンク・シーンの中で新しいことをやっているという意識はあったのでしょうか?
 「そんなに意識はしていなかったですね。メンバーも私もハードなイメージの人たちとやりたいと思っていたので、かなりおっかない感じの人たちとやっていましたね。女性ヴォーカルのイベントなんか出たくないって言ってたんですよ(笑)。当時は、考えられないくらい生意気で。メンバーがみんなコワモテだから、何も怖いものはなかったんですね(笑)」
――バンドは大きな注目を集めて、リリースを重ねていきましたが、93年にソロ活動を始めたのは、なぜだったんですか?
 「爆音で歌い続けるのも疲れるかなって時期だったのかもしれませんね。それで、ソロを出してみないかと言われて、『Kiss And Run』というカヴァー集を出してみたら、評判が良くて。ソロでバックアップしたいと言ってくれる人たちが現れて、バンドとはまた違う活動に繋がっていったんです。私、物事を深く考えないので(笑)。やりたいものをやりたい、歌いたいものを歌いたいというタイプなんですよ。ファッションもそう。着たい服を着たいし、着たくない服は絶対イヤ。そこは昔からはっきりしている。感覚の人間なんです。だから、やりたいと思ったら、考えずにやっちゃうんです」
――ただ、バンドじゃないぶん、周りの、いわゆる大人たちからは、あれやれ、これやれといろいろ言われたんじゃないですか?
 「それはけっこうありましたね。でも、やりたくないものは絶対やらなかった(笑)」
――今回、ベスト盤には、後藤次利さんの作曲およびプロデュース、そして康珍化さん作詞の「見つめていたい」という、その頃、レコーディグした未発表曲も収録されていますね。
 「あれはすごく勉強になりました。『Kiss And Run』を出したあと、あるプロデューサーから声をかけてもらって、パンクの子をメジャー・デビューさせるという計画があるんだけどって、私が狙われたんですよ(笑)。作家の方が何人かいたんですけど、その中で後藤さんがすごく気に入ってくれて、有線ラジオ向けのプロモ曲として、〈見つめていたい〉をレコーディングしたんです。プロのセッション・プレイヤーとレコーディングすることも含め、いろいろなことが初めての経験で、ドキドキだったんですけど、新鮮で、勉強になりましたね。ほかにも3曲レコーディングしたんです。でも、私が悪いわけじゃないんですけど、大人たちにそそのかされて、最初に声をかけていただいたプロデューサーから離れることになってしまって、結局、残りの音源はインディで出そうって。今回、ベスト盤に収録されている〈好きだと言ってよ〉と〈テイク・マイ・ハート〉は、その後、録り直したヴァージョンなんです。本当はオリジナルの音源を入れたくて探したんですけど、見つからなくて、形になっていた〈見つめていたい〉だけ収録させてもらいました」
――そして、パンク以外のミュージシャンとやりたいと組んだNickey & Nostalgia Mad、Asian Raspberry's Vampというバンドを経て、ウォーリアーズの活動を再開したわけですが、やはり自分の居場所はウォーリアーズという気持ちがあるんでしょうか?
 「そうですね。私にとっては大事なバンドですね。やっぱりウォーリアーズをやりたい。それが大事だという気持ちになったんです」
NICKEY
撮影 加藤正憲
――再始動後、ソロ活動も挟みつつ、ウォーリアーズはマイペースに活動を続けているのですが、昨年と今年、2年連続で新作をリリースしたことを考えると、ここに来てまた活発になってきたようですね。
 「今、やる気モードが普通じゃないんですよ、私の中で。フル・アルバムってなると、時間もかかるし、今、メンバーが個々に活動もしているから、なかなか時間が取れないということもあって、だったらミニ・アルバムでもいいからコンスタントに速いペースで出したいと思って、前作の『TALKS TO RAINBOWS』から1年で、『ワン・フロム・ザ・ハート』をリリースしました。『ワン・フロム・ザ・ハート』は35周年ということで、原点回帰じゃないですけど、私なりのパンクを追求しようと考えて、THE STAR CLUBのHIKAGEさんをプロデューサーに迎えて作ったんですよ。ウォーリアーズを知らない人にも若い子たちにも聴いてもらえたらうれしいです」
――そういう作品がステレオタイプのパンクにはならないところがやはりニッキーさんらしい。
 「それは求めていないというか、枠に囚われたくないというのが根底にあるんです。それが私のパンクの形です。だからウォーリアーズとしてデビューした時も、ほかのバンドと同じパンク・ファッショなんてイヤだと思って、真っ赤なレザーのワンピースを着てたんです。ボンデージっぽいからパンクといえばパンクなんですけど、革のミニに破れた網タイなんてイヤでした」
――ベスト盤と新作の『ワン・フロム・ザ・ハート』が同時リリースということころがいいですよね。
 「どんどん新しいものをという気持ちがありますからね。もちろん、ベスト盤に入っているいろいろな曲も私なので、そちらも多くの人に聴いてほしいです」
――ベスト盤の全40曲は、どれも思い出や思い入れがあると思うのですが、中でもとくに思い入れがある曲と言ったら?
 「いちばんって言ったら、タイトルになっている〈あたしのとりこ〉かな。シルヴィ・ヴァルタンの曲を、私が日本語の歌詞を書いて、歌っているんですけど、ウォーリアーズのパンク・ロックと私が大好きなフレンチ・ポップスを融合させた成功例という意味で、これが私の中でのベストなんです。だから、それをベスト盤のタイトルにも選びました」
――いただいた資料の中には、「まだ全然満足してないんだけど??笑」というコメントもありましたが、これからのニッキーさんおよびウォーリアーズには、どんな夢がありますか?
 「自分なりにがんばってきましたけど、まだいろいろなことができると思うんですよ。それが何かは具体的には、まだわからないですけど、そういう意味で、全然満足していない。これからもっともっと新しいことにチャレンジしていきたいですね」
NICKEY
撮影 加藤正憲
取材・文/山口智男
Info
NICKEY
〈NICKEYトーク&リスニング・パーティ〉
11月24日(日)東京 新宿 ROCK CAFE LOFT is your room
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/rockcafe/131503

〈“ニッキー&ザ・ウォーリアーズ”スペシャル・ライヴ&トークイベント〉
12月7日(日)東京 新宿 dues
http://dues-shinjuku.diskunion.net/Date/20191207/1/

〈2020年NICKEY&THE WARRIORSツアー〉
2月21日(金)愛知 名古屋
2月22日(土)静岡
3月7日(土)京都
3月8日(日)大阪
※詳細はNICKEYのtwitterにて近日発表
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] KAITO もう一回自分を“ここ”に戻してくれた音楽たち[インタビュー] ケイコ・リーが70〜80年代洋楽ヒットなどを歌う
[インタビュー] 日本のパンク・シーンに登場してから35年! 今も走り続けるNICKEYがベスト盤とミニ・アルバムを発表[インタビュー] 進化するKIRINJI “シティ・ポップ”で“夜の匂い”のする14thアルバム
[インタビュー] Carpainter ジャパニーズ・テクノへの懐古と再構[インタビュー] chay 「今の時期だからこそ歌えた歌」心の成長や変化が昇華された新作
[インタビュー] みずからを解き放ち、どこへでも自由に羽ばたいて行ける――ミロシュの復帰第1作『サウンド・オブ・サイレンス』[インタビュー] 大阪在住の4人組、POP ART TOWNの1stアルバムに満ちるフレッシュなポップ・センス
[インタビュー] 大切なのは生活リズムのメリハリ。“睡眠研究の権威” 西野精治教授が監修する眠りと目覚めのクラシックCD[インタビュー] のろしレコード 松井文、折坂悠太、夜久一、シンガー・ソングライター3人が出会って生まれた歌
[インタビュー] ピアニスト、ユップ・ベヴィンが映画『楽園』に提供した寂しさと希望の共存する音楽[特集] 1日だけのポイントカラーを楽しむ毛髪着色料「PAF 1-day hair tint」×ファッション・アイコン「lol」が盛り上げる「特別な1日」
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015