ノラ・ジョーンズの新章がスタート! 新作『ザ・フォール』リリース記念特別企画

ノラ・ジョーンズ   2009/11/04掲載
はてなブックマークに追加
 ノラ・ジョーンズ待望の4作目のニュー・アルバム『ザ・フォール』が11月11日に発売になります。ジャクワイア・キングをプロデューサーに迎えバンド・メンバーも一新。初めて全曲ノラ・ジョーンズの作または共作曲となった、ノラ・ジョーンズ新章のスタートといえる本アルバム。リリースを記念したこの特別企画では、ノラのデビューから現在までを追いながら、その音楽的魅力をあらためて分析します。ノラ自身が語るインタビュー映像やキュートなPVとともにお楽しみください。

ブルーノートからのデビュー〜最新作『ザ・フォール』まで
ルーツ音楽へのまなざしと、拡大していく音楽的自由



ちょっとジャズ風味のシンガー・ソングライター!?
ノラのルーツ・ミュージックへのリスペクトと再構築


「ドント・ノー・ホワイ」
『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』
 ノラ・ジョーンズのニュー・アルバム『ザ・フォール』は、これまでの彼女のアウトフィットとはやや趣を変えた、痛快なシンガー・ソングライター・アルバムだ。4作目を数えるこの新作で、ノラはプロデュースにジャクワイア・キングを起用。キングはトム・ウェイツ『ミュール・ヴァリエーションズ』でエンジニアを担当し、以来、ウェイツとの関係を保ちながら、キングス・オブ・レオンなどのオルタナティヴ・アクトを手がけてきたエンジニア兼プロデューサーだ。ノラはアルバムでトム・ウェイツの「ロング・ウェイ・ホーム」を取りあげたことがあるし、彼女の作風にも、時おりウェイツの影響がはっきり認められたりする。ノラがウェイツの熱心なファンだということを知る人も多いだろう。新作『ザ・フォール』では、そんなウェイツのアルバムにも通じる、オルタナティヴ風味の独特の音響的空間を醸しながら、ノラが新たなシンガー・ソングライター像を打ち出したアルバムとなっている。一方で、彼女らしいメロディックな作風はしっかりと健在。そんな程よいプロダクションが、ノラにとてもよく似合っている。


「サンライズ」
『フィールズ・ライク・ホーム』
 モダン・ジャズの名門レーベル、ブルーノートから、アルバム『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』でデビューしたのは2002年のこと。チャーミングでありながらも毅然とした歌いっぷりと、ノラと友人たちの書く新しい世代による優れた歌を掲げながら、彼女はたちまち世界中で熱い支持を集める。翌年のグラミーでは、アルバム・オブ・ザ・イヤーはじめ5部門でウィナーに輝いた。インド音楽の大家、ラヴィ・シャンカールを父に持つというバイオグラフィ上の話題性とはほとんど無関係に、『フィールズ・ライク・ホーム』(2004年)、『ノット・トゥ・レイト』(2007年)と続いたアルバムのセールスは、累計で3,600万枚に達した。


「シンキン・スーン」
『ノット・トゥ・レイト』
 ピアノを弾き語り、ちょっとジャズ風味のアコースティック・フィールを持つ、アダルト・オリエンテッドなシンガー・ソングライター……。一般的にノラ・ジョーンズはそんなイメージを持たれるアーティストだが、僕はそんなふうには見ていない。ビリー・ホリデイやビル・エヴァンスを好み、大学でジャズ・ピアノを学んだという経歴は、確かにジャズとの深い関わりを物語るけれど、ノラのよさは、むしろR&Bや、フォーク、カントリーなど、アメリカ南部の伝統的なルーツ・ミュージックを、自分たちの世代の感性で、自由に再構築している点にあると感じている。ノラの音楽には、こうした音楽に対する心からのリスペクトが確かにある。


プロデューサーからバンドまでを一新しギターを手に自作曲で打ち出す明確な個性


 そんなノラの感性を育んだのは、出身地のニューヨークではなく、むしろ4歳から学生時代までを過ごしたテキサスだったように思う。何年か前、コーヒー・チェーンのスターバックス限定でノラの選曲によるコンピレーション盤が発売されたことがあったけれど、そのCDのジョニー・キャッシュウィリー・ネルソンルシンダ・ウィリアムスギリアン・ウェルチといった新旧にわたるカントリー / フォークなチョイスにはちょっと驚いた。このほか、レイ・チャールズエタ・ジェイムスアレサ・フランクリンダニー・ハサウェイといったソウル・ナンバー、もちろんビリー・ホリデイニーナ・シモンといったジャズ・ヴォーカルに加え、ザ・バンドまで収めた選曲の妙は、そのままノラのバックグラウンドの縮図を見るような思いがした。

 これまでのアルバムやライヴDVDにも、“私のもうひとつのルーツはここ”と言わんばかりのレパートリーがいくつもある。ハンク・ウィリアムスグラム・パーソンズ、そしてテキサスの伝説的なシンガー・ソングライターのタウンズ・ヴァン・ザントやビル・キャラリーの作品まで。2006年にリリースしたリチャード・ジュリアンら仲間たちとのバンド・プロジェクト“リトル・ウィリーズ”は、ノラのそんな志向が全開した、とても楽しいアルバムだった。

 しかしそうしたルーツ音楽へのまなざしが、都市的、とりわけニューヨーク的な作法によって表現されるのが、ノラの誇るべき特質だ。学生時代に訪れて刺激され、そのまま拠点としたニューヨークの気風は、ノラの音楽を無用なカテゴライズから解き放った。ジャズ、そしてトム・ウェイツからハンク・ウィリアムスまでを行き来するノラの感性に、最大限の自由を与えられる街は、ニューヨーク以外になかったろう。そして彼女の成功は、エイモス・リープリシラ・アーンら、新世代のシンガー・ソングライターたちに、老舗のブルーノートが門戸を開放するきっかけともなったのだった。

 ノラ・ジョーンズは新作『ザ・フォール』で、彼女の音楽的自由をさらに拡大させている。プロデューサーとなったジャクワイア・キングは、マーク・リボーやジョーイ・ワロンカー、ジェイムス・ギャドソンら、新たなサポート・ミュージシャンを導入。今回はリー・アレクサンダーはじめ、レギュラー・バンドの面々が参加していない代わりに、ノラの新世代のシンガー・ソングライターとしての個性を明確に打ち出すことに成功している。全曲がノラ単独の自作、あるいはライアン・アダムスジェシー・ハリス(ノラの代表曲「ドント・ノウ・ホワイ」の作者)らとの共作。ファースト・シングルとなった「チェイシング・パイレーツ」ではクールでモダンな都市型シンガー・ソングライター像を描き出し、ライアン・アダムスとの共作曲「ライト・アズ・ア・フェザー」では、バラッドにも似た古典的抒情をにじませる。ノラはピアノやウーリッツアー(エレクトリック・ピアノ)のほか、近年のステージでたびたび披露しているギターも弾いている。最近はギターで作曲する機会が増えたそうだ。ノラ・ジョーンズはまたひとつ、新たな自由を獲得したようにみえる。
文/宇田和弘


映像で楽しむ! ニュー・アルバム『ザ・フォール』
※画像をクリックすると動画がご覧になれます。


 
【CDJournal.comプレゼント】
■ノラ・ジョーンズ『ザ・フォール』特製携帯ストラップ
11月11日発売のノラ・ジョーンズのニュー・アルバム『ザ・フォール』のリリースを記念して特別に製作された携帯ストラップを、CDJournal.com読者3名様にプレゼント! 新作のジャケット写真でも存在感を示している、セントバーナード犬の姿を模したぬいぐるみがカワイイストラップです。

(提供:EMIミュージック・ジャパン)
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] アグネス・オベル 音楽は秘密の日記、デンマークのSSWがひとりで作り上げた新作[インタビュー] The mellows “ヴェイパーウェイヴ”ではなく自分たちらしさを追求した新作
[インタビュー] フォトグラファー有賀幹夫が捉えたストーンズの魂(後編)[インタビュー] フォトグラファー有賀幹夫が捉えたストーンズの魂(前編)
[インタビュー] maco marets 気鋭のラッパーが語る、ひとくぎりの3枚目『Circles』までの道のり[インタビュー] チャクラ 強烈な個性で伝説的存在となっているバンドの未発表ライヴCDを、チリ人のマニアが制作
[インタビュー] 女子のリアルを綴るSSW、コレサワ “すごく前向きな”失恋アルバム[特集] Sound Schedule 鮮度の高い演奏を聞かせる3人組 2020年ライヴ最速レポ
[インタビュー] 眉村ちあき 弾き語りトラックメイカーアイドル あらゆる面で成長した渾身の新作[インタビュー] 湯浅湾 我々は“望まない” 10年ぶりの新作『脈』をバンマスが解説
[インタビュー] SKY-HIからエルメート・パスコアールまで、多彩なゲストを迎えた全曲オリジナルの新作『イン・ザ・キー・オブ・ジョイ』を発表[インタビュー] Soggy Cheerios(ソギー・チェリオス) 新たな局面を迎える手応え
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015