太田貴子、“クリィミーマミがいたから今の私がいる”徳間ジャパン時代の全音源を収める作品集を発表

太田貴子   2020/04/28掲載
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『魔法の天使クリィミーマミ』のクリィミーマミと森沢優という主演2役の声優を務め、歌手として主題歌「デリケートに好きして」を歌った太田貴子。80年代から声優アーティストの先駆けとして活躍する彼女が、1983年のデビューから5年間在籍した徳間ジャパン時代の全音源、全映像を収録したコンプリートボックス『TAKAKO OHTA TOKUMA JAPAN YEARS 1983-1988 CD&DVD COMPLETE BOX』を4月29日に発売。アニメ・ファン、音楽ファンから長く支持される彼女の作品について、当時の話や現在の思いを交えて、メール・インタビューで答えてもらった。
――太田さんのデビューのきっかけを聞かせてください。
「昔テレビでやっていた『スター誕生』がきっかけです。決戦大会で2社の札が上がって、私は歌が好きだったので徳間ジャパンさんに行くことにしたんです。徳間ジャパンさんは徳間書店とつながりがあるので、レコード会社のスタッフさん、徳間書店のスタッフさんにご挨拶に伺ったんですよ。偉い方のところに行ったとき、“貴子、これどう思う?”“このアニメの声やらないか?”と言われて“やります!”って即答しました。それがクリィミーマミとの出会いで、私は主役のクリィミーマミちゃんと森沢優ちゃんの2役と主題歌を歌うことになったんです」
――まだ声優アーティストもいないときですし、デビューでいきなり『魔法の天使クリィミーマミ』の歌と声優をやることになって戸惑いませんでしたか。
「なんのためらいもありませんでした。ただ、声優は経験もないのでスタジオ見学に行ったんです。ちょうど『まんが日本昔ばなし』の録音をしていて、それを見て感動して鳥肌が立ったことを覚えてます。それから、クリィミーマミの音響監督さんからマンツーマンで声優の勉強をしました。それも、すごく楽しかったです」
太田貴子
©大山文彦(SHOOTING STAR)
――当時好きだった歌手、アニメなど影響されたものを教えてください。
「デビュー当時好きだったのは松田聖子さんです。聖子さんは今でも好きですね。デビュー前だとキャンディーズが好きでした。アニメも大好きで、『ひみつのアッコちゃん』『エースをねらえ!』『魔法使いサリー』『魔女っ子メグちゃん』『天才バカボン』などを観てました。すごく影響受けたのは魔女っ子系ですね。変身したい願望があったんですよ(笑)」
――実際活動を始めて、歌に関してはどんな印象がありましたか。
「クリィミーマミがとても人気で、月の半分が地方でお仕事だったり、睡眠時間3〜4時間ってこともありましたけど全然平気でした。楽しかったですし、歌手になってよかったと思いました」
――声優はどうでしたか。
「だんだん面白くなっていった感じですね。やっぱり演技なので、表現力がついてきて面白味がわかるようになったんです。でも、クリィミーマミの第1話を見たときはセリフが棒読みで顔が赤くなりました。今見ても恥ずかしいです(笑)」
――クリィミーマミの主題歌「デリケートに好きして」で1983年7月25日にデビューされましたが、この曲の印象を聞かせてください。あと、長く歌い続ける中で、この曲に対しての思いや歌い方などで変化したことはありますか。
「1983年7月25日は忘れもしない、私のデビュー日ですね。〈デリケートに好きして〉は、メロディに忠実に歌うってことと、クリィミーマミちゃんの主題歌なのでキラキラ感を意識して歌ったのを覚えてます。私は80年代アイドルなので、10代の頃はアイドルらしさとクリィミーマミちゃんを意識してかわいく歌ってました。20代に入るとちょっと背伸びする時期ですし、大人っぽく歌ったりもしたんです。でも、偶然『NHKのど自慢』でアメリカの若い女性の方が〈デリケートに好きして〉を歌ってるのを見たんですよ。そのときにハッとして、初心に戻って丁寧に歌おうと思いました。今も、丁寧さを大事に歌ってます」
太田貴子
『CREAMY TAKAKO』
――では、今回のボックスセット『TAKAKO OHTA TOKUMA JAPAN YEARS 1983-1988 CD&DVD COMPLETE BOX』に収められたアルバムについて触れていきましょう。ファースト・アルバム『CREAMY TAKAKO』(1984年8月25日発売)は、ポップ・チューンからバラード、ラテン、テクノポップ、ロックなど、さまざまなジャンルが詰まった、まさに太田さんの原点的な作品ですね。
「ディレクターさんが、“貴子ならいろんな楽曲を歌いこなせる”と言ってくれたんです。ちゃんと歌手・太田貴子と見てくれていたんでしょうね。でも、スタジオでよくディレクターさんとケンカしてました(笑)。私がうまく歌えなくて、つい当たってしまったんだと思います」
――3rdアルバム『Long Good-bye』(1985年7月25日発売)のあたりから、作品の雰囲気が変わり始めましたね。歌手としてのあり方にもより意識的になってきたと思いますが、当時の思いを聞かせてください。
「この頃のアルバム制作は、ディレクターさんと“どんな感じにする?”って意見交換しながら作っていたんですよ。歌詞の雰囲気を大切にしながら、感情を入れて伝えるところを意識してました」
太田貴子
『Here,There and Nowhere』
――5thアルバム『WANT』(1986年10月25日発売)、7thアルバム『TRUTH』(1987年8月25日発売)、8thアルバム『Here,There and Nowhere』(1988年4月25日発売)は、高橋研さんプロデュースのロック色が強くなった作品ですね。
「高橋研さんとのお仕事では、新しい自分と出会った感じがしました。自分の心の声と向き合いながら挑戦しました。ジャケット撮影のときは笑っちゃダメと言われたんですよ。今までのアイドル的なかわいい感じから、ロックなイメージ作りはちょっと大変でした。あと、アルバム『Here,There and Nowhere』に〈After Hours〉って曲が入ってるんですけど、高橋研さんに“貴子、曲作ってみない?”って言われて、私が作曲したんです。私も楽曲作りに参加してる! って強い気持ちになれましたね」
太田貴子
『POP STATION』
――6thアルバム『POP STATION』(1987年5月25日)は、牧村憲一さんプロデュースで、近田春夫さん、PINKの福岡ユタカさん、村田和人さん、センチメンタル・シティ・ロマンス、鈴木茂さん、PANTAさんなどのアーティスト勢が作家として参加されたシティ・ポップ的な作品です。
「このアルバムはLAレコーディングして、のびのびと弾けた感じで歌えました。ジャケットもLAのビーチで撮影したんです。違う環境で新しい雰囲気の作品作りができたのも楽しかったです」
――では、今回のボックス・セットに入るアルバムで、とくに印象深い作品を挙げるとしたらどのアルバムになりますか。
「どれも思い出いっぱいですけど、『Long Good-bye』ですね。ジャケット写真が大好きですし、〈潮風のCradle〉〈ぴんく、ピンク、PINK!〉とか、ノリノリの曲やかわいい曲が詰まったアルバムなのでお気に入りです」
太田貴子
『Long Good-bye』
――クリィミーマミの一連の太田さんの楽曲は、幅広い年齢層から長く支持され続けています。そのことに対して、太田さん自身はどのような思いがありますか。
「やはり、歌い続けて来たからこそいろんな年齢層の方に支持していただけてるのかなと思います。とてもありがたいです。ただ、私の作品ではありますけど、私はファンの方やスタッフさんに恵まれていたと思います。私ひとりではちっぽけです。支えてくれる方たちがいるからこそがんばれるし元気も湧いてきます。私の歌でみなさんが元気になってくれるなら、それは最高ですね」
――今年2月には、「デリケートに好きして」をカヴァーした新井ひとみさん(東京女子流)とライヴで共演されました。そのときの感想を聞かせてください。
「〈デリケートに好きして〉をカヴァーしてくださって、とてもうれしかったです。私、20代のアーティストの方と共演するのは初めてだったんですよ。彼女、すごくかわいくて不思議の国から来たお姫様みたいな感じを受けました。〈デリケートに好きして〉も、クリィミーマミを意識した衣装で、見た目もクリィミーマミちゃん? と思いました。ファンの方には親子共演? って言われましたけど(笑)」
太田貴子
©はぎひさこ
――では、クリィミーマミという存在は今の太田さんにとってどんなものですか。
「クリィミーマミがあるからこそ、今の太田貴子があります。クリィミーマミを誇りに思ってます。墓場までクリィミーマミは持っていきますよ(笑)」
――現在も活躍されている太田さんですが、これからの活動について聞かせてください。
「これからも歌やライヴはもちろん、アニメのアフレコ、外国映画の吹替えなど声のお仕事もやりたいです。あと、これから声優を目指している方に喜んでもらえるイベントをやったりしたいですね」
――最後に、ボックス・セットを聴いてくれる人へメッセージをお願いします。
「今回のボックスには、私のデビューから5年間の作品がギュッと詰まってます。どの作品もいい曲ばかりなので、たくさんの方に聴いて欲しいです。私の宝物です」
取材・文/土屋恵介
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