杉真理 デビューからの30年をふりかえる![前編〜“レッド・ストライプス”]

杉真理   2007/04/20掲載
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 ポップ・ミュージックを作り続けて30年。その間、さまざまなミュージシャンと交流しながら日本のポップ・ミュージック・シーンを支え続けてきた杉真理
竹内まりや安部恭弘青山純新井田耕造らが参加したマリ&レッド・ストライプス名義のデビュー・アルバム『マリ&レッド・ストライプス』(77年・写真右)と杉真理&レッド・ストライプスのセカンド・アルバム『スインギー』(78年)、杉真理、松尾清憲上田雅利伊豆田洋之、風祭東、橋本哲の6人によって結成されたピカデリーサーカス『ピカデリーサーカス』(99年)と『サマー オブ ラブ』(2003年)が紙ジャケット仕様で復刻されたのを機に、アルバムについての思い出や、デビュー30周年を迎えた心境などを聞いた。
(2回に分けて掲載します。まずはソロ・アルバム2枚について後編は4月23日アップ予定)



“最初の種”みたいなデビュー盤『マリ&レッド・ストライプス』と、今のぼくより大人っぽい『スインギー』


――デビュー30周年を迎えて、今あらためて思うことはありますか。
「ビクター時代の2枚は実はずっと“封印”していたんです。未熟さが気になっていて。たとえばファースト・アルバムのジャケットにしても、女の子みたいなジャケットがいやだったんですよね。ファンが“キャーキャー”言うような音楽を想像されるだろうなと思って、抵抗があったんです。でも、30年ぶりにこのジャケットを見てみると、すごくポップだなと。今回、“自分に対する偏見”がよくわかりました。若いなあ、みたいな。不遇のビクター時代と思ってたんですが、いちばんわかってなかったのは自分じゃないかなっていう(笑)」


――デビュー・アルバムには“杉真理の原石”と言えるものが詰まってますよね。
「“最初の種”みたいなもので、いまのぼくにつながってる部分もたくさんありますね。(竹内)まりやがコーラスをやってくれたり、演奏も音も良かったりと、恵まれていたなあって。でも、単なる曲の羅列にはしたくなかったので、ギルバート・オサリヴァンじゃないけど、エピローグがあるんです。最後に入っている〈気まぐれママ〉の短いヴァージョン(〈エピローグ〜気まぐれママ・パートII〉)がそれなんですが、“チャンチャン”っていうラグタイム・ピアノで終わりたくて、小池(秀彦)くんに弾いてもらいました。ピカデリーサーカスの1枚目(『ピカデリーサーカス』)の最後の〈愛の歴史を始めよう〉もそういうラグタイム・ピアノで終わるし、『MISTONE』(84年発表のソロ・アルバム)もそういうピアノで終わるんです。たぶんぼくの好きなアルバムの形が、このデビュー・アルバムのときにすでにできてたのかなあって。ほかの人がやっていないことをやろうという意気込みやアイディアは貫きとおしたという思いもあります」


――続くセカンド・アルバムでは、デビュー・アルバムとは雰囲気を変えようという意識はありましたか。
「最初のアルバムが甘めに見られがちだったので、『スインギー』は大人っぽい雰囲気を出したいなと、背伸びして作ったように思います。下手すりゃ今のぼくより大人っぽい。曲調だけをとればね。バラエティに富む内容にしたいと思うのはずっと今でも続いていることです。ビートルズ“ホワイト・アルバム”ポール・マッカートニー『ラム』もそうですよね。バンドじゃなくて全部ひとりで歌うわけですから、少しぐらいとっちらかってたほうが飽きないと思ってます。もちろん、いい曲でないとだめですけど。だから〈インスピレーション〉みたいな今のぼくに近い曲や、AOR色の強い〈青梅街道〉みたいなのとか、ジェイムス・テイラーふうの〈帰り道〉とか、まあ〈ロックン・ロール・ウーマン〉なんてのはラズべリーズとかそのへんの影響があるし、〈雨の日のバースデー〉や〈ジョージアの月の下で〉なんかはジェームス・ウォーレンスタックリッジみたいにしたいと思ったり……。もうごちゃまぜになってました。でも、バンドの連中の個性もちゃんと入れたいと思っていました。〈ジョージアの月の下で〉のああいうピアノを弾く人はなかなかいなかったんです。よそでは味わえないのもやりたいなと思っていたので、あれはやってよかったなと。ギターの田上(正和)くんは、その後BOXでいっしょにやるんですけど、間奏の入り方がふつうじゃなくて。たとえば〈インスピレーション〉にしても、変なところから入ってきたり、切れ味の鋭さがあって、このへんから彼のギターは確立してたなあと思う。あの当時から、ほかの人では代えのきかないバンドにしたかったというのがありました。スタジオ・ミュージシャンでやるというんじゃなくてね。今年、ぼくはピカデリーサーカスほかいろんなライヴをやるんですけど、どのライヴでも、このビクター時代の2作からの曲を最低1曲はやろうかなと思っています。それに、いつか、このときのメンバーでやりたいとも思っているんですよ」


――2枚目を出した後に急性髄膜炎になって、大変だったんですよね。
「もう、ミュージシャンをやめないとだめかなあと思っていたんですけど、1ヵ月で病院を出られて。そこからはぼくの鎖国が解けたというか……いろんな経験をしました。他人に曲を書くようになったり。わかりやすいものを作りたい――それがぼくの役目だとも思うけど、でも、誰とも違っているものを作りたいっていう相反するものがある。それがぼくの理想とするポップ・ミュージックなんですよ。これはビートルズから教わったんです。〈オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ(愛こそはすべて)〉ってみんなで歌えるけど、Aメロは誰も歌えないというあの複雑さとポピュラリティ。その両方をもったビートルズからあれこれ教わったぼくとしては、そういうポップ・ミュージックをそのころからやろうとしてたなということを思いますね」
(後編に続く



取材・文/藤本国彦(2007年4月)

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■Piccadilly Circus LIVE 2007
2007年4月28日(土)
鶯谷 東京キネマ倶楽部http://www.kinema-club.com/
会場17:00/開演18:00
指定¥6,500/立見¥6,000(+1ドリンク別途)
ピカデリーサーカス:
杉 真理
松尾清憲
伊豆田洋之
上田雅利
風祭 東
橋本 哲
小泉信彦
山本圭右

チケットぴあ 0570-02-9999(Pコード:254-212)
ローソンチケット 0570-084-003(Lコード:39501)
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詳細お問合せはpiccadillycircus@yahoo.co.jpまで
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