高田漣が新作『Evening on this island』を語る!

高田漣   2007/06/01掲載
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 ペダル・スティールを筆頭にマルチ弦楽器奏者として知られる高田漣。話題のCM曲「Blues dream/空想のブルース」(プリングルス)に、「第三の男」(エビス・ビール)収録のミニ・アルバム『Evening on this island』(写真右)とベスト盤『Ballads-anthology of early years-』を5月30日に発売した彼に話を聞いた――。

 おそらく今、日本で最も多忙なミュージシャンの一人。ペダル・スティールという、ただでさえ弾きこなすのが難しい楽器を片手に、細野晴臣高橋幸宏といった大先輩のバックから、ハナレグミリトル・クリーチャーズ界隈の仲間たちとの気の置けないセッション・プレイまで難なくこなす男、それが高田漣。ソロ・アーティストとしても2002年のファースト『LULLABY』を皮切りに、これまでに4枚のオリジナル・アルバムをリリース。初期の3枚を総括したベスト盤と同時に、なんと早くもニュー・アルバム『Evening on this island』が到着する。一体どこにこんな時間があるのかと思えるほどの多作家だ。




 「とにかく気がつくとひたすら(作品を)作り続けていたって感じですね。これ、細野(晴臣)さんもインタビューで話されていましたけど、何か作っていてもその途中でもう次のことが浮かんじゃうんですよ(笑)。ただ、今回あらためて気づいたんですけど、意外と変わってないですね。作品としては違うものになってるんですが、根本的に姿勢みたいなものは一貫してるなあと」

 父が故 高田渡という環境もあって、小さい頃から日常的に音楽と向き合い、10代の頃から場数を踏んできた。現在まだ30代前半とは思えぬ演奏力の高さは、二世という立場に甘んじない、それでいて必要以上に反発もせず飄々と我が道を進んできたこの人のたゆまぬ努力の賜物だろう。だが、それでも長きにわたって葛藤は少なからずあったと話す。

  「最初は鈴木惣一朗さん、桜井芳樹さんと一緒にチームで作ったという自覚があって。そういう意味では今回の新作でようやく一から自分で作ったという感じですね。実は使ってる楽器もペダル・スティールだし、自分の思惑とは違う風に語られてしまったことが本意ではなかったんです。それだけに僕の方も“こっちから見てください”ってアングルを指定しているようなところもあったし。でも、もう今はそういうのにも興味がなくなったというか、“どこからでも好きなように見てください”って感じなんですよね。今は管楽器のアレンジももっとやってみたいんですよ」(写真はベスト盤『Ballads-anthology of early years-』)

 自らヴォーカルもとる「Blues dream/空想のブルース」などが収録された『Evening on this island』ではペダル・スティールではなく、アコースティック・ギター、ワイゼンボーン、ブズーキが相棒。ゲストにクラムボン原田郁子が参加しているものの、バック・メンバーはリトル・クリーチャーズの鈴木正人(b)、芳垣安洋(ds)とのトリオ編成に一新した。鈴木も芳垣もジャズの素養があるプレイヤーであることがミソだ。

 「そう、ジャズの即興性に惹かれるんですよ。もともと昔はフリー・ジャズとかをやっていたこともあったんですが、去年(鈴木)正人くんのソロ・アルバムに参加した後に、久々にエリック・ドルフィーとかオーネット・コールマンとかを聴くようになったんですよね。で、聴いているうちに自分でも演奏したくなって、それで今回のような編成でやろうって思ったんです。自分が作ったシナリオが崩れる面白さがあるんですよね。しかも、この編成だとすごく少ない人数なのにバンド的なスリルもある。これからもずっと一緒にやっていきたい最高のメンツに出会ったって感じがしますね。ただ、今回は弾いてないですけど、ペダル・スティールに関しては、当然自分にとっては重要な楽器ですから、これからも使っていきますよ。楽器屋さんで初めてペダル・スティールを弾いた時から自分にフィットする感じがあったんですよね。すごく可能性があると思ったし。メロディを弾いた時の自然さっていうのが違うんです。ハーモニーもキレイに出せるし、僕自身、歌うように弾けるっていうか。それと、ジャズの即興性みたいなものとが一緒になるような感覚が今の自分にとっては大切かもしれません」

取材・文/岡村 詩野(2007年5月)
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