マボロシ / 元SUPER BUTTER DOGのギタリスト、竹内朋康が初のソロ・アルバムを発表!

竹内朋康   2014/12/22掲載
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 SUPER BUTTER DOGの解散後、以前から続けているMummy-Dとのユニット“マボロシ”をはじめ、椎名純平らと結成したファンク・バンド“Dezille Brothers”、屋敷豪太との“Fiasco 3”など、数々のユニットで活動しているギタリスト=竹内朋康。これまでにも堂本剛の“ENDLICHERI☆ENDLICHERI”への参加をはじめ、安室奈美恵忌野清志郎さかいゆう椎名林檎など、多くのアーティストのサポート参加やプロデュース・ワークで引っ張りだこの彼が、キャリア初となるソロ・アルバム『COSMOS』を発表した。すべて一人でトラックメイキングしたインスト曲を主体とする本作について、竹内にたっぷり語ってもらった。
――SUPER BUTTER DOGを解散してから、このソロが出るまでの期間を振り返ると、どんな時間だったと思いますか?
 「バタードッグを解散してから、本当にいろんなミュージシャンと知り合って。さらに仲間が増えた6年間でしたね。自分の音楽を支えてくれたり、一緒に音を鳴らしてくれる仲間がすごく増えた。たとえばこの人とやるときは、自分の中のこういう面が出せるし、あの人とやるときはまた別の面が出せる……といった感じで、自分の中でパターンが増えていく。バンド時代は下手すると、ひとつのバンドの中で自分の中のすべてを出そうとしがちじゃないですか? でも、それってバンドではやっぱり難しいことで。そういうのが、ひとつずつクリアになってきたというか、いろんなところで自分の中のいろんな側面を出して。それを繰り返していくことで、自分にとって核にあるものが何かもわかってくる。解散してから今までは、そういう時期だったのかなって思います」
――ソロとして活動してきた中で、自分にとって転機になったと感じた仕事は?
 「いろんな人と一緒にやってきて、それぞれ影響を与えてくれたと思うんですけど、今ぱっと思い出したところでいえば、さかいゆうと一緒にやれたのは大きいですね。あと、KREVAとある時期にガッツリ組んで仕事できたのも大きいですね。さかいゆうと一緒にやったことで、自分の中のソウルフルな面がより開いたと思うし、彼がブレイクするタイミングで一緒に頑張れたっていうことが、一番デカいです。彼がブレイクする前に、渋谷PLUGあたりでほとんどギャラなんか出ないような状況で一緒にやってて。彼がどんどんブレイクしていくのを見てるのも楽しかったし、そのときのライヴの雰囲気は今でも自分の中に残ってますね。KREVAに関しては、天才と一緒に仕事ができたって感じですね。KREVAはラップもできるし、トラックも作れるし、トータル・プロデュースもできる。こんな天才はなかなかいないなって思いますよね。トラック・メイキングの部分でも影響受けたところはあります。KREVAは、すっごい仕事が早いんですよ。“この曲はこのまま作っても広がらないな”っていう見極めも早い。そこは、勉強になったというか、影響を受けたところですかね。だから最近は、一日で先が見えてこなかったら、その曲は潔くボツにするっていうのができるようになってきました」
――なるほど。そうした活動を経て制作されていった今回の『COSMOS』というアルバムですが、インスト主体のソロ・アルバムというのは以前から構想があったんですか?
 「以前からやってるリミックスの仕事だとか、ビートを提供する仕事の延長で、インストゥルメンタルで一人で完結できるアルバムがいつかできたらいいなっていうのは、ぼんやりと昔から考えてはいて。今回、サウンドに関してはサポートにミュージシャンを入れるとかもなく、自分一人で完結してるんですけど、時間的な余裕があったので、2013年の1月から3月でほとんど作って、そこにフィーチャリングのヴォーカリストを加えていった感じです」
――収録されてる12曲が本当に色とりどりで、竹内さんの持ってる音楽性のいろんな側面が出ているなと感じます。
 「バンドでできないスタイルというのは意識しましたね。だから、ステージ上ですごくイケイケでギターを弾いてる俺を知ってる人にとっては、少し意外な内容かもしれないけど、自分のコンポーズだったりビートメイクの完成度だったりを前面に打ち出したいなと思って作りました」
――では、ここからアルバム収録曲について訊いていきたいんですが、まずはMummy-Dをフィーチャーした「G.R.O.O.V.E.」から。
 「もともとそのトラックは、インストで出せるぐらいまで完成してたんですけど、最初に客演を決めるとき、Mummy-Dだけには全曲聴かせて、その中から選んでもらったんです。で、Dがリリックを乗っけてきてくれて。さすがの出来でしたね。トラックを聴いて、Q-Tipのトラックみたいだねって言ってくれて、こっちとしてはシメシメって感じで(笑)」
――Mummy-Dさんとはマボロシでのタッグも長いですし、さすがの相性の良さを感じます。
 「でも、この曲に関してはやっぱりMummy-Dのスキルによるものが大きいと思います。このトラックって、リリックを乗せるのがすごく難しいと思うんですよ。ギターのメロディが乗っかってるところに、ラップでフックを入れてきて。ギターもラップも、どっちが抜けても寂しいぐらいにまで持っていけてるから。そこはやっぱりすごいですよね」
――その次に収録されている「Step by Step feat. Full Of Harmony」は?
 「最初、作っていったときに〈Nude〉だったり〈7th Delic〉あたりの曲がバーッとできていってたんですね。このまま行くとアルバムの印象として、ちょっと暗いかなと思って(笑)。俺、暗いヤツだと思われたくねぇなーって(笑)。なので、アッパーめのブギを書いたんです。去年、Full Of Harmonyが久しぶりにライヴをやったときに、僕がギタリストとして呼ばれて。それもあって、Full Of Harmonyに歌ってもらったらハマるなと思って。あと、Yutakaに駐車場代で2,000円借りてたのもあったから(笑)、これは歌いに来てもらおうと。Yutakaが歌を全部まとめてくれて、そこにラップのリリックも書いてあって。“タケちゃん、ラップやれば?”って言われて。俺、今回ラップはやらないつもりだったんだけど、“まあ、8小節だからいいか?”ってやっちゃいましたね(笑)」
――「Musical Massage」はDezille Brothersで一緒に活動している、椎名純平さんがヴォーカルで参加しています。
 「これは、トラックを作り終わって、歌うとしたら純平しかいないなって思ってたんですよね。純平もしばらくディアンジェロみたいな路線をやってないし、ここでやってもらうのもいいんじゃないかなって。詞も純平が書いたんですけど、“どんな歌詞にする?”って訊かれて、“ナンパソングでいいよ”って答えて。そうしたら彼なりにいろいろ考えてくれて、エロくていい歌詞ができましたね」
――「気づけばモーニン」のDABOさんも、震えあがるぐらいにエロティックですねぇ!
 「このトラックに乗っかるラッパーはルード系がいいなと思って、思い浮かんだのは、やっぱりDABOくんですよね。今までにも何曲も一緒にやってるんで」
――余白の多いサウンドに、そこをラップで埋めつくしていくわけでもなく、そのまま余白の余韻を活かしたライミングも印象的です。
 「そこらへんもわかってくれてるだろうなと思ってましたね。フックが歌っぽくなるとか、哀愁ただよう感じっていうぐらいは話したけど、テーマについても基本はお任せして。期待どおりに、いい仕上がりになりました」
――インスト・アルバムと銘打っていても、普通はヴォーカルが入るとどうしても歌の印象が強くなっちゃいがちだけど、このアルバムに関しては、インスト曲もギタープレイだけでも山場があるし、しっかりと聴きごたえがあって。全体としての起伏やドラマを感じさせてくれる作品だと思います。たとえば、収録されたインスト曲の中で、自分の中で印象に残っている曲を挙げていくとすると?
 「作っていく中で一番がんばったのは〈Bitch!!!〉なんですよね。でも、作ってみてわかったんですけど、ダブステップとかEDMみたいなタイプの曲って、シンセベースが主役になっちゃうんですよね。だから、こういうのはもう作らないです(笑)。ギタリストのアルバムなのに、ギターが主役になれないんじゃねぇ(笑)」
――インスト曲を作るときに、曲の構成やフックになる部分も考えられると思うんですが、実際にアルバムを完成させて、自分が曲を作るときに重きを置いてる部分はどういうところだって気付きましたか?
 「グルーヴの鳴りかな。僕はギタリストなんですけど、ギター・プレイで“どうだ!”ってひけらかすような感じはすべて押し殺してるんですね。それよりも、ギターがいかにグルーヴと一緒になるかを重要視してて。グルーヴが気持ちいいなって印象を与えられるようなアルバムにしたかったんです」
――リズム&ブルース曲の「Sweet And Sour It」で聴けるリズムギターの気持ちよさをはじめ、それぞれの曲のギターの音色自体がとても気持ち良くて。この曲に限らず、楽曲ごとにギターの音色を変化させていますよね。
 「それはもう、デジタルの成せる業ですね。半分はいわゆる普通のギターアンプで、半分はデジタルのアンプでやったんですけど、デジタルだといろんなバリエーションが作りやすいんですよね」
――ヴィンテージっぽい音色とか、歪みが激しいものとか。
 「そうです。自分の持ってるアンプの組み合わせで音を変えて、っていうんじゃなく、それ以上にいろんな音色を試せるんで。バンドだったら古いスタイルでやると思うんですけど、こうやって打ち込みでトラックを作っていって、しかもサウンド的にもいろんなスタイルがある作品だったら、ギターもどんどんバリエーションをつけていきたいなと思って、今回はこういう形になりました」
――「7th Delic」や「Whole Tomato Boogie」のような、ファンク色全開のナンバーもいいですね。
 「〈Whole Tomato Boogie〉は、パブリック・エナミーみたいな曲を作りたいなと思って作った曲で。頭の中でラップが超聴こえてくるんだけど、あえてラップを入れない(笑)」
――このトラックだけで、1wayアルバムを作っても問題ないぐらい。
 「そうそう、ラッパー5人いてもいいぐらいですよね(笑)。サウンド的にもいろいろ遊びやすかったんですよね。90年代のカットアップをバンバンしていく感じも、この曲は、やりやすくて」
――こうしてバラエティに富んだ作品を作り終えて、次の目標は見えてますか?
 「僕が月イチでやってる〈Magic Number〉ってイベントがあって。これを作り終えた直後に、シンガーやラッパーを迎えて、メンバー8人ぐらいでセッション・バンドのライヴをやりはじめたんです。完全に1人で作ったアルバムを出したら、やっぱりその反動でバンドがやりたくなるんですよね。だからたぶん、そのバンドが一段落したら、今度はまた一人で作品を作りたくなるだろうし。いろんなところでいろんなことをやって、そういうサイクルが最近楽しいなと思ってますね」
――じゃあ、またこういったインスト主体のソロ・アルバムが発表されることもあるかもしれない。
 「バンドでやると、俺は基本パーティ野郎なんで(笑)、どんどんアッパーに行くんですよ。一緒に演奏するのもアッパーなメンツが好きだし。1から100までいけるような、ディフェンスもフォワードもどちらもいけるようなプレイヤーたちとセッションするのが好きだから。だから、放っておくとアッパーになりがちで。でも、一人でやると暗いものというか、しっとりしたようなものとか、哀愁漂ったりするようなものも出しやすいし、そういう自分も好きなんです」
――たしかに、内向きな感じと外向きの感じ、その両方のバランスが取れてるのが、今回のアルバム『COSMOS』の魅力かもしれないなって思います。全体に、どこかインナー・ファンク感が漂っているというか。
 「インナー・ファンク感、ヤバいですね(笑)。自分で全部やってるから、そういう感じが出るんだろうと思うし。みんなでやると、どんどんグルーヴがデカくなっていくじゃないですか? だけど、こういうインナー・ファンク感があっていいと思うし。今回は、1曲1曲が小宇宙みたいな感じにしたかったんですよね。その小宇宙がたくさん並んでるので『COSMOS』ってタイトルをつけたんです」
取材・文 / 宮内 健(2014年12月)
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