自分がどう思ったか、どう判断したか “らしさ”を模索するYoumentbay

Youmentbay   2019/01/25掲載
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 ドラム / ヴォーカルのサクライエナと、ギター / ヴォーカルの山谷尚暉から成るバンド、Youmentbay。シティ・ポップ、ヒップホップ、ソウル、インディ・ロックなどを混合したエクレクティックな音楽性が魅力のふたりが、ファースト・ミニ・アルバム『Youmentbay』をリリースした。セッション形式で作られたという8曲はフレッシュで瑞々しいポップ・センスに満ち溢れており、今後の飛躍が期待できる。人気声優の斉藤壮馬に楽曲を提供するなど、ブレイクの兆しが見えている彼らの音楽に、ぜひ注目してほしい。
――おふたりはどうやって知り合ったんですか?
サクライ 「大学が同じで、音楽サークルで一緒にASIAN KUNG-FU GENERATIONとかスピッツとかblink-182のコピーをやってました。卒業してからも楽器を続けたくて、たまに集まってコピーみたいなことをやっていたんですけど、オリジナルを作ってみたら面白くなってきて。私は曲を作るようになってから歌い始めました」
――いきなり叩きながら歌うのは大変じゃなかったですか?
サクライ 「こういう歌入れたいんだよねって叩きながら鼻歌で歌っていて、その延長でヴォーカルになった感じですね」
――その時は正式メンバーにベースがいた?
サクライ 「いました。本気でバンドをやるつもりではないっていうことで辞めたんですけど、いまもめちゃくちゃ応援してくれてます。それからはサポートのベーシストに入ってもらっていて、ふたりでできることをやろうっていう感じです」
――どんな音楽をよく聴きますか?
山谷 「絶対的にこれ、みたいなのがなくて。あれこれ聴くんだけど、これをとりいれているっていう意識はあまりなくて、その時その時で聴いていたものが無意識に滲み出る感じですね」
サクライ 「山谷くんは洋楽も邦楽も詳しくて、最新のものもチェックしています。私はいっこの音楽を聴くのに時間がかかってしまうタイプです」
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山谷 「いまは海外のヒップホップとか、R&Bとかも好きで聴いていて。ふたりでハマっているのはネイオです」
サクライ 「日々音楽を聴いているから、それを体内に全部とりいこんでからどこかのフックで出てくる感じで。この曲はこれっていうのは意識してなくて、日常的に取り込んできたものが自分たちのものになる感じがあります」
――作詞・作曲はどちらが?
サクライ 「初期のころは山谷くんも作詞をしてたんですけど、最近は私が主にするようになっていて。曲は2人でスタジオに入ってセッションしながら固めたりしますね。山谷くんがトラックを作ってくれてそれに私が歌を乗せて歌詞を書いて、山谷くんが歌うパートは彼が調整します。デモ・テープを作ったりはしないですね。顔をあわせて進めるのがいちばん気持ちいい」
山谷 「トラックは携帯のガレージ・バンドで作ってます」
――サクライさんのようにドラムを叩きながらラップしている人も珍しいですね。
サクライ 「山谷くんにラップしてって言われたわけじゃなくて、自然と出てくるんです。小学生のころリップスライムが好きだったから、そのあたりの影響がいまになってちょっとづつ出てきたんだろうなあと」
――「Night Radio」でジャンルとかシーンとか全然分からない、みたいなことを歌ってますけど、これは実感ですか?
山谷 「ライヴをよくやっている下北のインディ・シーンについては属してないなっていう感じです。ギター・ロックみたいなのがバンドとか、おしゃれな感じのバンドもいますけど、どっちにも足を突っ込んでるというか」
サクライ 「ブッキングの様子を見てると、あ、この人たちと当たる感じなんだって意外ですね。結構ギター・ロックっぽい人たちと当ててもらうこともあるし、うたものの人たちとかヒップホップ寄りの人たちと当ててもらうこともあって。体感的にもジャンルはここって区切れないところにいる」
――境界線上にいるんですね。
サクライ 「売り出しにくいですよね(笑)」
山谷 「いい点でもあり、やりにくい点でもあり」
サクライ 「音楽性をひとことで説明してって言われた時に困る(笑)」
――ライバルとか同志と呼べるようなバンドもいないですか?
サクライ 「私たちより全然先にブレイクしてるけど、Laura day romanceが活動開始時期が近くて、よく下北沢で一緒にブッキング一緒にしてもらってますね。年齢も近くて、個人的にも遊んだりしていて、彼らが頑張っていると追い付け追いこせみたいな感じで。曲も演奏もいいし、東京でいちばん好きなバンドです。あと、宮崎のsayonarablueっていうエレクトロ・ポップのバンドもブッキングで一緒になることがあって、一緒に企画をやっていたりして、心の友という感じで。お互い刺激しあっていて、たまに長電話したりもします(笑)」
――今回のミニ・アルバムには、過去2作のEPにも入っていた曲も4曲ありますが、録りなおしているんですか?
サクライ 「はい。EPを出した時は本当に始めたばっかりだったので、圧倒的にいまと較べて足りないところだらけで。演奏もアレンジも歌唱力も全部、足りなかった。そこを自分たちの納得のいく形にしたのが今回の作品です」
――あとの4曲は書き下ろしですね。「HOLIDAY」の前に入っている「HOLIDAY Session」は実際にセッションで作ったんですか?
サクライ 「そうです。いつもライヴで〈HOLIDAY〉やる前にセッションするんですけど、つなぎっぽい感じでそれを入れてみました」
――サクライさんから見て、山谷さんの曲の特徴は?
サクライ 「曲のアイディアをやまほど出してくれます。その振り幅もすごくて、自分ではそれに追いつくのに必死ですね。彼は最新の音楽も色々聞いているので、これがいいあれがいいっていう断片をどんどん出してきてくれて。新しい音楽を採り入れてアウトプットしていくスピード感がすごいし、シーンにも敏感なので、すごく頼りにしていますね」
――サクライさんの歌詞の特徴は?
山谷 「うーん、なんだろう。ワードのチョイスが独特ですね」
サクライ 「山谷くん、最初は歌詞渡してそれを歌ってくれた時は何も言わないのに、だいぶ間が空いてから、急に"わ、ほんとだな"って言い出すことがあって。"あ、いま分かったんだって"っていう(笑)。そういう時がいちばん嬉しいです。直球のメッセージ・ソングを書いているわけじゃないので、それがいちばんいい伝わり方だなって」
――普段はどういう環境で音楽を聴きますか? やっぱりサブスクとか?
山谷 「そうですね。僕いま26歳でサクライが25なんですけど、たぶんもうちょっと下の世代だと、最初からサブスクがメイン、ネットありきで音楽を聴いていると思うんです。でも、僕らはCD買って聴くこともしていた最後の世代というか、完全にサブスクとかYouTubeがメインになる前も経験している感じがあって。冷静に考えると貴重な経験をした最後の世代かもしれないと思いますね」
――これから、自分たちの音楽がどんなふうに広がればいいと思っていますか?
サクライ 「とにかく先入観をもたないで接してくれると嬉しいですね。大きい力持っている人が"Youmentbayってこういうバンドだ"って評価したり、ひとことで表すこともあると思うんですけど、それはそれでまあよくて。私たちは自分たちからはこういうバンドだからこういう風に聴いてほしいっていうのは言わないでおきたいんです。逆に聴いた人が"こういうバンドだ"って思ったっていうのを待っているんですよね。どう言ってもらえるのかを楽しみに待っているというか。例えばツイッターである情報がバズったりすると、自分で調べずに判断してしまうってことがあるけど、それがいちばん怖くて。みんながこう思ってるからこれが常識なんだって判断しちゃうのがすごく嫌だし、危惧している部分であって。自分がどう思ったか、自分がどう判断したかっていうのを知りたいですね。誰にどんな評価をされても、その人自身がそう判断したのであったら、マイナスな評価であっても尊いことだと思っていて」
――歌詞でも「知識はいらない、ただ体が動くのがいい」みたいなラインがありますけど、予備知識なしで聴いてもらってハマってもらえたら、ということでしょうか?
サクライ 「本当にそうですね。どういう年齢とか性別とか国籍とか関係なく楽しんでもらえるのがいちばんです。たくさん勉強していて色々知っている人にとってつまらない音楽だとしても、知らない人が一発で気負わず楽しんでくれたらいちばんです」
山谷 「こっちからこう聴けっていうのはない代わりに、僕らの曲を聴いてどう思ったのか聞くのが楽しみだなって。こういうのが絶対作りたいんだっていうのがあるわけじゃなくて、色々作ったものが結果的に僕らっぽくなればいいなと。だから、色々な人の意見を参考にしたいです」
――こういう風に言われたらいやだっていうのは?
山谷・サクライ 「ないですね」
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――声優の斉藤壮馬さんに楽曲提供をされていますが、これはどういういきさつで?
サクライ 「突如メールが入ったんですよ。斉藤さんがYouTubeにあがっている楽曲を気に入ってくださって、好きなバンドだからファースト・アルバム作るにあたって楽曲提供してくれないかって。一緒に歌う感じでって言われて、トリプル・ヴォーカルになってます。斉藤さん、かなり音楽好きで自分で作詞作曲もするし、色々なバンドをまめにチェックしているんです。すごく忙しいはずなのに」
――『Youmentbay』を出した次の構想は?
山谷 「このアルバムって過去2枚のEPとライヴでやってきたことの集大成だと思うんですけど、今後は曲の作り方もアレンジも色々試してみたいです。セッションでやるのも好きだけど、それ以外の作曲法も試してみたいし、いままでの曲をたくさんサポート入れてやったらどうなるかとかも気になるし。どういうものがYoumentbayらしさなのか探りながら進んでいくことになるわけで、とりあえず、今回出たものと似たものを作るつもりはないですね」
サクライ 「あとは、一生音楽をやりたい。音楽一本で食っていけるわけでなくても、一生音楽やれる環境であればそれでいいなって思いますね」
取材・文 / 土佐有明(2018年12月)
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