[PC Audio Extra]音楽CDのリッピングとNAS機能に特化した完全ファンレスの静音パソコン オリオスペック hush Ripping Music Server

2010/11/25掲載
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PC Audio Extra
PCオーディオエクストラ〜パソコンから始める新しい音楽の楽しみ方
音楽CDのリッピングとNAS機能に特化した完全ファンレスの静音パソコン
オリオスペック hush Ripping Music Server
文/大塚康一


●CPU:Intel DualCore Atom330(1.6GHz/L2 512K)●メモリー:2GB標準搭載(最大4GB)●ストレージ:HDDは1TB〜、SSDは256GB〜(変更可)●光学ドライブ:Pioneer DVR-TS08(DVDマルチドライブ)●端子:USB 2.0×6、HDMI×1、PS2×1、VGA×1、SPDIF×1、LAN×1他●OS:Microsoft Windows Home Server●外形寸法:370W×59H×340Dmm●価格:HDD1TB \\367,500〜、SSD256GB \\451,500〜 ※筺体色はシルバーの他ブラックもある。


“PCレス”と呼んでもいいほどの簡単操作

ドライブにディスクを挿入すると自動的にリッピングが始まり、終了するとイジェクトされる。

 PCオーディオとは、読んで字のごとくパソコンを使ったオーディオであり、その楽しみ方である。しかし、いかなる方法論でも、最終的にはスピーカーやヘッドフォンから良い音を出してこそシステムが完結するものであり、その意味ではトラディショナルなオーディオコンポと何ら変わるところはない。それは、CDを直接再生せず、記録された音楽データのみを引き出す=リッピングして再生するミュージックプレーヤーをコアにセットアップしたシステムにおいても同じだ。もちろん、このリッピングにはパソコンが必要になるわけだが、本来パソコンとはデータの読み書きを行なうマシンであり、良い音を鳴らすようにはできてはいない。たとえば、冷却ファンのノイズ、共振しやすい筐体、電源の電気的・機械的ノイズなど、そして何より根本的なデザイン……仮にリッピングだけが目的のパソコンであっても、オーディオシステムとして据えるのには、少なからず抵抗があるのは否めない。


CPUなどからの発熱は熱伝導効率に優れたヒートパイプを伝わりケースサイドの大型ヒートシンクに送られ放熱する方式のため、完全ファンレス化を実現してしている。



 Macを始めWindows PCユーザーの間で、静音パソコンやさまざまなパーツを扱う店として著名な秋葉原のパソコンショップ「オリオスペック」が扱う「hush Ripping Music Server」は、まさにそうしたパソコンとオーディオの間にある溝を飛び越え、両者の融合を鮮やかに果たした製品と言えるだろう。換言すれば、CDのリッピング機能とネットワークを介したストレージに欠かせないNAS機能に特化しつつ、完全ファンレスとした静音パソコンである。筐体そのものはドイツ製の定評ある静音ケースを使用しており、CPUやメモリなどが発した熱は、ヒートパイプ経由でケース両側の大型ヒートシンクに逃がされる。このヒートシンクはアルミ素材の一体成型で放熱効果が高く、冷却ファンは必要ない。ヘアライン加工された約11mm厚のフロントパネルとあいまって、一見薄型のオーディオパワーアンプもしくはCDプレーヤーと見まがうほどだ。さらに、操作性の高さも特筆される。CDを前面のスロットに挿入すると自動的にリッピングが始まり、約4分ほどで終了すると自動的にイジェクト。取り出された音楽データは、FLAC形式のファイル(デフォルト)としてhush内部のSSD(シリコンドライブ)もしくはハードディスクに保存される。また、必要に応じてAppleロスレス、MP3、WAVなどのファイル形式で保存/変換することも可能。これにLINN DSなどのミュージックプレーヤーをLAN接続すれば、シンプルかつ高性能な音楽再生システムが構築できる。パソコンを起動し、ソフトを立ち上げて行なう一般的なリッピング作業に比べ、むしろ“PCレス”と呼んでもいいほどの簡単な操作で、ハイクオリティな音源とその再生環境が手に入るというわけである。

CDの直接再生より遥かに素晴らしい音
 実際に、本誌試聴室にhush Ripping Music ServerとLINNのDSをセットアップし、その音を聴いてみた。音楽データのファイル形式はFLACだ。まずKLIMAX DSとの組み合わせでは、さすがにプレミアムなプレーヤーだけあって、CDの直接再生よりはるかに素晴らしい音楽が聴ける。クラプトンのアンプラグド・ライヴでは会場の空気感が非常に良く出るし、コンウェイ・トゥイッティとサム・ムーアのデュエットではヴォーカルなどの歪みがまったくと言っていいほど感じられず、声に温かみさえ感じられる。しかも、無駄な響きは排除しつつ、本来の残響はしっかりと付いている。何より、ビシッと決まった音像定位と揺れのないスピード感が見事だ。この後で元のCDを聴いてみたが、高級CDプレーヤーにもかかわらず、ちょうどワウフラッターのような音の揺れや音像の曖昧さ、切れの甘さが気になってしまったほどである。特筆したいのは、hushはもちろん、KLIMAX DSから何の動作音や雑音も発生しないこと。両者に回転する部品がないのだから当然といえば当然なのだが、音楽、音を聴く上での静寂な環境の大切さに、改めて感じ入った次第だ。余談だが、hushとKLIMAX DSを並べて設置したときに何ら違和感がないのも、オーディオ愛好家としては歓迎できる。先述した、パソコンとオーディオの間を埋める製品というゆえんだ。


リン KLIMAX DS \\2,940,000



リン SEKRIT DS-I
\\262,500(ブラック)

hush Ripping Music Serverを組み合わせてハイクオリティなサウンドが楽しめるネットワークプレーヤー、リンDSシリーズ。CD規格をはるかに超える24ビット/192kHzの再生に対応。DS-Iは、70Wのアンプを内蔵。ブラック、ブルー、グリーン、ピンク、ベージュの5色をラインナップする(ブラック以外のカラー:\\273,000)。

 同じく、hushと新しいSEKRIT DS-Iでも聴いてみた。パワーアンプを内蔵したモデルであり、そのままスピーカーを接続すればリーズナブルなシステムが出来上がる。オリオスペックではQNAP社製のNASをリンDSやマランツNA7004向けにセットアップした、オリジナルモデルの販売も行なっている。ことにネットワークを介した音楽再生ではNASの存在が今後大きくフィーチャーされるはずで、信頼性の高い製品を確保しておくことは、音楽再生の安定性と質を高めることにも通じるだろう。


hush Ripping Music Serverは、ヤマハの注目の新製品ネットワークプレーヤーNP-S2000(\\208,950)との接続も対応する。NP-S2000の登場で、PCネットワークオーディオの世界もぐっと身近なものになりそうだ。



 なお、いかに最新の機材であっても、各機器を接続するLAN(Ethernet)ケーブルや電源周り、アイドリングの時間による音質の変化など、驚くほどオーディオ的に未知数な部分がまだある。逆にそうしたいわばアナログ的な部分が残されているからこそ、PCオーディオは面白いということも言えるだろう。そのあたりについては、今後もパソコンとオーディオとの連携を図りつつ、検証していきたい。

●問い合わせ
オリオスペック
〒101-0021
東京都千代田区外神田2-3-6成田ビル2階
電話番号 03-3526-5777
営業時間 11:00〜20:00
URL http://www.oliospec.com/
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