CDJ.com的 “2008年・回顧録”

2008/12/26掲載
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嬉しいこと、悲しいこと、いろんなことがあった2008年。新年を迎えるにあたって、もう一度心に刻んでおきたい偉大なる軌跡、そして名作の数々。CDJournal.com的視点で振り返る“メモリー・オブ2008”、2008年・回顧録をお届けします。
【旅立ったアーティストたち】


 市川 崑赤塚不二夫をはじめ、かけがえのない偉人が相次いでこの世を去った2008年。まず、日本はもちろん世界のロック・シーンに大きな衝撃を与えたのは、レイジー、そしてラウドネスのドラマー、樋口宗孝。肝細胞癌のため療養に励んでいたことが伝えられていましたが、11月30日、大阪市内の病院にて亡くなりました。

 また、ペイジ&プラントやザ・カルトエコー&ザ・バニーメンなどでのプレイで知られるマイケル・リー、THE JIMI HENDRIX EXPERIENCEのメンバーであったJohn Mitchell、ソドムのオリジナル・ドラマーであったChris Witchhunter、TANK『Honour & Blood』にその軌跡を残したGraham Crallan、クラフトワークノイ!で活躍したクラウス・ディンガーラッシュの初代ドラマーとして知られるジョン・ラトジー、“バディ・マイルス・エクスプレス”を率いたバディ・マイルスと、時代を彩る“名盤”を支えた玄人の訃報を目にする一年でした。

 オリジネイターといえばまさしくこの人、晩年に至るまで“ロックンロール”の熱さ、そして楽しさをさまざまなステージから発信し続けたギタリストにしてシンガー、ボ・ディドリー。6月2日、米フロリダ州の自宅で心不全のため死去。ストリートを出発点にその名を広め、1955年にはデビュー・シングル「Bo Diddley/I'm A Man」を発表。パッションとグルーヴ、そして実験精神、常に意欲的な創作に励んでいた彼こそがまさしく“ボ・ディドリー・ビート”。

 今や全世界に浸透した音楽ジャンル“R&B”(リズム・アンド・ブルース)という名称を生み出したと伝えられるプロデューサー、ジェリー・ウェクスラー。8月15日、米フロリダ州の自宅にて死去。「Billboard」からアトランティック・レコードへ、時代の寵児ともいえる彼の手腕により花開いたアーティストは、アレサ・フランクリンレイ・チャールズなど、いずれもビッグ・ネームばかり。音楽の歴史に新たな1ページを加えたその足跡を悼みましょう。



【復活グループを追う】


 かたや、世界的規模で続く“復活/再結成”の流れは今年も健在。『START TODAY』レコーディング時の完全オリジナル・フルメンバー、Anthony“Civ”Civorelli(vo)、Walter Schreifels(g)、Alex Brown(g)、Luke Abbey(ds)、Arthur Smilios(b)というラインナップにて、奇跡の初来日を果たしたGORILLA BISCUITSを筆頭に(東京公演ではSWITCH STYLEも登場!)、“RISING SUN ROCK FESTIVAL 2008 in EZO”でまさかの再結成を果たしたサニーデイ・サービス、思わず「ステップ・バイ・ステップ」なニュー・キッズ・オン・ザ・ブロック、90'sオルタナ・ジャンクの申し子フリー・キトゥン、そして、オリジナル・メンバー三人が再集結したフル・アルバム『ROMANTICは止められない』を引っさげ、キッチュにキュートな返り咲きを遂げたC-C-B……と、去る人もいれば、帰る人もあり。懐古趣味なんて言わせない元気な姿に圧倒されたもの。



【“○○年ぶり”作品】


 2008年を代表する話題作といえば、ガンズ・アンド・ローゼズ“17年ぶり”の新作『Chinese Democracy』。制作期間14年、総制作費およそ14億円、もはや常人の理解を超えた手間暇と費用をかけてこの世に出でた名盤、そりゃ楽しまないと損ってもの。そんなガンズに1年勝った?のは、80'sに一世を風靡したイギリスのポップ・デュオ、ゴー・ウエスト。気恥ずかしくなってしまうほどの“節”がたっぷり収められた『フューチャーナウ』を聴けば、同じく“約16年ぶり”にリリースされる島崎和歌子の新曲「Happy Life 〜明日に向かって〜」にも自然と思いを馳せてしまいます。もちろん、CDJ読者ならば、ポール・マッカートニーの変名プロジェクト“ザ・ファイアーマン”もチェック済みでしょう。



【期待のアーティスト!】


 殺風景なニュースがひしめいた2008年、キラリと光る明るいニュース! シングル「そりゃそうだ」を引っさげ、シーンへ帰還するのは、中村一義率いる100s。来年リリースされるこの作品を機に、精力的な活動へ……との情報もありますのでこうご期待!
 インターネット発のラッパー“ネット・ラッパー”なる言葉を知らしめたのは、若干20歳のアーティスト、らっぷびと。アニメ『さよなら絶望先生』オープニング・テーマである、大槻ケンヂと絶望少女達「人として軸がぶれている」にラップをのせた動画で大反響を巻き起こし、来年2月にはシングル「All Day,All Night」でメジャー・デビューも決定! きっとスカウターは爆発してしまうであろう戦闘力の高さで、シーンを盛り上げてくれるはず。

 ユーザーからの愛(=クリック数)を糧に成長を続けていく“ユーザー育成型”アイドルとして誕生したのは、今や“登戸系アイドル”としても徐々にその名前を浸透させているCOSMETICS(コスメティックス)。ROCKETMANこと、ふかわりょうの全面プロデュースにより、日々進化を遂げている彼女たちの動向は、オフィシャルBlog(http://ameblo.jp/cosmetics-blog/)でチェック。

 アニメ『マクロスF』に登場したヒロインの一人、ランカ・リー役として、声優・歌手デビューを果たした、中島愛(ナカジマメグミ)。自身の名義での1stシングル「天使になりたい」を発表! 1stながら、バラエティに富んだサウンドとヴォーカルを披露し、その魅力をお披露目。幅広い活躍に期待しましょう!



【話題のCM曲】


 そしてまた今年も多くのヒット・ソングを生み出した“CM/TVソング”の数々。フランスを拠点に活動するシンガー・ソングライター、ヤエル・ナイムは、MacBook AirのCMソング「ニュー・ソウル」でブレイク。3月には日本盤もリリースされ、来日も実現! 注目アーティストの1人に。iPod+iTunesでは、『美しき生命』が絶賛を浴びるコールドプレイ、“South By Southwest”に出演した際、見初められたというザ・ティン・ティンズ、iPhone 3Gはザ・サブマリンズ、iPod touchはThe Asteroids Galaxy Tourと、ブレイクへの登竜門ともいえるApple社CM。来年も期待です!

 もちろん忘れてはいけないのが、SoftBank。シーナ・イーストン「モーニング・トレイン(9to5)」、キャプテン&テニール「愛ある限り(Love will keep us together)」、フランス・ギャル「夢みるシャンソン人形」と、どれも懐かしのヒット曲ではありますが、改めてその魅力をハッと気付かせる巧みの演出はさすが。


 その他にも、EXILEがまさかの!?カヴァーで度肝を抜いた「麒麟 ZERO」、ヒラリー・ダフの名前を一気に知らしめた「ディズニー・モバイル」、押切もえの“エア歌唱”もハマッた「AneCan」、“がんばりたいのに、がんばれない”という名フレーズを繊細なヴォーカルで綴る「バファリンA」、WebサイトではコーネリアスのBGMも聴くことができたユニクロ「ブラトップ」、女優・真木よう子の輝くオーラが満開に咲きほこる資生堂「インテグレート」と、音楽&映像で魅せる名作も続々! もう一度反芻しておきましょう。
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