新たな挑戦が詰まったDJ TASAKAのニュー・アルバム『SOUL CLAP』。目前に迫った〈WIRE09〉への意気込みも。

2009/08/20掲載
はてなブックマークに追加
 テクノ・シーンの最前線で活躍を続けるDJ TASAKA。盟友KAGAMIとのユニットDISCO TWINSでの活動でも知られる彼が、ソロとしては05年の『GO DJ』から4年ぶりのアルバムをついに完成させた。『SOUL CLAP』には、BPMを落とした黒いグルーヴを感じさせるナンバーなど、これまでのアップリフティングなイメージとは違う、気持ちよく聴けて踊れるエレクトロニック・ミュージックが存分に詰まっている。そんな本作について話を訊いていこう。


――新作『SOUL CLAP』は、これまでのDJ TASAKAのアップリフティングなイメージから変わった印象を受ける作品ですね。
DJ TASAKA(以下、同) 「前作『GO DJ』は、できあがった曲をお客さんの前でDJして収録したものだったから、そのときの記録ってアルバムだったんです。どうしても1つの記録だと賞味期限が短くなるけど、それとは真逆のものにしたかったんです。前はDJとしての自分をアルバムでもアピールしたいところがあったけど、自分の聴きたいもの、ずっと楽しめる作品を作りたいと思うようになったのはデカいですね。あと、1曲ごとに違うタイプの曲にしたいというのもありましたね」
――曲作りでの縛りはありましたか。
 「判断基準として、DJでかけていい感じだけど、家で聴かないようなものは省きました。そういうことは今までやったことがないですね」
――曲はどこからできていったんですか。
 「1番古いのは〈Heart Shaped One〉。〈RISING SUN ROCK FES.〉で2年前にDISCO TWINSでDJをやったとき、その印象を形にしたくて、帰って寝ずにフレーズを作ったんです。こういうホーンのフレーズが、あの場で鳴ってたら気持ちいいはずだって。それが完成したときに、新しい手応えがあったんです」





――どっしりビートでホーンやストリングスがドラマチックに展開していくこの曲は、確かに違うギアに入った感覚はありますね。1曲目の「Day For Night」はゆったりとしたテック・ハウス寄りだったり、あとアーシーでパーカッシヴな印象の曲も多いですね。
 「どれもポコポコしてますね(笑)。それは狙ったわけじゃなく、自然と出てきたものなんですよ」
――メロディは切ない感じのものが多いですが。
 「トータルで聴くとメロウになりましたね。それが続いたから、最後の〈Opener〉はあまり何も起きない、ミニマルな感じで終わっていくようにしようと思ったり。どの曲も、違う切り口を探して作っていく感じでした。あと、You Tubeで中1の頃に好きだったスティングの〈イングリッシュマン・イン・ニューヨーク〉のPVを観て、白黒のニューヨークいいなと思って、シークエンスの画面とヴィジュアルを観ながら曲を作ったりもして」
――それは今の時代ならではの制作方法ですね。
 「今回、テクノロジーを味方に付けた恩恵はすごくあります。生音が多いけど全部ソフト・シンセだし、〈Wayback〉は歌ものだけど、それはイギリスのスタジオ・シンガーのヴォーカロイドを使ったんです。今回はゲストを呼ぶより、全部1人でやるってことに挑みたかったんですよ」
――「Wood」に入ってるウッドベースとフルートもソフト・シンセだったと。
 「それがまさに白黒のPVを観て作りはじめた曲なんです。ソフト・シンセの音を、あとでダメージ加工していくんですけど」
――音の加工のセンスって、プログラミング・アーティストの個性の違いってところに繋がってくると思えるんですが。
 「そうですね。僕はそれを綺麗にするのがつまらないと思ってて、汚すために機材に高いお金を払ってるようなところがある(笑)。ザラついた音の方が、血が通ってる感覚はありますね」
――本作は、DJ TASAKAのいろんな新たな挑戦が詰まった作品なんですね。あとdisc2のDVDには「Heart Shaped One」のPVが収録されてますが、監督の宇川直宏らしさ全開の、水族館での仮面舞踏会みたいになっていて(笑)。
 「あれは、イルカをモチーフにしたいって宇川くんに話したら、新江ノ島水族館に水中結婚式ってサービスがあるってことになって(笑)。サマー・オブ・ラヴ的な曲だから、盛りあがったバカップルが結婚まで至るって記録映画を僕が観させられてるって設定なんです(笑)。ほんと、CDとDVDの味が違いすぎて面白い作品になりましたよ(笑)」
――ダハハハ、最高です(笑)。最後に、今年11年目に突入する〈WIRE09〉出演への意気込みを聞かせてください。
 「今年の〈WIRE〉は、知名度があってプレイが予想できるメンツじゃないから、新しいフレッシュなノリになりそうですね。GABRIEL ANANDAってトランスっぽいジャズみたいな人と、2000 AND ONEってオールドスクール・ハウスの今版みたいな人が楽しみ。あと、僕は1人でやるのは4年ぶりなんです。しかも例年と違ってオープニングDJじゃないので、前に流れがあるところからDJの流れを組み立てていくのが楽しみで、今までとは別の気合いが入ってます。それにしても、あの規模で趣味性丸出しのテクノ・パーティが11年成り立ってるって、すごいことですよね(笑)」


取材・文/土屋恵介(2009年7月)



〈WIRE09〉
●2009年8月29日(土)
●神奈川・横浜アリーナ
●開場&開演 18:00(オールナイト)
●料金:前売り11,550円 (税込・オールスタンディング)
●全国プレイガイドおよびauチケット、HMV渋谷他9店舗、TOWER RECORDS渋谷店・新宿店、diskunion渋谷クラブミュージックショップ他15店舗、岩盤、SUPER LOVERS、〈WIRE09〉オフィシャルウェブサイトにて発売中
●問い合わせ:WIRE事務局 0570-069-111
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] ケイコ・リー、デビュー25周年、“かけがえのない”ジャズ・クラブで録音したライヴ盤を発表[インタビュー] 村治佳織、名だたるアーティストとともに参加した『ディズニー・ゴーズ・クラシカル』を語る
[インタビュー] 荘村清志、新作は、武満徹が愛した「郷愁のショーロ」ほかを収めるバリオスとタレガの作品集[インタビュー] 竹内アンナ、注目の次世代SSW、新作を早くも発表
[インタビュー] まちがいさがし、話題の自己内省音楽的4人組、ついに1stフル・アルバムをリリース[インタビュー] 石丸幹二、デビュー30周年を迎えたミュージカル・スターが、ベスト盤とデュエット・アルバムを同時リリース
[インタビュー] デヴィッド・ブロザ、イスラエルの国民的シンガー・ソングライターが初のインスト・アルバムを発表[インタビュー] ちゃんみな“、堕天使”をテーマに展開するドラマ仕立てのニュー・シングル
[インタビュー] ピアニスト、ラン・ランの新作は満を持して臨んだ『バッハ:ゴルトベルク変奏曲』[インタビュー] 50/50
[インタビュー] 杏沙子[インタビュー] 柴田聡子、新しい試みとニューEP
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015