アヴィシャイ・コーエン 「音楽を通して人々に情熱を与えることは、恩返しだと思っている」

アヴィシャイ・コーエン   2006/11/16掲載
はてなブックマークに追加
アヴィシャイ・コーエン 「音楽を通して人々に情熱を与えることは、恩返しだと思っている」
 現在ワールド・ツアーを敢行中のアヴィシャイ・コーエンに、今年発表した最新作『Continuo』や自身が設立したレーベル“ラスダズ”のこと、そして音楽に対する情熱について聞いた――。


 世界で最も素晴らしいジャズ・ベーシストのひとりであるアヴィシャイ・コーエン。最新作『Continuo』は、彼の特徴であるジャズと中近東の旋律の融合がさらに進化し、熱情的で真摯なアルバムとなっている。その情熱はいったいどこからくるのだろうか?

「自分の内部、自身の一部からなにかスピリチュアルなものが生まれる。自分の中で最も真摯であるのは、自分の創る音楽なんだ。情熱的な性格だと思っているけれど、それが音楽を通してリスナーに伝わるんだろうね。音楽は、小さい頃から心を鷲づかみにするものだった。自分に音楽という奇跡を与える才能があると確信した時から、ずっとそれを外に伝える必要があると感じていた。だから今、こうして音楽を通して人々にその情熱を与えるのは、恩返しだと思っている」

―― 自身のレーベル“ラスダズ”を設立してから、音楽的に自由になったという感覚はある?

「実はストレッチにいた時もかなり自由にやらせてもらっていたんだ。でも、自分のレーベルを持つというのは、誇りでもあるね。若いアーティストの手助けができるのはすばらしいことだ。ラスダズではそれぞれの国の売り上げをはっきりとつかんでいるから、その分コントロールがしやすくなった。最近ではジャズ・ミュージシャンが自分のレーベルを持つのは普通になりつつあるしね」

―― 12年間住んだニューヨークを離れ、2年前にイスラエルに帰国したのはなぜ?

「その理由の一つは、自分のルーツにもっと近くあるべきだと感じたからなんだ。今までと違ったプロジェクトも始めたかったし、新しい音楽の方向性を探していたんだね。自分の家族の近くにいたかったというのもある。ツアーから戻ってきた時には、やはり安らぎがほしいからね。ニューヨークはそういう意味では相応しい場所ではないね」

―― チック・コリアに見い出され、2003年まで彼のサイドマンとして活動していたアヴィシャイ。アヴィシャイにとってチックとは、どんな存在なのだろうか?

「チックは自分のキャリアを違うレベルに押し上げてくれた恩人なんだ。自分がベーシストで作曲家であることをプロモートしてくれたのは彼で、彼とプレイすることによって自分の音楽も世界的に知られるようになったんだ。彼にはとても感謝している。これからもずっとね」

―― 現在のワールドツアーを今後も続けていく予定?

「以前と比べると今は静寂を求める気持ちが強くなってきているけれど、ツアーはいまだに好きだね。世界中の観客に自分の音楽を聴いてもらえるチャンスなんだから、ツアーはミュージシャンの義務だと思っている。世界中を旅して、いろいろな人に会うのはすばらしいことだね」

 子供ができるまでツアーを続けていきたいが、その前に結婚してくれる女性を見つけなきゃ、と笑うアヴィシャイ。少年のような笑顔とその受け答えから醸しだされるインテリジェンスに私は完全にノックアウトされてしまった。


アヴィシャイ・コーエン『Continuo』

取材・文/落合真理

(2006年10月収録/Photo by Mari Ochiai)
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] ハロプロ スッペシャ〜ル特別版 卒業直前! 宮崎由加(Juice=Juice)ロング・インタビュー[インタビュー] “シティ”から“タウン”へ “けもの”のユニークな創作のひみつ
[インタビュー] 音楽史上初めて登場した“ミニマル・ネイティヴ”のヴァイオリニスト、マリ・サムエルセンのDG専属契約第1弾ソロ・アルバム『マリ』[インタビュー] “令和最初の傑作”を読み解く 清 竜人 超ロング・インタビュー
[インタビュー] 島田奈美、最新ベストアルバム発売 島田奈央子、島田奈美を語る[インタビュー] “最強打線”をそろえた初のアルバム。DJ FUKUの『スタメン』
[特集] 「がんばれ!隠れ汗 プロジェクト」とは?『ビオレ さらさらパウダーシート』アニメCM公開中[インタビュー] ロイ-RöE-が描く『ストロベリーナイト・サーガ』の世界
[インタビュー] “まるで13本立てのカルト映画祭”ROLLYが新曲入りセルフカヴァー・アルバム『ROLLY[インタビュー] クールス対談 ジェームス藤木×近田春夫
[インタビュー] 君はひとりじゃないよ Karavi Roushi『清澄黒河』[インタビュー] 山口美央子×松武秀樹 〜1983年作の『月姫』以来となる新作『トキサカシマ』をハイレゾ音源で聴く
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
新譜情報
データ提供サービス
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015