日本初オリジナル作品、ミニ・アルバム『Can You Hear Me?』を完成させたIUを直撃!

IU   2013/03/19掲載
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 昨年、9月に東京国際フォーラムでのワンマン・ライヴを大成功させた、韓国のシンガーIUが久々の新作をリリース。ミニ・アルバム『Can You Hear Me?』は、彼女にとって初となる日本オリジナル作品だ。作家陣には、ジャネット・ジャクソンなど多数のヒットを手がけてきたジャム&ルイスが参加していたりと、これまのIUとはひと味違う、フレッシュな彼女の姿が楽しめる一枚となっている。日本オリジナル作品に込めた思い、そして最近の韓国での活動について話を訊いた。
――昨年の日本デビューから1年を振り返るとどんな印象がありますか。
 「時間が経つのが早かったですし、振り返ると本当に楽しかったです。特に日本のスケジュールは、イヤな気分になったことがひとつもないんですよ。日本のファンのみなさん、スタッフさんが本当に優しくしてくれたおかげですね」
――昨年9月17日の東京国際フォーラムで行なった、初ワンマン・ライヴの感想を聞かせてください。
 「日本での初ワンマン・ライヴだったからすごく不安でしたけど、その前に韓国の全国ツアーがあったので、それほど緊張はしなかったです。ファンのみなさんが最後まで静かに見守ってくれてうれしかったです。でも、お客さんが最初から最後までずっと立ってくれていたので足が疲れないか心配しました(笑)。最後まで立っていてくれてありがとうございます」
――IUさんが何度も「座ってください」と言ってましたね。日本だと最初から立って観るというのが恒例になっていますが、韓国では違うんですよね。
 「はい。とても不思議に見えたんです。でも、歌手にはとても感動的なことですね」
――それでは、新作ミニ・アルバム『Can You Hear Me?』の話に行きましょう。初の日本オリジナル作品を作るにあたってどんなものにしたかったですか。
 「初めての日本オリジナル・アルバムですから、〈Good Day〉〈You&I〉と完全に違う雰囲気にしたかったんです。それに、韓国のIUでも、日本のIUでもなく、完全に新しいIUのアルバムを作りたかったです」
――おぉ、そうなんですね。今回は原曲ありきの日本語ヴァージョンではなく、最初から日本語での歌詞でしたが、歌をイメージするとき、また実際歌うときに違いはありましたか。
 「レコーディングするときは、韓国語じゃないので“私は日本人だ”って思いながら歌ったんです(笑)。デモの歌を参考にしたり、あとは、日本のスタッフさんとコミュニケーションをとって、どのように歌ったら良いか聞きました。やっぱり、発音や歌の表現が韓国と日本では違うから。例えば、ある箇所でヴィブラートが必要かどうか、そういうところも細かく指示をもらいました」
――韓国の歌の方がヴィブラートが多いような印象があるんですが?
 「逆です。日本の方が多いです。J-POPは、ヴィブラートが多ければ多いほど(歌声が)感情的になるなって思います」
――なるほど。韓国のシンガーは大きなヴィブラートをよく使いますが、日本のシンガーは細かいヴィブラートを多用している印象があると。
 「はい」
――さらに今回は、ジャネット・ジャクソンなどを手がけた、ジャム&ルイスの楽曲を歌ったわけですが、どんな感想がありますか。
 「最初、私は世代が違うので、ジャム&ルイスがどれだけすごい人かをスタッフさんに聞きました。たくさん有名な曲を手がけていたのを知って、本当にうれしかったです」
――彼らの手がけた新作のリード曲「Beautiful Dancer」は、透き通るように爽やかなメロディのR&Bで、IUさんもすごく高いキーで歌ってますね。
 「すごく爽やかなメロディなので、とにかく綺麗に歌うように気をつけました。あとコーラスもすべて私がやったんですけど、メイントラックよりも、コーラスの方が難しかったです」
――本作を通じて、IUさんのコーラスがすごく多いですね。
 「正直レコーディング中は、面白いよりも、“難しい〜。誰か他の人にコーラスを代わってもらいたい”と思ってました(笑)。でも、出来上がりを聴いたとき、自分でやって良かったなと思いました」
――充実感があったと。この曲の歌詞には、弱気になってる人に勇気を与えるようなメッセージが込められてます。気に入ってるフレーズはどこですか。
 「やっぱり、サビの部分。曲のコンセプトが一番ハッキリしてると思うので。“下手でも構わないから踊りましょう”って、勇気づけるように気をつけて歌いました」
――「Truth」もキラキラした爽快さがありますが、歌のキーは高いけど、ソフトに歌っていますね。
 「この曲が、私が思うJ-POPのイメージと一番近かったんです。最初は日本の作家さんの曲だと思っていたんですけど、スタッフさんから、ジャム&ルイスの曲だと聴いて、ビックリして。さすがに、いろんな感情を表現できる人たちだなと感心しました。メロディラインも 歌詞も綺麗だから、歌は、繊細に優しく表現するように努力しました」
――後半のコーラスでは、低いキーも聴こえてきて新鮮でした。
 「正直、自分では高い声より、低い声の方が好きなんです(笑)。でも作曲家さんたちは、みんな私の高い声が好きだと言うんです。ちょっと残念ですけど、そこは今回コーラスで解消しました(笑)」
――自らコーラスをやったことで、高い声も低い声も歌えたと。歌詞では、傷つけたり傷ついたりを繰り返して大人になっていくことが書かれています。
 「この歌詞は、誰もが共感してくれると思います。なぜかというと、信じるということは、恋愛でも人に対しても、傷つけたり傷ついたりの繰り返しじゃないですか」
――19歳(韓国では20歳)のIUさんは、まさに少女から大人になっていくタイミングです。今、大人になっていくのは大変ですか?
 「〈Truth〉で歌っているように、信じたり傷ついたりしてどんどん大人になっていくという部分にはすごく共感します。でも、私はあまり人に対して、がっかりすることがないんです。むしろ、私が他の人をがっかりさせることはあるかも(笑)。なので、私が周りの人を大人にさせています(笑)」
――アハハハ。「Fairytale」は、歌から始まり、途中からビートの入るミディアム・チューンです。失恋の切ない歌詞ですが、歌を力強く歌うことで前に進んでいくような思いの曲に聴こえますね。
 「『ライオンキング』や『ポカホンタス』とかの音楽みたいに、綺麗だけどちょっと悲しい感じもあるので、大人っぽい童話というイメージで歌いました」
――IUさんの作曲した「Voice-mail」は、アコースティックでメロウなナンバーです。
 「個人的にアコースティックな感じが好きだから、ピアノとギターとドラムと全部生演奏で、ちょっと憂鬱なメロディを入れました。私が思うに、このアルバムで一番子供っぽい曲だと思います(笑)。他の曲は、何かを克服するという共通点がありますが、〈Voice-mail〉は克服できない女の子の曲です。恥ずかしがりやの女の子が、好きな男の子に留守電で気持ちを伝えるという歌なんですけど……全然キラキラしてない告白ですよね(笑)。遠回しに“あなたが私をこうさせたでしょ? なのに何で振りむいてくれないの”って。でも、最後は結局キャンセルボタンで消しちゃうんです。ミジメですね(笑)。たぶん、私の年頃の女の子には共感できる歌詞だと思います」
――「New World」は、アコースティックとダンス・ビートがミックスした明るいメロディの、これまたフレッシュなナンバーです。
 「私も新鮮だと思いました。〈Voice-mail〉の歌詞を書いてくださったYADAKOさんが、この曲の歌詞も書いてくださったんですが、デモの仮歌が上手くて、“私はもっと上手に歌えるかな?”と思いました(笑)。でも、YADAKOさんが細かくディレクションしてくれて、しっかり歌えました。特に、女性のリスナーが好きになってくれる曲なんじゃないでしょうか」
――歌詞は、過去や失敗から解き放たれて新しい扉を開けていくという内容ですが、IUさん自身はポジティヴな性格ですか?
 「私は、ポジティヴとかじゃなくて、良いことも悪いことも、すぐに忘れちゃうんで(笑)。一瞬だけ気分が悪くなっても、寝たらすぐに忘れてしまうんです。それはずっと前から(笑)。気持ちの上下が激しくないので、他の人からは、“常にポジティヴだね”って言われるんです」
――自分では普通のテンションでもポジティヴに見られるんですね。
 「はい、そうです。スポンジを押すとすぐ戻るみたいに回復力が早いんです(笑)」
――(笑)。初回生産限定盤ではミュージカル『ノートルダム・ド・パリ』の楽曲「The Age Of The Cathedrals」をカバーしてますが、かなりドラマチックな歌ですよね。
 「すごく有名で難しい曲なので、歌う前はちょっと心配でした。でも、なんとか歌いこなすことができて。自分なりに最大の努力をしました」
――いや見事です。新たなチャレンジの詰まった『Can You Hear Me?』を作り終えての感想は?
 「私の口でいうのは恥ずかしいですけど、ウェルメイド(しっかりと出来の良い)なアルバムだと思います。リスナーのみなさんにも、そう思ってもらえると思います。本当に一生懸命に作りましたし、初めての日本オリジナル作品ですから、自分にとっても、日本のファンのみなさんにとっても、すごく特別なものになったと思います」
――では、韓国での活動について聞かせてください。昨年発表したシングル「二十歳の春」に収録された「桃」という曲は、f(x)のソルリさんをイメージして作られた曲だと聞いてますが。
 「そうです。ソルリさんは桃みたいに可愛くて、実際、桃の匂いがしそうな雰囲気なんですよ(笑)。私が本当に愛する妹ですから、ソルリさんに向けて書きました」
――ソルリさんからの反応は?
 「一時期、韓国のカカオトークで、ソルリさんがプロフィール写真を桃にしてくれてました。本人からは、“本当にいい曲ですね”って言われたので良かったです(笑)」
――あと、IUさんが韓国で所属するローエンエンターテインメントの後輩6人組ガールズグループFIESTARとの「月光の海」も楽しいアップチューンでした。
 「はい。FIESTARのメンバーとは仲がいいので、一緒の曲作りも楽しかったです。ミュージック・ビデオの撮影は、バーベキューとかしつつ、遊びながらやりましたよ」
――楽しさは見てても伝わってきました。あと、オンラインゲーム『AION』のOST曲「ATREIA」を昨年12月にデジタル・シングルで発表しましたね。ゲームの中に、IUさんのアバターが登場したそうですが、どんな気持ちでしたか。
 「ゲームの中のIUは、私より可愛いです(笑)。顔も小さいし背も高いし。実際これだけ綺麗だったらいいなと思います(笑)。キーが高くて難しかったけど、ゲームとピッタリの曲だと思いますね」
――あと、ドラマ『最高だ イ・スンシン』では主役を務めるそうですが。
 「『ドリーム・ハイ』以来、2年くらいぶりのドラマで、しかも主人公ですからプレッシャーがいっぱいですけど、他の俳優さんが実力派なので ちょっと安心してます(笑)。私だけ一生懸命がんばります(笑)。役柄は、私よりも年がちょっと上の設定で、顔も背も才能も、全部あんまりな“ミジメ乙女”です (笑)。劇中では、その子がどんどん成長していくので、日本で放送されるときにはぜひ観てください」
――楽しみにしてます。最後に韓国で春に新作も予定されてるそうで。
 「そうなんです。久しぶりのフル・アルバムですから、新しい曲がいっぱいです。チャレンジもいっぱいしてるので、ぜひ楽しみにしててください」
――では、ちょっと普段の話題を。映画、マンガ、本など最近好きなものは?
 「最近は『クレヨンしんちゃん』が大好きです。韓国でも人気で毎日8時にやってるので、毎日観てます(笑)。正直、しんちゃんは可愛いというよりは、悪い子なので叱ってあげたい(笑)。でも、内容は本当に面白いです。本でいえば小川糸さんの『食堂かたつむり』が面白かったです」
――他にIUさんが凝ってる趣味ってありますか?
 「私は仕事をするのが大好きで、ワーカホリックなところがあります。なので仕事をするのが趣味ですね(笑)。逆に、休みになると暇ですし、寂しいのでストレスになります。それを仕事で発散してます(笑)」
――お休みに家で悶々として、仕事で発散すると。それだけ音楽など表現することが好きなんですね。では、日本での活動で今年やりたいことは?
 「ファンのみなさんの歌を私に聴かせてほしいんです。私はステージにただ座って、みなさんが私の歌を合唱する、そんなイベントがやってみたいです」
――それはユニークな発想ですね(笑)。でもIUさんも歌ってください(笑)。
 「はい(笑)」
――日本での全国ツアーもぜひやってほしいですね。
 「やりたいです。日本の各地に行きたいです。特に名古屋は必ず行きたいです。手羽先とミソカツが食べたいので(笑)」
――やはり食べものですか(笑)。あと、井上陽水さんの「少年時代」、安全地帯「Friend」などを歌いましたが、今後、歌ってみたい日本の曲はありますか。
 「安全地帯の〈ショコラ〉が大好きなので、難しい曲ですけど、チャレンジしたいです」
――では、最後に新作聴いてくれる人へのメッセージを。
 「長くお待たせしました。私も長い時間をかけて準備しました。私が初めて(日本で)自分で書いた曲も入っているので、作曲家としても一生懸命頑張りました。新しいIUを、たくさんの人に聴いてもらって、喜んでもらえたらうれしいです」
取材・文/土屋恵介(2013年1月)
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