特別対談:ピエール中野(凛として時雨)×吉田豪

凛として時雨   2011/09/30掲載
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「玉袋筋太郎ミーツLLクールJ太郎って、そのネーミングはどこに向けた電波なんだっていう(笑)」(吉田)
吉田 「ちなみに、中野さんは普段こういう部分は出さないようにしようとか心掛けているところはあるんですか?」
中野 「あんまり気にしないんですけど、まあ、バンドがありますんで(笑)。一人だったらなんでもいいんですけど。一応、そういう線引きぐらいはしようかなと」
吉田 「迷惑をかけちゃいけない、と。そういう意味では、ご自分のイベント(『ピエールナイト』)だとかなり自由にやってますよね?」
中野 「はい。自由にやってます(笑)」
吉田 「あれは完全にバンドと切り離して考えてるわけですか?」
中野 「割とそうですね。個人だとDJやったり玉筋クールJ太郎ってヒップホップユニットやったりで」
吉田 「ヒドいことやってるなと思いましたけど(笑)」
中野 「すいません(笑)。あのイベントも事故みたいなもんで、やり始めたころはあんなふうになるとは思ってなかったんですよ。“身内で楽しくやれればいいや”ぐらいの感じで。でも、やってみたら意外に盛り上がって」
吉田 「玉袋筋太郎ミーツLLクールJ太郎って、そのネーミングはどこに向けた電波なんだっていう(笑)」
中野 「全然分からないですよね(笑)」
吉田 「メンバーとかスタッフには止められないんですか?」
中野 「止められはしないですね。(マネージャーに向けて)止めてないよね?」
マネージャーN氏 「そうですね、はい(苦笑)」
吉田 「大人がいろいろ調整して(笑)。イベントにキャバ嬢のユニットが出てましたけど、あれは本当のキャバ嬢なんですか?」
中野 「本当のキャバ嬢です。僕の高校の同級生が、高校を中退してホストになって、いつの間にか埼玉でキャバクラを2軒経営するようになったんですよ。それで久々に連絡を取ったら、“今度、39人のキャバ嬢で39C(ミクシー)ってアイドル・ユニットを作るんだけど”って言われて。そしたら、いろいろ大変なことになってたみたいで、要は……(※以下、諸事情により省略)。それで、彼女たちに自分のイベントに出てもらったらおもしろいんじゃないかと思ったんです。でも、さすがに友達がやってるってだけで出すわけにいかないんで、ライヴを1回観にいったんですよ」
「My Love -39c ver.- 」39C
吉田 「どれくらいできるのか知っておこう、と」
中野 「そしたら、なんかキャバ嬢が、『エヴァンゲリオン』の曲を歌って踊ってて。それにギャル男が“オーイ!”とかコール入れたりしてて、これは……いいなつって(笑)」
吉田 「ひと回りして面白いわけですか(笑)」
中野 「AKB48のコピーとかもやってて。なんかめちゃくちゃで面白そうだなと思って」
吉田 「何でもアリな感じを伝えるには、そういうユニットを出すのはいちばんいい手段ですよね」
中野 「おかげさまで、ものすごく盛り上がりました(笑)」
吉田 「アイドル・イべントにも出てほしいぐらいですよ」
中野 「豪さん、ぜひとも呼んでください」
吉田 「(無視して)あとは中野さんがプロデュースしてCD出したりとか」
中野 「そこまでは関わりたくないです(笑)。外から見てるのが面白いのかなって」
吉田 「誰かが興味示してくれたらいいな、ぐらいの」
中野 「そうですね。そのぐらいの距離感がいいなと思います」
吉田 「いま話を聞いた限り、ボクは興味を示しました。とりあえず動画は観てみますよ!」
中野 「ぜひとも観てほしいです。面白いんで」
吉田 「あと、LLクールJ太郎からインスパイアされたユニット名で活動してるだけに、杉作J太郎さんからは当然、影響を受けてるわけですよね」
中野 「はい。スペシャの番組に杉作さんがLLクールJ太郎で出てたとき、いとうせいこうさんに“実は僕、ヒップホップってあんまり好きじゃないんですよ”って言い放ったのを観て、ものすごい衝撃を受けたんですよ」
吉田 「杉作さんはヒップホップになんの興味もないですからね(笑)」
『プッチRADIO』LLクールJ太郎
中野 「“事故じゃねえか、これ?”って(笑)。当時は杉作さんのこと全然知らなかったんですけど、“この人、凄えな!”って気になりはじめて。あと豪さんも常々、絶賛してるし」
吉田 「“何者なんだ!?”と」
中野 「それ以来、ずっと注目してて。杉作さんは名言も多いですし」
吉田 「キ●ガイかつ哲学者みたいなところがありますからね。Jさんはアニメが好きなんですけど、たとえば、“なんでそんなにアニメのキャラが好きなんですか?”みたいなことを相手に言われるとするじゃないですか。そうすると“じゃあ言いますけど、あなたが好きなアイドルって本当に実在してると言えますか?”って」
中野 「ははは。一気に哲学的な話になった(笑)!」
吉田 「“たとえば宮崎あおいさんが好きだとして、あなたが観てるのはだいたいテレビとかグラビアでしょ? そんなのドットですよ”って」
中野 「わはははは!」
吉田 「アニメとなんの違いがありますか?って(笑)」
中野 「言われてみればそうですよね。説得力あるなあ」
吉田 「Jさんには童貞哲学みたいなものがあるんですよ」
中野 「格好いい!」
吉田 「そろそろJさんの再評価が始まるんじゃないかって話もあって。なぜなら誰よりも先に節電をずっとやってたんですよね。何年もエアコンも使わず、冬でも夏でも家の中では全裸で真っ暗の中、過ごすっていう」
中野 「冬でも全裸なんですか!」
吉田 「しかも扇風機もギリギリまで使わないっていうルールで」
中野 「人間の能力を環境に合わせるみたいな」
吉田 「それに近いですね。本当にヤバいときのために取っておかないと、今、使ったら大変なことになるっていうので、ずっと取っといたら結局、1年使わなかったっていう。原発事故以降、Jさんの生き方は見直されますよって話をしてて」
中野 「たしかに早すぎますね!」
吉田 「本人も“世界中の人間がボクみたいな生活してたら原発はいらなかったです!”って言ってて」
中野 「マジで凄い」
「そうそうそう。ガッキーはそんな人じゃない!」(中野)
中野 「もっと広く一般の人に杉作さんの生き方が知られるべきですね」
吉田 「ヒドいところもいっぱいありますけど(笑)。最近も『モテキ』の映画版にボクと掟ポルシェとJさんで出たんですけど、ボクらがトークショーをすると言う設定で、最初、ももクロの話をしてくれって言われてたんですよ。それは嫌だってボクが断って。なぜならボク以外の二人が、ももクロに全然興味がないから」
中野 「そうなんですか(笑)」
吉田 「ボクだけ変にあがく感じのすごい格好悪いことになると思って。しかもJさんは必ず下ネタに持ってくから、ももクロにとっても、なんの得もないんですよ。デメリットしかないっていう」
中野 「何もない(笑)」
吉田 「だから、それよりもいつもの話をしたいと言って。まあ、いつもの話っていうのはJさんが最近よく話す“クンニなんて栄養がないんだからやっても意味がない”っていう話と、“オリモノってなんですか?”って話で(笑)」
中野 「はははは」
吉田 「“50年間生きてきて、オリモノっていうものの意味が分からない。たぶんマスコミが隠そうとしてるんでしょうね”って」
中野 「マスコミ陰謀論(笑)」
吉田 「その話を延々、長澤まさみの前でしたんですよ(笑)」
中野 「マジっスか!」
吉田 「ボクらは闘いましたよ!」
中野 「長澤まさみは大丈夫だったんですか? その話題」
吉田 「爆笑してました。勝ちました(笑)。あとで聞いたら、長澤まさみも意外と小学生レベルの下ネタが好きな人だったっていう。そもそもJさんが話す下ネタってイヤらしさがないんですよね。実戦の匂いがしないというか」
中野 「あ、そう言われるとそうですね」
吉田 「経験に基づいてるわけじゃなくて、あくまでも想像上の話なんで(笑)」
中野 「杉作さんの魅力をもっと伝えていきたいですね」
吉田 「ぜひ伝えてください(笑)。音楽界にも広く。一緒にコラボとかどうですか」
中野 「本当にやりたいですよ。実際、申し訳ないとの方からも“玉筋クールJ太郎の映像を観せてください”ってDMをいただいていて。“ぜひ<ピエールナイト>で杉作さんと共演してください”って」
吉田 「それは絶対、実現するべきですよ! で、そろそろ時間みたいなんですけど、他に誰か興味ある人とかいます?」
中野 「その界隈でですか?」
吉田 「その界隈じゃなくていいです! むしろ、その界隈に絞らないでください(笑)」
中野 「そしたら、やっぱ新垣結衣ですかね。僕、ガッキーが大好きで。豪さんはガッキーは取材したことありますか?」
吉田 「いえ。ただ彼女のCDは大好きで。本人が書いた歌詞を見るだけでヤラれますよね」
中野 「分かります」
吉田 「1stアルバムに収録された曲の歌詞が本当にヤバくて。いかに現状がシンドイかっていうのがそのまま歌詞になっていて」
中野 「“新垣帳”って有料サイトの日記があるんですけど、初期はすごく内容が暗かったですし。そういう一面も含めて僕は好きなんですけど」
吉田 「売れたのがポッキーのCMだったっていうのと沖縄出身だっていうイメージのせいで、“明るい元気な人”っていうレッテルが貼られて、それに苦しみ続けてるんですよね」
中野 「インタビューとか読んでても、聞き手は明るいイメージで話を聞きにいくんだけど、本人はそういうキャラじゃないから戸惑ってる感じがすごく伝わってくるんですよね」
吉田 「それで週刊誌とかに“機嫌が悪かった”みたいなこと書かれて。“違うんだよ!”っていう(笑)」
中野 「本当は人見知りで物静かな人なんですよね」
吉田 「映画もそういうイメージで『フレフレ少女』とかで応援団の役を演じることになったりで。“そんな人じゃないのに!”っていう(笑)」
中野 「そうそうそう。ガッキーはそんな人じゃない!」
吉田 「ガッキーは歌もいいですもんね」
中野 「最高ですよ!」
吉田 「あの音程が不安定な感じとか」
中野 「あえて修正してないっていう。超正解だと思います」
吉田 「そんな不安定な歌なのに、3 rd アルバムのときでしたっけ? 全曲アカペラ・ヴァージョンを配信でリリースして」
中野 「“naked voice version”ですね」
吉田 「この不安定さを声だけでお楽しみくださいっていう」
中野 「そうそうそう、って……それは違いますよ(笑)。あれはガッキーの繊細な歌声を楽しんでくださいっていう狙いなんです(笑)!」
撮影 / 相澤心也(2011年9月)
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