世界を股に掛ける“サムライ・ギタリスト”雅-MIYAVI-、再デビュー・アルバム『WHAT

雅-MIYAVI-   2010/10/15掲載
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 世界を股に掛ける“サムライ・ギタリスト”雅-MIYAVI-、再デビュー!──。昨年2月にオフィスを独立した彼が、ワールド・ツアー、そしてニュー・アルバムのリリースと、新たな戦闘フェイズに突入するにあたってパートナーに迎えたのは、54-71のドラマー、BOBO。タッピング奏法を駆使する独創的なギターと、パワフルかつエクスプレッシヴなビート、そこからシャウトされるメッセージによって形成されるニュー・サウンドを搭載したアルバム『WHAT'S MY NAME?』は、雅-MIYAVI-のキャリアのなかにおいてはもちろんのこと、日本の、いや、世界のミュージック・シーンにおいてもハンパない煌めきを放つものと言っても大袈裟じゃないと思うわけで……!
――雅-MIYAVI-=ヴィジュアル系というイメージを持っているリスナーも少なくないと思うんですが、正味な話、僕もそういう先入観を持っていたクチで(苦笑)。それだけに、今回の音──シングル「TORTURE」、さらにアルバム『WHAT'S MY NAME?』を聴いたとき“なんじゃコレ!”という衝撃が強くて。でも、ヴィジュアル系とか自身の過去を真っ向から否定して作られた作品ではなさそうですね。
雅-MIYAVI-(以下、同)「実際これまでいろんなアーティストから影響を受けてきて……でもオレは、そういうアーティストを見て“こうなりたい”って思ったことはなくて、いつもどこかで同じステージに立ったら、どうやったら勝てるかみたいなことをずっと考えてた。そのなかでヴィジュアル系と呼ばれるものからも影響を与えられたし、メイクをしたり着飾ったりして自分自身をエンターテインすること、観る人を楽しませたい、驚かせたいっていう気持ちは根本にあります。でも結局、ジャンルなんてどうでもよくて、肝心なのは確固たるオリジナリティがあるかどうかだし、聴いた人が背中押されてパワーを貰って元気になれる、音楽ってそれで良くねえ!?って。世界中ツアーして、たくさんの国にオレを待ってくれてるファンがいて、日本でライヴやってもいろんな国の人が来たりとか、今は自分っていう媒体を通して人と人とが繋がっていくっていうことの素晴らしさっていうのをやり甲斐に感じてるから。そうなってくると、正直ジャンルとか考えてるヒマがないんですよね」
――ヴォーカル&ギター+ドラムスっていうのは、すごくオルタナティヴな音楽になりかねない編成だと思うんですが、できあがりは非常にエンタテインメント性に富んだ作品で。今語られたようなアーティストとしての根本が息づいている証拠ですね。
「今回のレコーディングは、北米ツアーを挟んで前半戦、後半戦があったんですけど、前半はすごくオルタナティヴというか、コアな方向に行ってたんですよね。録り終えてみてすごく緊張感がある楽曲ばっかり揃ったので、これだけじゃないよなって。そこから、<A-HA>みたいに踊れるようなシャッフル・ビートだったり、<CHILLIN' CHILLIN' MONEY BLUE$>みたいに言葉遊びも含めてすごくヒップホップ・フレイヴァーのあるチルな曲だったり、<FUTURISTIC LOVE>みたいにフロアを意識したような曲だったり、弾き語りで<すてきな みらい>みたいなオーガニックな曲もあったり……オレから出てきたものはオレだし、それをギターとシャウトとビートっていうフォーマットの中でやることによって筋は通るんじゃないかって。……実際にモノにできたと思うし、存分に雅-MIYAVI-っていうアーティストの可能性を封じ込めることができたと思ってますね。それは本当にケミストリーだと思うし、ドラムのBOBOと二人でやってたことのシナジーだと思うし、やってくうちにこれもいけるな、これもいけるな、っていうところにどんどん触手が伸びていったっていう。BOBOも、ホント、色彩豊かなんですよね。人としてすごくエッジーな部分もあるけど、優しいし。結局、プレイって人間が出るし、それは今までいろんなアーティストを見てきて思ってたこと。よく、知識とか経験とかと音符を結びつけがちですけど、やっぱり弾き手としてはそこもあったうえで感覚や衝動的な感情ともっと結びつくべきなんじゃないかと思うんですよね。フリー・ジャズだったり、セッションのなかで生まれてくるインプロヴィゼーションの輝きみたいなのも今回の作品には封じ込めたかったし、同じ沸点にイケるのはBOBOとのセッションならではというか」
――今回のアルバムで雅-MIYAVI-のスタイルをひとつ完成させたと思うんですけど、話を聞いていると、まだまだ劇的な進化が起こりそうな予感がしますね。
「そうですね。ただ毎回思うんですよ、このスタイルで突き進みたいと(笑)。同じ事をやるつもりはないけど、雅-MIYAVI-って言ったらこうだっていう根幹のスタイルを伝えて、それで突き進みたいって。以前、『雅-みやびうた-歌 〜独奏〜』(2006年)っていう弾き語りのアルバムを出して、そのときと感覚は近いんですけど、今回はより攻めた形でロックもファンクもヒップホップもダンス・ミュージックも全部、雅-MIYAVI-的にコンバインして、ギター・ミュージックっていうものに落とし込んだ感じで」
――以前結成したセッション・バンド、KAVKI BOIZのネーミング・センスもそうですし、現在の雅-MIYAVI-のセッション・スタイルに、僕はZAZEN BOYSとリンクする部分を感じるんですよね。BOBOさんはZAZEN BOYSの初代ドラマーですし(※ZAZEN BOYSは、向井秀徳がナンバーガールで活動中、女性シンガーのhalに提供した<6階の少女>)という曲をレコーディングするために結成されたのが始まり)。
「実はつい最近、初めてZAZEN BOYSのライヴを観て。そのあとに向井さんとも話をして、やっぱり“間”というものをあの人もすごく意識してるんですよね。それに、LEO今井くんとやってるKIMONOSもそうですけど、日本人がやるべき音楽っていうのをすごく考えていると思う。やっぱり、海外のヤツらにはできない音楽をやらないと、いつまで経っても日本の音楽ってアイデンティティがないままだと思うし、ワールド・ツアーなんか回ってると特にそう思う。やっぱオレはグラミー賞を獲りたいし、もっともっと日本人のエネルギーを世界の中で感じたい。日本が好きだから、“日本の音楽ってどんなの?”って外国人に尋ねられて、苦い顔するのは悲しいじゃないですか。どんどん世界とコミットしていかないと、置いてきぼりですよね。ミュージシャンがミュージシャンの自我を形成していく過程の中で、まあ、あたりまえですけど、世界とどうコミットしていけるか、世界に貢献できるか──ある程度行ったらそこしかなくなるというかね。個の欲は満たされてるだろうし、次にどういう形で社会に対して貢献できるかみたいな、そういうことを意識できたらまた作品も変わってくるだろうし、意識も高く持てるから……で、今もそういうふうに心がけてる感じですね」


取材・文/久保田泰平(2010年9月)



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