『doorAdore』を経て“今のPlastic Tree”が表現された「インサイドアウト」

Plastic Tree   2018/07/27掲載
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 デビュー21年目の確信と革新。シューゲイザー、ニューウェーヴ、オルタナなど洋楽的要素をたっぷりと含んだ刺激的なサウンドで、唯一無二の音を奏で続けるPlastic Treeが、最新傑作『doorAdore』に続いて早くもニュー・シングル「インサイドアウト」をリリースする。PS Vitaゲーム「Collar×Malice -Unlimited-」の主題歌として作られた「インサイドアウト」は、シンプルで明快なロック・チューン。片や、同ゲームのエンディング曲として作られた「灯火」は、ほの暗く静謐なクラシカル・ロック・バラード。「今はフラットな気持ちで音楽を作れている」という有村竜太朗(vo)と長谷川 正(b)に、バンドの現状と新たな創作意欲の高まりについて語ってもらった。
――3月に出たアルバム『doorAdore』、素晴らしかった。シューゲイザーあり、ハードコアあり、オルタナあり、ファンキーあり、もう全乗せでしたね。
長谷川 「Plastic Treeのアルバムはこうあるべき、というものをこのタイミングで作れたのが一番良かったと思います。もしもこのバンドのことを知らない人がいたとしたら、このアルバムを聴いてもらえばわかるんじゃないかなというものができたので。今こういうことをやっているこういうバンドなんだよということが、ちゃんと表現できた作品じゃないかなと思います」
有村 「毎回アルバムができると、うちのバンドはすごいなって素直に思うんですけど、今回はより一層思いましたね。今までやったことのない演出をやってみようとか、新しいものを試したくなる楽曲もあって、ヴォーカリストを飽きさせないバンドだなというか」
――それはいい表現。ヴォーカリストを飽きさせないバンド。
有村 「ヴォーカリストって、たまにヒマになっちゃうんで(笑)。楽器の人は音楽大好きだから、演奏することに喜びを感じていると思うんですけど、ヴォーカリストも音楽は好きなんですけど、楽器の人の音楽が好きとはまたちょっと違うんで。でもヴォーカリストにしかできないことってたくさんあるんで、それをまだ追及させてくれるバンドはすごいなと思いますね」
――最新作が最も革新的。そう思えるのは幸福だと思います。
長谷川 「その上で、実験的なこともやってるけど、自分たちが大事にしてきた伝統芸みたいなものも入っているので。そこがいいんじゃないかと思いますね」
――もしかして、まだ聴いてない方は今すぐチェックを。さあそして、アルバムから4ヶ月で早くも新曲が出ます。PS Vitaゲーム「Collar×Malice -Unlimited-」の主題歌になった「インサイドアウト」。「Collar×Malice」とのコラボは、二度目になりますか。
長谷川 「そうです。2年前に最初にゲームが出た時にも、タイアップをやらせていただいて(〈サイレントノイズ〉)。それとはまたちょっと違った企画で、新しいゲームを作られるということで、また一緒にやらせてもらうことになりました。あちらから言っていただいたので、よかったなと思います」
――2年前の「サイレントノイズ」の時には、どんなやりとりが?
長谷川 「幸いだったのは、まったく自分たちにない要素ではなくて、Plastic Treeの過去の曲の“こういうイメージで作ってほしい”という感じで言っていただいたので。もともとゲームのスタッフさんで、Plastic Treeを好きでいてくれた方がいたらしくて。ちゃんと自分たちの持ち味を出しつつゲームの世界観とマッチングさせる、そこが前回はうまくいったんじゃないですかね。それで今回も、声をかけていただいたんだと思います」
――もう世界観もわかっているから。
長谷川 「そうですね。ただ前回は、どちらかというと張り詰めたシリアスな感じがあったんですけど、今回はそこから少し解放されたような雰囲気がほしいというお話だったので。前回とはアプローチが違うんですけど、曲への取り組み方は前回と一緒ですね。イメージをいただいて、それにのっとって、自分たちのカラーで作らせてもらいますということで。先方からいただいたキーワードがわかりやすかったこともあって、“今のプラでやるならこんな感じかな”と。それと、アルバム『doorAdore』が自分たちにとって濃いものを詰め込んだ作品になって、そのあとの一作目ということで、いい意味でフラットな感じがあったんですよ」
――ああ。なるほど。
長谷川 「自分たちの持ち味全開とか、そんなこともあまり意識せずに、フラットな気持ちで作ってみようと思って。とはいえ、プラらしくなったと思いますけどね」
――なったと思いますよ。解放的で明快なエイト・ビートのロック・チューンで、かつてのBOØWYとか、日本のビート・ロックの典型を思わせるようなスタイルの楽曲で、シンプルにかっこいいなと思いました。
長谷川 「そうなんですよね。メロディも、抜ける感じがほしいと思って作ったので」
――竜太朗さんの第一印象は。
有村 「そういう話をしていたせいもあるかもしれないですけど、すごくフラットな、いい曲だなあと思いました。あとは時期的に7月リリースだったので、この時期にこういう歌を聴きたいと自分も思うなとか。あとは正くんと同じで、『doorAdore』を出したあとだったんで、バンドとしては出し切ったからしばらく充電かなという感じだったんですけど、せっかくいただいたお話だったので、今出すならこういう楽曲がいいねというニュートラルな感じだったので。『Collar×Malice』のゲームの世界と、Plastic Treeが持ってる世界がコラボしているという感覚があって、楽しみながらできましたね」
――ゲーム自体も、前回ほどダークでシリアスな感じじゃないんですね。
有村 「いくつかあるみたいなんですよ、エンディングが。書いていいかわかんないですけど、わりとハッピーエンドなものと、救いのない終わり方があるみたいで。救いのないほうでもう1曲書いてるんで、ダークといえばダークですね」
――ああ、それがカップリングの「灯火」?
長谷川 「そうです。わりとハッピーなほうのエンディングは、違うアーティストの方がやっていて、暗い方のエンディングは我々がやらせてもらって。そりゃそうでしょうねって(笑)」
――バンドの特性をきちんと把握されている(笑)。素晴らしい。
長谷川 「そういう、バンドのキャラクターをわかっていただいた上でのお話だったので」
――竜太朗さん。「インサイドアウト」のリリックに関しては。
有村 「ゲームの世界観を説明してもらって、いくつかキーワードをもらって、それが自分にとっても無しなものではなかったので。自分らしく書けるなと思って、あとは曲に呼ばれるようにつらつらと書いていった感じですね」
――「インサイドアウト」=裏返し、というワードは最初からあったんですか。
有村 「もともと“夜明け”というイメージがあって、夜が朝に変わるという、それが自分的には裏返しの連続なのかなと思ったので。夜が朝になって、朝が夜になって、繰り返していく中で、新しい自分に生まれ変われるという感じを描きたいなと思いました」
――それはPlastic Treeの中にずっとある世界観ですね。刹那と永遠の対比というか。
有村 「永遠を願う、みたいな。普遍的なテーマでもありますし。でもほとんどが曲に呼ばれた言葉ですね。メロディを歌ってると、言葉が出てくるんですよ。サビのピークのところで“インサイドアウト”だなという、電車の中で出てきたんですよ。“これだ!”って。でも電車が混んでいて、携帯でメモれなくて、忘れないようにずーっと歌いながら(笑)」
――なぜ「インサイドアウト」だった?
有村 「なんなんですかね? 普段使う言葉じゃないから(笑)“裏返し”ってのが“夜明け”のイメージに近かったんだとは思います。ただ、日常的には使わない(笑)」
――絶対言わないですね(笑)。
有村 「だから、よくわかってなかったんですけど、どこかにあったんでしょうね。それを、メロディが呼び起こしてくれたというか」
――Plastic Treeの音楽が持つ非日常感覚を、明るい方向で飛ばしてくれるいい曲だと思います。
長谷川 「パッと聴いて“かっこいいね”と思える、そういう曲が自分も好きなので。『doorAdore』みたいな重みのある作品のあとに、いい意味でさらっと聴いてもらえる曲ができたのは、自分でも良かったです」
――もう1曲、ゲームのエンディング曲になっているカップリング「灯火」は、は詞も曲も正さん。
長谷川 「いただいたキーワードが感傷的なものが多かったので、それにのっとって歌詞と曲を書きました」
――ピアノとアコギの、三拍子のロック・バラード。イントロと間奏に純クラシックな弦楽器の演奏が入っているのが印象的です。
長谷川 「このアレンジはギターのアキラですね。僕の原曲はアコギのイメージがあったんですけど、それをアキラに投げて、戻ってきたのがこの形で。“すげえな”と思いました。Plastic Treeが手掛けたサウンドトラック盤みたいな感じですね。ロック・バンドとしてのフォーマットは〈インサイドアウト〉で表現できたんで、カップリングに関しては“バンドとしてこういうこともできますよ”というものでもいいのかなと」
――竜太朗さん。歌い手としては。
有村 「バンドではあんまりやらないアレンジなので、Plastic Treeを自分の声でアピールしようかなという気持ちで、歌には自分らしさが強く入ってますね。これをさらりと歌ってしまうと、誰がやってもいい曲になってしまうのが嫌だなと思ったので。楽器でアピールする曲じゃないので、これは歌しかないなと。ちょうどツアー中だったで、歌に集中している時期だったから、自分らしさを強く出せたと思います」
――「インサイドアウト」とは表現方法が全然違う。
有村 「違いますね。うちはメンバー全員が曲を書くし、曲調もバラバラなんで、“これはどういうふうに歌ったらいいんだ?”って、試行錯誤しないとハマらないことがたまにあるんで。でもどれもバンドの良さだし、らしさだと思うんで、ベストな回答をしたいなと思って毎回やってます。歌って、演じるところも大きいと思うんですよ」
――ありますよね。
有村 「演技というか表現というか、音楽的じゃないところもたくさんあるんで」
――デビューから聴いてますが、そこはどんどん広がってると思います。
有村 「自分ではわかんないですけどね。懸命にやってるだけなんで(笑)」
――9月のツアー。楽しみにしてます。
有村 「毎年春と秋にツアーをやってるんですけど、今回は直近で〈インサイドアウト〉がリリースされるので、それをお披露目するツアーにしたいし、この曲から触発されるような選曲でやってみたいなと思ってます」
――セトリはもう決まってますか。
有村 「まったく。〈インサイドアウト〉をやるんだろうな、ぐらいで(笑)。ただタイトルにも二面性があるし、シングルの2曲に二面性があるので、そういうテーマでやっても面白いかもねという話はしてます。それから次の作品へ向けて、何かしら制作に入ると思うんですけど。来年に向けて、頑張らないと」
――最後に個人的な感想ですけど、海の向こうでは、シュ―ゲイザー系のバンドが続々復活して、元気にやってるので。日本のシュ―ゲイザーを代表するPlastic Treeの音は、時代にも合ってると思うんですね。いろんな人に聴いてほしいです。
長谷川 「ありがとうございます。よろしくお願いします」
取材・文 / 宮本英夫(2018年7月)
Plastic Tree Autumn Tour 2018
「in the other side」

www.jrock.jp/plastictree/
2018年9月16日(日)
宮城 仙台 Rensa
開場 17:00 / 開演 18:00
前売 5,800円(税込 / 別途ドリンク代)
※3歳以上有料 / 3歳未満入場不可 / オールスタンディング
※お問い合わせ: クールマイン 022-292-1789




2018年9月22日(土)
熊本 B.9 V1
開場 17:30 / 開演 18:00
前売 5,800円(税込 / 別途ドリンク代)
※3歳以上有料 / 3歳未満入場不可 / オールスタンディング
※お問い合わせ: BEA 092-712-4221




2018年9月23日(日)
福岡 DRUM LOGOS
開場 16:00 / 開演 17:00
前売 5,800円(税込 / 別途ドリンク代)
※3歳以上有料 / 3歳未満入場不可 / オールスタンディング
※お問い合わせ: BEA 092-712-4221




2018年9月28日(金)
愛知 名古屋 ボトムライン
開場 18:00 / 開演 19:00
前売 5,800円(税込 / 別途ドリンク代)
※3歳以上有料 / 3歳未満入場不可 / オールスタンディング
※お問い合わせ: キョードー東海 052-972-7466




2018年9月29日(土)
大阪 なんばHatch
開場 17:00 / 開演 18:00
前売 5,800円(税込 / 別途ドリンク代)
※3歳以上有料 / 3歳未満入場不可 / オールスタンディング
※お問い合わせ: キョードーインフォメーション 0570-200-888




2018年10月6日(土)
神奈川 横浜 神奈川県民ホール
開場 17:00 / 開演 18:00
前売 5,800円(税込)
※3歳以上有料 / 3歳未満入場不可 / 全席指定
※お問い合わせ: KMミュージック 045-201-9999


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