The DUST‘N’BONEZ『DUST&BONES』──ジジイもミーハーも熱くさせる普遍的な“カッコよさ”

The DUST'N'BONEZ   2010/04/13掲載
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The DUST'N'BONEZ The DUST'N'BONEZを語る際、あの森重樹一(vo)と戸城憲夫(b)が再び手を組んだ事実に注目が集まるのは当然だろう。しかし、彼らは「“名前”なんてどうでもいいことだ」と潔く言い放つ。その言葉の背景に見えるのは、やりたい音楽と純粋に向き合い、それを確実に形にできている自信である。4枚目のアルバム『DUST&BONES』に詰め込まれたのは、もちろん歌心も存分に感じさせる、ハードで豪快なロックンロール。普遍的な“カッコいいもの”を求めているリスナーにこそ触れてほしい作品だ。




――The DUST'N'BONEZはどんなバンドなのか、初めて知る人にメンバー自身の言葉で表現するとしたらどうなるでしょう?
戸城 「見てくれの通りの、決して短髪がやる音楽ではないみたいな(笑)。アメリカやヨーロッパには、こういう音楽をやる連中が今も必ず化石のようにいたりするし、受け継がれてるじゃん? でも、日本では途絶えて……まぁ、地下にはいるんだけど、後世に伝えるためにも伝統芸能として俺たちが立ち上がったわけですよ(笑)。俺たちがやると、きっと説得力あるもんね。もちろん、これが好きなことなんだよ。たとえばギターを持つなら腰の下、ベースもサンダーバード、ヴォーカリストはマイク・スタンドを上手に使いこなすとかさ(笑)」

森重 「子供のときにすごくカッコいいなって思ったことは、やっぱりもう変わらないよね。好きなバンドは何ですかって聞かれたときに、一時期は照れがあったけど、今は“エアロスミスとかですね”って言っちゃうもん。この年齢で、変な意味で若ぶりたくないし、博識ぶりたくもないし、マニアックにもなりたくないし。ミーハーだけど、何かひねくれてる……そういう感じがやっぱり好きかな」
The DUST'N'BONEZ
photo by You Masuda
――前作『COCKSUCKER BLUES』はThe DUST'N'BONEZらしさがよくわかるアルバムという印象でしたが、だからこそ次作はどうなるのかという興味も同時に湧いてきたんですよ。今回の『DUST&BONES』の方向性については話し合いもあったんですか?
戸城 「いや、全然。いつも、何かこうなっちゃったみたいな感じなんだよね。ただ、個人的なことだけど、曲を作る者としては、あまりガンズ・アンド・ローゼズモトリー・クルーみたいなものを意識してない曲調には重きを置いたかな。元々、いろんなのが好きだから、それを普通にやろうかなみたいな感じ。ただ、そこは一番の得意ジャンルではないから(笑)、曲を作り終わったときには、ちょっと迷いもあったんだけど、仕上がってみると自分たちらしく消化してるかなって感じるし、それでいいのかなって思うんだよね」

森重 「俺もそれはすごく思う。結局、どれだけオリジナルといっても、みんなどこかからネタ探しをしてくるんだよね。それが自分たちというフィルターを通したときに、何か独自のものになる。俺たちもすでに何年かのキャリアがあるから、その中でThe DUST'N'BONEZの形になればいいんだろうなぁと思うんだよ。今回、わりと頭がクリアになって、あれやこれやと考えたけど、常にいろんなことをやってみたい気持ちはあるからね。でも、作為とかそういうことじゃなくてさ。そんなに戸城とは遠いタイプじゃないと思うんだけど、ピュアにその曲を聴いて、自分のできるやり方で、こんな感じの乗せ方をしたら面白いかなとか、そういった感覚なんだよね」


The DUST'N'BONEZ
photo by You Masuda
――最初にできた曲は、やはり先駆けてデモ・トラックが販売されていた「HELLS AROUND」や「深海」になるんですか?
戸城 「多分、その辺じゃないかな。それも何か狙ったわけじゃないんだけど、要はこれが俗にいう自分たちのイメージだからね。そういうものがとりあえず1〜2曲あって、それに“1曲目っぽい”のが作れれば、後は何でもいいって言い方はおかしいけど、まずこの辺は最低必要かなと。その意味ではちょっと安心はしてる曲かな」
――新作の全体像が見えてきたのはいつ頃でした?
戸城 「今でもよくわからない(笑)。俺は『COCKSUCKER BLUES』のほうが、緊張感があっていいのかなと思ってたんだけど、いろんな人に“いいっすね”なんて言われて、“あれ? そうなの?”と、ちょっとその気になり始めたところですね、今は(笑)。だから……言い方は変だけど、ZIGGYっぽいかな。それこそ仮に『GOLIATH BIRDEATER』(1999年)がなかったとしたら、こういう感じになってたような気もする。自分の曲に関してはだけどね」

森重 「The DUST'N'BONEZをやるようになって、改めてモトリー・クルーを聴いてみたんだよね。そこで俺は彼らに何を求めてるんだろうなって思ったときに、ジョン・コラビ(vo)が入ったときのアルバム(『MOTLEY CRUE』 / 1994年)も音楽的にいいものはあるんだけど、やっぱりあれじゃないんだよ。でも、『SAINTS OF LOS ANGELES』(2008年)を聴いたときには“こういうのがモトリー・クルーだよな”って素直に思ったよ。The DUST'N'BONEZに関しても、必要以上に柔らかく見えるようなことは避けてきたところもあるけど、今はある程度、バンドのパブリック・イメージもできてるから、本来持ってるところまで出しても、ある種、自分たちのやりたい本質はブレないってことはわかってもらえると思うんだよね」
The DUST'N'BONEZ
photo by You Masuda
――二人が本来的に持っていたポップ・センスのようなものを、すごく絶妙に取り込んでますよね。ただ、それが結果的にポップではないんですよ。言うなればキャッチーなんでしょうけど、そこが今のThe DUST'N'BONEZの面白いところなんだろうなと。
森重 「他にないもんね。あまりミュージシャンズ・ミュージシャンにはなりたくないなって気持ちはあるけど、目の肥えたというか、ジジイどもにもグウの音が出ないようなところには、バンドを持って行きたいよね。だけど、チャラいというか、よくも悪くもミーハーなことばっかり好きなヤツらが熱くなれるようなものもやりたいっていうかさ」

戸城 「今回はいい意味で引いてるとは思うんだけど、『COCKSUCKER BLUES』って意外にイケイケだからさ(笑)、できることなら、両方をまとめて、シャッフルして聴いてもらえると、すごくバランスのいい感じになるような気がするね」
――それだけ『COCKSUCKER BLUES』は一つの色が強く出ているし、逆に『DUST&BONES』は広がりを見せている。今回のアルバムを象徴する曲ってどれだと思います?
戸城 「象徴するって曲はないけど……それこそ<深海>とかは自分たちらしい気はする。決してエアロスミスでもハノイ・ロックスでもガンズ・アンド・ローゼズでもないもんね。ちょっとイギリスの匂いもしなくはないけど、やっぱり日本人っぽい感じ。真似っこなんだけど真似っこっぽくない感じ? 個性が出てるんじゃないかなって」
The DUST'N'BONEZ
photo by You Masuda
――「深海」は歌詞も惹き付けますよね。森重さんが精神的に沈んでいた頃のことが綴られているようではありますが……。
森重 「うん、俺はクソ真面目に“ロックって何だろう?”って、ある一点に関しては、すごく掘り下げたわけだよね。やっぱり物を書くということに関してさ。だからそういう(ネガティヴな)状態になるんだね。今はそこから遠ざかってるからいいんだけど、その中にどっぷりいると、やっぱり地獄なんだよね。気が狂うんじゃねぇかなって思ったし、実際に狂ってたのかもしれないし。自分の好きなシンガーって、みんな死んじゃうんだよ。ジャニス・ジョプリンもそうだし、レイン・ステイリー(アリス・イン・チェインズ)もカート・コバーンニルヴァーナ)もそう。でも、共通して凄いんだよね。何か胸ぐらに銃口を当てられるような感じっていうかさ。あの域って凄いし、彼らはその淵で歌ってた人たちなんだろうなぁって思うんだよ。何て言ったらいいかわからないけど、自分は生真面目に音楽の階段を上ってきて、スコーンとそこから振り出しに戻るかのように落っこちてしまった。でも、今はZIGGYを始めたときと同じような気持ちが、俺の中にあるんだよね。当時は音楽以外に何もいらなかった。それぐらい音楽が好きだったし、本気でミック・ジャガーみてぇになりたいと思ってたし。だけど、名声だったり、ちょっとした自分なりの財産だったり、どっかで俺の生活にいろんなものが絡み付いてきてさ。そういうものが自分をだんだん重苦しくしてたんだよね。でも、どこかでそれがプツンと切れた。その意味で言うと、あのとき俺はすごくキツかったけど、プツンと切れてよかったんだと思うんだよ。あの重いものを引きずったままだったら、階段の上で待ってるのは絞首刑の縄だったと思う。ホントそんな感覚」
――とすれば、森重さんのソロ・アルバム『KING'S ROAD』(2009年)に収録されていた「JOY OF LIFE」とのつながりも感じられますね。
森重 「順番としては逆に出てほしかったんだけどね。<深海>はその真っ只中だったし、<JOY OF LIFE>はそれが切れたところで、ようやく自分の中でまとまったものだし。発表した場は違うけど、俺の中ではすべて一つのものとしてつながってるというかね」
――なるほど。さて、すでにツアーもスタートしていますが、やはりThe DUST'N'BONEZを体感するにはライヴも重要ですよね。まだ観たことがない人にそのパフォーマンスを説明するならば?
戸城 「おじさんが張り切ってるって感じ?(笑)」

森重 「客観的に観た場合はそうかもしれないな(笑)。でも、何か大御所感はないね。その迂闊な感じが(笑)、俺はたまらなく好きだし、いいんじゃないかなって思うんだよね」

戸城 「そういうのは大事だよね。昔から長いことやってる人でも、以前とは違った感じで出てきちゃったりすることがあるでしょ? 歳をとればとるほどギターの位置が高くなったりしてさ。でも、やっぱり昔のものは、そのまま大人にならなきゃダメだよな、特にロック・バンドやってる人はさ(笑)。やっぱそのほうが好きだなっていうか、潔くていいよな」
取材/文・土屋京輔(2010年3月)



<The DUST'N'BONEZ DOSAMAWARI シーズンIV>
●4月17日(土) 大阪AKASO
17:30開場・18:30開演
チケット料金 料金:3,500円/D別
お問合せ 大阪AKASO

●4月18日(日) 博多DRUM SON
17:30開場・18:00開演
チケット料金 料金:3,500円/D別
お問合せ BEA

●4月25日(日) 渋谷La,mama
17:30開場・18:00開演
チケット料金 料金:3,500円/D別
お問合せ ディスクガレージ 03-5436-9600

●5月2日(日) 渋谷クラブクアトロ
17:00開場・18:00開演
チケット料金 料金:3,500円/D別
発売日 3月20日(土)
お問合せ ディスクガレージ 03-5436-9600
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