バンドの意識もサウンドも“改革”して挑んだ、ザ・クークスの3rdアルバムが登場!

ザ・クークス   2011/09/02掲載
はてなブックマークに追加
バンドの意識もサウンドも“改革”して挑んだ、ザ・クークスの3rdアルバムが登場!
 2000年代後半からのUKギター・ロック・シーンを、アークティック・モンキーズとともに牽引してきたザ・クークス。全英初登場1位に輝いた『コンク』から約3年半ぶりとなる、彼らの新作『ジャンク・オブ・ザ・ハート』は、多彩なバンド・アンサンブルからグッド・メロディがあふれ出る、豊饒で晴れやかなポップ・ロック・アルバムだ。今作で彼らのファンになる人も、きっと多いと思う。フロントマンのルーク・プリチャード(vo、g)に話を聞いた。
――3作目は真価が問われるとも言われるし、前作の大ヒットもあって、プレッシャーを感じることはなかったですか?
 ルーク・プリチャード(以下同)「うーん……そうでもない。……いや、そりゃあ、やっぱりあったよ(苦笑)。だけど、前半にやったレコーディングを、いったん全部ボツにするという決断をしてから、気持ちが楽になったよ。あれこれ悩まず、自分たちのために音楽を作ろうって、気持ちを切り替えたんだ」
――今回、ロサンゼルスでレコーディングしたのは、どうしてですか?
 「(プロデューサーの)トニー(・ホッファー)がそうしたかったというのが大きいかな(笑)。トニーは過去に、僕らと2枚のアルバムをロンドンでレコーディングしていたから、環境を変えたかったんだろう。飽きたってさ(笑)」
――アルバムを聴かせていただいて、まず感じたのは、肩の力を抜いて自由に音楽を楽しんでいるような空気感でした。
 「その空気を感じ取ってくれて、本当に嬉しいよ。実際、すごく楽しかったんだ。それがアルバムを通して、伝わったんだろうね。レコーディングのアプローチもガラッと変えた。今までは、ひとつの部屋に全員集まって、テープにレコーディングしていたんだけど、今回はそうしなかったんだ。それが新鮮だったな。もちろん、添付ファイルなんかで音源交換をしていたわけじゃないよ。僕は基本的にトニーとスタジオにいて、ほかのメンバーが出たり入ったりしていたんだ。自由にできたし、単調にならずに済んだよ」




――音の面では、エレクトロニック・サウンド使いに驚かされました。ルーツ・ミュージックに深い愛情を持っているあなたに、何か意識の変化のようなものがあったのでしょうか?
 「それはあった。制作中にメンバー全員が、一度は“僕たちはいったい何をやっているんだろう?”という迷いにハマったんだ。音楽を通して何を伝えたいのか、そもそも音楽をやる意義はなんなのかという疑問が湧いてきてね。最終的に僕らは、バンドとして生まれ変わらなければという結論に達した。過去2枚のアルバムを振り返ると、もちろん良い作品だと思うし、ネガティヴな気持ちにはならないよ。だけどあの2枚は完全に過去の作品であり、今の僕たちはまったく違うところにいるんだよね。だからたしかに、意識の変化はあったし、その意識がバンドを改革するきっかけになったんだ」
――なるほど。今作が、60〜70年代を彷彿させるフォーキーさやブルージーさと、エレクトロなどのモダンなサウンドが共振した、新感覚のポップ・ロック作品に仕上がっているのは、そのためなのですね。
 「そういう印象を持ってもらえたのは、嬉しいな。自分でも、すごく満足しているよ。レコーディングを終えて、こんなにも疲労感を味わったのは初めてだけどね。精神的にクタクタ……でも気分は最高さ。今まで作ったアルバムの中で、最高の一枚になった。心からそう思えるのが嬉しいんだ。充実している証拠だよね」




――このアルバムは、クークスというバンドに何をもたらしてくれたと思いますか? 
 「わからないなあ(笑)。僕らにしてみれば、演奏して楽しいアルバムだし……そうだな、このアルバムは、バンドに新たな命を吹き込んでくれたと思う。今後はもっと実験を楽しみたいし、このアルバムは僕らの新たな始まり、フレッシュなスタートだね」
――ご存じの通り、日本は今、大変な困難に直面しています。日本のファンにメッセージをもらうことはできますか?
 「もちろんだよ。僕らはみんな、日本での大惨事に心を痛めている。被災した人たちのことを思うと、悲しくなるよ。僕らも日本へ行った時は、被災地や被災者のためになることを何かやりたいって思っている。でも日本人は本当に芯が強いし、立ち直れる力にあふれていると思う。絶対に負けないはずだよ」
取材・文/鈴木宏和
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[特集] 「柚木麻子と朝井リョウとでか美ちゃんの流れる雲に飛び乗ってハロプロを見てみたい」アフタートーク[インタビュー] アーバンで洗練されたグルーヴを鳴らす注目の6人組バンド BESPER
[インタビュー] 徹底的に音にこだわった ロックとオーケストラの完全なる“融合” GACKT[インタビュー] イベント〈The Night Unthreads 〜360° floor live〜〉にも出演 00年サウンド再来、CLW
[インタビュー] プロデューサー藤井隆が語る 麒麟・川島明のファースト・アルバム![インタビュー] スーパープレイヤーぞろいのブラス・アンサンブルが、満を持して発表するバロック名曲集 ARK BRASS
[インタビュー] 「私が歌う意味」 自らが選曲したディズニー・ソングで歌手デビュー 檀れい[インタビュー] 突如あらわれた驚異の才能! 10代の集大成となる1stフル・アルバム Meg Bonus
[特集] 嘘の本屋 リアル異変探しゲーム「嘘の本屋」[インタビュー] TSUMUZI 5拍子の魅力に取りつかれた男の新作は、これまでのリズム研究の集大成
[インタビュー] みやけん×ヒビキpiano 「二刀流」vs 「超テクニック」人気のピアノ男子対談![インタビュー] 佐野元春 自身の名曲群を“再定義”した 最新アルバム『HAYABUSA JET I』
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015