[コメント] 大滝詠一の『A LONG VACATION』発売の約1年前の1980年に、フィル・スペクターのサウンドを日本語のポップスとして昇華させ、見事にヒット曲に仕立てたシングルがあった。これが岡崎友紀がYUKI名義でリリースした「ドゥー・ユー・リメンバー・ミー」なのだ。ロネッツの「ビー・マイ・ベイビー」を意識したサウンド・メイクで、万華鏡のような音の壁の中を、YUKIのヴォーカルが跳ねまわっていく。こんなことが出来るの人物はそうそういるはずがない、仕掛け人は日本が誇るポップス・マエストロ加藤和彦。彼のポップ・センスが全開となった大傑作曲であり、これもまた日本語によるポップスの完成形だと言っていいだろう。 ――小川真一(音楽評論家)