[PC Audio Extra]iPodをより良い音で楽しむためのiTunesの賢い使い方

2010/09/09掲載
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PC Audio Extra
PCオーディオエクストラ〜パソコンから始める新しい音楽の楽しみ方
iPodをより良い音で楽しむための
iTunesの賢い使い方
文/大塚康一


ポイントはエンコーダーと
ビットレートの選択

 iPod(iPad、iPhone)に音楽を入れるためには、MacであれWindowsマシンであれ、必ずiTunesを経由してデータを転送しなければならない。つまり、iPodで聴く曲の音質は、CDなどの音源から音をデータとして取り込む(リッピングする)時点で決まってしまう。そこで、iTunesの取り込み機能をどのように設定するかが、大事なポイントとなってくるわけだ。初期設定のままで使っている人は意外と多いものだが、良い音で取り込むためには、その設定を積極的に変えてやる必要がある。

 iTunesのメニューにある「環境設定」を選択し、表示されたウインドウ内で「読み込み設定」をクリックしてみよう。すると、取り込む際にiTunesやiPodに適した圧縮/非圧縮形式の音声ファイルに変換するAAC/AIFF/Appleロスレス/MP3/WAV形式という5種類のエンコーダがプルダウンメニューで一覧表示されるので、その中から適切なものを選ぶ(図1)。操作はCDをPCのドライブにセットする前でも後でも、iPodは接続していなくてもOKだ。このうち圧縮音声のAACとMP3は、ビットレートを上げるに従って音質も良くなっていく。初期設定では「AACエンコーダの高音質(128kbps)」だが、たとえば256kbpsに変更すれば一段と音質が向上し(図2)、さらにAppleロスレスならほとんどオリジナルのCDと変わらないクォリティで取り込める。ただし、そのぶんデータは大きくなるため、ハードディスクの容量や自分が満足できる音質との兼ね合いで決めていけばいいだろう。汎用性から考えれば、やはりiPodならAACがお薦めだ。



 なお、サンプルレートも変更できるが、そもそもCDの場合は44.1kHzサンプリングなのでそれ以上上げても意味はなく「自動」設定で問題ない(図3)。当然ネット配信で流行している96kHzサンプリング音源などでは話が違ってくるが、それについてはまた改めて解説しよう。

●エンコーダーの種類と特徴
AACAdvanced Audio Codingの略で、圧縮効率が高い割に音質も良く、iTunes(iTunesストアから供給される曲も含む)やiPod系の標準圧縮音声として採用されている。なお、BSや地デジの音声もAACが使われている。
AIFFAudio Interchange File Formatの略で、CDをそのままMacのドライブに挿入すると、AIFFの音声ファイルとして認識される。つまりMac上の非圧縮PCM音声のことだ。そのままWindowsマシンでも再生できる。
Apple
ロスレス
元の非圧縮音声に戻せる圧縮音声をロスレス(可逆圧縮)と呼ぶが、そのApple版。原音を1/2〜1/3程度に圧縮でき、音質劣化もほとんどない。各社が独自に開発するロスレス規格は互換性に乏しく、iTunesとiPod系専用。
MP3正確にはMPEG-1/2 Audio Layer-3といい、元々は映像に伴う非圧縮音声規格(MPEG-3と呼ぶのは間違い)。原音を1/10程度に圧縮できるが、非可逆圧縮のため元には戻せない。初期のDAPでは代名詞的存在となった。
WAVマイクロソフトとIBMが開発した、主にWindows用の非圧縮形式。形式としてはWAVEだが、拡張子のWAVの方が一般化している。MacにおけるAIFFと同じものと考えていい。MacのiTunesでも直接再生できる。


iPodに良い音で取り込んだら、イヤフォンにもこだわりたい
プロ用モニターの血統を受け継いだウェストンUMシリーズ

UM3X Removable Cable

オープン価格(4万4,800円前後)

●形式:カナル型●ドライバー:バランスドアーマチュア型×3●再生周波数:20Hz〜18kHz●コード長:1.28m●重量:15.3g

UM2 Removable Cable

オープン価格(3万5,800円前後)

●形式:カナル型●ドライバー:バランスドアーマチュア型×2●再生周波数:20Hz〜18kHz●コード長:1.28m●重量:15.3g


 せっかくiPodに良い音で音楽を入れたなら、それを聴くヘッドフォン/イヤフォンにもこだわりたい。特に今の季節、音の良さと装着感の良さを両立させるなら、お薦めはイヤフォン。米国のウェストンは、プロミュージシャンがステージで使うイヤモニターのブランドとして知られているが、高域、中域、低域用のバランスドアーマチュアドライバーを搭載した民生用の3ウェイイヤフォンを世界で初めて発売したメーカーでもある。UMシリーズは、そのイヤモニの血を引く高性能ライン。UM3Xは、3ウェイの最新モデルだ。同社の最高級イヤモニと同等の技術を使った独自設計のクロスオーバー回路と3基のバランスドアーマチュアドライバーを内蔵。コンプライイヤチップは柔らかくフィット性が高いため長時間のリスニングに向き、遮音性能にも優れる。また、縒り合わせたプロ仕様のケーブルは着脱式で、ボリュームコントローラー付き延長ケーブル、10種類のイヤチップが付属しているのも特徴だ。

 iPodに高ビットレートやロスレスで取り込んだ曲を再生してみると、まず一聴してレンジが広いという印象を持つ。3ウェイなので低音にも余裕があるが、意外に締まっており、むしろ解像度の良さが際立つ。高域が耳に付くこともなく、中域がしっかりしていて音場感もスピード感もある。その意味ではイヤフォンというより、ハイレベルな音を聴かせるスピーカーに近く、iPodにも最適なサウンドバランスだ(iPod側のEQはオフにしておこう)。姉妹機のUM2は、2基のバランスドアーマチュアドライバーを内蔵した2ウェイタイプ。ユニット数以外のスペックや付属品などは、UM3と共通点が多い。音質的にも肉迫するものがあるが、全体を巧くまとめて安定したウェルバランスで聴かせる感じだ。モニター的というよりも、音楽鑑賞そのものに向くと言ったらいいだろうか。いずれも、iPod本来の“音楽”再生能力を十二分に引き出す、優れたイヤフォンである。


究極のサウンドとフィット感を実現するウェストンのプロ用カスタムイヤフォン


ES5 オープン価格(13万8,000円前後)
 マルチウェイをさらに推し進め、なんと5基ものBAドライバーを内蔵したイヤフォンが「ES5」だ。実際に耳の型を取って製作するカスタムオーダーメイドの最高級モデルで、元々は純粋なプロ用イヤモニターだったが、新たに一般ユーザーも注文することが可能になったという。試聴機はコンプライイヤチップを装着した“レディメイド”だったが、それでも恐るべき解像度と予想以上に柔らかく聴き心地の良い音質、ストレスなく音が出てくる感じが味わえた。大きめのボディ内に5つのユニットや回路、配線などが収められているにしては、信じられないほど軽く装着感も良い。カスタムメイドなら、さぞ素晴らしいリスニング体験ができるに違いない。
●問い合わせ:(株)シネックス http://www.synnex.co.jp/
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