噂の新ユニット“いしわたり淳治&砂原良徳”が本格始動! やくしまるえつこを迎えて繰り出す注目の一手とは?

2010/05/19掲載
はてなブックマークに追加
 
 SUPERCARのメンバーとしてデビューし、05年のバンド解散以降は、作詞家 / 音楽プロデューサーとして活躍している、いしわたり淳治と、元電気グルーヴのメンバーで、現在はサウンド・クリエイター / プロデュースとして活躍する砂原良徳が、このたび新ユニット“いしわたり淳治&砂原良徳”を結成! しかも1stシングル「神様のいうとおり」には、いまや引く手あまたの、やくしまるえつこ相対性理論etc.)をヴォーカリストとしてフィーチャーするなど、のっけから話題尽くしの、このユニット。百戦錬磨のふたりが目論む狙いとは一体……?


 このタイトルを聴いて最初に思ったのは、果たして日本のポップス / 歌謡曲に“神様”と名のつく曲はいったいどれくらいあるのか、ということだ。ここに紹介するいしわたり淳治と砂原良徳による新たなユニットのデビュー作「神様のいうとおり」は、アニメ『四畳半神話大系』のエンディング・テーマとして制作されたものである。そのことを置いても、いしわたり淳治は“神様”という、例えば「マジック(=魔法)」と同じくらいのポップスにおけるクリシェを用いることの危うさを自覚しているのではないか。

 いしわたりは全楽曲の歌詞を手がけた自身のバンドSUPERCARが解散したのち、プロデューサーそして作詞家として活動を続けてきた。9mm Parabellum Bulletチャットモンチーといったバンドたちとがっぷり四つに組んだ作品群を聴けばお解りのとおり、彼はアーティストのポテンシャルをリスナーのほんの少し先へ誘う才腕を持つ。手っ取り早い先入観をするりとくぐり抜ける丁寧な言葉選び、そして深い理解から生まれるアーティストの勢いを殺さない音作りは、そのほんの少し先、というところに意識的であるがゆえなし得るのだと思う。




 一方、くだんのSUPERCAR「BGM」以来のいしわたりとの共演作となる砂原は、2001年のソロ・アルバム『LOVEBEAT』を頂点とし、脱俗的なまでに緻密にエレクトロニック・ミュージックの方法論をストイックに追い求めてきた。2009年映画『ノーボーイズ、ノークライ』のサウンド・トラックとして久方ぶりのソロ・アルバム『No Boys, No Cry Original Sound Track Produced by Yoshinori Sunahara』を発表したことは記憶に新しい。その主題歌としてプロデュースを行なった元SUPERCAR中村弘二のiLL「Deadly Lovely」は、音楽を聴くことに対し、根本の部分から聴き手を揺さぶりをかけかねないほどのストイックなサウンド・メイキングを、高揚感溢れるポップ・ミュージックとして昇華させた楽曲であった。

 ふたりは新たなユニットの門出となるシングル「神様のいうとおり」で相対性理論のやくしまるえつこをヴォーカリストに起用した。3枚のアルバムと、ジャンルを縦断し繰り広げられるソロ・アクト、そして“無表情でアンニュイな毒気”でシーンの寵児となった彼女に対し、いしわたりは自嘲的な女の子の本音を綴った正攻法のリリックで対抗することを選び、また砂原も一聴してそれと解る音の解像度とリズムの“間”を持つトラックにより、J-POPをフレーミングし直すことに成功している。百戦錬磨のこのふたりで継続されるユニットならば、これまでのプロデューサー・チームの範疇を超えた表現を続けざまに期待したいし、それがJ-POPシーンにさらなる異化作用となることを願わずにはいられない。「神様のいうとおり」はその発火点となるに十分な作品だ。

 そして彼らの盟友である石野卓球川辺ヒロシによるInKにも匹敵する、ふたりのアイディアの交換から発せられる自由闊達な波動がダイレクトに楽曲に結びつくようなプロジェクトであってほしいというのは欲張りすぎだろうか。「Version Z80」というそのまんまなサブ・タイトルのつけられた、ゲーム・ミュージックなヴァージョンのほほえましさは、その片鱗のような気がしてしようがないのだ。

文/駒井憲嗣



いしわたり淳治&砂原良徳 + やくしまるえつこ
「神様のいうとおり」
(KSCL-1588 税込1,223円)
01. 神様のいうとおり
(アニメ「四畳半神話大系」エンディング・テーマ)
02. 神様のいうとおり (Version Z80)
03. 神様のいうとおり (Instrumental)

いしわたり淳治&砂原良徳 レーベル・サイト
いしわたり淳治&砂原良徳 オフィシャルMySpace
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[特集] ジョージ・ハリスン『オール・シングス・マスト・パス』 一新されたアルバムと驚きの貴重音源を収める50周年記念盤の聴きどころ[インタビュー] 新作アルバムは、ずっと愛奏している作品で構成したオール・ショパン・プログラム、小林愛実
[特集] 「Sony Park展」第3弾「ファイナンスは、詩だ。」 東京スカパラダイスオーケストラインタビュー[インタビュー] 活動10周年にして集大成さくら学院ラスト・インタビュー
[インタビュー] チャレンジ精神に歌とダンスでエールを送る 新曲は『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』主題歌、BOYS AND MEN[特集] Sony Park展「音楽は旅だ」「カンタビレIN THE PARK」レポート 奥田民生
[特集] クラウン時代のラスト・アルバム(鈴木茂コスモス’51リミックス発売記念ライブ)白熱のライヴ・レポート、鈴木茂[インタビュー] 千住真理子、音楽は時空を超えて旅をする 新作はヴァイオリンで歌う世界のメロディ
[インタビュー] ユーミン、じゃがたら、『みんなのうた』…、新作は原曲と違う風景が見えるカヴァー集 KERA[インタビュー] 宮本笑里×DAITA 恐竜科学博の壮大なテーマ曲で実現した、異なる弦楽器のコラボレーション
[インタビュー] 架空の映画のサウンドトラックというコンセプト・アルバムを発表したKaede[インタビュー] 大井 健 コロナ被害からの再起 / みずからの新たな挑戦から生まれたクラシック・アルバム
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015