Astell & Kernを楽しみつくす――AKシリーズの魅力を引き出す7つワザ vol.3

2015/10/01掲載
AKシリーズの魅力を引き出す7つワザ vol.3
Astell & Kernの魅力とは?
デジタル(ポータブル)オーディオプレーヤー、略してDAPとも言われているこのジャンルにおいて、「原音忠実再生」というキーワードを掲げ、彗星のごとく現れたブランドが「Astell & Kern(アステルアンドケルン)」(以下AK)である。AKブランド製品は、いまようやく浸透してきた「ハイレゾ」音源の再生はもとより、CDの音源ですら音楽が本来持っているポテンシャルを引き出してくれる「魔法の箱」と言っても過言でないだろう。単にDAPと呼ばれるカテゴリーの枠を越え、再生できるだけではなく、きちんと「再現」することに意味があり、このことが音楽の楽しさを再認識させてくれる。昔何度も飽きるほど聴いた曲をAK製品で聴くと、新たな発見と出会いがあることに驚きと共に、感動すら覚えると言うと大袈裟に聞こえるが、こんなに細部まで作りこんでいたのかという発見があった時に覚える「ぞくっと」としたうれしい感覚は、新たなる音楽に対しての更なる興味にもつながる。前置きが長くなったが、いまから紹介する製品はそんなAK製品の魅力をさらに引き出してくれるスパイスとなる製品である。組み合わせにより無限大に広がる可能性。自分自身が本当に好きなサウンドを手軽に追求できる「趣」の高さ。これだからポータブルオーディオはやめられない。
ヘッドフォン、イヤフォンをAKシリーズのヘッドフォンジャックに差し込んで聴いただけでもそのサウンドクオリティに驚くことだろう。しかし、それはAKの持つポテンシャルのごく一部を垣間見たにすぎない。さらなる高みを目指し、AKの魅力をフルに引き出すための周辺機器や使いこなしを紹介しよう。
07 | AK240をヘッドフォンで楽しむ
アウトドアではイヤフォン、家ではリラックスしながら
ヘッドフォンで思う存分音楽を楽しみたい
 ハイレゾ対応のポータブルデジタルオーディオプレーヤー(以下DAP)と高性能ヘッドフォンの組み合わせは、今や高音質再生における定番のひとつであり、黄金の組み合わせとも言える。かつて、筆者はiPhoneにFLAC PlayerやHibiki、HF playerといったハイレゾ再生用アプリをインストールして楽しんでいた。モバイルではそれで充分と言えたし、気に入るDAPが見つからなかったからでもある。しかし、AKのAK240はスタンドアローンとしての完成度が高く、優れたデュアルDACを搭載しているためハイレゾ本来のサウンドを享受することができた。また、そのDACを活かしたバランス出力を持っているので、対応ヘッドフォンであれば、さらなる高音質化が望める。一方、筐体の仕上げも高精度で素晴らしく、オーディオ機器としての存在感もある。つまり、単体の据置型プレーヤーとして、立派に使用できるほどの素質を持っていたわけだ。
 ということで、アウトドアではモバイル、インドアでは据置きのデスクトップシステムとして使うことを考えたわけだが、AKのDAPは高性能DACを内蔵しているためアンプ側にDACは必要なく、むしろ純然たるアナログアンプで最終的な再生音のグレードアップを図るというシステムが考えられる。そこで、デスクトップでもスペースを取らないサイズかつ高性能なヘッドフォンアンプとして、バーソンオーディオの「Soloist SL」をチョイスしてみた。オーストラリア製で、すでに高評価を得ているプリアンプ機能付き据置き型Soloistを凝縮・進化させ、世界最高峰のヘッドフォンアンプを目指して設計されたという。コンパクトながらクラス最大級の出力を持ち、2段階のゲイン切替えにより、インピーダンスの高低に拘わらず平面駆動型を含めた全てのヘッドフォンをドライブできる。純A級動作だが、アルミ折り曲げ加工の筐体そのものが巨大なヒートシンクを兼ねるため、放熱効果も高い。AK240のヘッドフォン出力とSoloist SLのライン入力をORB製の高品質Yケーブル(ステレオミニジャック-RCAピン)でアナログ接続。AK240は純正のドックにセットして置けば、本体を斜めや水平位置に無段階で固定できるため、デスクトップで安定したセッティングができ見栄えも良い。ただし、ORBのケーブルはかなり太くて重量もあるので、再生中は本体の端子部分に負担をかけないよう水平に近い形に調整した。


BURSON AUDIO
www.aiuto-jp.co.jp/products/product_1500.php

Soloist SL

高精度なボリュームを搭載したA級ヘッドフォンアンプ

 次は、これにベストマッチするヘッドフォンである。折よくAKとドイツのBeyerdynamic社とのコラボで誕生した「AKT5p」が登場。Beyerdynamic社にとって初のポータブル用ヘッドフォンでもあり、評価の高い同社「T5p」を基にAKシリーズ用に最適化したサウンドチューニング及びカスタマイズを施した密閉ダイナミック型だ。しかも、通常のアンバランスと第二世代AKシリーズ用の2.5㎜ / 4極バランス出力に対応している。


Astell & Kern / Beyerdynamic
www.iriver.jp/products/product_106.php

AKT5p

BeyerdynamicとAstell & Kernがコラボレーションした密閉型オーバーイヤーヘッドフォン

 いつも聴いているハイレゾ音源は、Steely Dan『Gaucho』(FLAC 192kHz / 24bit)、Daft Punk『Random Access Memories』(FLAC 88.2kHz / 24bit)、渡辺香津美『TRICOROLL』(DSD / 2.8MHz)などだが、このシステムで再生した音は、切れや迫力が充分にありながら、ふくよかで聴きやすい。念のためAK直でバランス接続の音と比べてみた。もちろんバランスの方は文句なく素晴らしいのだが、アンプを通した音も全く遜色なく、むしろアナログらしい力強さや深みが感じられるではないか!ちなみにAK240側の出力ボリュームはレベル56ぐらいで、アンプ側のボリュームはLOWで1時、HIGHで11時あたりが適切だった。さらに、ハイレゾ同様CDクォリティ(44.1kHz / 16bit)の音も非常に良かったのが驚き。いわば“ポータブルデスクトップコンポ”とでも呼べそうなアナログとデジタルの混在システムで、両者の絶妙なハーモニーを聴くことができたのは大きな収穫であった。


ORB

www.aiuto-jp.co.jp/products/product_1512.php

ORB-50CM-RCA

ORB製オーディオケーブル(3.5㎜ステレオミニプラグ - RCAピンプラグ x 2)

文 / 大塚康一
撮影 / 内山 繁
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