「ますますでっかい音でバリバリやりたくなってるんだよ」──齢65にして大爆発! 遠藤賢司、渾身のニュー・アルバム完成!

遠藤賢司   2012/01/13掲載
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 2012年1月13日で65歳になったエンケンこと遠藤賢司。どうせ年齢のことなんて大して気にしちゃいないのだろうと思いながら封を解けば、案の定、今回もフル・ヴォリュームのエンケン節が怒涛の如く流れ出した。ギタリスト山本恭司との真剣勝負が行なわれた名曲「夢を叫べ」の再演も気迫溢れる仕上がりで、素晴らしい爆発ぶりが随所で見られる。こんな爆風ならいつだって大歓迎だ。日本にエンケンがいてよかった。デビュー40周年の記念作だった『君にふにゃふにゃ』以来となるニュー・アルバム『ちゃんとやれ!えんけん!』を抱きしめながら呟いている2012年新春。この切実な思いを分かってもらえるだろうか? ちゃんとやろう。ちゃんとやんなきゃ。2011年の年の瀬、東京の学生街のカフェにて、彼に話を訊いた。
――新作は優れたブルース・アルバムだなぁと。
 「言えるかもしれないね。でも俺のなかでは、ハード・ロックかな。そもそもハード・ロックの原型はブルースだしね。とにかくエレキの良い音で言葉を語りたかったんだよね」
――2011年はハートウォームな曲がやたらと愛され、それらを多く耳にしました。新作を聴かせてもらい、こんなに美しく厳しいメロディを持ったマイナー・コードの曲を聴いたのは久々だと思えたんです。
 「なるほどね。極端に言うと音楽って、すべて子守唄だと思ってるのね。レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンでもセックス・ピストルズでも、音で包んでくれる子守唄だと思う。俺はずっとそうやって音楽を作ってきた。わざとらしい優しい曲が2011年には多かったのは確か。“みんな優しくしようよ”みたいな。ひょっとしたら、俺の音楽を冷たく感じる人もいるかもしれない。突き放したようなところもあるから。とかく人ってグジュグジュと説明して欲しがるものじゃない? 僕はあなたが好きだ、なぜならこれこれこういう理由で……っていうように虚飾をまとったような歌が俺にはないから。でも、俺の歌は温かいんだけどね」
――もちろんわかってますとも。それにしても、「もうちょっとだけ頑張ってみようかな …2011年3月14日月曜晴れ…」とか聴くと、あの恐怖の出来事を体験して、みんなそれぞれ孤独だったってことを気付かされたことを思い出させられました。
 「曲を作ることの根本って、“ひとり”だと思ってるのね。誰かに聴かせるのではなく、俺はまず常に自分に対して聴かせているから、どこかでポンと突き放している部分がある。“君は君で、僕は僕だよ”って。そもそも人間なんてそんな変わりゃしないんだから、“みんな一緒だよね?”って気持ちが強い。“人間は根本的にドジでマヌケでバカでみんな可愛いんだよ”っていうのが根底にある。それを信頼して歌っているところがあるんだよ」
――エンケンさんには、自分の居場所で一生懸命に生きている人に対してエールを送る歌がいろいろとある。でもこの曲を聴くと、今年は自分の仕事をちゃんとやらない多くの“ド素人”が世間をかき回していたな、ってことを改めて考えさせられますね。
 「うん。俺は、“ちゃんとやっていない奴が多いな”って、ずっと思っているところがあるよ。なんだか流されてんなぁって。だから俺は音楽をやっていて良かったと思ってね。嫌いなことを何もやってないから。それにみんな音楽が好きだしね。あらゆる芸術はリズムから出発しているから、音楽は凄い仕事だなと改めて思う。だからもう一回ちゃんとやってみようと」
――ところで3.11はどうされていましたか?
 「近所のピザ屋に行って、帰ってウチでお茶を飲んでいたら地震があった。外に出て、小学校のそばにある大きな木のところで立っていたらサーフボードに乗っているみたいにユラユラとまた揺れて、“あ、終わりだな”と思った。そしたら、一回通り過ぎていった女の人が戻ってきて、その人は初めて会う人なんだけど、俺の手を握ったんだよ。怖かったんだろうね。とんでもないことが起こっていると思ったんだろうね。そのとき、女の人って可愛いなと思った」
――もうじき65歳になられますが、この年齢の自分がどんなふうになっているか、前もってイメージできていました?
 「できなかったねぇ。自分でも不思議なときがあるよ。初めてギターを弾いて2、3曲作った頃、“たぶん20歳になったらやめるんだろう”って考えてた。昔の人はみんなそうだったと思うよ。ローリング・ストーンズミック・ジャガーを見て、“まだやってんなぁ”と思ったこともあったもん。ストーンズは昔のサウンドのほうが好きだけどね。今回のアルバムの曲でいえば<ア!ウ!>なんて『メインストリートのならず者』とかあの辺のむき出しなエレキの生の音に近い。今回のアルバムはエフェクターをぜんぜん使ってないから。アンプも全部フル・ヴォリュームにして。エレキの曲がすごく多いでしょ? エレキを弾くのがものすごく気持ち良くなっていたんだよ。生ギター弾いているみたいにエレキの音が出たから、そっちのほうがいいやと思って。生に近い音で心に直接繋がるんだよね。だから原初的な音がすごく出ているような気がする。一切飾りがない。後でリミッターかけたり、コンプレッサーかけたり何にもしてない。全部グレッチなんだけどね。グレッチ、いいよぉ。シャラ〜ンって音は嫌いなんだ。ゴリゴリゴリって弦を削っているような音を出すギターが好きなんだ。俺、ますますでっかい音でバリバリやりたくなってるんだよ。俺は珍しいんだろうって最近そう思えてきた。ギター弾いてドラム叩いていろんなことやって、しかもそれが年齢と共に増えてるからものすごく苦しいよ」
――(同行した編集者から)「俺が死んだ時」の“そりゃ!もてたいよ”って歌いだしはすごいですよね。銀杏BOYZの峯田さんとか悔しいって感じると思いますよ(笑)。
 「ハハハ! 俺ね、20代の頃から、“エンケンさんはなんで歌いたいんですか?”って訊かれると、“もてたいからだよ”って答えてたの。“頭を撫でられたい”って気持ちあるじゃない? “よくやったね!”って。撫でられると気持ちいいよね。俺、それが根本だと思う。そうじゃないって思う人は、人の前で歌う必要はないんだよね。自分が寂しくっても、“よくやったね!”って褒めてもらったら最高じゃない? だから犬や猫といっしょ。ホントそうだと思う。もっともっと、もてたいんだよ(笑)。今年の7月ぐらいに作ったんだけど、一瞬さすがにどうしようかなと迷った。歳を考えるともうすぐ65だよ。でもこういうことを歌って、若い奴が“同じなんだ!”と思ってくれればいいんだよね。これを入れなきゃ嘘だなと思ってさ。女の子に触りたいって思うことは大事だよね。俺はそれを通常、ラヴ・ソングって言うんだ。俺はラヴ・ソングしか歌いたくないし、達観したようなクサイことを歌いたくないんだ。楽だからね、それは。ぜんぜん達観なんかしていないよ。いつも素直な自分を取り戻したいだけで」
――それにしても、前回『君はふにゃふにゃ』と言っていたエンケンさんが、今回出してきたタイトルが『ちゃんとやれ! えんけん!』。この素直さも実にステキで。
 「俺はそういう意味じゃ達観してるんだね(笑)。何をやればいいのかわかってるってことで。作品を出してから後々、あのレコードは出したくなかったとか言う奴がいるけど、初めっから人の前で歌うって意味が分かってないんだから、歌うな!って思う。俺、そんなこと一切無いもん。確かにこれは『君はふにゃふにゃ』から続いている言葉だね。“もてたいよ”とか相当フラレたりしてるんだよ(笑)」
取材・文/桑原シロー(2011年12月)
【ライヴ情報】
<生誕65周年!それがどうした!『ちゃんとやれ!えんけん!』CD発売記念ひとり旅>

●日程:2月 4日(土)  
●会場:沖縄・那覇:桜坂劇場 ホールA
●時間:19:00 開場 / 19:30 開演
●料金:前売 3,000円 / 当日 3,500円 (税込) +Drink Order
※10代割引:2,000円(当日のみ・受付にて10代である証明書提示ください)
※前売は、会場販売、チケットぴあ、ローソンチケット、e+、ファミリーマートにて発売中。
●問い合わせ:桜坂劇場 TEL.098-860-9555 http://www.sakura-zaka.com/

●日程:2月16日(木)  
●会場:京都:拾得
●時間:18:00 開場 / 19:00 開演
●料金:前売 3,300円 / 当日 3,800円 (税込) +Drink Order
※前売は会場販売、TEL予約、会場HPからのメール予約にて発売。
●問い合わせ:拾得 TEL.075-841-1691 http://www2.odn.ne.jp/jittoku/

●日程:2月17日(金)  
●会場:大阪・十三:ファンダンゴ
●時間:18:00 開場 / 19:00 開演
●料金:前売 3,500円 / 当日 4,000円 (税込) +Drink Order
※学生割引:2,800円(当日のみ・受付にて学生証提示ください。
※前売は会場販売、TEL予約、会場HPからのメール予約、チケットぴあ、ローソンチケット、e+ にて発売。
●問い合わせ:ファンダンゴ TEL.06-6308-1621 http://www.fandango-go.com/jp/jindex.htm

●日程:2月18日(土)  
●会場:名古屋・今池:得三
●時間:18:00 開場 / 19:00 開演
●料金:前売 3,500円 / 当日 4,000円 (税込) +Drink Order
※前売は会場販売、会場HPからのメール予約、チケットぴあにて発売。
●問い合わせ:得三 TEL.052-733-3709 http://www.tokuzo.com/

<ひとりぼっちの純音楽>
●日程:2月25日(土)  
●会場:大分:AT HALL(アトホール)
●時間:18:30開場 / 19:00開演
●料金:前売 3,500円 / 当日 4,000円 (税込)
●問い合わせ:アトホール TEL.097-535-2567 http://athall.com/

<ハイコレ115〜純音楽大合戦!>
●日程:2月26日(日)  
●会場:福岡・天神:The VooDoo Lounge
●出演:遠藤賢司 / ノントロッポ / マルツカ道
●時間:18:00 開場 / 19:00 開演
●料金:前売 3,000円 / 当日 3,500円 (税込) +Drink Order
※先行メール予約 yokotin_b@hotmail.com
●主催:ヨコチンレーベル
●問い合わせ:The VooDoo Lounge TEL.092-732-4662 http://voodoolounge.jp/
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