“全曲シングル”なコンピレーション『SLENDERIE ideal』発売記念!藤井 隆×吉田 豪

藤井隆   2020/10/28掲載
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藤井 隆
藤井 隆
 藤井 隆主宰のレーベル、SLENDERIE RECORDのアーティストが集結したコンピレーション『SLENDERIE ideal』が10月28日(水)にリリースされる。
 “全曲シングル曲のような”今作、なかでも話題は新たなメンバーとして麒麟・川島 明とフットボール後藤輝基の参加。その川島は作詞に神田沙也加、作曲に堂島孝平、編曲に冨田 謙を迎え、なんとテナー・サックスを披露したオリジナル曲「where are you」と、PARKGOLFアレンジでフジファブリック「若者のすべて」をカヴァー、後藤はスカート澤部 渡をアレンジに迎え、本田美奈子の名曲「悲しみSWING」をカヴァー。
 そしてSLENDERIEおなじみのメンバーによる新曲もずらり。早見 優はジョルジオ・モロダーとカイリー・ミノーグの「Right here,Right Now」をエレガントにカヴァー、ミュージカル界注目の伊礼彼方はARAKIによるニュー・ロマンティック・サウンド「NEO POSITION」を聞かせ、椿 鬼奴は架空アニメ『超空のギンガイアン』のスピンオフ作品『宇宙孤児イブキ』のEDテーマ曲「Love's Moment」を本人作詞で歌い上げる。レイザーラモンRGはONIGAWARAの斉藤伸也と組んでカルロス・トシキ&オメガトライブの「アクアマリンのままでいて」をゴキゲンにカヴァー、とくこは自身作詞(PARKGOLFと共作)によるフューチャー・ポップ「T.T.S」で素晴らしい歌声を披露、暗黒天使も自身作詞(ニンドリと共作)したスーパーJ-POP「Dirty Angel」をノリノリで聞かせる。そして3年ぶりの新曲となる藤井は注目のポップ・ユニット、パソコン音楽クラブを作曲・編曲に迎えた「14時まえにアレー」(作詞はYOU)!もちろん全曲プロデュースは藤井。このアルバムについて、おなじみプロインタビュアー吉田豪が迫ります!!
[収録曲]
01. ideal(アイディアル)/ 冨田 謙(作曲・編曲:冨田 謙)
02. where are you / 川島 明(作詞:神田沙也加 作曲:堂島孝平 編曲:冨田 謙)
03. 悲しみSWING / 後藤輝基(作詞:小林和子 作曲:西木栄二 編曲:澤部 渡(スカート))
04. アクアマリンのままでいて / レイザーラモンRG(作詞:売野雅勇 作曲:和泉常寛 編曲:斉藤伸也(ONIGAWARA))
05. Love's Moment / 椿 鬼奴(作詞:椿 鬼奴 作曲:堂島孝平 編曲:冨田 謙)
06. NEO POSITION / 伊礼彼方(作詞・作曲・編曲:ARAKI)
07. Dirty Angel / 暗黒天使(作詞:暗黒天使・ニンドリ 作曲・編曲:ニンドリ)
08. T.T.S / とくこ(作詞:とくこ・PARKGOLF 作曲・編曲:PARKGOLF)
09. 若者のすべて / 川島 明(作詞・作曲:志村正彦 編曲:PARKGOLF)
10. 14時まえにアレー / 藤井 隆(作詞:YOU 作曲・編曲:パソコン音楽クラブ)
11. Right Here,Right Now / 早見 優(作詞・作曲:ジョルジオ・モロダー 編曲:冨田 謙)
――しかし、まさか藤井さんが角川ファミリーになるとは思わなかったです!(藤井は角川春樹“最後の監督作”『みをつくし料理帖』に出演)
 「ホントそうなんですよ(笑)。10月16日公開です。うれしかったです」
――ボクも角川(春樹)さんとは一時期、濃い付き合いをさせていただいて。
 「そうですよね。最初、紙で出演者リストみたいなものをもらって、薬師丸ひろ子さんと渡辺典子さんのお名前があって。これなに?って聞いたら自分も出るっていうので、はあ〜〜〜〜!?ってなって。東映のプロデューサーの方が沖縄国際映画祭のイベントで薬師丸さんのことを話してるのを見に来てくださってたらしくて」
――薬師丸さんへの熱い想いを話してるのを見てくれたことで。
 「めちゃくちゃうれしかったです」
――渡辺典子さんをどれだけ好きかを言ってきた甲斐がありますね。
 「ホントに!楽屋も異常空間でした。写真も撮ったりして。これホンマ?とか言って。渡辺さんも知ってくださってて。“いろいろ言ってくださってるんですよね”って。お話もさせていただきました」
――“最後のシングル「サラダ記念日」が”とか(笑)?
 「そうですね、〈サラダ記念日〉の話もしました(笑)。あれ難しいですよねとか。渡辺さんも薬師丸さんも撮影が1日だけだったのであっという間でしたけど。あと、角川(春樹)さんがものすごいうれしそうにしてらしたんですよ」
――ああ、昔の角川映画の仲間が集まったから。
 「スタッフも当時の方がいらっしゃったみたいで、すごく楽しそうに現場にいらしゃってました」
――藤井さん、順調に“好き”が“仕事”になってますよね。
 「口に出しておくもんですね。豪さんは映画まだご覧いただいてませんよね?見ていただきたいなあ」
――試写会とかほとんど行かないんですけど、すごい興味はあります!
 「去年9月とかに撮影してて、その後、舞台(『ビッグ・フィッシュ』)に入ったんですけど、角川さんが舞台をわざわざ見に来てくださったんです。お花もいただいたんですけど、お花っていうか葉っぱなんですけど、全然枯れないんです(笑)。強い人がくれるものはホント強いなって思いました」
――すごい生命力(笑)。
 「あんなに乾燥してる楽屋なのに。さすがでした」
藤井 隆
――そして、今回のアルバムはまさに好きが仕事になった感じです。
 「はい(笑)。今回はふたつあって。まず、自分がリクエストしたい人に好きな歌をご用意して歌っていただくこと。あともうひとつは、2000年ぐらいにラジオをやらせていただいた時に、ラジオ局にボックスが置いてあって、聞いてくださいって、レコード会社のプロモーションCDが入ってるんです。今月のリリース曲みたいな感じで、レーベルの新譜ばかりを一枚にまとめたCDがあって。あれがやりかったんです」
――はいはい、シンプルなジャケのサンプラーCD。
 「そんなのはないんですけど、スレンダリーのフロアがあったとして、ぼくが第1班で、第2班がいて、第3班がいてという」
――アニメソングの班もあって、みたいな?
 「そうなんです。いろんな班からこの曲たちがシングルで10月28日にリリースされるという設定にして、それを1枚にまとめてサンプルでお配りしてるっていうイメージ。まあ、売るんですけど(笑)。お売りするんですけど!最初の口実はこうです」
――雑多なようで統一感があって、統一感があるようで雑多なこの感じはなんなんだろうと思ったんだけど、そういうことなんですね。
 「だから、自分の勝手な妄想というか、ストーリーを考えたり、曲順を考えるのは楽しかったです。CDのジャケも最初はこういうパッケージじゃなくて、ロゴだけのシンプルなやつを考えたんです」
――プロモーションCDあるあるですね。
 「でも、やればやるほど思いが入ってきて。それとこれとは別で、切り替えたほうがいいんじゃないかなっていまの形になりました。ただ、裏ジャケットはあの感じになってます。それと実際、配信ですけど全曲シングルカットすることになってて。だからうれしいです。ちゃんとかたちになりました」
――全曲にジャケットがあるって、手の掛け方が尋常じゃないですね。
 「すごい時間かかったんです。制作期間が舞台の本番中だったので、レコーディングも撮影もお昼公演が終わって、夕方や夜ばっかりだったので、どうしても夜にひっぱられちゃったんですけど。レコーディングもいつも夜なので迷惑かけただろうなって思います」
――内容はレーベルの色がそのまま出た感じですよね。いままでやってきたことをまとめるとこうなりましたっていう。そこにフットボールアワーの後藤輝基さんや麒麟の川島明さんといった新たなメンバーも加わって。
 「そうです。でも、豪さんに言っていただいたことの案もあって。それは来年というか別の機会でやろうかなって思うんですけど」
――え!もう次のプランが動いてるんですか?
 「いや、自分の頭の中でだけです(笑)。豪さんに“ダンス・レーベルでもちろんいいけど、やっぱり藤井さんは歌謡曲がお似合いですよ”って言ってくださったのがじつは自分の中にずっと残ってて。でも、今回はやりきれたんです。最初の『Coffee Bar Cowboy』でやりきったなって思ったんですけど、いやもっと!って欲が出て、『light showers』をやって。で、もうやりきりましたとか言ってたんですけど、また欲が出て(笑)。これは自分っていうより、参加してくれてる方々と、冨田(謙)さんとかスタッフのみなさんとやり始めて6年たつんですけど、彼らがいてくださってるから話が早いというか。藤井の好きなことはこういうことね、やろうとしてるのはこういうことね、でもそれは無理だからこっちだよとか、アイディア出してくださったりとか、いろいろ早くなったから。ホントみなさんのおかげです」
――とりあえず今回のアルバム、すごいよかったです。
 「(ほっとして大声になる)や〜〜〜〜よかった〜〜〜〜〜!ありがとうございます!」
――ダハハハハハ!本気で喜びすぎですよ!
 「もっと歌謡曲寄りにしたほうがしなきゃなとかいろいろあったんです。でも、自分が歌ってなきゃ意味ないかなとかいろいろ考えちゃってて」
――カヴァーのアレンジをはじめ、歌謡曲をやりながらちゃんと現代的になってるバランス感覚があって、間口が広くなってるように思いました。
 「よかった〜〜〜。最近ね、Night TempoさんがWinkをエディットしてるEPを聴いてて、すごくいいんですよね。〈淋しい熱帯魚〉と〈愛が止まらない-Turn It Into Love-〉をちゃんと入れて、あと2曲、〈Get My Love〉〈Special To Me〉っていうアルバム曲をやってるんですけど、ぼくはそのマイナーな2曲が大好きで。でも代表曲の2曲は絶対押さえなきゃいけないんだなと思うわけなんですよ。Winkといえばこれ!ってことですよね。もちろんNight Tempoさんは好きだから選んだと思うんですけど。“これはこういう風にしなきゃいけませんよ”っていうのはいろんな方がアドバイスしてくださるんですけど、素直に“そうですよね”っていう時もあれば、“そこだけは嫌です”みたいな時もあるんです。そこを“嫌です”って外した結果、“ほらね〜”って言われることもあるから。それは音楽の仕事に限らずあって。だから今回は、押さえなきゃいけないところは押さえたつもりでいるんです」
――とはいいながらも、本田美奈子のカヴァーでこれを選曲するのかとは思いました(フットボール後藤輝基が本田美奈子の「悲しみSWING」をカヴァー)。
 「やっぱり(笑)。でも、よくないですか?」
――すごくいいです!
 「ですよね!」
本田美奈子
「悲しみSWING」
――本田美奈子さんってわかりやすくいうと、初期の筒美京平期があって。そのあと和製マドンナ期があって、ハードロック期になると思うんですけど。
 「MINAKO with WILD CATSですね。そして、のちのミス・サイゴン、レ・ミゼラブルっていう」
――これはハードロック期のはざまにあるハードロックじゃない曲なんですよね(笑)。ボク、本田美奈子ファンでしたけど、かなり忘れがちな曲です。
 「えー!ぼく、よく覚えてるんです」
――順番としては「孤独なハリケーン」と「あなたと、熱帯」の間なので、前後がインパクト強すぎて。
 「なるほど。ぼく、これのインパクトが強くて。本田美奈子さんは(千里)セルシーって大阪のイベントスペースで生で見たことあるんです。〈Temptation(誘惑)〉の時なんですけど、むちゃくちゃ歌うまくて、すごい好き!って思って」
――「Temptation(誘惑)」、筒美京平作の名曲ですね。
 「名曲!大好きです。あと〈殺意のバカンス〉もすごい好きです」
――筒美京平アイドル・ポップ期で、どちらも好きな曲です。
 「華奢な本田さんに似合ってるいい歌というか。東芝のホットカーペットのCMに使われてたんですよね。なんでホットカーペットなんやろ?って思ったんですけど(笑)。それはさておき、本田さんはずっと好きな歌手の人ではいるんですけど、〈悲しみSWING〉は男性のバックダンサーの方がいて、いまだったらEXILEさんみたいなパフォーマーの方を連れてスウィングするのかもしれないけど、あの時のダンサーの方はクラシックな、燕尾服みたいのを着てらしたんです。で、最後、歌い終わって、アウトロでこうやって踊るんですよ(たちあがって激しいダンスをする)」
――ダハハハ。全然スウィングじゃない(笑)。
 「そうなんです、アウトロのダンスが突然スウィングじゃなくなる(笑)。やっぱり本田さんは自分のやりたいことをぶつけてるんだなって思いました。そのバランスが不思議で、はっきり覚えてるんです。曲も切ないし大人っぽいし、いいんですよ」
――後藤さんの歌も良かったですね。
 「後藤さんはテレビ東京の〈マジ歌選手権〉やったり、名古屋の番組で“GO☆TO”って名前で歌ってたり、面白いこといっぱいやってるし、歌で面白いから、そういうことを大事に思ってるスタッフの方、後藤さん自身にもなんやねんって思われへんような、きちんとというか、違うお迎えの仕方をしなきゃいけない。どういう取り込み方がいいんだろうと思って考えたんですけど、もともと17年仕事してるんですけど、知っている部分とまったく知らない部分があって。その知らない部分をずっと探っていったら色っぽいところがあったんですよね。ふとした時に色っぽいんです。だから色っぽさでお迎えしようと思って、何がいいかなって曲を考えて、〈悲しみSWING〉と岡田有希子さんの〈Love Fair〉で悩んで」
――「Love Fair」!ちなみに、ボクが中学生の時好きだったのが岡田有希子と本田美奈子なんですよ。
 「そうだったんですか!〈Love Fair〉も似合うと思ったから、わりと早い段階で、アレンジをやっていただいているスカートの澤部(渡)さんに相談して。どっちも捨てがたくて1曲にしぼらないといけない、どうしたらいいだろうって思ったけど、なんとなく〈悲しみSWING〉かなあと思ってたんで、自分を納得させるために(笑)、澤部さんに〈悲しみSWING〉がいいんじゃないですか?って言ってもらうように誘導しながら相談しました」
――こうくると思わなかったし、ちゃんとハマってて驚きました。
 「よかった〜。澤部さんのアレンジもすごいよかったです。俳優さんをお迎えして歌っていただくみたいなイメージで。柴田恭兵さんとか」
――本業じゃない人に歌ってもらうイメージ。
 「そうです。“歌ってよ恭平〜”“いいよ。嫌いじゃないし!”みたいなかんじで歌ってもらったみたいな雰囲気にしたかったんです。カッコつけてくださいとは思わないけど、ふだんの持ってらっしゃる色っぽさをわけてくださいっていう演出というか。そういっていただけてよかったです。」
――ちゃんとカッコよかったですよ。
 「ですよね!澤部さんのトラックもすごい気に入ってます」
――澤部さんは趣味でCHAGE & ASKAとか光GENJIをカヴァーをするような人ですからね。
 「趣味で(笑)。澤部さんすごい悩んでやってくださって、すごくいいものができたと思ってます」
――ちなみに後藤さんはどうやって仲良くなったんですか?
 「2001年から大阪の番組でレギュラーで一緒なんです。でも大阪は日帰りなので、大阪で飲むに行くとかそんなにしてなかったんですけど、去年ぐらいから東京で飲む機会があって。その時にカラオケ行ったり。後藤くん、深酒で楽しいんです。出会った頃は彼も若かったし、ぼくも若かったし、あまり遊んだりしてなかったんですけど。でも、会ってる率が高い芸能人第2位なんですよね。隔週で会ってるから。1位はYOUさんなんですけど。YOUさんは20年ぐらいやってるのかな。で、後藤くんは知ってることもいっぱいあるんですけど、ホント知らんことは知らなかったので、去年からよく会うようになって、歌うのに抵抗ないというか、歌うのは大丈夫な方ってわかってたんですけど、実際この曲でこういう展開で大丈夫かなって思っていました」
――後藤さんは基本BLANKEY JET CITYと長渕剛の人ですよね。
 「そうです(笑)。大阪のイベントの時にゲストで出てもらって、キャストの発表する時に、“シークレットゲスト:フットボール後藤輝基”って書いたんですよ。まじめなお客さんには“シークレットゲスト?名前が出てますよ”って言っていただいたんですけど(笑)。シークレットゲストという役で出ていただこうと思って。本番は“今日シークレットゲストにきていただいてます。原田真二さんです”って紹介して、原田さんの歌を3曲歌うっていうのをやっていただいて」
――へー!
 「なんで原田さんかっていうと、長渕さんが好きと知っていたんですけど、“ほかにカラオケで何歌うの?”って聞いたら、“姉の影響で原田真二さん歌います”って聞いていいじゃんって思ったんです。歌ってる途中に、島田珠代さんがからんでくれて、笑わずに歌えるか?みたいにやってくれて、案の定、後藤くんはまったく笑わないし、これなんなんですか?みたいなノリも全部やってくれて。すごくいいステージでした。だから原田真二さんのカヴァーもいいかなと思ったんですけど」
――SLENDERIEのYouTubeで見ましたけど、原田真二「CANDY」のカラオケもよかったです。
 「そうなんです!達者な方なので、お招きするなら覚悟しようと思って必死でやりました」
――後藤さんと川島さんがついにこの輪に入ってきて。
 「うれしかったですね。川島くんもそんなにカラオケに前向きに行かない人らしくて。でも、ぼくはたまに何人かでカラオケ行ってたんです。あとから聞いたら、“そんなに行かないほうですよ”って言われて、そうなんやって思って。で、そのカラオケの時から歌がすごいよくて、〈若者のすべて〉もカラオケで聞かせてもらっていて。だから絶対歌ってほしかったんです」
――川島さんはその「若者のすべて」(フジファブリックのカヴァー)とオリジナルの曲「where are you」を歌っています。
 「去年の10月に大阪のイベントがあって、その1ヵ月後ぐらいに打ち上げがあって、こういうアルバムを作りたいなって考えてるんだって言ったら、堂島(孝平)さんもいて、“いいじゃないですか。やりましょうよ”ってなって、“じゃあ後藤くんも歌ってくれる?”“歌いますよ!”“ホント?川島くんも?”“ええ、ぜひ!”、椿(鬼奴)さんも“やったね、わーい”ってもりあがって。その流れで、川島くんって楽器やりそうな雰囲気あったんで、“なんかできるの?”って聞いたら、“なにもできないです。楽屋でふざけてギターをひいたことはありますけど。でも、音楽を始めたいと思ってたんです”って言うから。“じゃあサックスかスチールドラム、どっちか始めませんか?”って提案しました。“新曲の時はそれを演奏しながら歌いましょう”って。そしたら、まわりのみなさんが“それならサックスでしょう”って。ぼく、スチールドラムがすごい好きで、まじめにいいなあって思ったんですけど(笑)。その時に“サックスを買って練習します”って言ってくれて。1月7日に買いに行ってくれました」
――そして謎のYouTube企画(tenor ch)が始まって。
 「あれが始まりました(笑)。どうなるかわからないまま撮らせてもらったんですけど。後藤くんもいいですよって言ってくれたからありがたいですよね」
――芸人YouTuberが増えるなか、あんな投げっぱなしの企画はないですよ(笑)。とにかく不親切だし。
 「あははははは。YouTubeがわからないんですよ。みなさんそうだと思うんですけど。すごい注意されました。サムネイルが不親切すぎるって(笑)」
――サムネイルが全部同じですからね(笑)。
 「ですよね〜」
――藤井さんのアートワークのセンス見てるといかに説明をなくすかっていう趣向がわかりますけどね。
 「アルバムの情報を発表させていただいてからはちゃんと変えたんですよ!かわいい写真にしたんです」
――YouTubeにはデザイン性とかいらないんですよね。もっとわかりやすい文字の説明が必要で。その結果、再生数も伸び悩み(笑)。
 「でも、すごい信用できるんです。その240回という再生回数って。ぼく絶対この240人っていう人たちのことを裏切れないって思って。まあひょっとしたら半分の、120人の方が2回みてるだけかもしれないですけど(笑)。ホントにがんばろうと思いました。ああいうのってホントどうやって広まるのかな〜。見てほしい方には見ていただいてるのかなとも思ってるんですけど」
――川島さんが言ってましたよね、「YouTube好きな人がいちばん嫌いなことやってるかもしれない」って。
 「わりと早い段階で言ってますよね(笑)」
――ひたすらボケ続けて動画も一瞬で終わって、話が進行しない(笑)。YouTubeは短い動画がいいって言われるけどこういう方向なのかっていう。
 「わっはっは。みなさん優しいからつきあってくださるんですよね。大満足です」
――不親切さでいえば、後藤さんの「dental ch」はさらに上をいきますよね。なぜデンタル?という。
 「でもね、歌と近いところにあるから!そんな遠くないんですよ!だめですか?」
――ダメではないですけど!
 「ぼく本気なんですよ!しかもカラオケボックスで収録してますからね、ヒントが出てたと思うんです。YouTubeで“歌ってみた”みたいなのが弊社としてはあんまりよくないというので、できるだけ少なくしてるんですけど」
――権利関係の問題ですよね。
 「そうです。でも、後藤くんが歌ってくれたところも調整して使えるようにしてくれて」
――こっちの動画内でも再生回数の少なさをいじってますね(笑)。
 「ほぼ身内というか、マネージャーが見てるだけじゃないかっていう(笑)」
――藤井さんのこだわりはわかるんですよ。過剰な説明はいやだというか、スタイリッシュに見せたいというか。
 「スタイリッシュに見せたいわけじゃないんですよ!あ、いや、でも……ほかのやってる方をバカにすることになるからこれ以上言えないんですけど……成功してる方々もいるのに、おまえみたいなもんが否定すなってことになるから言わないですけど……ぼくにはそれができないってだけなんです。でも、いつかやるかも。もっと見てくださいって思ったら。……うーん、でもそうですね、そろそろやってもいいかもしれない。うん、ホンマや。この取材が終わったら相談しよ!」
藤井 隆
――このふたり(後藤・川島)が加わるのは大きいと思うんですよね。
 「そう思います。自分だけじゃ会えない人たちに届けてくれる可能性も多いと思うから。川島くんも後藤くんも歌がいいってぼく信じてますんで、気に入ってくださる方いっぱいいるんじゃないかなと思うんです。川島くんも〈where are you〉ってオリジナル曲でサックスもふいてくれてるし。作曲は絶対、堂島さんにお願いしたかったし、堂島さんにはリクエストを全部話せるので、まず堂島さんに相談して。アレンジは冨田(謙)さんでいきたかったんです。SLENDERIEの第1班だから。ぼくと椿さんと川島くんが1班なんですよ。だからガッチリ決めたチームでいきたくて。それで一生懸命考えたら、“雨”ってキーワードがうかんできて。川島くん自身もじつは自分のライヴDVDに“雨”って言葉が入ってたりとか、キーワードだってあとから聞きました。ぼくも知らんで雨って言ったんですけど、それで共感もしてくれましたし、雨でいこうってなった時に神田沙也加さんに詞をお願いできたのもうれしかった。ぼくの中で神田さんも雨の人ってイメージなんですね。雨といっても悲しい雨かっていうとそうでもないし、当たり前の雨というか、作物に水を与えるのに必要というか、悲しいだけじゃない必要な雨の人ってイメージがあったので、すごいうれしかったです。堂島さんとやりとりしてかたちにしてくださって、デモがあがって、神田さんに聞いていただいたら、それこそ何時間かで詞が送ってくださって。あっという間に組み立ててくださって。その速さにも心震えました」
――松田聖子さん作詞のシングルで藤井さんが歌手活動に復帰したことを思うと、この起用も味わい深いです。
 「そうですよね。これは神田さんの言葉なんですけど、“川島さんがソロで歌われる曲なので、川島さんが少しでもうれしいなとか、身近に思えるようなことを書きたいと思って魔法を使って調べました”って。運動が苦手とか、ゲームやりだしたら、とか川島くんをあらわしてる言葉が入ってたりするので、その愛情に感動しました。そうやってできた曲なんですが、オリジナルの曲なんで川島くんがどう歌うかわからないと思ったから、仮歌を自分で歌ったんですよ。独特の譜割りなんで、まず一旦自分が消化してからだって思って、録ってもらって、それをお渡したんです。川島くんが歌入れするまではそれしかないから、会議とか仮ではめなきゃいけない時に自分の仮歌が使われたんですけど、川島くんの歌が入ってからは一気に川島くんの歌になって感動しました。なんというのかな、運動音痴の人ですから、音感はあったとしても、しかも堂島さんの今回のこの曲ってつっついてつっついて急にぬくとか、じつは難しかったりするんですよ。自分はなんとなくこれまで、仮歌いただいて、デモ聞いて、はい歌ってって言われて歌ってきましたけど、そういう作業をあまりやってきてないから、カラオケで歌ってた〈若者のすべて〉は、さあ歌ってくださいで歌えるけど、なかなか新曲を耳で覚えて楽譜を見てってのをやってないから、やっぱり戸惑われていたんですけど、そんなところからスタートした川島くんが、歌が入ったら川島くんの歌でしかなかった。それをゼロから体験できたってのは貴重な経験でした。自分にはできないと思います」
――声がいいのは当然ですが、歌もいいんですよね。
 「もともと音域が広い方で、高いところは切なさがプラスされていいなあって思いました。堂島さんとキー決めるのがすごい時間かかりましたね」
――(レイザーラモン)RGさんはカルロス・トシキですね(カルロス・トシキ&オメガトライブの「アクアマリンのままでいて」をカヴァー)。
 「うふふ、楽しそうでしょう(笑)。まだオリジナルかカヴァーかも決めてない時に、ご本人にどういうのがやりたいですか?って聞いたんですけど、〈アクアマリンのままでいて〉がいいって。なるほどね、それはいいなって思ったんですけど、とはいえ、SLENDERIEとしての思いもありますので、希望はカルロス・トシキさんに憧れているRGさんで歌い始めていいけど、じつはわりとBメロあたりから早めにRGさん自身になってるみたいな歌がほしかった。それをするにはどうしたらいいんだろう?って思ってONIGAWARAの斉藤伸也さんにお願いしました。斉藤さんは堂島さんのアルバムにも参加されていて、すごくよかったので気になっていて。彼はメールの返しが早い方で、スピーディにいくんですけど、実際トラック作るまでわりとしつこくこういうのがやりたいってずっとやりとりしてて、いざ作りますってなったら、ぱん!ぱん!って2回ぐらいでできちゃったので、ホントすごいなって思いました」
――きれいにはまってましたね。ザ・ONIGAWARA的な感じで。
 「Rさんも最初は“ゆうーばへぇ〜”ってカルロスさんっぽく歌ってたんですけど、2回目ぐらいからその感じが少なくなっていたんですよ。それはノってるのかこっちのほうがいいと思ったのか、Rさんのファンへのサービスも忘れずに、でもRさんになっていて。いい走り方できたんじゃないかなって思います」
――Rさん、奴さんと伊礼(彼方)さんは制作チームが違うイメージなんですか?
 「椿さんは1班で、伊礼さんが2班。Rさんは3班です。自由なんです」
――ダハハハ。2班はあと誰なんですか?
 「後藤くんと伊礼さんが2班です」
――俳優枠みたいな感じ?
 「いや、暗い人がプロデューサーなんです。たぶん。おとしなしい感じの人がプロデューサー。1班はわりと言う時は言うタイプ。3班は若い子というか、お祭り!みたいなかんじの人たちが集まって、わいわいと自由にやってる。とくこさんも3班なんです。暗黒(天使)さんは2班のあずかりです」
――へー、3班だと思いました。
 「2班なんです。わりと静かに1班の動きを見て、いまならいけるんじゃないかってやってくるというチームが2班なんです。伊礼さんはミュージカルの方なのでそもそもスケジュールいただけるかわからなかったんですけど、この企画を考えた時には当然のように伊礼さんに新曲を歌ってほしいなって思いました。最初に伊礼さんには椿さんの『IVKI(イブキ)』ってアニメ主題歌のイメージのアルバムに入っていただいたんですけど、次の『Elegante』で伊礼のさんのまるごとな感じをやってもらったので、今回はぼくが思ってる伊礼さんのカッコいいところと、ちょっとコミカル……ホントは滑稽って言いたいんですけど、滑稽って言葉にすると強いので、なんだろう……ユーモア!ヒューマニティ!みたいな(笑)」
――言いたいことはわかりますがふわっとしてる!
 「その感じを出したくて。街を走ってる人が街の中で出会うんです。街で出会うだけの歌がやりたくて。しかも、カッコいいものがいいなって思って。まっすぐのカッコいいというよりは角度を変えたかった。で、前に自分のアルバムでもお世話になったARAKIさんにご相談しました。ビーイングの音楽が好きで。ZARDさんの声質のヴォーカリストを見つけてきて、ZARDさんのような新曲を作ったりしてる面白い人なんです。その人にお願いしたら、やってみますってやってくれて、最初から仮タイトルに“NEO POSITION”って書いてあって、その汲み取ってくれた感じが面白くて。“ネオ”とか“トキオ”とか最近、言わないじゃないですか。伊礼さんは舞台でご一緒した時に、きっちりきっちり状況を確認して、積み重ねて、そのグラデーションでやる人なんですが、ぼくはわりと感覚でやっちゃうこともあるんです。そういう方に“ただ出会うだけのカッコいい男の歌なんです。やってください”って言っても、“どうやればいいですか?”みたいな感じになったんですが、そういうのもARAKIさんもレコーディングに来てくださったので、ご説明しながら、スカッと歌い上げてくださったので楽しかったです」
――藤井さんのその概念を伝えるのが難しいですよね。
 「そうですね。堂島さんがいてくださると通訳してくれるんですけど。冨田さんもすっかり最近はわかってくださって。それはこういうことでしょう?ってやってくださるんですけど。漠然としてるから歌う人は困るみたいで(笑)。やっちゃいけないなって我慢したんですけど、でも何回か出ちゃったな。YOUさんも漠然としてるから、YOUさんと2人でいると漠然とした話ばかっかりして収集つかなくなるんですけど(笑)」
――想像できます(笑)。にしても、暗黒さんもとくこさんも歌上手ですね。
 「ありがとうございます。暗黒さんはスパイス・ガールズ日本版(※HAKO with THE BIBIANというグループに所属していた)っていうのがあって、メルB役でデビューして、それはわけあって解散になったんですけど、レディー・ガガやマドンナのモノマネやるし、歌が好きで、歌が近くにいる人なんで、前から歌ってほしいなって思ってたので夢が叶いました。作詞もお願いして。適当でいいからどういうものが歌いたいか一度書いてもらっていいですかってお願いしたら、次の日に歌詞を書いてきてくださって、その情熱に打たれてがんばろうと思いました。(共作詞・作曲・編曲の)ニンドリさんも全部くみとってくださって。暗黒さんって好きなもの、好きな要素が多いんです。メロディアスなものとかK-POPのこういう感じとか、そういうのすべて入れてくれたので、作家さんってすごいなって思いました」
――とくこさんも歌詞を書いてますね(PARKGOLFとの共詞)。
 「逆にとくこさんは詞を書いてくださいってお願いしてもなかなか書いてくれなくて(笑)。そういう言い方すると彼女が悪いみたいなんですけど、そういうわけじゃなくて、書く作業までに時間かかる人だと思うんです。で、たとえば彼女がモノマネしている西田ひかるさんの新曲っぽいイメージとか、アン・ミカさんっぽい曲とか、昔から彼女が好きだったK-POPっぽいものとか、いろんな可能性があったんですけど、結局今回の歌に着地したんです。それは、世界観は決まってたみたいで、お子さんがいるので、子供向けの歌でっていうのと、彼女いまツイッターで電車のネタをやってるんですね。なので、電車をイメージした歌でやりたいと。“それは石川秀美さんの〈スターダスト・トレイン〉みたいなこと?”って言ったら“そうでもないです。いや、でもそうかもしれません”とか(笑)、彼女の中で決めかねている状態からはじまったんですけど、でもとにかく彼女の声がいいなあって思いました。あと、レコーディングのやり方が自分とは全然違いました。ちょっと歌って、“一回聞いてみます”とか自分の声を確認しながら録っていたんですね。ぼく一度もそんなことやったことないから、なんでだろうって思ったら、エンジニアの方が、“たぶんモノマネやっていることもあるんで、自分の声を確認したいというものがあるのかもしれません。RGさんもけっこうそうですよ”っておっしゃっていて。人によってやり方ちゃうねんなって思いました」
――暗黒さんやとくこさんは昭和のアイドルモノマネみたいなのが最初の接点なんですか?
 「とくこさんはカラオケでした。椿さんやRGさんと一緒に飲んでる時いてくださったのかな。暗黒さんは仕事場だったんですが、暗黒天使という名前がひっかかっていて。椿 鬼奴さんもそうなんですけど、なんでこんな名前つけるんだろう?って気になって。メンバー表みたいなのがあってそれで見たんだと思います」
藤井 隆
――藤井さんはパソコン音楽クラブが作曲・編曲を担当した新曲「14時まえにアレー」です(作詞はYOU)。彼らとやりたいっていうのがあったんですか?
 「自分のことが全部後回しになっていたんです。自分が歌わないという選択肢もあったんですが、それはカッコつけててやだなあと思って。それにツアーの予定もあったので、歌わなかったら出られへんなあ、やっぱり歌わせていただこうと最後のほうに思って」
――ジャケットも一番ひかえめですもんね。
 「背中を向いてますしね(笑)。って、そんな意図はないんですけど(笑)。で、歌わせていただこうって決めてから、わりと早い段階でパソコンさんにお願いしたいと思って。知り合いに教えていただいたりしていいなって思ってたんですけど、すごく若いというか、かわいいし、どうかなって思ったんですけど、人のことをずっと考えてる時に、へんな意味じゃなくていい意味でなんですけど、なんとかなるでしょって思って。自分なんで少々無理でもなんとかなるかもって、パソコンさんお願いできますか?って投げた感じなんです」
――自分が後回しになる感じだったんですか?
 「考えたい案件がどうしてもいっぱいあるので」
――最初にいろいろプランがあるわけなんですよね。早見優さんに「Right Here, Right Now」(ジョルジオ・モロダーfeat.カイリー・ミノーグのカヴァー)を歌ってほしいとか。
 「そうです。YU HAYAMIも早い段階でした」
――カイリー・ミノーグお好きですもんね。
 「ぼくカイリーの来日コンサート、皆勤賞なんです。あの人がもってる多幸感というか、平等!リベラル!シャイニング!みたいなそういうきらめきを、早見さんにも感じていて。いつも“いいわよ、OK”ってやってくださってるこの何年間で、カイリーと早見さんを重ねるところがありました。しかもジョルジオ・モロダーさんのあの曲が大好きで。去年の12月とか、早見さんに早く歌ってもらいたい、早くレコーディングしたいって感じだったんですけど、コロナのこともあって、舞台の稽古だけして本番がなくなったりとか、本番あるのかなって思いながら舞台の稽古したりとか、お客さんも消毒して検温して、毎日……なんていうんですかね、この仕事があったのもうれしかったし、やりがいがあって頑張れたんですけど、一方でちょっと前に仕事ご一緒してた人が職を失ったとか、やめたとか、ぼくも飛んだ仕事もいっぱいあるし、そんな時にレコーディングで早見さんと会えるのが本当に救いでした。あと何日がんばれば早見さんに会えるって。〈Right Here Right Now〉じゃないけど、道しるべみたいな。舞台の仕事も最高なんですけど、くじけることがあって。誰も悪くないし、社会も悪くないけど、なんなんだろうこれ?ってやっぱり思うことがあって、そんな時でもこのCDがあると思えたし」
――この制作期間があってよかったんですね。
 「ほんとに。12月にはしゃいで、1月はしゃいでイエーイ!ってやってて、2月になって、えっ?あれ?ってなりはじめて……」
――YouTubeが始まったのも1月ですよね。
 「ですね。で、2月にあれ?ってなって、ちょっとずつそうなって。でも、早見さんはレコーディングもわりと早かったんです。ただ、会社の決まりとしてレコーディングってやっぱり環境が蜜なのでなかなかOKでなくて。いつOKになるんだろう?とか、早見さんの事務所さんの考えもあるから。で、このCDが10月28日発売ですけど、最初の話に戻りますけど、角川さんが映画の公開が10月16日って決まってから、早く秋にならへんかなってすごい思ってました。10月に早くなってほしいって。映画とこのCDがふた筋の光でした」
――やっぱりコロナでメンタル的にダメージを受けたんですか?
 「やっぱりそうですね。もちろんいままでも震災とか災害時でもありましたし、今回はウイルスなのでどうしようもないんですが……あと“不要不急”って言葉が」
――我々の仕事ってだいたいそれなんですよね。
 「そうなんですよ(笑)。前からそうかなって思ってたことが見えてしまった。まさかと思ってた方がすごい速度で撤退というか保身に走ったり、我々のことをコマとしか思ってないんだなってわかった人もいて。要は保証がおりない限り、とにかくやる方向で!みたいなこと言われても、んん?みたいな。やっぱりダメってなったら、なしです、そしてお金払いませんみたいな。え、あれはなんだったの?っていう。もちろん人によっては芸術活動だと思うんですよ。でも、ぼくは肉体労働だと思ってて。そういう自分の気持ちとか、丸ごとどうでもよくなってしまう怖さが見えたんです。やめたいなんて口がさけても言えないですけど。この仕事が本当に大好きなので!でも、そっちがそうなら、お取引やめるわって人はいました」
――それぐらいに追いつめられていた。
 「そこで角川春樹さんに会ったという話になるんですけど」
――そんな時に角川さんに出会うのはいい話ですね!
 「まだ世間が大丈夫ですか?ってころに“秋にロードショー”って言ってましたからね」
――俺にはわかる、大丈夫だ、って(笑)。
 「秋ロードショーなんやって。10月っていったのもわりと早かったし、10月16日っていうのも早かったし。10月16日って『犬神家の一族』の公開日なんですって。ふてくれされるなー、がんばれーと言ってくれてる感じがして。秋を楽しみにしてました。だから絶対にヒットしたいんです!」
――絶対にヒットしたい!
 「ホント困ってるんです。CDもなかなか買っていただけない、ライヴもなかなかできないっていうこの状況が。予定していたツアーもやっぱりだめってなって。イベントの後の物販も大きかったんです。枚数うんぬんの話の前に、イベントのポスターを見て、“藤井ね、知ってる”って来てくださって、CDあるんだって買ってくれるお客さんもいるわけで。イベントなくなったのはホントつらいです……。でも、リリースイベントだけは11月にあるので!伊礼さんはスケジュール合わなかったんですけど、みんな参加してくださって。サンリオピューロランドでやるので素敵な仲間もいるんですよ。でも、ソーシャルディスタンスで入場人数も限られてるしドキドキしてます。でも、もう腹くくりました!」
――本来なら心配しなくていいことをしなきゃいけないんですね。
 「正直つらいです(笑)。でも、リリースイベントができるのはうれしい。今年はこれで終わるかもしれないけど、来年、世の中みんな仕事も生活も取り戻せたら、わたしたちも取り戻しにいきたいなって思ってます」
藤井 隆
――この流れでどんどん芸人さんがいい歌を歌うシリーズをやってほしいです。
 「うれしいな〜。後藤くんには“マネージャーさんと奥様に感想を聞いて、ぼくに教えて”って言ったんです。マネージャーさんと奥様って、2大彼のことを愛してる人じゃないですか。その反応はどうかなと思って。そしたら奥様がひさしぶりにほめてくれたそうです。ご本人にも気に入っていただけて、“寝る前に聞いたりしてますよ”と言ってくれていて。後藤くんのファンの方には絶対聞いてもらいたいです。惚れ直してほしい」
――MVを作る予定はあるんですか?
 「全曲のトレーラーを作りました。川島くんも当初はトレーラーだったんですけど、フルMVも1曲あったほうがいいと思って、急遽フルで撮りました。ジャケ写の世界観と連動するものになってます。あと、“エイベックスチューン”みたいなサウンドロゴを冨田さんに発注して。仮のものを見たんですけど、レーベルっぽくてすごくうれしかったです」
――というところで時間になりました。今後のYouTubeの展開を楽しみにしてます!
 「……すかしてるみたいですか?スレンダリーって」
――そうは思わないですけど、YouTubeの主要な流れとは明らかに逆だと思います。
 「だってー!自分が見ているYouTubeって、“○○やってみた”とかばかりじゃないですもん!でも、そういう方たちが見てくださらないと回数があがらないってことですよね。関連動画ってのはどうやったら関連していくんだろう……」
――たぶんメジャーな芸人さんがらみの動画を見た人が関連動画をクリックするようになるといいんですよね。そのためにはサムネイルがあると誘導しやすくなると。
 「サムネイルがわかりやすいとなんで見られやすいんですか?」
――基本わざわざ検索せず、関連動画に出てきたから見ようって人が多いんです。
 「知ってるつもりなんですけど、あらためて言葉で聞くとつらい(笑)。そんなご要望には答えられへんもん。マネージャーにも言われたんです。“まったく見ようと思わないです。サムネイルが真っ暗で怖いです”って。でも、こっちもプライドがあるから“……そうかなあ?”って」
――ダハハハ!もちろん、わかる人にはわかりますけどね。
 「わかる人ってホント感謝してるんです。でも、せめて倍にはしなきゃ。チャンネル登録50万人とかいわないですけど、いろんな人をまきこんだから、ホントだめだわって。申し訳ない」
マネージャー「1000何人かは見てくださってるんですけどね。でも、YouTubeの使い方が間違ってるんじゃないかと(笑)」
――明らかに主流のやり方じゃないですもんね。
 「そうですか(笑)。インスタもやってなかったんですけど、音源解禁前にちょっと流すのやったほうがいいよって言われて、インスタも始めたんですけど、全然フォロワーが増えなくて……。ぼくどこに需要があるんやろ?ってこわいです」
――『ゴッドタン』のYouTube芸人で印象的だったのが、YouTubeでやる以上は芸人としてのこだわりは必要なくて、向こうの流儀に乗るのが一番再生回数も伸びるって話で。
 「そりゃそうですよね。すかしたことしてると思われてるんかな。そんなつもりないのになあ。本気やのに!」
――本気なのは伝わります!マネージャーの発言に対してカチンとくるぐらい本気なんだって。
 「“暗くてこわいです”という意見に、“……そうかな〜?そう思わないけど!”って返すこのプライドの高さ(笑)!〈tenor ch〉のぷお〜って川島くんがサックスを吹いた声、これは産声なんですよ。説明しないとわからないと思うんですけど、あれこわくないし!意味あるし!って」
――仕事で芸人さんの動画を見る機会が多いんですけど、本気で再生回数を増やそうとしている人は相当わかりやすくしててますよね。マネしたくなる決めポーズを取り入れたり。
 「(テンションあげてポーズをとりながら)はい!はい!はい!みたいなやつですよね(笑)」
――その無理やりテンションあげるかんじ(笑)。
 「それこそ、ジュニアさん(千原ジュニア)とフットボールの2人と小籔(千豊)さんがYouTubeやってるんですけど、サムネイルがすごくて。ジュニアさんが?うっそー?って思ったけど、やってるんですよね。うーん、せめて、リリースのお知らせですっていうのは、ちゃんとやってみてもいいかもしれないですね」
――キャラとして何かやりきってるやつがあってもいいと思います。
 「スタッフさんに“インスタ増えなくてどうしたらいいのなかな?”って言ったら、“NiziU踊りましょう”って言われました(笑)」
――ボクも毎週ショールームをやってて、もともと始まった枠に残ってるのはボクと乃木坂46だけなんですよ。ホリエモンとかキングコング西野さんもいたんですけど。ボクも戦略を立ててやって。視聴者はアイドル好きが多いからなるべくアイドルを呼んで、おじさんがゲストでもアイドルの話はかならずして、とにかく中身を濃くして、絶対にボクが出るようにして。それで、確実に毎回1万ビューとか数字を取ってやってきてなんとか残ったんですけど、乃木坂の日は始まって5分で1万ビューとかいくんですよ。ただお菓子食べてるだけとかで。粘土細工やりますで5万とかいってて。こっちはこんなにがんばってるのに!って正直なります(笑)。
 「我々はどうしたらいいんですか(笑)。お菓子を食べてるだけでいいんですか?」
――そうじゃないと思うので、お互いさぐりさぐりやっていきましょう!ボクは積極的に媚びにいっています(笑)。
 「ぼくもやろう!」
――ダハハハ!今後の展開も楽しみにしています。今日はありがとうございました。
藤井 隆
取材・文/吉田 豪
撮影/吉場正和
■Event Information
〈SLENDERIE RAYO live ideal〉
2020年11月7日(土)
東京 サンリオピューロランド エンターテイメントホール
[昼の部]OPEN 13:00 / START 13:30
[夜の部]OPEN 16:30 / START 17:00
出演者:暗黒天使 / 川島明(麒麟) / 後藤輝基(フットボールアワー) / 椿鬼奴 / とくこ / 早見優 / 藤井隆 / レイザーラモンRG / and more
SLENDERIE RECORD SLENDERIE RAYO live ideal
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