ダブ〜レゲエのムードと、ポスト・ロックの肌触りを併せ持つ台湾の4人組、盪在空中(トウザイクウチュウ)

盪在空中   2012/05/23掲載
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 フィッシュマンズからの影響を感じさせるダブ〜レゲエのムードと、台湾でも根強い人気を誇るポスト・ロックの肌触りを併せ持つ台湾の4人組、盪在空中(トウザイクウチュウ)。このたび日本デビュー・アルバム『一大片的風景』を発表し、来日公演も行った彼らにインタヴューを試みた。メンバーはQ(ライQ/ギター&ヴォーカル)、陳曄淵船Д鵝Ε魯Α織ター)、愛吹倫(アレン/ベース)、隆(リュウ/ドラムス)という4人。また、今回盪在空中を招聘した遠藤泰介(SUBTERRANEANSS/元VELTPUNCHほか)にも参加していただき、台北インディ・シーンの現状を話していただくことに。では、リラックスしてどうぞ。


――まず、出身地と生まれた年を教えてもらえますか?
ライQ 「僕は台北出身で、80年生まれです」
アレン 「僕は台中出身。75年生まれだよ」
チェン・ハウ 「花蓮出身です。83年生まれ」
リュウ 「台北出身で、85年生まれです」
――みなさん最初にハマった音楽はなんでした?
ライQ 「中学のときに聴いた伍佰(ウー・パイ)&チャイナ・ブルー(注1)ですね。当時はみんな伍佰を聴いていたんですよ」
アレン 「僕も伍佰は好きだったな。あとは『トップガン』のサントラ(笑)。日本のアニメも好きだったよ『コータローまかりとおる!』にバンドのシーンがあってね、すごく憧れたんだ」
チェン・ハウ 「僕は12歳のとき親に買ってもらったマイケル・ジャクソン『デンジャラス』がものすごく好きだった。あのアルバムに入ってる<Black & White>が好きで、最初はダンスをやってたんだけど……」
全員(爆笑)
チェン・ハウ 「(照笑)あのアルバムが音楽にハマるきっかけになったんです」
リュウ 「音楽をまったく聴かない家庭だったから、子供のときはずっとTVゲームをやってました。だから、最初に好きになったのはゲーム音楽、その次がニルヴァーナですね」
――では、最初に手にした楽器は?
チェン・ハウ 「僕は高校のとき、学校をダマして軽音楽部を立ち上げたんです。というのも他の部活に入りたくなかったというだけで部員は僕しかいなかったんだけど(笑)。でも、発表会をやらなきゃいけなくなって、カヴァー・バンドを始めました。やってたのは伍佰とか張震嶽(注2)みたいな台湾のアーティストでしたね」
アレン 「僕は19歳からベースを弾き始めたんだ。ニルヴァーナとかグリーン・デイのカヴァーをやってたよ。あとはメタリカボン・ジョヴィとかガンズ・アンド・ローゼズとか。台湾の同世代のヤツは大抵ボン・ジョヴィのカヴァーから始めたと思う(笑)」
ライQ 「僕は中学のときにアコースティック・ギターを手に入れて、高校1年からエレキ・ギターを始めたんです。やっぱりニルヴァーナとかをカヴァーしてました」
リュウ 「僕の場合、高校1年のとき授業中にずっと貧乏揺すりをしていたら、ギターを弾いてた隣の席のヤツが“お前、リズム感ありそうだからドラムやらないか?”って誘ってきたんです(笑)。その時に組んだのがフレックルズというバンドです」
――盪在空中が結成されたのは何年だったんですか?
アレン 「2007年かな」
チェン・ハウ 「ライQ以外の3人は郵便局でバイトしてたんですよ。それで仲良くなってバンドを始めることになったんです」
ライQ 「みんなフィッシュマンズが好きだったから、音楽の趣味も近かったんですよね」
――台湾でフィッシュマンズの人気は高いんですか?
ライQ 「僕の友達はみんな好きですね。台北でバンドをやってる人はみんな知ってるんじゃないかな? 最近は専門的なレコード・ショップで彼らのアルバムを買えるようになったんですけど、昔はなかなか手に入れにくかったんです」
――それまでレゲエやスカは聴いていたんですか。
アレン 「結構聴いてたよ。ボブ・マーリーキング・タビーが好きでね」


ライQ 「DETERMINATIONSとかDRY&HEAVYみたいな日本のスカ/レゲエ・バンドも好きだったし、オーディオ・アクティヴも好きでした」
――で、最初は台北のライヴハウスで活動を始めた、と。
ライQ 「最初はアンダーワールド(地下社會)という台北のライヴハウスで活動を始めたんですけど、僕が兵役に就かなくちゃいけなくなって、2回目のライヴをやったのは1年後のことでしたね」
遠藤 「アンダーワールドはものすごく小さなライヴハウスなんですけど、台北のインディ・シーンにおいてかなり重要な場所なんですよ」
アレン 「アンダーワールドはかなり長い歴史があるし、昔からインディーズ・バンドをサポートしてきたライヴハウスだからね」
遠藤 「台北にはアンダーワールド以外にも大きなライヴハウスがいくつもあるんですけど、そういう場所は大抵メジャーなアーティストがライヴをやってるんです。僕らみたいな日本のインディー・バンドもアンダーワールドは受け入れてくれますし、あそこでいろんな人を紹介してもらいましたね」
――じゃあ、人と人を繋ぐ場所?
遠藤 「そうですね、まさに。盪在空中のみんなともアンダーワールドで知り合いましたし」
――台湾のインディ・シーンで異なる世代間の交流はあるんですか? 例えば年上のバンドと一緒にやったり。
チェン・ハウ 「まあ、このバンド自体、世代がバラバラですからね。僕やリュウは新しい人で、この人(アレン)が古い人(笑)」
ライQ 「僕らのアルバムに参加してくれたアイ・ワンさんは台湾で一番有名なブルースのギタリストなんですが、彼も40代ですね。異なる世代のバンドと競演することは台湾では普通のことなんですよ」
――じゃあ、同世代で共感するバンドは?
全員 「透明雑誌(注3)
アレン 「彼らは友達だしね。あとはスカラオケとかハイ・タイドみたいなスカ/レゲエ・バンド」
――アレンさんはタイマイカ・サウンドシステムというレゲエ・バンドもやってますよね?
アレン 「うん、やってるよ。この前、日本のリクル・マイさんと台湾で一緒にライヴをやったんだけど、すごくいいパーティだったね」
――アレンさんはDJもやってるとか。
アレン 「うん、ダブやダブステップをかけてるよ。ダブステップはまだまだ台北じゃアンダーグラウンドなものだけど、何人かダブステップのDJはいるね。ダブのほうがさらにアンダーグラウンドだけどね」
――台北のクラブ・シーンはどうですか?
アレン 「やっぱりテクノが強いね。トランスみたいなヤツ。ドラムンベースも結構人気があるよ。……ま、僕らはあんまりメジャーなクラブ・シーンとの交流がないから、そこまで状況は把握してないんだけど」
ライQ 「台湾はトランスがかかってるようなメジャーなクラブ・シーンと僕らが接点のあるようなダブ/ダブステップのDJとは交流自体がないんですよ。お互いの存在は知っててもね」
――日本盤もリリースされた盪在空中の『一大片的風景』はすごくユニークでオリジナルな作品ですよね。どうやってこの音楽スタイルに辿り着いたんですか?
チェン・ハウ 「僕はZAZEN BOYS向井(秀徳)さんに影響を受けていて、楽器の種類も参考にしてるんです。そういう影響がギター・サウンドに出てるのかもしれませんね」
ライQ 「最初に僕が曲と歌詞を書いて、それをベースにみんなでセッションしていくんです」
アレン 「結成当初からこういうスタイルを目指してはいたんだけど、当時は今以上に雑でね。最近ようやく目指すものに近づけている気がするよ」
ライQ 「あと、遠藤さんと会うたびにいろいろな情報を教えてもらってたんです。その影響が大きいと思う」
遠藤 「彼と初めて会ったのは2005年だったと思うんですけど、<SPRING SCEAM>っていうフェスに僕がやってたsix o'minusが出たことがあって、当時違うバンドをやっていたライQと出会ったんですよ。それから仲良くなって、当時から“日本のバンドはどうやって曲を作ってるんだ?”とか“どういう機材を使ってるんだ?”とか聞かれてたんです」
――今後はどんな風に活動していきたいですか?
ライQ 「台湾という南国の島の雰囲気を自分たちの音楽性にもっと反映させていきたいですね。もっとリラックスした音楽を作っていきたい」
アレン 「今ちょうど新しい曲を作ってるところだしね」
ライQ 「今回のアルバムは僕ら的に秋っぽい作品なんだけど、次はみんなで騒げるような夏っぽいアルバムになると思います」
取材・文/大石始(2012年4月)
通訳/Chen Hikky
注1:伍佰&チャイナ・ブルー/90年代前半にデビューし、現在もアジア各国で高い人気を誇る台湾のバンド。
注2:張震嶽/チャン・チェンユェ、愛称アー・ユエ。台湾アミ族のシンガー・ソングライター。
注3:透明雑誌/盪在空中との関係も深い4人組バンド。先日EMI Music Japanと契約を交わし、日本でメジャー・デビューすることを発表した。
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