ダンス・ミュージックとロックを絶妙に融合したiLLの真骨頂というべきニュー・アルバム『Minimal Maximum』が登場!

iLL   2010/10/14掲載
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 ハードコア・パンクのABRAHAM CROSSからシンガーのacoなど、さまざまなアーティストとの共演を繰り広げたコラボレーション・アルバム『∀(ターンエー)』から、4ヵ月という早いペースでニュー・アルバムをリリースするiLL。新作『Minimal Maximum』は、前作『Force』で見せたポップ感をさらに進化させた作品といっていいだろう。ダンス・ミュージックとロックを絶妙に融合した、まさにiLLの真骨頂というべき切れのいい楽曲が並ぶ本作。スーパーカー時代からのファン、iLLから聴き始めたリスナーにも受け入れられること間違いなしのレンジの幅の広さを持つ新作について話を訊いていこう。
――新作『Minimal Maximum』は、ロック感とクラブ・ミュージックが見事にミックスされた、iLLとしての次のステップに向かった作品という印象を受けます。the telephonesのプロデュースや、コラボ・アルバム『∀』などを経て、ナカコーさんの中で何か変化があったんですか。
iLL(以下、同) 「人と一緒にやるのは好きだけど、それよりも前作『Force』が、最初にiLLとしてやりたいと思ったことをやれたアルバムだったので、新作はこれまで温めていたアイディアをアップデートした形にしようという思いが強かったですね。制作自体は『∀』と同時期にやってたから、そのギャップは大きかった(笑)。マンションに例えると、にぎやかな隣の部屋が『∀』で、友だちいない部屋が『Minimal Maximum』というか(笑)」
――(笑)。では、アルバム自体はどんなテーマで作っていったんですか。
「自分の精神的にもライトに、聴いてる人にもヘヴィじゃない内容にしたいなと思ってました」
――歌詞、サウンドにしてもシンプルで伝わりやすいですよね。
「全体的に音も言葉も削って、なるべく整理して出すっていうのはこだわりましたね」
――シンセやギターにしても、音色の音の粒がデカいなって感じがします。
「ずっとミニマルものを聴いてたから、そこに特化したところはあります」
――音楽的にミニマルとは違うものだけど、発想は近いと。
「そうですね。あと、どの楽曲にも生音は入ってて、でも生音っぽく聴こえないというか……今回はなるべく打ち込みと生音が全部溶け合うようにしたいなというのは考えていました」
――あと、メロディに対してのこだわりがすごく出た感じもしますね。
「メロディも削って削って最終的に残る部分を活かす感じだったんで、よりメロディ感が強くなりましたね」




――ヴォーカルも、これまで以上に前に出たなって感覚がありますが。
「それは、わりと音を押さえて作ったから、結果的に歌が自然と立って聴こえるんだと思う。歌への意識は、デビューしたときから何にも変わってないので(笑)」
――そうなんですね(笑)。では、楽曲に触れつつ話を進めましょう。「Eden」は、まさに本作を象徴するようなエレクトロニック・ポップとロック感が色濃く出た曲です。
「骨格は今やりたいアイディアで、外身は昔のアイディア……ギター・ポップみたいな雰囲気を持った楽曲を1曲目にしたいなと思って作った曲なんです」
――ギター・バンド的な「Distortion」などもそうですが、スーパーカーからiLLでの活動が上手く昇華されてる印象があります。全部出しちゃえって感覚はあったんですか。
「そうですね。自分がやってきた古いものと今の発想の相性がいいっていうのは、すごくあります」
――タイミング的にもあったと。あと歌詞は、全体的に混迷から希望を求めるようなものが多いですが、やはり今の世の中のモードが反映されてますか。
「歌詞は楽曲ができて一番あとにつける作業なんで、これはどういう曲なんだろうって思いながら書くんです。あと、自分が見たもの聴いたものが反映されますね。<Eden>は旧約聖書にハマって読んでたときに、自分が思ったことを合わせて書いたし。<Zero>を作ってるときは素粒子の本を読んでて……。今も読んでるけど(笑)」
――え? なぜに素粒子の本に興味を持ったんですか(笑)?
「ミニマルを聴いてくとそこに行き着くんですよ(笑)。ミニマルの小さいデザインをやっていくと、素粒子ってのは面白いなって。素粒子がこうなら音楽もこうでいいじゃんって妙な整合性があったりして」
――ミニマルを突き詰めると最小物質ってところにたどり着くってのは納得です。さてアルバム中盤は、ソリッドでニューウェイヴ感のある「Downer」から、明るいメロディの広がりを見せる4つ打ちチューン「Love」に向かっていきますが、この曲はどんなイメージで作った曲なんですか。
「<Love>はリズムを作っている段階でキックがトランスっぽいな、今あえて思いっきりトランスっぽい曲を作るのも面白いなって作ったんです(笑)。95〜96年の頃はよく山のパーティで遊んだし、当時の思い出もありつつ、作ってる流れでできた曲なんです」
――ますますこのアルバムは、ナカコーさんの歴史が詰まった作品って気がしてましたよ。
「作ってるときは、そんなつもりは、まったくなかったんだけどね(笑)」
――フリージャズからテクノまで混ざったような「Zero」、ブリブリのシンセ・ベースが効いたロック感もあるダンス・チューン「With U」、そしてピアノの音色が印象的なスローテンポのダークな「Bad Dreams」と、明暗のバランスもすごく絶妙です。『Minimal Maximum』は、これまでのiLLの作品の中で一番抜けのよさを感じますね。
「作ってて一番手応えがあったし、ダンス・ミュージックでもありポップ・ミュージックでもある、やりたかったことのバランスが上手く出せた充実感はあります。デカい音で聴ける環境があれば、とにかくデカい音で聴いてほしいですね」
取材・文/土屋恵介(2010年9月)


<iLL special 4DAYS イベント「∀(ターンエー)」>
●会場:新代田FEVER
●日程&ラインナップ
11月16日(火):iLL / the telephones
11月17日(水):iLL / ALTZ / ABRAHAM CROSS / DJ NOBU
11月18日(木):iLL / PARA / PHASE(勝井祐二+成井幹子)
11月19日(金):iLL / ZAZEN BOYS
●時間:開場18:30 / 開演:19:00
●料金:前売4,000円 / 当日4,500円
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