【南紫音 interview】花開く20歳の才能――2ndアルバムはベル・エポックの傑作集

南紫音   2010/03/09掲載
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 2005年、16歳で難関のロン・ティボー国際音楽コンクール第2位を受賞し、すでに海外でも演奏活動を始めた南紫音。2008年にはユニバーサル ミュージックの新しいレーベル、UCJジャパンの第1弾アーティストとしてデビューを飾り、実力派ヴァイオリニストとして国内での人気も急上昇中だ。桐朋学園大学に在学中で、20歳になったという彼女。3月10日に2枚目のアルバム『ブルーム』がリリースされる。ヴァイオリン演奏では、ロングのストレートヘアがよく似合う素敵なお嬢さんといった雰囲気とからは想像できない、情熱的で多彩な表現を聴かせてくれる。


――今年は成人式でしたね。おめでとうございました。
 南紫音(以下、同)「ありがとうございます。じつは20歳になるのが待ち遠しかったんですよ。いろんなことに責任を持たなければと思い、気持ちを引き締めています。お酒が飲めるようになったのも嬉しいですが、練習後に飲むと疲れがどっと出るものなんですね(笑)」
――2枚目のアルバムはR.シュトラウスのソナタとフランスの作品を組み合わせたものになりました。
 「1枚目はリサイタルのプログラムのようにして選びましたが、今回は物語やテーマを持ったアルバムをと考えました。ベル・エポックと呼ばれる時期に生まれた作品たちです。19世紀末から20世紀初頭にかけて花開いた文化、そしてヴァイオリンの傑作、ということでアルバムのタイトルを『ブルーム』(花開く)と付けました」
――それにしても、冒頭のR.シュトラウスのソナタから、しなやかで美しいヴァイオリンの世界に引き込まれます。
 「小学生の時から練習してきた作品です。途中、違和感を感じて離れていた時期があるのですが、オーケストラに参加した時にR.シュトラウスの〈死と変容〉を弾き、ソナタの中にもオーケストラの響きがあることに気付いて、あらためて弾くようになりました。未来に向かう希望を感じさせる作品です」
――その後にドビュッシーラヴェルサン=サーンスと並べ、音色も表現も多彩に変化させて、それぞれの作品の魅力を引き出しましたね。本当にベル・エポック(美しい時代)の空気が立ちのぼるかのようです。
 「世界が大きく変わっていく中で、自分の音楽の世界を築き上げた作曲家たち。芸術の花が開いた時期の作品に触れることで、自分も花開きたいという思いも込めました。まだまだ勉強すべきことはたくさんあるし、これからやりたいことも山のようにありますが、人生が終わる時に私の咲かせた花が満開になっているといいなと思っています」




――それにしても多彩な音色。名器グァルネリ・デル・ジェスを見事に弾きこなしていますね。
 「楽器に助けられたところもあります。とても状態のいい元気な楽器だったので、力強い味方でした」
――ピアノは前作と同じ江口玲さん。ニューヨークを拠点にソリストとして、また伴奏の名手としても活躍している方です。今回のピアノも素晴らしい演奏でした。
 「1枚目の時はすごく緊張していて、どんなに助けていただいたことか。今回も江口さんからたくさんのことを学びました。自分がどんなに弾き慣れた作品でも、毎回楽譜を読み直して新たな気持ちで取り組むこと。譜面に書かれた作曲者の声をどう伝えるのか、音楽をどう作っていくのか。録音の3日間は、音楽だけに集中できた幸せな時間でした」
――気が早い話ですが、次作では何を弾きたいですか?
 「できればメンデルスゾーンのコンチェルトを。私が初めてオーケストラと共演した時に弾いた作品で、節目ごとに弾いてきましたので」
――現在は桐朋学園大学に在学中ですが、留学は考えていますか?
 「今の希望としてはパリに。師事したい先生がいるんです。でもまだ未定です。コンクールについても考えていますが、こちらも未定。そうした経験を通して幅広いレパートリーを持ちたいと思っています」
――ありがとうございました。
取材・文/堀江昭朗(2010年1月)
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