「ステージでの楽しい気持ちが湧き上がらなきゃ意味がない」 12年ぶりに来日した“爆裂ジジイ・ハードコア”NOMEANSNOを直撃!

ノーミンズノー   2009/05/08掲載
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「ステージでの楽しい気持ちが湧き上がらなきゃ意味がない」 12年ぶりに来日した“爆裂ジジイ・ハードコア”NOMEANSNOを直撃!
 79年に結成した、ポスト・ハードコア〜オルタネイティヴ・シーンのカリスマ、ノーミーンズノー(NOMEANSNO)。目下の最新作『All Roads Lead to Ausfahrt』(2006年)でもジャズ、プログレ、フュージョン、カントリー、ブルース、メタルなどさまざまなエッセンスをゴッタ煮にして、変拍子満載、馬鹿馬鹿しさを楽しみながらの強烈なテクニックでリスナーを圧倒してくれました。そんな愛すべき“ジジイ・トリオ”が12年ぶりに奇跡の来日。驚愕と爆笑に満ちたステージを見せてくれたジョン・ライト(ds、vo)とギターのトム・ホリストンに話を訊いた。



 平均年齢50歳のグレイトなオヤジ・バンドであるカナダのノーミーンズノーが、結成30周年で12年ぶりに来日公演を果たした。

 パンクの勢いのファニーな馬力に満ちている不変の音で飛ばした今回のライヴ。でも、15年近い付き合いのAlternative Tentacles(元デッド・ケネディーズジェロ・ビアフラ主宰)から2001年以降リリースしてないことが、ぼくはずっと気になっていた。
 「新展開をしたくなり、(マイク・パットンと)イピキャックもやっている昔のマネジャーのグレッグ・ワークマンのAntAcidAudioから、ベスト盤『The People's Choice』と最新作『All Roads Lead to Ausfahrt』(2006年)を出したんだよ」 (ジョン・ライト/ds、vo)

 パンク・ロックと呼ぶにはロックンロールの様式から逸脱しすぎて、プログレと呼ぶにはエネルギッシュすぎて、変態と呼ぶには歌心がありすぎる、ジャズのコクも十分のトリオだ。2000年発表の前作『One』では、マイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリュー」もラモーンズの「ビート・オン・ザ・ブラット」もカヴァーし、驚かせたものである。
 「自分らの中ではわりと自然なことさ。3人とも70年代後半とかにラモーンズから影響を受けていたし。と同時に(兄の)ロブ(vo、b)がマイルス・デイヴィスを大好きだから、〈ビッチェズ・ブリュー〉に歌詞を付けて15分の曲にアレンジしてやったんだ」 (ジョン)





 カヴァーしたアーティストの多彩さにも彼らの絶妙のセンスが表れている。レコード化した同郷のパンク・バンドのサブヒューマンズD.O.A.の曲の他、ライヴではモーターヘッドの「ジェイルベイト」、AC/DCの「ショット・ダウン」、アンダートーンズの「ヒア・カムズ・ザ・サマー」、ジョイ・ディヴィジョンの「トランスミッション」、ジミ・ヘンドリックスの「マニック・デプレッション」、ビートルズの「オブ・ラ・ディ、オブ・ラダ」も披露してきた。

 最新アルバム収録の「The hawk killed the punk」という曲も、ファッション的なパンクを皮肉っているように思えて興味深い。
 「かつてもっていたエナジーとか信念といったものが、そのへんの単なる流行とかに流されて、自分のアイデンティティを失ってしまうみたいな曲だね」 (トム・ホリストン/g)

 年食うごとにレイドバックしていくバンドは多い。けどノーミーンズノーは82年のファーストの頃よりも激しくなっているのだ。
 「若い頃は興奮した時のエナジーも神経質になった時のエナジーもあった。それが年と共に減っていく人もいるだろう。自分らもそういう部分があるだろうけど、今まで培ってきた経験で上手く集約させている。とにかく音楽のエナジーがあるから楽しくやれるのであって、ステージで楽しい気持ちが湧き上がらなきゃやっていても意味がないよ」 (ジョン)

 ステージ上のうれしそうな3人の表情を見てノーミーンズノーに定年はないと確信した。



取材・文/行川和彦(2009年3月)
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