「自分が揺るがないようなリリックを書いてるだけ」――SD JUNKSTAの“看板”ラッパー、NORIKIYOが2ndアルバムを発表!

NORIKIYO   2008/08/21掲載
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 グラフィティ・ライターやダンサーなど、神奈川・相武台のホームボーイたちによって構成された“腰履き愚連隊”ことSDP(Sag Down Posse)。その顔ともいえるラップ・グループ、SD JUNKSTAのリーダーであるNORIKIYOが、2ndアルバム『Outlet Blues』を発表した。ソロMCとして早くから外へ飛び出し、クルーへ新たな風を送るだけでなく、今やシーンを牽引する存在へと成長をとげた彼に話を訊いた。




 「社会的には良くないことをして金を稼いで、それも遠因になって窓から飛び降りて大怪我して、両足と背骨折って寝たきりになるかもしれねえって宣告されて。今までやってきたことのツケが怪我ってかたちで回ってきたときに、じゃあこれからどう食ってくんだって考えたら、ラップしかねえかなって。だからラッパーになるんだって決めたのは怪我をしたときっすね」
 そう話すのは2ndアルバム『Outlet Blues』を発表するNORIKIYO。これまでにもCDJournal.comにはヒップホップ・アーティストが登場してきたが、上記のコメントからも彼の特異性、そして立ち位置の違い(当然そこに優劣はないが)は分かってもらえると思う。
 「周りが働いてたときに俺は遊んでたから、ラップだったり音楽だったり“遊び”しか武器がなかったんですよ。それで入院中にサンプラーとシンセでトラックを作って、車椅子にMTRとマイク乗っけて空いてる病室でラップ録って。それしかできなかったし、それしか残ってなかった」


 そんな状況で作られた曲はヒップホップ・ヘッズの間では名高いミックスCD『Concrete Green』に収録され、自分の「身の回りのこと」を時にファニーに時に詩的に、つまりエンターテインメントとして表現する彼のスタイルは多くの支持を得た。
 「自分じゃなくならないように、自分が揺るがないようなリリックを書いてるだけです。曲は俺自身だし、地元の仲間に“これノリキヨっぽくないよね”って言われたくない。俺に帰る場所は地元しかないし、地元のやつがいいって言ってくれなかったら、他の街で反応してもらえるわけがないと思う」


 あくまでも地元の相武台に立脚しながら制作された1st『Exit』はヘッズのみならず、メディアにも高い評価を獲得し、一躍ニューヒーロー“NORIKIYO”はスターダムに躍り出た。そして間髪入れずにリリースされる2ndアルバム『Outlet Blues』は、気鋭のトラックメイカーのBach Logicによる全面プロデュース作品として結実している。
 「ただ制作の最中、9曲ぐらい作った段階でBL君が“白紙に戻そう”と。“良い作品にはなるだろうけど、新しくはないし面白くない”って言われて、俺としては直後は違和感があったんだけど、そこで俺とBLの作品なんだってことに気付いて。そこからより話し合って、すげえ火花散らして、50:50のアルバムに出来たと思いますね」





 今回の作品でもいわゆる“ワル”なリリックは当然のように登場するし、それに嫌悪感を抱くリスナーもいるだろう。ただ、彼の場合、そういった事実を否定するわけでもないが肯定するわけでもなく、そこに一抹の逡巡を抱えてるのも面白い。
 「ただ昔話をしたい訳じゃない。(悪いことを)やって後悔したことも多いし、今それを自分はどう思ってるのかを書きたい。それで、おこがましいけどそういったことを止めるやつとか、新しい生き方を見つけるやつがいればって。人生をチョイスする材料や、自分の立ち位置を見つける材料にこのアルバムがなれば嬉しいですね。自分の感情が動いた瞬間や、なにかに心が震えた瞬間を書いてるから、それはB-boyじゃなくても共感してもらえると思うし、普通の生活を送ってる人にも聴いてもらいたいです」



取材・文/高木晋一郎(2008年7月)
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