【ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートinterview】ブルックリン発の渋谷系?――ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハートに直撃

ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート   2010/02/19掲載
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 MGMTグリズリー・ベアなどに続き、ニューヨーク・シーンの震源地ブルックリンを賑わす4人組、ペインズ・オブ・ビーイング・ピュア・アット・ハート。ある時期の渋谷系サウンドを彷彿とさせる繊細かつ直球なネオアコ系ギター・サウンドは、“トゥイー(ネオアコ)・リヴァイヴァルの旗手”とも目され、2009年2月の1stアルバム『THE PAINS OF BEING PURE AT HEART』リリース以来、アメリカ、そしてここ日本のインディ・シーンで話題が集中。今年1月には日本独自企画盤『ハイアー・ザン・ザ・スターズ』もリリースされた、今もっとも旬なバンドのフロントマン、キップ・バーマン(vo、g)に直撃し、ニューヨーク・シーンの現場や影響を受けたアーティストについて聞いた。



――2009年の春先にニューヨークに行ったんですけど、ものすごい人気でしたね。
キップ・バーマン(vo、g/以下同) 「ありがとう。じつはそこまでよく覚えてないんだけどね(笑)」
――ちょうどあのとき、あなたたちはブルックリンの“ベルハウス”やマンハッタンの“ケイクショップ”でショウをやっていたと思います。ここ数年、ニューヨークのシーンがホットだとよく言われますけど、それを象徴するようなライヴ・ハウスにあなたたちは支持されている印象がありますね。
 「ありがとう。今、君が名前を挙げてくれたところはたしかに活気があるよね。不思議だよね、どの会場も一見ライヴ・ハウスかクラブかさえもよくわからないようなところなのに(笑)。でも、そういうところでも、熱心な音楽好きの人たちが何かしたいと思うところから、実際に何かが始まるんだと思う。僕らやクリスタル・スティルツら、スランバーランド・レコーズ所属のバンドもすごく世話になってるよ」




――ラインナップも、実際はニューヨークのバンドだけじゃないですもんね。僕がケイクショップに行ったときは、スウェーデンのアーティストのショウケースみたいなことをやってましたし。
 「そうそう。あそこ、北欧と脈があるみたいだよ。それに限らず、世界中のバンドが出演しているよね」
――逆に、2000年代はじめにホットだった“バワリー・ボールルーム”とか“マーキュリー・ラウンジ(ストロークスを発掘したライヴ・ハウス)”みたいなところが大バコになった印象がありますもん。
 「バワリー・ボールルームは、今はグループ企業になってて、いろんなライヴ・ハウスのブッキング・エージェンシーになっているほどの影響力があって、マーキュリー・ラウンジはイギリスからのツアー・バンドがほとんどだよね。実際、彼らがシーンを活性化させたわけだけど、それに刺激されて、さらにアンダーグラウンドな層を君がさっき言った若いハコが掘り起こしている。好循環だと思うよ」
――で、そのニューヨークで話題だったアルバムが、日本でも密かなヒットになっていたのは知ってました?
 「そうらしいよね。ライヴのチケットも売り切れていてビックリしたよ」
――シブヤケイ(渋谷系)サウンドを思い出す人が多いから、と言われていますけど。
 「それはよく言われるし、僕も10年くらい前、日本の音楽シーンに興味があったんだ。ねえ、『ベイコクオンガク(米国音楽)』って本、覚えてる?」
――はい。もちろん。渋谷系のバイブルみたいな雑誌でしたよ。まさか読んでいたんですか?
 「うん(笑)。マニアックなCD屋とかで売ってたよ。(指で厚さを示して)これくらいのヴォリュームがあってさ。しかも、内容がマニアックなんだよね。プッシュ・キングスって覚えてる(笑)?」
――はいはい(笑)。大きく取り上げられてました。
 「すごかったよね(笑)。アメリカでは知る人ぞ知るバンドだったのに、あの雑誌だとセレブみたいな扱いだったろ。あれで日本には随分興味を持ったんだ」
――ネオアコ的な音楽には、その本から入ったわけではないですよね?
 「違うよ。ニルヴァーナソニック・ユースが好きで、そこからヴァセリンズを覚えたってクチだよ。それで、あとからオレンジ・ジュースベル・アンド・セバスチャンを聴いたんだ。あと、もうひとつ僕にとって大事なバンドがある。それはスマッシング・パンプキンズだ」




――それ、僕も思っていたんですよ! あなたたちは“ネオアコ・リヴァイヴァル”みたいな言われ方をされていますけど、音の作りはどちらかと言うと、スマパンの2ndアルバム『サイアミーズ・ドリーム』みたいだと思っていました。
 「まさにそのアルバムだよ! あのアルバムに収録されてる〈トゥデイ〉のPVにあるアート感覚が僕の影響源なんだ。あのバンドってグランジの枠で語られがちだけど、それであると同時に、すごくイギリス的なシューゲイズなサウンドも表現できてただろ? ああいう感覚を持ったバンドは当時はほかにいなかったよね」
――あの感じのまま行けばよかったんですけどね。ビリー・コーガンが黒服着てノスフェラトゥみたいになってからはどうです?
 「うーん(苦笑)、どんなに才能のある人でも全盛期は永遠には続かないからね。でも〈1979〉は最高の曲だし、今でもすごくハッとするような曲を作る時があるからね。いずれにしても大事な存在なのはたしかだよ」
取材・文/沢田太陽(2010年2月)
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