【タイアード・ポニー interview】 ライヴ録音で作り上げた“アメリカへの恋文”――スノウ・パトロール×R.E.M.による新バンドがデビュー作を完成

タイアード・ポニー   2010/08/03掲載
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 スーパー・グループ急増中のシーンにまたもや一組、大物による新ユニットが出現。スノウ・パトロールのギャリー・ライトボディとR.E.M.ピーター・バックを中心に、両者とコラボ経験のあるプロデューサーのジャックナイフ・リーほか7人のミュージシャンから成るタイアード・ポニーである。彼らは今年2月に1週間でアルバム『ザ・プレイス・ウィー・ラン・フロム』をライヴ録音。ギャリーの米国ルーツ音楽への憧れを素直に映し、結成したてとは信じ難いナチュラルなケミストリーに貫かれたギター・ロックを披露した本プロジェクトは、単発どころかすでに新作のレコーディング日程も決まっているという。そんな意欲満々のギャリーとピーターがここまでの歩みを語ってくれた。
――タイアード・ポニーの発端は“カントリー作品を作りたい”というギャリーの長年の夢だったそうですが、カントリーとの出会いは?
ギャリー(vo、g) 「両親がいつも聴いていたから自然に浸透したのかな。20代になって子供時代の記憶が蘇って本格的にハマり、ジョニー・キャッシュグラム・パーソンズとかアウトロー系を聴き漁ったんだ。カントリーの、心の脆い部分に目を向けるところに惹かれるんだよ」
――ピーターとは前から面識があったんですね。
ギャリー 「うん。初めて会った時から畏敬の念に震えてたけどね(笑)。14歳の時からR.E.M.を聴いてるから、会えるだけで一大事さ。でも今では長年一緒にバンドをやってるような気がする。レコーディングの一日目からそんな気分だったよ」
ピーター(g) 「ある日、R.E.M.の新作も手掛けるジャックナイフ・リーに、“ギャリーが従来の作品とは違う趣向の音楽をやりたがっているんだけど、興味ある?”と訊かれたんだ。ギャリーはいいヤツだし、エゴと無縁で良質の音楽を作ることだけを考えてる男っていう印象があって、俺自身もそういう人間だと自負してるし、“もちろん”と即答したよ」






――ギャリーはソロでやろうとは思わなかったんですか?
ギャリー 「いいや。僕はバンド特有の同志愛が大好きで、自分が書く曲にも所有意識がない。タイアード・ポニーでも、僕が曲のコードを演奏して聴かせ、あとはみんなが楽器を手にして、アイディアを思いついた人が先導して曲を膨らませた。たいていピーターだったけどね。彼は司令塔的な役割を担ってくれて、そのフレキシビリティには圧倒されたよ」
ピーター 「そう、ギャリーが提示した曲のスケッチをもとに、半ばインプロ的に肉付けしたんだ。しかも、あまり時間をかけ過ぎず、1曲につき2テイク以上は録っていない。俺は短時間でライヴで録るのが好きなんだ。フレッシュな音になるからね」
――でもスタジオで初めて全メンバーが対面したというのにライヴ録音とは大胆ですよね。
ピーター 「そりゃ失敗する可能性もあった。ギャリーも不安だったとあとで教えてくれたよ(笑)。でも彼の実力は知っていたし、実際7人でプレイし始めるとすぐケミストリーを実感できたんだ。最近はみんなオーヴァーダブとかしまくるけど、俺たちはバンドのナマのパフォーマンスをアルバムに封じ込めたかった。曲を聴くのは初めてで時間も限られている中、すごく集中していたよ。そして必要に応じて、M.ウォードとか友達を誘って参加してもらったんだ。すごくユルいノリで、誰かが“ギャリーとピーターにバンドをやらせれば儲かるぞ”なんて仕組んだわけじゃないよ(笑)」
――ギャリーはこのアルバムを“アメリカへの恋文”と位置付けていますが、ピーターに彼が描くアメリカはどう響きました?
ピーター 「そうだな、俺の場合、23歳になるまで英国に行ったことがなかったけど、ビートルズT.レックスの音楽を通じてどんな場所かいろいろと思い描いていたよ。そうやって生まれたイメージはずっと消えないもので、想像でも間違いとは限らない。ギャリーもツアー体験や映画や文学から独自のアメリカ像を形成していたわけで、実は的を得ていることが多いんだ」
ギャリー 「なにしろ僕が最初に夢中になったアーティストはマイケル・ジャクソンで、その後ジョン・スタインベックなんかの小説を読みふけり、R.E.M.やニルヴァーナを聴いて……アメリカが僕の全てだったよ」
――収録曲を辿ってみると、アメリカを旅するロード・ムービー風ですね。
ギャリー 「ああ、『イージー・ライダー』や『地獄の逃避行』といった映画が頭にあったし、多くの曲にボニー&クライド的な破滅的カップルが登場する。アルバムではふたりの物語の始まりの部分を描いていて、冒頭でまさに旅立とうとしているんだ。あれから僕は物語の続きを書いたんだけど、彼らは結局別れてそれぞれに年をとり、男は女の元に帰って来て許しを乞う……。とても悲しい展開で、書きながら泣いちゃったよ(笑)」
質問作成・文/新谷洋子
インタビュー/坂本麻里子(2010年7月)

※『CDジャーナル9月号』(8/20発売)でも、ギャリー&ピーターのインタビューを掲載します。当ページとは異なる発言も楽しめますのでお見逃しなく!
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