独特のハーモニー、レゲエ、ダンスホール、メント、R&B、ヒップホップ…T.O.K.の多彩な側面が詰まったニュー・アルバム

T.O.K.   2009/07/15掲載
はてなブックマークに追加
 フレックス、アレックス、クレイグ・T、ベイ・Cという4人からなるT.O.K.は、ヒット曲を量産し出した10年ほど前からジャマイカのダンスホール・シーンのフロントラインに立ち続けているグループ。R&Bから影響を受けたコーラス・ワーク、垢抜けたステージングはそれまでのジャマイカにはなかったものであり、彼らの登場がダンスホール・シーンの変化も促すことになった。そんな彼らが3作目となるアルバム『アワ・ワールド』をリリース。今回ライヴを行なうために来日していた4人を直撃したのだが、ジャマイカ人らしからぬ(?)真摯で真面目な立ち振る舞いにびっくり。連日の取材攻勢の疲れも見せず、ひとつひとつの質問に丁寧に答えてくれました。

――まず、ニュー・アルバム『アワ・ワールド』の内容について教えていただきたいんですが。
ベイ・C「今回はとてもパーソナルで、T.O.K.のいろんな側面が詰まってるんだ。レゲエ、ダンスホールはもちろん、メント(ジャマイカ風のカリプソ)、R&B、ヒップホップ……僕らが普段聴くものを盛り込んだ感じだね」
――7インチ・シングルで表現できないものをアルバムに込めてる?
全員「そうだね」
アレックス「45(7インチ・シングルのことをジャマイカではこう呼ぶ)がダンスホールの現場でアピールするものだとすれば、アルバムはアーティストとしての自分たちを表現するものだと思ってるんだよ」
ベイ・C「アルバムを出すことで自分たちの歌を聴いてもらう機会も増えるからね。でも、量よりも質が重要。出せばいいってもんじゃないと思うし」
フレックス「自分たち自身をアナザー・レベルに持っていくものという意味でもアルバムは重要だと思ってるよ」
――あなたたちの魅力のひとつに独特なハーモニーがありますが、T.O.K.が出てくる前のジャマイカの音楽シーンにはなかったものですよね。どういうところからこのハーモニーは生まれてきたんでしょうか。
アレックス「子供の頃からの影響も大きいと思う。みんな聖歌隊で歌ってたし、そのほかにMTVで流れていたR&Bのグループ――SHAIとかボーイズIIメン――にも影響を受けてるんだ」
――そのスタイルは結成当初から確立されてたんですか。
ベイ・C「T.O.K.が結成されたのが92年で、最初のシングルを出したのは96年なんだけど、その4年間の間にだいぶいろんなことを学んだよ。R&Bのエッセンスを盛り込みつつ、ジャマイカ人である自分たちのハードコアな部分も入れたいと思ってきたしね」



――ジャマイカ国外のマーケットに対してはどんな意識を持ってるんですか。
アレックス「もちろん意識してるよ。スタジオで曲を作ってる時も“この曲はあの国の人が喜ぶんじゃないか?”なんて考えることもあるし、ジャマイカだけにこだわってるわけじゃないんだ。たとえば(今回のアルバムに収録された)〈アフタヌーン・ポルノスター〉なんかは世界中の女の子が共感してくれると思うよ」
――日本だとT.O.K.を通してレゲエを知るリスナーも多いと思うんですよ。
ベイ・C「本当に光栄だね。誰かの人生に影響を与えることになるわけだから、表現者としては言葉にできないほどの喜びでもある」
フレックス「その意味では謙虚にいなきゃいけないとも思う。さらにいい影響を与えられるようにありたいと思うね」
――責任感を感じることもある?
ベイ・C「責任というよりも、自分たちの根本が変わらないことのほうが重要だと思う。オレらの根本にあるのは、みんなに楽しんでもらうこと。それと、自分に忠実であること。そこだね」
――日本の場合、T.O.K.を通じてジャマイカという国を知る人もいるんじゃないかと思うんですよ。
クレイグ・T「凄いことだよね(笑)」
アレックス「ジャマイカの観光局に感謝してもらわないとな(笑)。光栄なことだと思うよ。メディアで紹介されているジャマイカのイメージって治安の悪さのようなネガティヴなものかもしれないけど、オレらの音楽を通してジャマイカという国に興味を持ってもらったら嬉しいね」
――今のジャマイカのシーンについては、どう思います?
ベイ・C「ものすごくハードコアになってきていて、楽しい部分がなくなってきてるね。ハードコアすぎてラジオで流すことを禁止されるようにもなってきてるんだ」
フレックス「どんなサイクルになろうとオレたちは流されない自信があるんだけど、今回のアルバムは今のジャマイカに嫌気が差してる人にはもってこいのアルバムと言えるかもしれない。いろんな要素が入っていて、10年後も20年後も聴けるものだからね」
――最後に、アーティストとしての最終目標を聞かせてください。
フレックス「楽しくて最高の音楽でミュージック・ヒストリーに名前を残したいね。それと、目指しているのはグループ・ヴァージョンの……」
全員ボブ・マーリィ(笑)」
ベイ・C「レゲエにおけるボブ・マーリィのような存在に、ダンスホールというスタイルのなかでなりたいと思ってるんだ」
――僕は今回のアルバムでその階段をまた一段昇ったと思いますよ。
ベイ・C「リスペクト! 光栄だよ」



取材・文/大石 始(2009年6月)
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[特集] 映像配信サービス「dTV」に新ジャンル「ライブ」が誕生、ひと味違うライブ体験ができるその魅力[特集] ジョージ・ハリスン『オール・シングス・マスト・パス』 一新されたアルバムと驚きの貴重音源を収める50周年記念盤の聴きどころ
[インタビュー] 新作アルバムは、ずっと愛奏している作品で構成したオール・ショパン・プログラム、小林愛実[特集] 「Sony Park展」第3弾「ファイナンスは、詩だ。」 東京スカパラダイスオーケストラインタビュー
[インタビュー] 活動10周年にして集大成さくら学院ラスト・インタビュー[インタビュー] チャレンジ精神に歌とダンスでエールを送る 新曲は『新幹線変形ロボ シンカリオンZ』主題歌、BOYS AND MEN
[特集] Sony Park展「音楽は旅だ」「カンタビレIN THE PARK」レポート 奥田民生[特集] クラウン時代のラスト・アルバム(鈴木茂コスモス’51リミックス発売記念ライブ)白熱のライヴ・レポート、鈴木茂
[インタビュー] 千住真理子、音楽は時空を超えて旅をする 新作はヴァイオリンで歌う世界のメロディ[インタビュー] ユーミン、じゃがたら、『みんなのうた』…、新作は原曲と違う風景が見えるカヴァー集 KERA
[インタビュー] 宮本笑里×DAITA 恐竜科学博の壮大なテーマ曲で実現した、異なる弦楽器のコラボレーション[インタビュー] 架空の映画のサウンドトラックというコンセプト・アルバムを発表したKaede
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015