カオティックな音響と洗練されたハーモニーが織り成す強烈なグルーヴ──アニマル・コレクティヴ、待望の新作『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』。

アニマル・コレクティヴ   2009/02/26掲載
はてなブックマークに追加
カオティックな音響と洗練されたハーモニーが織り成す強烈なグルーヴ──アニマル・コレクティヴ、待望の新作『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』。
 個性派揃いのブルックリン・シーンを代表するアニマル・コレクティヴが待望のニュー・アルバム『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』を完成。作品ごとに異なるサウンドを展開してきたアニコレが今作で試みた新たなアプローチとは? ギター&ヴォーカルのエイヴィー・テアに話を訊いた。


 TV ON THE RADIO、アクロン/ファミリー、ブラック・ダイスなど、個性派ひしめくブルックリン・シーン。そんな中でも、大胆不敵な実験精神と極彩色のサウンドでひときわ注目を集めてきたアニマル・コレクティヴが、最新作『メリウェザー・ポスト・パヴィリオン』を完成させた。いつもレコーディング前には、アルバムのイメージについて綿密に話し合うという彼ら。果たして今作のイメージとは……?
 「〈トロピカルな楽園〉とか〈ビーチ〉とか、水にまつわるイメージでトロピカルなサウンドを目指そうってことになったんだ。だからスタジオもビーチの近くで探したんでけど、そういう場所だとなかなか仕事に集中できそうになくて(笑)。結局、ミシシッピ州のオックスフォードという学生が多い町のスタジオでレコーディングしたんだ。そこはなぜか古いミュージカルが人気がある町で、ミュージカルのビデオがやたら手に入ったから、それをみんなでスタジオで観てフザけあったりしてたよ」 (エイヴィー・テア/以下発言同)






 アニマル・コレクティヴのメンバーは、エイヴィー、パンダ・ベア、ジオロジスト、ディーケンの4人。それぞれソロ活動が盛んで、アルバムごとに参加メンバーが違うのもアニコレの特徴だ。今回はギタリストのディーケンが不参加だったからか、「ビートやリズムにフォーカスを絞った作品にしようと思った」らしい。
 「僕達は基本的にはスタジオに入る前に、すべて曲の骨組みを作っておいて、スタジオでは最もイメージどおりの機材やエフェクトを選ぶんだ。当然、レコーディングの最中にアイディアが浮かんだりして、曲構成やアレンジが変更することはよくあるけどね。今回はアルペジエーターやサンプラーを多用した。とりわけリヴァーブは、今回のアルバムのサウンド面で重要な役割を果たしたね」

 万華鏡をクルクル回すように、次々と展開していくサイケデリックなサウンドの中、高揚感に溢れたビートが自由自在に駆け回る。さらに印象的なのは、緻密にアレンジされたコーラス・アレンジだ。
 「ヴォーカルやコーラス・アレンジについては、レコーディング前からノア(パンダ・ベア)とかなり話し合ったよ。ハーモニーが複雑に絡み合うようなアレンジを作りたくて、納得のいくアレンジができあがるまでに試行錯誤を繰り返したんだ。例えば〈Brother Sport〉では、中盤のジャム・パートでバラバラになったコーラスが、最後にはまたひとつにまとまるような構成にしてみた」


 さらに「僕達の曲作りにおいて、メロディ・ラインはとても重要な部分」とも語ってくれたエイヴィー。カオティックな音響空間と洗練されたハーモニーとのせめぎあいが、アニコレのサウンドに強烈なグルーヴを生み出している。そして、そのダイナミズムは各メンバーの強烈な個性のブツかりあいからも生まれるわけで。それにしても、もし音楽をやってなかったら、4人は一体どんなものを生み出してたのだろう。
 「多分この4人だったら、お笑いを始めてたかもしれないね! 自分達のTVショウとか舞台をやってたかも(笑)」
 それはそれで、ちょっと観てみたかった気もするけれど。ともあれ、最新のアニコレ・ショウの始まり始まり!


取材・文/村尾泰郎(2009年1月)
最新 CDJ PUSH
※ 掲載情報に間違い、不足がございますか?
└ 間違い、不足等がございましたら、こちらからお知らせください。
※ 当サイトに掲載している記事や情報はご提供可能です。
└ ニュースやレビュー等の記事、あるいはCD・DVD等のカタログ情報、いずれもご提供可能です。
   詳しくはこちらをご覧ください。
[インタビュー] 大好きな街、小田原への愛を込めた「O・DA・WA・LOVE」配信リリース emily hashimoto[インタビュー] ギターミューズRei デビュー10周年 初のベスト・アルバム発売
[インタビュー] 突然、しゃっくりのように曲作りが止まらなくなった… 実力派歌手が初のアルバムを発表 高遠彩子[インタビュー] ふたたび脚光を浴びる作曲家の新作は、フル・オーケストラによるインスト・アルバム 日向敏文
[特集] 「柚木麻子と朝井リョウとでか美ちゃんの流れる雲に飛び乗ってハロプロを見てみたい」アフタートーク[インタビュー] アーバンで洗練されたグルーヴを鳴らす注目の6人組バンド BESPER
[インタビュー] 徹底的に音にこだわった ロックとオーケストラの完全なる“融合” GACKT[インタビュー] イベント〈The Night Unthreads 〜360° floor live〜〉にも出演 00年サウンド再来、CLW
[インタビュー] プロデューサー藤井隆が語る 麒麟・川島明のファースト・アルバム![インタビュー] スーパープレイヤーぞろいのブラス・アンサンブルが、満を持して発表するバロック名曲集 ARK BRASS
[インタビュー] 「私が歌う意味」 自らが選曲したディズニー・ソングで歌手デビュー 檀れい[インタビュー] 突如あらわれた驚異の才能! 10代の集大成となる1stフル・アルバム Meg Bonus
https://www.cdjournal.com/main/cdjpush/tamagawa-daifuku/2000000812
https://www.cdjournal.com/main/special/showa_shonen/798/f
e-onkyo musicではじめる ハイカラ ハイレゾ生活
Kaede 深夜のつぶやき
弊社サイトでは、CD、DVD、楽曲ダウンロード、グッズの販売は行っておりません。
JASRAC許諾番号:9009376005Y31015